ポケットの中で映画を温めて

今までに観た昔の映画を振り返ったり、最近の映画の感想も。欲張って本や音楽、その他も。

『夜空に星のあるように』を観て

2018年09月07日 | 1960年代映画(外国)
ケン・ローチ監督の長編第1作、『夜空に星のあるように』(1967年)をやっと観た。

泥棒家業を続ける青年トムと成り行きで結婚してしまったジョイ。
産まれたばかりの赤ん坊にも無関心で暴力までふるう夫に対し、彼女は嫌気がさしていた。
そんなある日、トムはついに逮捕され、ジョイは叔母の家に居候させてもらうことになる。
そこに訪ねてきた夫の仲間デイブ。
彼女は優しいデイブに惹かれ、一緒に暮らし始めるが、彼もまた強盗事件で逮捕されてしまい・・・
(映画.comより)

この作品を観たと言っても、もう一ヶ月ほど経ってしまった。
正直に言って、作品の内容に感心しても、肝心の感想がどうしても書けないと言うのが本音である。

ジョイの生活の、それも希望とは裏腹の、淡々としたエピソードが積み重ねられていくようなドキュメンタリー・タッチ。
一般社会的に見れば当然に悪の、犯罪行為に及ぶトムを、この映画は肯定も批判もせず映し出す。
そして、トムの仲間のデイブも犯罪に絡んで社会からはじき出される。
そのような状況の中で、ジョイは子のジョニーを養いながら生きていく。

ジョイは刑務所のデイブに手紙を書き、幸せを夢見るが、現実からは抜け出す方法が見当たらない。
パブのウェイトレス、次にヌードモデル、そして店主の情婦となっていくジョイ。

出所したトムとの再度の生活。
しかし、諍いからトムと別れを考えるジョイ。
そしてラストに、デイブとの夢を語るジョイ。
だが、現実はあくまでも厳しい。

ケン・ローチの下級階層を見据える目は、シビアで冷徹である。
それを的確に捉えているのは、ドキュメンタリーと錯覚するほどの客観的な映像作りである。
そんなケン・ローチに、ただただ敬服する思いしかない。

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