Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

遭遇

2013-08-26 01:00:00 | 雪3年1部(淳と秀紀遭遇~グルワ発表)


暗い路地裏を、千鳥足で歩く男が居た。

手には携帯電話を持ち、彼は恋人と通話していた。

「飲まないとやってらんないのよっ!

もどかしいのは、あんただけじゃないのよぉぉ??」




いつも部屋に引きこもって勉強していると、ストレスが溜まってしょうがないのだ。

彼は恋人にそう話すと、電話先の遠藤修は苛立った声で言った。

「おい!お前今外だろ?恥を知れ!じゃーな!」



それきり電話はプツリと切れた。

そんな彼の態度に、男は地団駄を踏む。



こんなになるまで飲んで、貧乏でみすぼらしくて‥。

今の自分の境遇に、愛情も冷めて見捨てられたんだと男は涙を流した。


お金が無いと、こんなにも心が荒むものなのか。

お金に傷つけられ、お金に心奪われ‥。


そんな歌を口付さみながら帰宅する彼の前方から、長身の男が歩いてくるのが見えた。



酔っ払った足元は覚束なく、すれ違う時に互いの肩が触れる。

彼は酒の勢いもあり、目の前の長身の男に大きな声で言いがかりをつけた。

「ちょっとぉ!気をつけなさいよね!イケメンなら許されると思って‥」



青田淳は彼の方を振り返ったが、反論はせず「すみません」と謝って、

そのまま歩いて行った。



金がなんだってんだ~と愚痴りながら男は歩いた。

胸を焦がす~と次のフレーズを歌い出そうとしたが、何かが心に引っ掛かっている。



先程ぶつかった長身のイケメン。

振り返って見たその男の後ろ姿。

彼はその後姿に、見覚えがあった。

  






「淳?」



いきなり背後から名前を呼ばれた青田淳は、思わず振り返った。

「君‥淳だよね?」



その口調と顔立ちをじっと見ると、

淳の脳裏にも浮かんでくる残像がある。




「秀紀兄さん?」




かくして二人は再会した。

何年ぶりに会うのかさえ、もう思い出せないくらいだった。

二人の脳裏には昔の思い出が浮かぶ。

あの時から、もう十数年の時が流れていた。








二人は久々の再会に祝杯を上げた。

秀紀はすでに出来上がっていたが、二次会だと言ってもう一度酒を煽る。



「この近所に何か用事でもあったのか?」と問う秀紀に、淳は「大学がこの近くなんだ」と答えた。

秀紀は名門のA大に通う淳を褒め、彼の近況を聞いた。

ひと通り喋り終えた後、淳は素朴な疑問を口に出す。

「それにしても‥」



「秀紀兄さん、どうしてこうなっちゃったの?」



秀紀はそう言われて、思わずぐっと言葉に詰まった。

返す言葉もなく項垂れる彼に、淳は続けて尋ねた。

「家、追い出されたって聞いたけど、何があったの?」



秀紀は覚悟を決めると、「付き合ってる人が居るんだけど、両親に反対されて‥」とモゴモゴ答えた。

でもしかし、”追い出された”わけではない。

俺は自らの足で家を出たんだと、拳を固め胸を張る。



淳はその答えに目を丸くした。「恋愛沙汰ってこと?」と。

素朴な疑問が、口を吐いて出た。

「たかがそんなことのために、秀紀兄さんは全財産捨てて出てきたってわけ?」



淳の言葉に、秀紀は一瞬顔を曇らせたが、すぐにフッと照れ笑いをした。

「フフ~ 俺も自分が実はピュア男だったとはビックリだよ~!」



秀紀は仕方ないんだと言った。

無条件に自分自身を好きになってくれた人は、その人が初めてだったのだと。

きっとこれから先も、二度とそんな人は現れない‥。



照れて頭を掻く秀紀は、幸せな気持ちになった。

しかし淳はそんな彼を見て、自分の意見を淡々と述べた。

「秀紀兄さん頭でも打ったの?

正気に戻ってさっさと実家に戻った方が身のためだと思うけど?」




秀紀はその言葉に、一瞬固まって目を見開く。

だが、すぐにこう言った。

「‥だよなぁ」



お前はこんな俺を軽蔑するんだろ、と溜息交じりに言う秀紀。

すると淳はキョトンとした顔で、「こう思うのは俺だけじゃないと思うけど?」と言った。

「俺に”現実的に生きろ”と教えてくれたのは、秀紀兄さんじゃないか」



秀紀兄さんは、今更何を言っているのだろう。

淳の脳裏に、幼い頃から今までの彼が思い浮かんだ。



フン!と強がった後、秀紀は少し得意げに息を吐いた。

年下の男の子に、説教するような心持ちで。

「お前はまだまだだな!人生ってのは、

ドラマよりもっとドラマチックなんだぞ!」




お前が経験してないことだって山ほどあるんだと、秀紀は昔を思い出して言った。



財産も将来も全てを捨てて、身一つで家を出た自分。

いかに今まで多くのものに守られ、その中でぬくぬく暮らしていたかを実感した。



何の肩書きもない自分を、彼は受け入れてくれるだろうか?

そう思ってベンチにうずくまる自分を、彼は迎えに来てくれた‥。






その時のことを思い出して、秀紀はノロケた。



結局それからは満足な暮らしとはいえないけど、あの人が居るから暮らしていけると思えたと。

後々年老いてから、ドキュメンタリーに出るのが自分の素朴な夢だと、秀紀は感慨深げに言った。

しかし淳はその話に全く心を打たれた素振りを見せず、淡々と言った。

「そう。まぁ本人が良ければ俺が口出すまでもないけど‥」



全然心に響いてない‥。

その態度に秀紀は青筋を立て、淳に向かってずいと身を乗り出す。

「おい‥お前にはそんな人が傍にいるか? 

一緒にドキュメンタリーに出演したい女がいるのかっつーの!」




秀紀は淳の歴代の元カノについて言及した。

ドキュメンタリーどころか、モデルハウスのCMに出てきそうなお堅い女達ばかりだったと言って、

彼はゲラゲラと笑う。



そんな秀紀に、淳は彼がそれほどノロケる相手について尋ねた。

「相当好きなんだね?何してる人?」  「えっ?」



秀紀は急に酔いが覚めていくのを感じた。

しまった‥!こいつもA大なんだった‥!



そう気付いてから、秀紀は相手のことになるとモゴモゴと口ごもった。

続けて聞いてこようとする淳の言葉を遮り、秀紀は幾分大きな声で言う。


お前もそんな人に出会い、心を揉まれ、そうすれば今自分が言っていることが分かるだろうと。

ああ、あの時秀紀兄ちゃんが言ってたのはこういうことだったのかと、気づくはずだ。

「いーな?!」



そう言って調子に乗った秀紀は、淳の身体をパシンと叩いた。

ハッと気がついた時には、目の前で淳は目を丸くしていた。





秀紀の脳裏に、幼い頃の記憶が蘇る。

ガキのくせにませた事を口にして、ゲンコツを食らわせた時のこと。



目を丸くした淳は、秀紀の顔をその大きな瞳で見つめた。



そうしてそのお返しというように、振り返って見せたあの仕草。



あの後秀紀は、大人たちから大目玉を食らったのだった‥。



「お前変なことするなよ?!変なことするなよ?!」



また何か仕返しをされるんじゃないかと、秀紀はその身を庇いながら言った。

そんな彼の姿を見て、淳は溜息を吐く。



そして淳は言った。

「なんでこんなことくらいで怒らないといけないんだ」と。

それを聞いて安心した秀紀は、取り繕うように笑う。

「うはは!だよな!もうガキじゃないんだもんな。

お前も変わっただろうに!」




淳は酒を手に取ると、それをゆっくりと口に運ぶ。

「まぁ‥そんなとこかな‥」



自分が変わったのか、相手が変わったのか。

二人はその後も、酒をちびりちびりと飲んだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<遭遇>でした。

この話で、秀紀さんは淳の親戚のお兄さんであり、遠藤修の恋人であり、赤山雪の隣人である、という

関係性が全て明かされましたね。

彼が言及する「ドキュメンタリー」とは、韓国で放映されている「人間劇場」という番組らしいです。

日本で言う情熱大陸のような番組だそうです。

日本語版では「自分のエッセー」という風に言い換えられていましたが‥。



次回は<小さな秘密達>です。



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17 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは! (こと)
2013-08-26 10:44:01
はじめまして(*^◯^*)

昨日、こちらのブログを発見して一気に読ませていただきました!
書き方がとても分かりやすくて、話の流れが理解しやすいです!
本編も楽しみですが、このブログの続きも楽しみのひとつになりました♪
チーズ・イン・ザ・トラップ大好き(*^^*)

更新頑張ってくださいp(^_^)q
応援してます☆
返信する
はじめまして~! (Yukkanen)
2013-08-26 11:31:43
ことさん

こんにちは!管理人のYukkanenと申します。
コメントありがとうございます~!
駄文ですが、楽しんで頂けたようで嬉しいです(^^)
チーズインザトラップ面白いですよねー!
当ブログのコメント欄にて、感想を言い合ったり笑い話をしたりと、いつも楽しい方たちが来て下さっています♪良かったらお時間あるときにでも、遊びに来て下さいね。
応援ありがとうございます。頑張りますー(^0^)
返信する
可愛い先輩 (tea)
2013-08-27 00:33:50
この回の先輩は大学では見せないぐらい素直な感じですよね。
大学では雪ちゃん以外にはシールドが張られている感じですし・・。
幼馴染で既に本性を知られている相手だからでしょうか?
それとも、自分を作るほどの相手ではないと見下している?

なんにせよ、先輩のブラジュンがなく天然ジュンな表情が可愛いです。
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ですね (Yukkanen)
2013-08-27 09:34:31
>teaさん

ほんと、いつも「年上」の先輩が「年下」になる場面ですね。
幼い頃から知っているから、家族みたいな感覚なんでしょうかね。特に「いつも笑顔でいろ」っていう生き方を教えてもらったのもあって、親しみもあるでしょうしね~(^^)

しかし先輩肌色チェックの服の上から肌色カーディガン着てますね。。
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私もー (ちょびこ)
2013-08-27 12:36:55
気になってたー。肌色コーデ。
セットで買ったのか?本人自慢の合わせ技なのか?
そして肩掛けカバン。これもコーデなのか?
ラフな時はだいたいリュックですもんね。
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師匠まで・・ (tea)
2013-08-27 23:23:09
ほんと、お二人揃ってスルーしてくれない・・

このコーデ最強ですよね・・。
脱いだら科学特別捜査隊ですものね


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Unknown (りんご)
2013-08-28 22:22:14
おばんです~。

はい、私ももちろんそこ気になりましたよ~。今までカーデには特に意識がいってなかったのですが、前回teaさんが肩のあたりがウルトラマン…と仰ったため、この記事を見ている時、肩のあたりがウルトラマンになってないので、おや?と思ったらカーデ羽織っていることに気づきました。
teaさんのおかげです~。笑

ついでに言うと、雪と先輩が始めて夕食食べた回85話で、「雪ちゃん、こっちこっち」って言ってる先輩の出で立ちはどうですか?笑
私は残念な青田淳に入れたいんですが…。
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ウルトラマンw (Yukkanen)
2013-08-29 00:06:53
先輩、よく見ると昼は半袖or七分袖なのに夜はカーデ羽織ってること多いですね。
ウルトラマンも夜は肌寒いんですね。

りんごさん言及の85話の出で立ち‥。
あれは紺の長Tの下に、白の長Tも着てるってことですか?それで腕まくりをしてるってことですかね?
腕がうっ血してしまいそうですね!
元々ああいうデザインの五分袖Tであることを願います。うっ血した先輩なんて見たくない‥!(乙女心)
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Unknown (りんご)
2013-08-29 07:11:05
あはは…!
Yukkanenさん、着眼点すごいっ!さすがです~!
しかも、先輩超早業で、中の白T脱ぎ着してますよ。食べる時は脱いでいる所をみると、やはりうっ血寸前だったのでは。笑
はぁ~今まで全然気づきませんでした~^ ^

わたしは、なんかあのポージングが「げっ…」と思ってしまいました…。初めは腰においた左手のせいかと思ったんですけど…風呂上りの牛乳一本風。いや、やたらと大きな右手の方かなぁ。観音風。もしかしたら、ズボンとベルトの微妙な色合いのせいかも。先輩にしては足短い…?
ここはひとつteaさんのご意見も聞きたいです。笑
朝から失礼しました~。
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触りすぎ (ちょびこ)
2013-08-29 11:25:59
私もあのシーン注目してて、「残念シリーズ」に入れようと思ってたんですよ。
雪ちゃんが来るなり腰に手を回してどーゆーつもりだ!って。スキあらばすぐ触りたがるんだからー。その後だってテーブルの上で手を重ねてくるし。顔も近づけてくるし。

ポージング…笑。手には目がいかなかった。うかつ。
確かに右手がデカいかも。言われてみれば。
そのデカい右手で、すかさず雪ちゃんの腰か腕に手を回すんですよ。その右手で!
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