旅立ちの前の空白の時間。
淳はぼんやりと天井を眺めて寝転んでいた。脳裏には、雪の後ろ姿ばかりが浮かぶ。
ふと、先日の閉講パーティーの時に耳にした彼女達の会話を思い出した。
「ねぇ雪、アンタ休み中またバイトすんでしょ？どこでやるの？」
「‥XX企業に願書送っ‥」
そして保健室で目にした、
彼女のポケットに入っていた紙切れのことも。
手に入れていた二つの情報が、淳の頭の中で一つに繋がった。
‥彼女は今、XX企業にてバイト中だ。
飛行機の時間まではまだ余裕がある。
淳はガバッと起き上がった。
「近所だ」
XX企業、その場所はここから随分と近い。
すぐに淳は出掛ける準備を始めた。
もしかしたら、彼女に会えるかもしれないという微かな期待を込めてー‥。
案の定雪は、XX企業にて絶賛バイト中だった。
通常業務はオフィス内にて、PCでの作業である。
その他は雑用で、電話対応をしたり段ボールを運んだりと、それなりに忙しかった。
雑用途中で社員に呼ばれても、雪は嫌な顔一つせず素直に業務をこなす。
PCに向き合っての作業中、ふと今日の日付を見てこう思った。
もうちょっとで成績発表の日だな‥うーん‥
休学すると決めたものの、奨学金のことはいつも頭にあった。
全額は無理だと思うけれど、もしかしたら‥。
雪がモヤモヤと頭を悩ませ始めたその時、少し離れた席から名前を呼ばれた。
「赤山さーん！コーヒーの買い出し頼む！
ここメニュー書いたから、他のバイトの子達と行って来てー」「あ、はい！」
そして雪はバイト仲間と共に、オフィスの下にあるカフェへと向かった。
それはビルの真下にあるため、外に出ずとも買いに行けるのだ。
えんじ色のセーターを着て、佇む彼女。
少し猫背な後ろ姿。
XX企業前に到着した淳の目に、その姿は飛び込んで来たのだった。
まだ空気が冷たい二月、彼は白い息を吐きながら彼女の姿を覗き込む。
オレンジ色の豊かな髪。ひと目で彼女だと分かった。
久しぶりに目にするその背中に、どこか懐かしさを感じる。
淳はボストンバッグを背負い直しながら、その場に立ち止まった。
彼女の後ろ姿から目が離せない。
じきに、Pick-upのカウンターから雪達に声が掛かった。
「まずコーヒー四つお渡しします。お待たせしましたー」
それを受け取ろうとした雪の元に、バイト仲間らしい男性がすぐに駆け寄った。
どうやら「俺が持つよ」と声を掛けているらしい。
雪は首を振りつつ、何やら彼に話し掛けていたが、やがてその男に任せることにしたようだ。
バイト仲間達は親しげに会話を重ねている。
そんな彼女の様子を、淳はガラス越しにじっと眺めていた。
どこか面白くない気持ちを胸に秘めながら。
俺は一体何をやっているんだろう。
何度も頭を巡るその自虐的な問いが、またもゆらゆらと自身を揺らす。
そして淳は一歩踏み出した。
もう旅立ちの時間なのだ。
しかしそう考える思考とは裏腹に、心はじっとこの場に佇んだままだ‥。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
＜雪と淳＞彼女の姿を でした。
淳ってば‥雪の姿見たさに少ない情報をかき集め、バイト先に出向くとは‥！
言ってやりたいですね。
「恋～しちゃったんだ～多分～気付いてないでしょ～」と！
次回は＜雪と淳＞彼の姿を です。
次で、雪が二年生の時の時系列は全て終わりだそうですよ！
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そして。
その人のことを考えると居ても立っても居られなくなるその気持ち。
自分以外の人と楽しくされると寂しくなっちゃうその気持ち。
「恋ーしちゃったんだ～」
たぶん気づいてないですけどね。
私はずっと前から「アンタ、雪のこと好きなんでしょ！」と、あの占い師のオバサンばりに言ってやりたかったですよ。
Ｙukkaenさんのツッコミで少し気が晴れました。
ここにきてユジョンが可愛いと、なんだか好感度が上がってる気がします。
しかし上がり過ぎると落ちた時の衝撃が大きいので、期待はほどほどに続きを待ちます。
何故そこまで行間を読むことが出来るのか、本当に羨ましいです。
最新話の現在をどう解釈されるのか、今から不安で悶々としています。。
私は、行間が全く読み取れないので、もはや、こちらのブログなしでは、、、、。
次回も、楽しみにしています！
閉講パーティーの時、淳と雪って結構席離れてましたけど、よく聞き取れましたよね‥。飲み屋なんてザワザワ騒がしいのに‥。人間離れした聴力を持つアオタ‥。
淳は新学期から「青田先輩」として雪に近づくと決めてから、彼女への態度が軟化して来たような気がしますよね。思い込むことで恋や好きに近づいて行く感じといいますか‥。
これからそれにどんどんハマっていく過程を思うと、やはり罠に掛かったのは淳なのだな、と再認識出来ますね。
mimiさん
ただ日本語版を読んでるだけだと見えてこなかったものが、翻訳して記事に落としこむと、不思議とそのコマや行間が見えてくるんですよ。勿論皆さんのコメントから分かることも沢山ありますし、チートラの奥深さを改めて感じます。
でも最初は日本語版がこのブログのずっと先を行っていたので、それが私的な理想形だったんですけどね‥。
今は日本語で先を追うにはここのブログ先行になってしまっているので、皆さんにはまず私の解釈が入ってしまう流れになっちゃって‥。
LINE漫画再開しませんかね～
今回のバイト先の様子を密かに見ていた先輩、萌～です。
だからこそ、3年の夏休みのバイトは自分がいつでも顔を出しやすい場所を選んで雪ちゃんに薦めたのかな、何て思っちゃいました。
ついに回想終りますね。
楽しみなような…怖いような…。
次回の更新まも楽しみにしています。
はじめは日本語で普通に読んでた話をブログで師匠の解釈読ませてもらって、より一層理解が深まりましたし、1人で読んでてもみえなかったところに触れられて本当感動モノでしたよ。
その形ではもうないですけど、本家読めない自分としては翻訳して解釈して読ませてもらって本当、こんなにしてもらっちゃっていいんですかって感じです。ありがたやありがたや。
しかし、予想をはるかに超えて終わりませんね
（嬉しいけど）
夏休みのバイト、確かに先輩の手の内でしたね～。塾も自社の傘下の所紹介してましたし、こうして考えると色々囲い込んでたんですね‥（＾＾；）先輩‥。
りんごさん
確かにイケメン無罪法‥。というか、静香のアドバイスもらって動いた横山の動きに通じるものがありますよね。やはり世の中「ただしイケメンに限る」なのか。
そして色々感謝のお言葉、ありがとうございます‥！がんばります～
爆笑しましたーほんとめちゃくちゃはまってまさか見に行っちゃうってぶさおがやったら犯罪ですから
しかしまあこんな風に恋に落ちて行ってたんですね
雪にも私達も当初は突然どうしたって感じでしたが
早よう現在を進めてほしいですね
幸せなハッピーエンドを求
本家は次回から現在に戻りそうなので、この先の展開が楽しみですね！