世界史という観点から見ると今年は、各国に深刻な亀裂が生じたように思う。欧米と中東アジアとの、民族分布や文明圏で分けるとキリスト教とイスラム教との折り合いの悪さが目立った。イスラム圏は、この800年来、欧米諸国との侵略、非侵略の闘争にさらされ、中東アジアはそれぞれの国の国境まで欧米によって作られてしまった。アジアにおいては、中国の伸長と北東アジア、東南アジア文明との折り合いの悪さもはっきりした。インド亜大陸、アフリカ、南アメリカも、いずれも欧米諸国の収奪と侵略でゆがめられた歴史を背負うが、今、その内部が大きく揺さぶられている。すべての国に見られるのが、植民地主義が淵源となる政治的不安定であり、国内の対立と排外主義への機運が激発しやすい。これらの「大勢」は、グローバリズムが進捗する中での、現場を直撃する痛みであるので、経済発展によって矛盾を回避し、過去の歴史的遺産から来る痛みに塩をぬるような痛みを作り出し、これを経済発展で糊塗しようとすることをも阻害する原因を再生産している。 . . . 本文を読む