妻は現在、2週間ごとに5回繰り返す化学療法を受けている。今回のオニバイドは、妻にとってはこれまでの中で一番副作用が強いようだ。強いだるさと食欲不振、下痢が続いている。これが終わるまでは、私も山どころではなくなった。
そこで過去の山旅を秋の季節のものをブログにまとめてきたが、そろそろ種切れぎみ。そこで季節を問わずに印象深かったものをまとめていくことにしてその第一弾。
大菩薩峠から南へ長ーい尾根が伸びている。小金沢連嶺と呼ばれる、小金沢山、牛奥ノ鴈ケ腹摺山、黒岳、湯ノ沢峠、大蔵高丸、ハマイバ丸、大谷ヶ丸を経て滝子山まで続いている。
滝子山はなんども訪れ、湯ノ沢峠から南の山々も歩いたことがあったので、この時は、大菩薩峠の一つ南隣にある石丸峠から湯ノ沢峠までを日帰りで歩いてみることにした。
帰りは湯ノ沢峠から桑西へおりるつもりで、長い林道歩きのために荷物も軽めを心掛けた。
出かけたのは2018年のゴールデンウィーク直前の28日。
なにせ、中央線の甲斐大和駅からのバスは、連休に入ると大混雑。乗れない場合もあるからだ。
芽吹き始めのカラマツ林の中の小屋平バス停でおりて石丸峠へと向かった。
気持ちの良いカラマツ林の斜面を登っていくと林道に出た。クマ出没注意の黄色い看板。
その林道からは南の方にきれいな富士山が見えていた。
まだ朝方で空気が澄んでいるので写真写りもいい。
林道からふたたび山道に入り、斜面を石丸峠へと登っていく。
南向きの斜面で日当たりがいい。
足元はカヤで、林の見通しもよくて気分が明るくなる。
ついつい何度も富士山の姿を写真に収めてしまう。だってかっこいいんだもの。
峠が近づき、尾根続きにある狼平と地図に表示されているあたりのカヤトの原が見えてきた。
あそこを歩くのだとますます気分が上昇。
石丸峠。ここは大菩薩峠からの尾根道と私の歩いている小屋平から牛の寝通りと呼ばれる尾根道への道との交差点。
牛の寝通りもいい所らしいので、紅葉のころにでも小菅まで歩いてみたいコースだ。
私はここから小金沢の尾根道へとむかう。
峠からの大展望。手前は1999年に竣工した上日川ダムによってできた大菩薩湖。そしてその向こうに甲府盆地を越して長大な残雪の南アルプスが見えていた。
残雪が残るこの時期だからこその展望。さっそく望遠でねらってみる。これは白根三山。
これは甲斐駒ヶ岳。
こちらはずっと南にある荒川三山。左から聖岳、赤石岳、悪沢岳(荒川東岳)の3岳。
尾根続きの南には狼平の向こうに黒木におおわれた小金沢山。
そこが2000mを少し超えるこのコースの最高点だ。
北西方向を見ると八ヶ岳の赤岳が左に権現岳、右に横岳を従えて見えていた。
狼平をすぎて小金沢山への登りにかかると奥秩父らしい黒木の森になった。
これまでのカヤトの原の明るい雰囲気が一転する。
でも山頂につくと南側は大きく開けていて、しっかりした山名標識も設置されていた。
そして南には、雄大な富士山のながめ。
まだ空気が澄んでいたので望遠でしっかりとらえることができた。
このコースを歩くのなら、やはり北から南へ歩きたい。歩きながら目の前に富士山をとらえることができるからだ。
東の奥多摩が見渡せる場所を見つけた。中央に見えるのは雲取山。
小金沢山から少し歩いた、次の山、牛奥ノ雁ヶ腹摺山との鞍部へと下り始めるところに奇妙にねじれた木があった。
これは他の人の投稿でも見たことがある富士のフォトスポット。私もさっそく真似をしてみた。
木が多くなって富士山は見えなくなったが、あいかわらずカヤトの原が続いて明るい雰囲気。
尾根も幅が広くてアップダウンもきわめてゆるやか。
牛奥ノ雁ヶ腹摺山に到着。日本一長い山名の山として有名な山。
ここは東側に樹木があって奥多摩方面は見渡せないが、南は展望が開けている。
ここからも富士山の姿をパチリ。でも少し空気の透明度が落ちてきたようだ。
反対側から登山者が次々と登ってきた。おそらく大峠からだろう。
牛奥ノ雁ヶ腹摺山から少し下ったところから川胡桃沢ノ頭をのぞむ。
目の下、鞍部のあたりが賽の河原と呼ばれるところらしい。
川胡桃沢ノ頭まで登り返せば、そこからは同じような標高が黒岳まで続くのでのんびり歩ける。
黒岳と名前がつくだけに針葉樹の黒々とした森となった。
そして黒岳の少し手前に大峠との分岐の標識があった。
大峠のとなりにある雁ヶ腹摺山にはまだ行ったことがないので、いずれ行ってみたい。
でも大峠からだと近すぎるのでなかなか行く機会がない。
標高1987mの黒岳。ここは周囲が樹林に囲まれていて展望はない。
小金沢連嶺はここまでは2000m近い標高が続くが、ここから湯ノ沢峠へと標高を下げいく。
黒岳から下りだすと途中からマサと呼ばれる花崗岩が風化した白砂でおおわれたところに出た。
ここが白谷ヶ丸だ。大蔵高丸から滝子山へと続く尾根の向こうにすっかりもやってしまった富士山。
これから先の尾根の標高が200mほど低くなるので丹沢から富士山の周辺の山まで広々とした展望を楽しめる。
白砂の中に黒い岩が散らばっていて、小石を積み上げてケルンをつくってあった。
その一つを前景に富士山をパチリ。でももう透明度がすっかり落ちてしまって写りが悪い。
ここで写真を撮りながら小休止。これからのコースを検討した。
予定通り桑西へ下ることも可能だ。今のペースならバスの時間に間に合うと思われる。
でも、ここまで長く歩いてきたのでこれから舗装の林道を長々歩くのもおっくうになってきた。
湯ノ沢峠におりてきた。左に行けば予定通りの桑西への道。
でも、やはり気が変わってしまって右へと焼山沢へと下り始めた。
すぐに峠の避難小屋が見えてきた。
峠の駐車スペースの一角にはきれいなトイレも設置されている。
ここまで林道を使って車でこれるが、歩くのなら沢沿いに山道がある。
花が咲く沢沿いの山道をのんびり下る。開放的で明るい道だ。
山道は40分ほどで終わり、舗装された林道に合流した。その後は舗装の道をてくてく。
新緑の斜面のあちこちにヤマザクラが咲いていた。
桑西への道よりは短いとはいっても焼山沢の道も結構長い。
舗装の道は疲れた足にはこたえる。
いい天気と気持ちの良い気温に助けられてようやくついたようだ。
バス道に合流した地点には「やまと天目山温泉」がある。バスまで時間はあったが、風呂に入るにはあわただしい。
そのままバスを待ったが、しばらくすると風呂から上がったらしい人たちが三々五々と集まってきた。
今回紹介したこのコースは、全体で14.4kmとちょっと長めだけど、途中のアップダウンが少ないのと展望にめぐまれた地点が次々と現れるので快適に歩くことができた。秋の季節にも楽しめるコースだと思う。
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