田園調布の山荘

「和を以て貴しとなす」・・ 日本人の気質はこの言葉[平和愛好]に象徴されていると思われる。この観点から現代を透視したい。

なぜ競争するのですか?子供さんにその理由を言えますか?

2007年12月16日 16時08分04秒 | 時評
何のために競争するのですか?

近代科学の始祖のフランシス・ベーコン、そしてルネ・デカルトと続く啓蒙思想家は、自然についての知識を深めれば自然を支配管理し利用することができるとして功利主義思想を開設した。
 功利主義は、西洋思潮の原動力となった。功利主義は社会の基本単位を家庭でもなく集落でもない、開放に向かう抽象的な「個」=自我に求め、社会の動きを個」の自律性に、「個」と「個」の関係を競争に求めた。人間は自然を功利的に利用し尽くすという思想の淵源は、人間以外の生物、無生物は人間に使われる効用において価値を出すに過ぎず、放置されたままでは何の価値もないという信念でもある。これが今の経済学の源流にある。功利的に動く人間のみが効用を創造し、そのことによって価値のある人間となる。 さらに価値のある人間とは自己責任(自立)が果たせるものをいう。したがって、人は効用を競うべく駆り立てられねばならない。自然の否定こそが幸福への道である(ジョン・ロック)という経済学は、アメリカ大陸移民の信条となり、神が万物の創造主とするキリスト教の教義とも相乗しあって、猛烈な自然破壊と原住民攻撃を200年にも亘って続ける結果となり、悲しいことにその自然破壊は今なお、むしろ加速度をつけながら進行している。
 翻ってこの日本はどうか。少子・高齢化社会において、持ち込まれているのは何と、子供でも年寄りでも世界を相手に「自己責任」と「競争原理」を身につけることである。
 今、日本の河川にブラックバスが放たれてから生態系は攪乱され多くの淡水生物が滅亡している。経済という生態系にもよく似たことが起きかけている。
 子供でも年寄りでも、「個」に独創力、機転、巧妙さがなければ生きていけない。そうでない人間は、ブラックバスに食われるのであり、ブラックバスよりも強くならねばならない。食われるものは、生物であれ、無生物であれ、功利的に動く「個」の対象化された「商業資源」にすぎない。そして現実的に起こっていることは「環境」「健康」「平和」のいずれにも起こっている人類的危機。人類の倒産とでも言える危機である。もちろん、「個」を主張する経済学の危機でもある。

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