めちゃくちゃ良かった。
お笑い好きのお友達におすすめされた本。
オードリーの若林さんが
キューバに行った旅行エッセイ。
なんていう説明になってしまうけれど、
心がグラグラ揺らされる。
ただのタレントの旅行記ではない。
とにかく文章が素晴らしい。
文章って、いろいろバレるでしょう。
その人がどう考えてどう生きているか。
もろバレだと思うんです。
若林さんという人は
両足で地の上に立つ等身大の人間だ。
私たちと同じ、もがき苦しみながら、社会を生きる。
著作の中で素敵な個所はかなりある。
序盤で一番つかまれたのは
教育
に関することだ。
どうして勉強するかが分かった若林さんの心が描かれている。
娘に興奮ぎみに本の内容を話しながら、
自分のことを思い出した。
大学で勉強がすこぶる楽しかった。
今でも勉強は好き。学ぶことが大好き。
自分の世界を、考えを、気持ちを広げてくれるから。
知らないということは、自分の小ささを知ることだ。
そう思えたのは、
まったく受験勉強をしなかったからだと思う。
中学は登校拒否児だったので、出席日数ギリギリだった。
理由は、逃げだとか思春期だとか、いろいろ言えるんだけど、
今と同じで、必要以上に感受性が強くて共存することが難しかったんだと思う。
それでも逃げずに立ち向かうだけの根性がなかったんかなとも考えるが、
みんながしていることをせずにぽっかり穴の開いた学生生活はもう取り戻すことはできない。
高校は家から近い、頭の悪いほうの私立に行った。
そこで徐々に社会性を身に着ける中で、推薦で大学に行った。
今でも偏差値のこととかはわかりません。
だから大学の時の私は、勉強していないぶん、初めての知識がぐんぐん吸収される状態にあったわけで、
つまらないと大学を辞める人もいたけれど、共感できなかった。
テストを誤魔化そうとする人もどういう了見だろうと思った。
論文、自分で書いたほうが楽しいし、テストも大好きだった。
そんなこと言うやつ、まあ、友達できませんよね。
競争のないところで勉強を楽しんで、だからそのおかげで、
その時のたくさんの大学で得た知識のおかげで
人と同じことをしてなくても
平気なんだと思えた。
若林さんの本を読んで。
今だってお給料は20万に届かないし、
子連れで
無職で社会から見たら落伍者と言えるのかもしれません。
しかし価値観は人に決められるものではなく、
自分で思い込んでいる価値観でさえ
刷り込まれたものかもしれない
と思えるのは、
宗教学や哲学、文化人類学、多言語コミュニケーションを受講したから。
教育というのはありがたいものだ。
それをこの本を読んで思えた。
そして子供に朗々と語る。
十分後、娘が算数の宿題をしながら
「なんだよ、この問題。将来、いつ使うんだよ」
と文句を言っていた。
いや、ママの話、聞いてた?
中学校の勉強をちゃんとしなかったせいで
普通の人がわかる常識がすっぽり抜け落ちており、
知識を広げるのに苦労している
といったばかりじゃないか。
あなたの今の勉強は、将来、絶対にあなたを救う。
って言ったのになー。
おわり。