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森の声なき声が、冬の森をさまよっている。
風のとおる道は、枯れた落葉の匂いで満たされ、空があらわになった裸木の森は、隙間だらけでかえって明るい。
細い枝々の先が、何かをつかもうとして競っているようにみえる。そこには吹き抜ける風と白い雲しかないけれど、ふわふわの雲にもうすこしで手が届きそうで、枝々の細い指先はもう、季節の温もりをさわっているのかもしれない。
*
だれか森の奥で
山桃の実を食べている
指のさきから尻尾のさきまで
あかく染まり
鳥のように生きている
虫のように生きている
ひと粒はひと粒のために
いっぴきはいっぴきのために
あつい唇から唇へ
ときには土から土へ
葉のいちまいの
葉脈の川に
うち震える嵐はあるかしら
飢えた水はあるかしら
落葉に埋まった団栗の実に
地球の種子は宿っているかしら
ふたたび
生まれかわる夜は
だれかとだれか
あかい目をした生きものになる
周回する森の星座になる
そして夜明け
かがやき放って落ちたら
あかい実になるという
山桃の実を食べている
指のさきから尻尾のさきまで
あかく染まり
鳥のように生きている
虫のように生きている
ひと粒はひと粒のために
いっぴきはいっぴきのために
あつい唇から唇へ
ときには土から土へ
葉のいちまいの
葉脈の川に
うち震える嵐はあるかしら
飢えた水はあるかしら
落葉に埋まった団栗の実に
地球の種子は宿っているかしら
ふたたび
生まれかわる夜は
だれかとだれか
あかい目をした生きものになる
周回する森の星座になる
そして夜明け
かがやき放って落ちたら
あかい実になるという