平林静代が代表を務める「彩短歌会」の令和元年度
作品集が届いた。
巻末の会則によると毎月の歌会、夏季の
宿泊研修と並びこの合同作品集刊行は会の柱と
なっているようだ。
平林さんを含めて総勢25名。大きな短歌会である。
こういう作品集を拝見していると日本人はまさに
うたつくる民なのだという思いをまた強くする。
短歌を作り作品集という一冊にまとめるという
文化を大切にしたいと思いを新たにした。
僭越ながら「鳥のうた」を抄出し、紹介する。
わが思い届けと折りし鶴一羽飛び立ちて行け君が手元に 吉野 識
橋の下ひゅうと飛びゆく白鳥(しらとり)は光る川面に溶けて消えたり 野崎 芳樹
朝寒の居酒屋の前に雀二羽無心に餌をついばみており 中村 武彦
鳥の名は解らぬままに飛び去りて椿咲く庭春は遠のく 齋藤穂美子
雨上り春光あびて鴉飛ぶ大きな獲物を嘴に咥えて 池田 圭一
見上げれば椋鳥並ぶ電線にヒッチコックの映画を思う 安藤ゆかり
線となり楕円となりて空を舞う鷂(はいたか)一羽をまなこに追いぬ 赤嶋 浩子