これらの世界史的な矛盾を清算するには、国内では排外主義を極限に発達させ、独裁政治と軍事力によって世界を再分割する大戦争を始めるか、諸国民の闘争、運動によってそれぞれの国の政治、経済体制を無事に納めるかの二つである。そもそも世界の不安定の底流は、資源の制約、環境の制約という条件の下で、資本制生産における過剰生産が行きつき、資源を活用する資本の再生産機能が鈍くなったために、産業資本主義が頓挫し、金融資本主義が先祖がえりして(あるいは「進化」して)、国際金融の運動が各国経済の根底を破壊しつつあることである。金融資本主義が独走することは、お金の循環を早くすることが最も機能を高めるという、資本主義が本来的な形態に復原し、資本が政府のくびき(社会法)から離されて(これを規制緩和という)、独走しはじめたことにあり、選挙で選ばれた政権が国民経済を作るという政権運営と企画が不可能になっていることである。
移民・難民の増加、宗教戦争の再燃、資源ナショナリズムの激化、世界的な農業の構造の変化、これによる食料の安定的供給の混乱、これに気候変動などが輻輳的に絡む。
日本におけるアベ政権は、世界の混乱の中で相対的安定を維持しているがこれは「円」が相対的に安定しているかきわめて一時的、刹那的であると考える。同じことは中国の「元」にも言えるのであるが、本質的に世界共通の土台の上にあるので、不安定さは変わらない。
国内政治におけるアベ政治の不安定さは、「円」の挙動いかんであると思う。トランプは大統領に選任されると、先行きが良く読めないので、株価や為替が大きく振れている。子の揺れは景気の循環ではなく投機資本の無秩序な運動から来ている。現在たまたま円安に振れているが、おそらくは反動が来るだろうし、変動が繰り返されることであろう。金融政策、はたまた財政政策によって、為替や株価の安定を図ることが原理的に不可能である。 お金の運動に対して羅針盤無き漂流を任している現状にかんがみ、国民経済の動揺と貧富の格差の増大による政治不信は、来年は高まるはずである。これがトランプ現象として起こるか、冷静な政権交代を促す流れとして起こるか、だれにも分からない。
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