そのあと、もうちょっと気品のある茶碗を買いました。
萩焼の釉薬の艶にも気品があり、素朴でありながら
優美な質感を持っています。
値段は10倍以上しますが、それだけの気品を備えています。
電子レンジにも食洗機にも対応していないので、
手で洗い、自然乾燥です。
ある意味手間も気も使います。
しかしその手間がかかるというところに
このものの命があると思うのです。
最近ではペットを買ってかわいがっていても、飽きたからとか
買えなくなったからといって捨ててしまう人が多いと聞きます。
ペットはそもそも手をかけてやるものですし、どんどん年を取り、
人間と同じように老いさらばえていく生き物です。
そういう想像力もなく安易にペットを買うことは許されません。
漆の食器だって、電子レンジも食洗機もだめです。
文明の利器になじまないものなのです。
だからそんな高くて不便なものを使わないという生活もありでしょう。
しかし、日本人として生まれこの国に育っているならば
むしろそのような世話のいるものを使うことで、
ものの命を大切にするこころを持つことで
生活が豊かになるのではと思います。
最近はファーストフードとは逆を行く
スローフードというものが流行っているそうです。
この忙しい世の中でいつもスローライフを送ることはできませんが
ほっと一息つきたいときにスローライフを実現させてくれる
ものに囲まれていれば、自然とそういう生活ができるのではないでしょうか。