韓国語学習のための翻訳です。営利目的はありません。
著者 : キム・ホヨン
(3)
翌日塾の授業を終えてコンビニに入ったシヒョンにカウンターのオ女史がすぐさま近づいてきた。
「シヒョンさん、あの愚鈍な熊のような人間、一体何ですか?」
彼女は我知らず鼻で笑った。大人が主に使う愚鈍な熊という単語がこんなに適切に聞こえるのは初めてだったからだ。オ女史はまるでドッコさんを連れてきたのがシヒョンでもあるように問い質した。いや、オ女史の口調はいつも問い質すようだ。もともと性格か、そうでなければトラブルメーカーの息子せいか、彼女は攻撃的な口調で皆に問い質した。更にお客様にも!
「だめ、笑わないで私の話に答えてください。ひょっとしたらシヒョンさんが紹介した人ですか?何していた人なの、何一つろくにわからなくて言葉もどもってしまって。」
「私じゃないです、社長さんが直接抜擢されました。」
シヒョンはこれ以上話すのが面倒で、改まった顔つきになってから倉庫に向かった。
オ女史が唯一柔らかく丁寧に話すのは社長に向かう時だけだ。彼女は町の近所で社長と同じ教会に通っていて、社長をお姉さんと呼んですごく従っている。そんなことばかりだ。オ女史本人は自分がきっぱりしていると思っているけれど、実際は非常に冷たくて怒りっぽい性格でサービス業種には絶対に合わないので、彼女を受け入れ仕事を与えている社長には忠誠を尽くさざるを得ない。
ユニホームのチョッキを着て出てきたスヒョンを待っていたようにオ女史の愚痴がまた始まった。
「大体社長さんはどこからあんな人を連れてきたのですか?私には話してくれなくて・・・。ひょっとしたらスヒョンさんが知っていること話して。ね?」
「私もわかりません。」
ドッコさんがホームレスだったと話す瞬間オ女史は退勤もせず、横にくっついて国が亡びるように大騒ぎするだろうから、言わないことにした。それでもため息が出るのは仕方なかった。一体全体いつになればこの小母さんのおしゃべりと質問の洗礼を受けないで日課を始めることができるのだろうか?
「本当にわからないですね。社長さんが夜間の仕事が大変で誰でも引き抜いたようですが、私が見るところでは、明らかに大きな事故を起こす人間に見えた。夜間酒に酔ったお客様と喧嘩するとかレジを滅茶滅茶にするとかでなければ、猫ばばすることもあるだろうし・・・。何があってもいけないから、私達が一緒に社長さんに反対意見をしなければならないじゃない?」
「私は本当にわかりません。でも・・・悪い人のようではなかったです。」
「誰が初めから悪いの?シヒョンさん、社会生活が長くないから、あの人のようにうぶで訥弁な人が後でひそかに横領するのです。社長さんも実際は学校だけにいたので社会にどれぐらいダメな人が多いかわからないのです。」
「そうでなくても私も夕方あの人にレジの使い方を教えようと大変だったんです。ところで、どうするのですか?今のところ夜間アルバイトがいないから。」
「だからシヒョンさんの周りに遊んでいる友達がいないの?」
失敗だ。いたずらに言葉を交えて質問が続いている。
「私、友達があまりいなくて。」
「どうして若い人が友達もいないの。活発に活動しなければならない時期に。」
何だろう?こんな喧嘩しようというのか?シヒョンはかっとした気持ちを隠し明るい表情で繰り返した。
「オ女史の息子さんはいかがですか?この前うちでゲームばかりして頭が痛いとおっしゃったじゃないですか。」
「ああ、うちの息子はこんな仕事できない。最近、公務員でも準備しようと言っているので・・・。私がどんな公務員試験を受けるの、どうせなら外交官試験受けたらと言ったの。それであの子が勉強の頭になっているの。」
負けた。この小母さんの戦闘力には打ち勝つことができない。
「外交官も公務員です。」
シヒョンは蚊の鳴くような声で答えてレジのモニターをじっと見て仕事をしているふりをした。オ女史はもう一度愚鈍な熊の愚痴を言って、自分こそがこのコンビニの盟主であると強調した。いや、社長に問い質すだろうか、なぜ私に愚痴をあれこれ言うのか?多分、最近社長がすごくシヒョンに良くしてやると嫉妬で牽制するようだ。どうせ、同じ時間に働くこともないけれど、なぜ自分をそう牽制するのかシヒョンは全然わからなかった。
シヒョンは何があっても公務員試験に合格してコンビニを辞めようと決心した。オ女史の息子が外交官試験で苦杯をなめる有様をあざ笑って、ここを辞めようと誓った。
オ女史がこれからよろしくという言葉を残して去った。一人だ。一息つくとお客様が入ってきた。女子大生達がおしゃべりしながら入ってきて、コンビニの空気を華やかにしてくれた。良い時だ。しかし、あなた達もいくらも残っていない。大学を抜け出したら私のように最低時給を受け取って、何かを準備しなければならない時期が来るはずだよ。そう考えると自分だけが年取ったようで、更に憂鬱になった。痛ましく得意なこともなく、お金もなく、恋人もない27歳の晩秋・・・。何年かこのまま過ごせば30歳だ。30であれば青春が終わったと感じた数字を受け入れなければならないのだ。
「お勘定です。」
シヒョンははっと気を引き締めた。女子大生3人があれこれ商品を下ろしたまま自分を穴が開くほど見つめていた。シヒョンは近づく年齢の計算を後回しにして品物の計算に集中した。