詩歌探究社 蓮 (SHIIKATANKYUSYA HASU)

詩歌探究社「蓮」は短歌を中心とした文学を探究してゆきます。

バカラと山の上ホテル。

2024-01-28 11:57:02 | 千駄記

山の上ホテル

 

 

潮時を知らぬわが手を滑り落ち

形見のグラス砕け散りたり    「晴詠」16号「冬あからさま」より

 

 

わが家にバカラのグラスがあって

立派な箱に入った頂き物であった

へぇバカラを贈り物に使うのか

住む世界が違う人だとすぐにわかった 

 

ところが距離はどんどん縮まって

グリーンのグラスを時に取り出しては眺める暮らし

穏やかな緑の日日が遠ざかっていったある日

そのひとの意識はすでになかった

 

グリーンのグラスで水でも飲んでみたのだったか

大切にとっておこう 二度と使うまい 仕舞うとき

バカラが手から滑って落ちた そして砕けた

 

死にたくて死ぬ 生きたくて死ぬ

人間にはふたとおりの死があってそれしかない

潮時だったんだよ‥と言われた気がした

 

 

1/28(日)晴

 

今朝、工場へ来ると工場長が一人作業中。

私は明日の現場打合せの準備と工程表づくり。

成田空港に行かないといけないんだよ~。

それともろもろの書類を作る。

神田の山の上ホテルが2月13日をもって休業だそうで。

川端康成、三島由紀夫、池波正太郎、伊集院静らの作家が

定宿としていたそうです。

芥川賞受賞後第一作はここで書くとか?聞いたことがある。

ボクはここで出版社の社長と打ち合わせをしたことがあるぞ。

カンヅメになりたかったわ~。

 

 

おしまい。

 

 

 

 


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