協同学習はグループによる話し合いを元にして、深い思考を引き出す教授法である。音読を中心としたドリル全盛の現状の英語教育とそりが合わないのは当然だ。皮肉なことに、文科省は英語の授業を英語で行うことを要求し、授業の深みが失われる傾向はますます強くなろうとしている。
佐藤学先生は大津先生とのシンポジウムで外国語活動のかわりに「ことば」という教科を作ってはどうかという提案をされたと聞いている。そんな佐藤先生が今の英語教育の現状をどのようにご覧になっているのか一度聞いてみたいと思っていた。
最近は講演を聴きに行っても質問をする機会がない場合が多いのだが、今回はお話しの最後に佐藤先生自ら質問の時間を作っていただいたので、研究授業の内容とは離れてしまうことは分かっていたが、3つめに質問をさせていただいた。
「さきほど、教科の特性に合わせ「英語ではペア学習を取り入れて」と仰った。英語は活動を多くすればどうしてもドリル的になるし、話し合いを通して考えさせようとすれば日本語が多くなる。高校の現場では文科省より英語で授業を運営することを原則とするようにという指導があったが、先生個人はこれについてどのようにお考えか」
先生がまず「良い質問だ」と仰ったので、場違いな雰囲気にならずホッとした。その後、大変印象的ないくつかのお話を戴いたので、箇条書きで紹介したい。
・協同学習で英語を教えるのが難しい最大の理由は教材に内容がないことだ。その意味で高等学校はまだましである。中学校の教科書からは文学は消えてしまった。内容も昔に比べて1/4である。これでは学習が深まるはずはない。英語重視という姿勢をとりつつ、中身を見れば英語軽視だ。
・ジャンプの段階で教科書のトピックの延長上にある本物の教材を使うことだ。内容が面白いと思えば中学生でも英字新聞の記事の翻訳を立派にこなすことができるものだ。
・外国語を舐めてはいけない。海外旅行の小会話的なところで十分というのなら話は別だが、外国語がそんなに簡単に身につくと思ったら大間違いだ。外国語ができる人は死にものぐるいの努力をしてその力をつけたはずだ。自分も論文の多くは英語で書くし、講演の半分は英語だからよく分かる。
・近代の短歌を英訳させるのはよい活動になる。俳句では短すぎるからダメだ。詩の英訳でもよい。
・英語の授業で一番大切なのは、必要になったときに嫌いになっていないこと、つまり面白いと思える授業を展開することだ。
・英語教育の現状については放っておけないと思っている。そのうちに、きちんとした形にまとめたものを出したいと考えている。
お話を聞きながらカタルシスを味わった。お答えの最後には「ありがとう」ということばまでいただき、感激。ますます、学びの共同体から目が離せなくなった。よい1日でした。
佐藤学先生は大津先生とのシンポジウムで外国語活動のかわりに「ことば」という教科を作ってはどうかという提案をされたと聞いている。そんな佐藤先生が今の英語教育の現状をどのようにご覧になっているのか一度聞いてみたいと思っていた。
最近は講演を聴きに行っても質問をする機会がない場合が多いのだが、今回はお話しの最後に佐藤先生自ら質問の時間を作っていただいたので、研究授業の内容とは離れてしまうことは分かっていたが、3つめに質問をさせていただいた。
「さきほど、教科の特性に合わせ「英語ではペア学習を取り入れて」と仰った。英語は活動を多くすればどうしてもドリル的になるし、話し合いを通して考えさせようとすれば日本語が多くなる。高校の現場では文科省より英語で授業を運営することを原則とするようにという指導があったが、先生個人はこれについてどのようにお考えか」
先生がまず「良い質問だ」と仰ったので、場違いな雰囲気にならずホッとした。その後、大変印象的ないくつかのお話を戴いたので、箇条書きで紹介したい。
・協同学習で英語を教えるのが難しい最大の理由は教材に内容がないことだ。その意味で高等学校はまだましである。中学校の教科書からは文学は消えてしまった。内容も昔に比べて1/4である。これでは学習が深まるはずはない。英語重視という姿勢をとりつつ、中身を見れば英語軽視だ。
・ジャンプの段階で教科書のトピックの延長上にある本物の教材を使うことだ。内容が面白いと思えば中学生でも英字新聞の記事の翻訳を立派にこなすことができるものだ。
・外国語を舐めてはいけない。海外旅行の小会話的なところで十分というのなら話は別だが、外国語がそんなに簡単に身につくと思ったら大間違いだ。外国語ができる人は死にものぐるいの努力をしてその力をつけたはずだ。自分も論文の多くは英語で書くし、講演の半分は英語だからよく分かる。
・近代の短歌を英訳させるのはよい活動になる。俳句では短すぎるからダメだ。詩の英訳でもよい。
・英語の授業で一番大切なのは、必要になったときに嫌いになっていないこと、つまり面白いと思える授業を展開することだ。
・英語教育の現状については放っておけないと思っている。そのうちに、きちんとした形にまとめたものを出したいと考えている。
お話を聞きながらカタルシスを味わった。お答えの最後には「ありがとう」ということばまでいただき、感激。ますます、学びの共同体から目が離せなくなった。よい1日でした。