この映画の公開当時、製作に関わったTV局の解説番組や主演の「高倉健」の中国に於ける撮影時のドキュメントを見て感激をした記憶がある。
是非共に映画館に出掛け様と考えていたが、上映期間が短くアット言ふ間に見逃してしまった。
中国の巨匠「チャン・イーモウ」が「高倉健」に惚れ込み、是非にと製作した映画だ。
日本ではそれ程評判に為らなかった気がしているが、中国での公開の成果はどうだったのだろうか?。
今回レンタル開始に伴い、さっそくに借りだして一気に鑑賞した。
人間の繋がりが希薄になってきている現代において、親子でさえお互いの心の中に入り込む事が難しくなってきている。その繋がりの重要さ、努力の足りなさ思い、自責の念から行動する主人公。
永い間断絶していた重い病気に侵されている息子の願いをかなえ様と、それこそ「単騎」中国の寒村に渡り、今は刑務所に収容されている役者に「単騎、千里を走る」の仮面劇を演じさせ録画しようとする話だ。
確か中国側の登場人物は全て「素人」を配役したと説明されていたが、通訳役や子役もややギコチなさはあるが、見事に演じきっている。特に仮面劇を踊る方は風格さえ感じられる役者ぶりだった。
監督の「チャン・イーモウ」は、10数年前から既に日本に蔓延している、ビジネスや金銭が偏重されて、親子や人と人の繋がりが薄れている風潮が、現代の中国にも広がって来ていると言ふ。
2組の親子の繋がりと、今も残っているであろう「石頭村」の村人達が見せる人間味溢れる交流振りを穏やかだが見事に、今回の作品に込めていると思う。
願わくはこの作品が反日感情の激しいと言ふ、中国人民の日本人に対する考え方を変える一助となる事を願っている。
良い映画を見た後の爽やかな気分をシミジミと感じている。