田園調布の山荘

「和を以て貴しとなす」・・ 日本人の気質はこの言葉[平和愛好]に象徴されていると思われる。この観点から現代を透視したい。

癒しの樹のパラナ松、忘れられない雄姿

2007年12月21日 14時50分49秒 | ブラジルと私(ブラジルをかじる)
癒しの樹のパラナ松、忘れられない雄姿

 

ブラジルにはよく行く。南の方にパラナ州がある。少し行くとウルグアイである。

初めて当地を訪れるものが目を奪われるものはパラナ松といわれる特異は形状をした大樹である。オスの木とメスの木が形状を異にするのであるが、地面から直立した樹幹に上部四分の一の所に天に向かって平行にまっすぐに、あるいは斜め上方に緩いカーブを見せてかごを編んだように環形上に多数の枝が張り、その枝に対して細かい枝がまた同じように上部に同じ構造をつくり全体としてみると枝枝の先の緑が樹冠部の中にブロック化して競い合う形で一団を作っている。この姿を見ると気持がすかっとするのである。この松の緑は黒味があり、他の樹木、たとえば傘松や落雨松などの薄い緑とくっきりと対照している。パラナ松はこの地の森林の王者である。この地には至る所にパラナ松の群落が景観の基調となっている。ブラジルのインデイオは豊富にとれるパラナ松の実を焼いて食べた。ゴヤバやカジュの実などとともに重要な食糧資源であったという。

 この樹林はどうして出来るか。住民の1人が語ってくれたところによるとこうだ。当地にはガラリア(GARALHA)という名の鳥がいる。かなり大きな鳥で、異様な声も持ち主で、鶏の卵を盗むといういまいましい奴だが、5~6月頃にこいつがパラナ松の実をついばんで、この先端をくちばしで掻いて、次から次へと地面の刺していく、こうして、彼らはこれを備蓄するのだそうだ。ところが、こうして突き刺しておいたものを彼らはうっかり忘れることがある。この忘れた種が発芽し、成長してやがてパラナ松に育つ。と言うことでこの鳥は造林家なのである。壮大なパラナ松の樹林帯はここパラナ州のこの一角にわずかに残るだけで、他は農業開発で大方刈られてしまったそうだある。暖かい春のような日差しが照る中で、パラナ松見たさに、のんびりと当地の市長さんの公用車(ぼろ車)で走る。「こんなことをしていていいのだろうか」と言う考えが間歇的に私を襲う。これはどんな時、どんなところでも、絶えず私を苦しめているプレッシャーである。自分の脳裡からは、20年近くも前に辞めた会社の残像が離れず、会社時代に培った「猛烈」な精神が、仕事を忘れてのんびりとすることを内面から攻撃するのである。エコノミックアニマルといわれ、会社の成績を上げることにヒエラルキーが駆動し、人権もなく、意見も言えず、休日もろくに取れず、働く喜びもなく、大きな装置のマシン油のように、消耗品として機械の回転がなめらかになるようにという目的のためにしか存在を許されなかった私のような日本人サラリーマンは、たえずプレッシャーとともにあり、自分を責め続ける習性があるのだろうか。勤務時間(であるべき平日)中に、私的にどこかに行き、のんびりするなどという気分を味わうことは、上司や同僚のチェックが入り後ろめたいことと思わされていた。 パラナ松群落は、優しくそんな後遺症を癒してくれたのである。

 

 

 

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1 コメント

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ピニョン (木之下 光秀)
2013-09-02 12:44:06
こんにちは。私はパラナ州に住んでいるのですが、ちょうど今日本に帰郷してて、お土産に持ってきたピニョンを庭に植えたら発芽したのでワクワクしています。
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