村上春樹のこの書を読むと、あれほど4年に一回ノーベル賞候補として
騒がれてはいますが、いかに日本の文壇からは疎まれてきたか、この書を読むと垣間見れます。
それを避けるようにして、彼は海外に居を移し、多くのベストセラーを
出し続けました。
彼のストイックな創作への態度はまさに修行僧のそれと同じで、
実に一貫しています。彼の作品がアメリカだけにかぎらず
世界中で受け入れられているのは、彼がアメリカの出版社に
自分で売り込んだからだそうです。日本の作家にはない、
実に彼のたくましさに感銘を受けました。
シュリンクする日本の出版会にあって、
彼ほどグローバルな展開をはかっている
小説家は日本にいるでしょうか。
そこに、彼のしたたかなビジネスマンとしての
戦略があるのだとわかります。
そういう点でも、この書を読むとこれからの作家の
新しい生きる道のヒントになると思います。
村上春樹は学校嫌いではありますが、本が好きで、さらに
音楽(とくにジャズ)が好きだそうですが、その辺りは
私自身と同じ所があって、共感します。
彼はこの本で、世界のあらゆる地域に住む人にとって、
この混沌とした世の中を知る上でも、
新たな”物語”を必要としているのか。
それが理解できます。
日本の作家では珍しい、まさにコスモポリタンな作家のあり方を
この本によって知ることが出来るという意味でこの本は一読の価値があると思います。
![]() |
職業としての小説家 (Switch library) |
クリエーター情報なし | |
スイッチパブリッシング |