「志」の英語教育

英語教育実践について日々の雑感を語ります。

学びの共同体的授業実践への挑戦

2009-06-24 18:26:57 | 協同学習
今年度は、いずれ何らかの形態で研究授業をしなければならないので、それに備えていくつか実験的な取り組みをしている。今回紹介するのはその一つ。科学リーディングという所属校独自のスーパー・サイエンス・ハイスクール科目での授業である。

狙いは、先を予想しながら進める読解の指導、それと読解を基にしたライティングの演習。というわけで、以下のような課題を用意した。

A) Traditionally, history has been written by and about men. (Even though some feminists have attacked the word history, the original meaning does not come from his story. It comes from the Greek word historia, which means inquiry or narrative.)
Because history has emphasized [ 1 ] and battles, women's role in shaping the past has been ignored, or seen from a male point of view.


B) This is an example. The average man is bigger and heavier than the average woman. This is true in all societies, although of course many women are taller and heavier than many men. Sociologists who studies primitive societies believed that men evolved to be bigger and stronger because they did the [ 2 ], whereas women didn't need to be so strong because they "only" developed agriculture. The sociologists explained the difference in size, but from a male point of view.


C) In contrast, recent research has looked at the same situation from a different angle. Sociologists pointed out that among primates (apes and monkeys), the males are also larger than the females, in spite of the fact that the male don't hunt. Greater size is not much advantage to animals that eat leaves. Scholars concluded that primates and humans did not evolve bigger males; [ ].


3つのパッセージは、横置きB4用紙の左上、左下、右上に配置。紙は二回折って、一回につき1つのパッセージしか見られないようにしておく。

それぞれのパッセージ毎に、語彙の確認、質問の投げかけ、質問の答えを探りながらの読解、グループ内での意見の交換、発表という具合で進める。

最初のパッセージの質問は、Why do some feminists attack the word history?とWhat is the suitable noun for blank 1? The noun represents a type of person. である。

二つ目のパッセージの質問は、What is the suitable word for blank 2? The word starts with the letter "h." である。

三つ目のパッセージの質問は、Write a suitable sentence in blank 3.

そして、最後に、右下のスペースに、予想されるこの話の結末を作文するというものである。


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It's not that simple.

2009-06-24 10:37:12 | テスト
もう数年前の話になるが、定期考査問題の検討会で以下のような問題が提示された。読解とはなにかという観点から、非常に面白いと思った記憶があるので紹介したい。

U.S. English insists that a national English-language law would apply only to government business, and that in unofficial, private, or religious contexts people could use any language they liked. Yet it was U.S. English that tried to take an American phone company to court for inserting Spanish advertisements in the Los Angeles Yellow Pages. That would hardly seem to be government business.

Question: Why did the U.S.English try to take an American phone company to court?

U.S.Englishとはアメリカで英語を公用語にしようとする圧力団体である。ますます数を増やすヒスパニック系移民に押され、スペイン語が米国で英語と同等(以上)の市民権を得ることを防ごうとしているのである。

同時に提示された模範解答例はこうである。
Because the American phone company inserted Spanish advertisements in the Los Angeles Yellow Pages.

確かに、for以下が「原因・理由」を表すという文法分析的解釈からは正しいのかもしれないが、どうもそれだけでは済まされないようだ。

英語の公用語としての地位を確立したいU.S.Englishは、英語公用語化論を広めるというプラス方向の努力をする一方で、他言語の抑圧というマイナスの圧力もかけているということ。

しかし、正面から他言語に対する攻撃をしたのでは、自分たちへの支持が得にくくなる。そこで、表向きには、公用語として英語を用いることを要求する場面は行政的な活動に限ると表明している。ところが、実態は私企業に対してもスペイン語の広告を加えたことを咎めているということ。

このような説明・流れの後で、「U.S.Englishはなぜある電話会社を訴えたのか」という質問に対する答えが、「その会社がスペイン語の広告を電話帳に加えたから」で十分と言えるだろうか。

恐らく望ましい筋の答えは以下のようになるのではないか。
Because U.S.English is hypocritical, and it actually wants English to be used not only in government business but in other contexts as well.

専ら構造分析によって英文を理解しようとする手法の限界をはっきりと示す例であるとは言えないだろうか。


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実習生の研究授業

2009-06-18 07:12:32 | 授業
昨日は実習生の研究授業を見させてもらった。人様の授業を勤務校で見るのは結構久しぶりかもしれない。参観者は他教科の担当者を含め7人もいた。これ、勤務校では珍しいことなのです。

授業は1年生対象でアメリカの計測単位システムについて。後ろから見る限り予習率はまずまず高いよう。それでもノートの使い方はまちまちだろうか。

学生の授業なので、つっこみ所はいろいろあるが、逆にこちらが考えさせられる場面もあった。

例えばフラッシュカードを使う時にシャッフルをしたこと。

自分の場合、シャッフルをすると元に戻すのが面倒、出現順に単語を確認することでストーリーとの一体感が出るなどの理由でシャッフルはしない。しかし、考えてみればこれにも利点があり、特に復習の活動では有効な手法と言えそう。試験前の授業などで全試験範囲のカードをシャッフルしてカルタ遊びもどきなどができそうだ。

もう一点は、リスニング+黙読活動の時にCDの流れに合わせて鉛筆で本文を追いなさいという指示が出たこと。

こういった細かい指導がのちに大きな違いになってくるのだろう。後で聞いてみれば、大学の先生から教えてもらった手法だとのこと。そういえば津田の研究グループで「英文読解のプロセスと指導」といった優れた本もありました。

授業後のコメントでは以上のことを感想として述べた上で、音読活動は意味を確認した後に行うこと、音読活動は起立して行わせるとモニターがしやすいことをアドバイスしておきました。


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「学びの共同体」アゲイン

2009-06-08 20:47:16 | 協同学習
実は、先週の土曜日に再び「学びの共同体」の実践校へ研究授業を見に行った。佐藤学先生が来られたからである。今回の研究授業は数学であったが、非常によい授業で行った甲斐があった。

開始直後から指導者の力量の高さが伝わってきた。佐藤先生も「1年に1回のレベル」と高く評価された。

続いて「この授業から皆さんは何を学び取りましたか」と問いかけられたが、私の見たところではそう簡単に真似したり技を盗んだりできるものではなかった。根本的な「教師力」のようなものを見せられた気がするのだ。

簡単に言えば、「マニュアル化できない力」とでもいったものだろうか。

あまりにもスムーズに流れる授業展開に、教案自体が何度も使われ洗練されているからではないかと思ったのだが、後で聞くと、完全オリジナルで今回が初お披露目とのこと。

普段、何を考え何に注意して授業をしているのか一度ぜひ聞いてみたい。いっそのこと指導力向上研修会などを企画して、所属校へお招きしようかと思ったほどだった。

さて、佐藤学先生のご講演の中にも心に響く言葉があった。

「人の授業を見た後に批評をするのではなく、何が勉強になったかを他の参加者とシェアすること」・・・研究授業後の協議では多くの場合、無意味な誉め言葉の重ね合いになってしまう。これでは意味がないといって、誉め言葉はNGというルールを作ったりもする。どちらも違うのだ。

「スローラーナーほど、難しい課題に取り組ませる中で基礎を定着させるように仕組む必要がある」・・・基礎文法の定着は作文指導の中で行うべきなのだという思いを強くした。

いずれにせよ、期待を大きく越える素晴らしい経験ができた。他教科の研修会に顔を出すことに、ちょっとハマりそうである。


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感謝

2009-06-07 01:12:05 | その他
詳しくは言えませんが、昨日は最高によかったです。
F先生、お世話になった皆様方、本当にありがとうございました。
授業で生徒に還元することで、ご恩返しさせていただきます。


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長期研修終了

2009-06-02 06:15:41 | 研修
本日で長期研修終了。教職の折り返し地点で大きな研修に参加し、これまでの総括ができたのはやはりありがたいことだった。一番の収穫は一つ前のエントリーに記したとおり。教員観的には一皮剥けたと感じている。ただし、その手法についてはゼロなので、これから新たな境地を求めてさらに修行を続けます。

研修の細かな中身についてレポートの形で詳しく書くことはしませんが、いずれさりげなく小出しにしていくつもりです。

研修中は、研修の内外で本当に多くの方々にお世話になりました。研修成果を還元する形でご恩返しをいたします。皆さん、どうもありがとうございました。


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