夜が遅いせいか、朝がなかなか起きられない。仕事をしていた時分は6時には起きていたのだが、毎日が日曜日の気楽さからつい寝坊してしまう。それではとNHKのBS2の朝ドラを毎日見ようと7時半には起きる事に決めた。
そしてドラマは10月から開始の「ちりとてちん」で大阪ものだ。前回の大阪ものはあまりにアクが強い田辺聖子の原作物だったので見ていなかった。
ご当地は福井県小浜市。前回の岩手県盛岡市から越前に舞台を移している。小浜市は拉致被害者として帰還された地村さんが観光関係を担当され、今回のドラマの撮影にも協力されているそうである。
物語りは伝統の塗箸職人の孫娘が落語好きの祖父の影響もあり、落語家を目指して修業する話の様だ。
そしてドラマの題名の「ちりとてちん」に興味を持った。旧い落語の題名である。東京では「酢豆腐」として口演される。大阪では三味線の音が入ることから「ちりとてちん」と名ずけられて演じられている。
実は現在、生涯大学が月曜日、そして木曜日の午後には市民文化大学の講義を受講している。その第2クールの4回~6回の講義が「落語名人伝」(神田外語大の池田先生担当)の講義で、「酢豆腐」という落語を聞いていたからだ。
この落語は、夏の昼下がりに暇な若い衆が酒を飲もうとしているが肴がない。終いには夏の盛りにかまどの近くに置いてあり腐ってしまった「豆腐」を探し出す。誰も手が付けられないでいると、何時も物知り顔の伊勢屋の若旦那が通りかかる。気障で嫌らしい若旦那をからかおうと、「到来物で珍味らしいが何だか判らない、と若旦那ならご存知でしょう」とおだてあげる。若旦那は知らないと言えず、これは「酢豆腐」ですよと、腐った臭いを我慢して口に入れてしまう。「若旦那、もう一口如何です?」「いや酢豆腐は一口に限ります」のオチで終いだ。
この落語を八代目桂文楽の口演と古今亭志ん朝(共に亡くなっている)の口演を旧いビデオテープで見せてもらった。この落語が大阪にも伝わり、大阪では「ちりとてちん」と呼ばれているのだ。そして今回のドラマの題名になった様だ。
今週は主人公が売れない落語家、徒然亭草若、草草の家の前で倒れて運び込まれて否応なしに落語家との付き合いが出来てしまう。この家の前にはやはり旧い落語のネタからきた、「寝床」という食べ物屋がある。そこの夫婦や常連客も絡んでくる。
今後はとぼけた味の旧き良き時代の大阪の人情話が続くものと思う。主人公がどう成長していくのか楽しみに見続けたい。