「志」の英語教育

英語教育実践について日々の雑感を語ります。

センター研究会2

2008-06-23 19:13:38 | 研修
その他、センター対策で有益と思われることをいくつか。私の感想で色づけしてあります。念のため。

1)今春のセンター総語数は約4200語。昨年は3900語、一昨年は3500語。語数の増加は限界に近いところまで来ているようだ。

2)一昨年から復活した発音問題は現場の教員の声を吸いあげたものらしい。発音問題がないと正確な発音に注意が向かないから復活させてくれという意見があったとのこと。基本的にはこの方針には反対。この件については、後日詳しく述べたい。 

3)第1問、第2問は解答に時間をかけないことが今まで以上に大切。理想的には10分。15分はかけられない。

4)第2問Bの会話の問題は配点が倍になっている。このことから、出題者がこの問題は重要だと考えていることが分かる。ということは、この形式は来春も続く可能性が高い。確かに出題者としてはこの問題は談話文法力を測るものという格好のいい説明ができる。

5)第3問はボリュームも配点もアップ。ここは絶対なおざりにできない。ただし、A~Cまでの各問に1題は比較的難しい問題が含まれているので、そこで時間を浪費しないことが大切。

6)第4問の広告文では計算のパターンに注意。問題文中に提示された数字をどのような計算式に当てはめると選択肢の数字になるか考えてから、正答の可能性を考えていった方が正解できる可能性が高いかも。問題文中に明示した数字を単純に足したり引いたりするだけの問題では英語の試験にはならない。

7)リスニングについては音声を聞くべき時と問題文を読むべき時の区別をはっきりさせたい。特に2回目の音声が流れてくるときに意識が完全に音声に切り替わっているかを確認する。ここで、問題文を読みながら聞いているようだと聞くべき所を聞き逃すことになりがちである。

これらに加え、近年は追試の問題が公開されていないとのこと。問題冊子を受験生が持って帰ったら一部の人間だけが追試の問題を得られることになるが、この点はどうなのだろうか。また、追試を受けた受験生は自己採点はどうしたのか。機会があれば関係者に聞いてみたい。

駿台センター研究会

2008-06-21 23:19:57 | 研修
今日は駿台予備学校のセンター試験研究会で福岡へ。雨がひどく交通機関は大丈夫かと心配されたが何とか無事戻ってこれた。

考えさせられる点がいろいろあり、自分の中でももう一度整理が必要。しかし、この試験を通じていったい問題作成者はどのような英語力をつけてほしいと考えているのか疑問に感じる点が多かった。

語数を増やして短時間に大量の英文を処理できるようにというのは分からないでもないが、そのために読解の深みが犠牲にされるのにはどうも納得がいかない。

時間配分についてのコメントが特に興味深く、「問3」と「問2+問4」と「問5」の3つに分けて考え、それぞれに20分強というのが目安として示された。今回はこの点が一番参考になりました。

スーパー・サブとプロトタイプ

2008-06-20 19:05:46 | 語彙
テストを作るとき、与えられたテキスト中に現れる表現をそのまま使わずに、パラフレーズして作った選択肢を正答にするという方法はよく知られている。この手法の重要度はリスニング試験において更に高くなるように思われる。読み上げられた文の中に出てきた言葉を含む選択肢が正解になるのなら、意味は全く不要で単語レベルの聞き取りテストと変わらなくなるからである。

というわけで、出題者がパラフレーズを用いて選択肢を作る際によく使われる上位語、下位語の概念を授業でちょっとだけ説明した。

例えば、「犬」という言葉について考える。「犬」が属するカテゴリーを考えてみると、「動物」や「ペット」が思い浮かぶ。また、逆に「犬」というカテゴリーに何が属するか考えると、「柴犬」、「ブルドッグ」、「チワワ」などが考えられる。

つまり、これらの語は「ペット」-「犬」-「ブルドッグ」といった階層上に存在していることが分かる。このとき、「ペット」は「犬」の上位語であり、「ブルドッグ」は「犬」の下位語である。もちろん、これらは直線的な関係のみでなく、「ペット」-「犬」の関係と同じく「ペット」-「猫」や「ペット」-「うさぎ」も存在しうる。つまり、ある上位語には複数の下位語が存在するのである。

これを踏まえて次の問題について考えてみる。

選択肢のうち以下の会話の状況を正しく説明しているものを選べ。

A: "What happened, Kate? Why are you crying?"
B: "Oh, Mike. My dog Sparky is killed in a traffic accident. I can't believe it."
1) Kate is sad because her pet is dead.
2) Kate is crying because her dog has run away.
3) Kate is shocked to find the dog killed her pet.
4) Kate can't believe that Sparky is crying.

このように上位語を使えばパラフレーズを用いた正解の選択肢を簡単に作ることができる。

この他に、東京外大で以前よく出題されていた定義を答える英作文でも上位語の考え方は役に立つ。例えば、dictionaryならば

A dictionary is a book that has a list of words and their meaning. などと答えればよい。

多少なりとも受験に役に立つかと思い以上のような話をしたが、そこそこ反応がよかったので、ついでにプロトタイプや習得の順序についても余談として言及。英語ではvegetableのプロトタイプとして、トウモロコシや豆があげられることなどを話しておいた。

TOEIC IP実施します

2008-06-20 00:59:14 | テスト
主に3年生を対象に、夏休み中のTOEIC IP受験者を募った。今の3年生を教えるのは今年が初めてであるし、教えている生徒は学年の半分であることを考慮すれば、30名を超える受験希望者がいるということは志の高さの現れと見ていいだろう。

今の勤務校でTOEIC IPを行うのは今年が3回目。希望者のみの受験とは言え、地元の国立大学で人文系統を学ぶ学生の平均と変わらない校内平均になるのだから決して「高校生には早すぎる」試験ではない。

今までの結果から見ると、いわゆる難関と呼ばれる大学に合格する生徒の多くが600を超える。国公立大文系合格者の下限が400くらいだろうか。東大・京大クラスになれば700を目指したいところ。外大合格者は以外に点数の幅が広い。

海外経験のない生徒の最高点が750前後。ただし、700を超える子は英会話学校に通い続けているなどのプラスαの勉強が効いているケースが多いようだ。海外経験の長い子は900を超えることも珍しくない。

今年の3年生は、模試の偏差値でみると例年より若干高いので、TOEICのスコアがどうなるか興味深い。しかしながら、リスニング力には若干の不安もある。先日のマーク模試では苦戦をした生徒が多いようだ。まあ、今の時点ではそれも仕方ない。十分に指導していないのだから。

センター・リスニング導入後、学年によって結構詰めてリスニングを指導したケースと、それほど早くから練った対策をしなかったケースの両方があるが、最終的に大きな差になって現れることはないように思われる。業者のデータを見てもリスニングの得点分布にさほど大きな散らばりはない。

いずれにせよ、TOEICは生徒が普段体験する種類のテストとは要求される力の質が違うから、対策や実際の受験を通して、より深みのある英語力を身につけてくれることを期待している。

時は過ぎゆく

2008-06-02 23:36:16 | その他
先週末はクラブの引率で県の東へ。今年はほぼ10年ぶりに卓球部の顧問なのである。インターハイにつながる県の予選で、年間で一番重要な大会。3年生の最後の試合でもある。

結果の方は満足とは言えないかもしれないが、試合に勝つこと以上にクラブ活動を通して学ぶべき大事なことがうちのクラブにはできている。3年生は胸を張って欲しい。

話は変わるが、今朝新聞を広げると前任校で担任をした女の子が結構大きく載っていた。推薦入試で地元の大学へ入学したのでよく覚えている。記事を読むと元気で活躍しているようで喜ばしいことだ。高校生ってほんの5年でずいぶん成長するものである。

メールを開けると関西大学から中嶋洋一先生による勉強会の案内が届いていた。ちょっと迷ったが参加することにした。さて、その前の週の「ゆかいな仲間たち」はどうしたものかこちらはまだ迷い中。