前回はビワの葉療法で糖尿病が簡単に治ることをお伝えしましたが、ビワの葉が手に入らない場合でも大丈夫なように、今回は『病人救済の記録 難病は癒る』(海老塚四郎兵衛:著、明玄書房:1959年刊)という本から別の治療法をご紹介します。
この本の著者の海老塚四郎兵衛氏は、6歳のときに腸チフスに罹って以来胃腸が弱く、15歳で心臓弁膜症、17歳で湿性肋膜炎を患い、脊柱曲り、肩こり、頭痛、下痢に苦しみ、21歳のときには体重がわずかに37.5kg程度しかなかったそうです。
その頃、陸軍薬剤監の石塚左玄氏が食養によって万病を治すということを耳にし、その診療所を訪ねたところ、石塚氏は海老塚氏の皮膚の色と爪の色を診ただけで、海老塚家の食事の内容を立派に指摘し、「これは白米病だから白米を廃さなければ治らない。そうして自分の教える食物を摂取したならば、こんな胃腸病は1か月を出でずして治してやる。」と断言されたそうです。
そして、白米をやめて、半搗米(はんつきまい=精米の度合いが5割程度の米)に胡麻塩をすってかけ、味噌汁・沢庵漬とともに食べるように言われたので、その食養生を実行したところ、1か月もしないうちに下痢は止まるし胃痛は治り、5年間苦しんだ病気が簡単に全治してしまったのだそうです。
なお、石塚左玄氏の食養生の詳細については、本ブログの記事(「食養道の「憲法」」等)を参考にしてください。
その後、海老塚氏は健康に日々を送っていたのですが、壮年になって体重が増えすぎてしまい、それを見た友人から玄米を食べるよう勧められたことがきっかけで、56歳から玄米食を始めたところ、体重は適正値に戻り、健康状態も良好になったそうです。
海老塚氏は教養豊かな人だったので、玄米食がなぜ健康に良いのかを徹底的に調べ、ついに、正食法について講演をしたり、病気に苦しむ友人や知人を救うようになり、多くの経験を積んで『病人救済の記録 難病は癒る』を出版するに至ったのでした。
さて、前置きが長くなりましたが、海老塚氏は糖尿病について、「私の経験では余りに簡単に治ってしまいます。」と断言し、西洋医学の問題点を次のように批判しています。
1.糖尿病というものは、人間が不正食をやったために、体の機械の一部が破損して糖分が尿の中に出る病気であるから、不正食を止めて正食を摂り、体の機械を治すことによって、初めて全治する。
2.しかし、医者のやる糖尿病の治療というのは、ただ糖の出ない食事を摂らせておいて尿のみを検査し、尿中に糖の出ないのを唯一の医療と心得て、不正食を強いている。
3.不正食をしたために起った病人に、更に不正食をやらせるので、中年以後の人は高血圧となり、心臓麻痺や脳溢血で倒れるのである。
海老塚氏は、以上のことを糖尿病の患者に説明し、玄米と野菜、海草、貝類、果実等を摂取する正食法を指導するとともに、漢方の大家・荒木正胤氏に患者を紹介し、患者に適した漢方薬を処方してもらうことにより、多くの糖尿病患者を救ったそうです。
確かに、海老塚氏の指摘は正論で、私も以下の4冊の糖尿病関連書籍を読んでみましたが、西洋医学の専門家には「正食」という概念がなく、血糖値のみを問題にし、海老塚氏が言うところの「不正食」である白米や肉を平気で推奨しているので、糖尿病患者が増え続けているのも無理はないと感じました。
『毎日おいしい糖尿病レシピ』(吉田洋子:監修、成美堂出版:2015年刊)
『血糖値を体型別治療でどんどん下げる』(松葉育郎:著、技術評論社:2017年刊)
『順天堂医院が教える毎日おいしい糖尿病レシピ415』(河盛隆造・高橋徳江:監修、学研プラス:2019年刊)
『おいしい かんたん 作りおき 糖尿病レシピ12週間』(中尾俊之・金澤良枝:監修、ナツメ社:2023年刊)
なお、漢方薬は体質と症状に応じて使い分ける必要があるため、漢方医の診断が必要ですが、代表的な漢方処方が『だれにもわかる漢方治療の実際』(荒木正胤:著、岩崎書店:1958年刊)という本に次のように書かれているので、よかったら参考にしてください。
【糖尿病に対する代表的な漢方処方】
漢方薬
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適応症
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白虎加人参湯 | 多尿、ロ舌がカラカラにかわいて、皮膚もカサカサしている場合 |
八味地黄丸 | やせて、臍下に力なく、精力が減退し、便秘の傾向があり、多尿で、多少のロ渇もある場合 |
当帰芍薬散 | 肥満して、ロ渇もあり、疲労しやすく、性欲減退し、尿量が少ない場合 |
この本では、インスリンの注射では糖尿病は治らないことを指摘し、正食法を断行して漢方の手当てをすれば、比較的かんたんに根治できると明言しています。
正食法の内容については、砂糖は禁止し、玄米・菜食を実行し、分量もへらしますが、果物、植物性の油、豆類、海藻類、牛乳、かるい魚類、適量の酒類をもちいることはさしつかえないそうです。
そして、糖尿病にはハリ、灸の効果が絶大なのですが、ハリの治療は、病気の程度によって使用するツボが一々ちがうので、灸(脾兪と足三里に米粒大を10~15壮)を継続して、漢方薬を併用することが、もっともかんたんで効果があるのだそうです。
最後に、これは私が知人から直接聞いた体験談ですが、血糖値を下げるのには小豆カボチャが有効だそうです。
調べてみると、『化学的食養雜誌』(化学的食養會:1913年7月刊、第69号)という雑誌に掲載されている「化學的食養法と天源淘宮術(承前)」(山本勝:著)という記事に、次のようなことが書かれていました。
明治38年8月に、糖尿病を患っていた著者の山本勝氏が、前述の石塚左玄氏に糖尿病に対する食養法を尋ねたところ、「今日唯今より肉玉子の如き邪味は一切断ち、小豆粥と南瓜とを塩からくして食え」と言われたそうです。
そこで山本氏は、小豆とカボチャを塩からく煮て、10日、20日、1か月と食べ続けたところ、腹力も増し、便通も宜く、気分もやや爽快を覚えるようになり、尿中の糖量も次第に減少してきたのだそうです。
したがって、正食法に漢方と小豆カボチャを組み合わせれば、糖尿病も簡単に治療できるのではないかと思われるのです。
なお、健康の基本は栄養、運動、休息の3つですから、適度な運動を毎日続けることも忘れないようにしてください。
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