著者 : ジェフリー・ディーヴァー
生年 : 1950年
出身地 : USA イリノイ州
出版年 : 2009年
邦訳出版年 : 2010年
邦訳出版社 : (株)文藝春秋
訳者 : 池田真紀子
★☆感想☆☆
リンカーン・ライム・シリーズの第7作「ウォッチメーカー」で初めて登場したキネシクスの専門家、キャサリン・ダンス捜査官の新シリーズの第2作目。第1作「スリーピング・ドール」事件から数週間たって、カリフォルニア州のモンテレー半島に新たな恐怖を巻き起こす事件が起きる。キネシクスとはボディランゲージや言葉の選び方、声の抑揚の分析を通じて観察対象者の嘘を見分ける技術。モンテレー半島の海岸線を走る道沿いに、50センチほどの交通事故の死者を追悼する十字架が突き立てられ、事故の日付が書かれた厚紙が括り付けられ、薔薇の花束が置かれていた。その日に交通事故はなかったが、女子高校生が満潮時に車の中に拘禁されあやうく死ぬという殺人未遂事件が発生した。さらに同じ高校の女子学生も死の予告の十字架を突き立てられ、あやうく死ぬところだった。少し前に、少女たちと同じ高校の生徒が海岸線で交通事故を起こした。4人の同乗者のうち、2人の女子高校生が死亡、運転していた男子高校生と助手席の女子高校生が軽傷で助かった。その事件について人気ブロガーが行政側の道路整備の問題点を自分のブログで指摘した。運転していた少年の名前も高校の名前も出していないのに、ブログのコメント爛は炎上し名前は特定され、その少年は袋叩きに遭った。殺人未遂事件の被害者の少女2人はその炎上コメントの急先鋒だった。キャサリンは人気ブロガーにコメントを出す人のアドレスの提供を求めるが、拒否される。少年も姿を消し、捜査は行き詰る。一方、私生活でもキャサリンはコーナーに追い詰められている。看護師の母親が「スリーピング・ドール」で重度の火傷を負って「死なせてほしい」と願った刑事を安楽死させた容疑で逮捕されたのだ。
今回はネットいじめの加害者と被害者の問題を殺人に絡めて提起している。未亡人のキャサリンにロマンスの兆しがあり、次回に期待を持たせている。モンテレー半島はスタインベックの小説の舞台だそうで風光明媚な所だと言う。