稲畑汀子句碑 鹿児島県出水市
空といふ自由鶴舞ひやまざるは 稲畑汀子
鹿児島空港から出水市ツル観察センターを目指す。
レンタカーのナビはおよそ二時間後の到着を示す。
「鹿児島県のツル及びその渡来地」として
国の特別天然記念物に指定されている目的地である。
そこそこに広い無料駐車場に車を停め、ノビをしつつ
観察センターの建物に近づいてゆくとその左側に
句碑はあった。
どれが季語かと思ってしまうほどの門外漢にも
親しみやすい句である。
調べると「鶴」が冬の季語。
たしかに鶴は寒いイメージ。
句碑の隣の看板にはこう解説されていた。
空といふ自由鶴舞ひやまざるは 稲畑汀子(いなはたていこ)
「ソラという ジユウ / ツル、マい やまざるは」
空という自由があればこそ、鶴は舞って止むことはない。
私は今、その鶴の翼に乗って空を舞っている思いである。
稲畑汀子は、昭和六(一九三一)年、横浜市に生まれた。
祖父高濱虚子・父高濱年尾に俳句を学ぶ。俳誌「ホトトギス」の主宰、
日本伝統俳句協会を設立し、その会長等、昭和・平成の俳壇を代表する
存在である。
この句は昭和五十六(一九八一)年一月一七日、この地で詠まれたもの。
また、この句碑は、平成二十五年(二〇一三)年十二月十四日に建立され、
碑面は自筆を刻んだものである。
紺青の空をうしろに真鶴はわが舞う姿見よと過ぎゆく