読書感想121 殺人の門
著者 東野圭吾
生年 1958年
出身地 大阪府
出版年月 2003年8月
出版社 (株)角川書店
角川文庫
感想
お金持ちの歯科医の一人息子だった私は、祖母の死をきっかけに奈落の底へ転落した。祖母が家族の手によって殺されたという悪質な噂が広まり、警官が自宅にまで来る騒ぎになったのだ。祖母と折り合いの悪かった母は父と離婚して去った。妻も患者も失った父は、放蕩を始め財産を蕩尽し、あげくの果てに女に騙され三角関係のもつれから腕に負傷し、二度と歯科医として治療にあたることができなくなる。先祖伝来の屋敷を手放しアパート経営で第二の人生をスタートすることになった父と私。一方、私は小学校時代から倉持修というとんでもない男と関わりを持つようになる。私の人生の節目に倉持修は現れて、私の人生を狂わしていく。「倉持修を殺そう」と思いながら、実行できず腐れ縁が続く。
倉持修の悪党ぶりを知りながら、ずるずる深みにはまって転落していく主人公が不甲斐ない。悪意ある人に対して普通の人が利用され餌食にされるというテーマは、「白夜行」でも「幻夜」でも「悪意」という作品の中にも出てきている。ただ「白夜行」や「幻夜」では男女関係にまぶされて、悪党が普通の人を利用しつくし、利用された普通の人は転落するという構図だった。今回はそれが男と男の友人関係になっている。執拗なストーカーのような存在が、幸福な生活を送る友達に嫉妬し、自分より下のレベルへの転落を企画し続ける。
こういう悪党は具体的に想像することはむずかしいが、国としては具体的に想像できる。韓国だ。これは韓国が国を挙げて繰り広げているディスカウント・ジャパン(日本を陥れる)運動の心理のようで、なんとも不愉快で後味が悪かった。