深夜のラヂオを抱きしめる
真空管がぴいぴい鳴る
5球スーパーマジック付
温かくて懐かしい冬のにおい
なかなか合わないダイヤル
逃げまわる電波を
けものの耳が追いかける
波の音が聞こえる
ニュースも音楽も
揺れる小舟に乗ってやってくる
世界というものは遠いところにあるようだ
光のような明るい声が
夜の弦をふるわせる
砂のような
雑音にくるまれた未知の言葉を
拾い集めていく
小瓶の中のかすかな煌めき
夜を明るくするのは
始まるかもしれない予感ばかり
虚ろなのに頭だけが熱いのだ
冷たい線路に耳をあてる
汽車は遠くを走っている
旅のトンネルをいくつも抜けて
やがて山を越えてくるのだろうか
そんな風景のなかで
古いラヂオが鳴りつづけている
波のように押し寄せてくる
波のように遠ざかっていく
残されたものは
無音の中をひたすら漂っている
夜になるとラヂオのスイッチを入れ
やがて捨てられる短い闇を
ひととき抱きしめる
真空管がぴいぴい鳴る
5球スーパーマジック付
温かくて懐かしい冬のにおい
なかなか合わないダイヤル
逃げまわる電波を
けものの耳が追いかける
波の音が聞こえる
ニュースも音楽も
揺れる小舟に乗ってやってくる
世界というものは遠いところにあるようだ
光のような明るい声が
夜の弦をふるわせる
砂のような
雑音にくるまれた未知の言葉を
拾い集めていく
小瓶の中のかすかな煌めき
夜を明るくするのは
始まるかもしれない予感ばかり
虚ろなのに頭だけが熱いのだ
冷たい線路に耳をあてる
汽車は遠くを走っている
旅のトンネルをいくつも抜けて
やがて山を越えてくるのだろうか
そんな風景のなかで
古いラヂオが鳴りつづけている
波のように押し寄せてくる
波のように遠ざかっていく
残されたものは
無音の中をひたすら漂っている
夜になるとラヂオのスイッチを入れ
やがて捨てられる短い闇を
ひととき抱きしめる