「志」の英語教育

英語教育実践について日々の雑感を語ります。

Just a Peek

2010-06-28 21:35:47 | 授業
試験が近づくと例によって音読三昧で復習モード。この時期どれだけ蒸し暑くてもエアコンは入らないから授業は全窓開放状態。近隣のクラスはさぞかし迷惑なことだろう。

それにしても、音読で定着を図るという意識が高まってきたのはよいこと。所属校は土日も沢山の生徒が登校して勉強しているのだが、人の邪魔にならないように体育館の片隅で小声でぶつぶつ言いながら音読をしている生徒がいて感心。

おそらく英語担当の中で一番音読を信頼していない(と思われる)自分が、一番音読を授業に使っている(ような)のはいかにもパラドキシカル。音読が大切だという古くからある不文律に切り込むことは敢えてしないが、少なくとも教員による解説に比べれば、音読など時間の無駄と思っている人は多いと思われる。

ジョークや声色などで変化をつけるのは当然のことハンドアウトや活動の細分化などをどれだけ工夫しても、私の下手くそな授業ではちょっと油断すると居眠りモードに入る生徒が出てしまう。どれだけうまい授業をしても1時間を通して講義で授業を組み立てて成果を上げるのは至難の業だ。

他の人の授業はどうかしらと思い、向かいの校舎を眺めてみると教科書を持って何人かの生徒が立っている教室がある。聞いてみれば国語の授業とのこと。発問のあと、立って考えさせ意見がまとまったら座るように指示を出しているそうだ。これもまた、面白い手法である。

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A Rainy Day

2010-06-28 06:36:23 | その他
週末の進路講演会終了。学校からの説明に加え今年は駐車場係も担当。前日ひどい雨が降ったので、雨脚の落ち着いた朝方6時から一人でグラウンドのラインを引き直したものの、1時間もしないうちに、それ以上に強い雨となり、一瞬のうちに文字通り水の泡と消えてしまった。

あいにく駐車場の一番忙しい時間と雨の最も強いタイミングが重なり臨時駐車場となったサッカー場は田圃のよう。私は着替えがあったからまだよかったが、参加された一般の保護者の方々は会場である体育館に着くまでに足下がどろどろになったと思われお気の毒。

メインの代ゼミさんのお話には途中から参加。主に入試に関する基礎知識といったところか。私の話は、今春の結果のおさらい、在校生の現状、本校の進路指導に関わる活動、ご家庭でのサポートのお願いの4本立て。

昨年は、親のチェックが入りにくいインターネット端末としての携帯の危険性について触れ、今年は自己肯定感と成績の関係について述べた。どちらも、筑波で学んだことだから、それなりに研修が還元できたと考えている。

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Whatever happened, I didn't do it.

2010-06-26 14:09:35 | 文法
定期考査を直前に控えた授業。文法の説明文も試験範囲になるということで、最近お得意のグループワーク。音読した後に和訳し、誤りがあれば周りのメンバーがつっこむというもの。素早くターゲットの文に目を通すのが活動の趣旨なので、協議はなし。分からなければ全体に戻したときに解説を求めればよろしい。もちろん、この程度では「学びの手法」云々というものではない。

面白かったのは、Leaves are to the plant what lungs are to the animal. の構造はどうなっているかという質問があったこと。A is to B what C is to D. のように順番がきれいな形なので「AのBに対する関係はCのDに対する関係に等しい」と公式的に覚えるのも楽だが、知りたいのならそれもよし。

Leaves / are / what lungs are to the animal / to the plant. と書いておき、to the plantに下線を引いてそこから矢印を前のareの後ろへ。口頭で和訳。「葉っぱは、である、動物にとっての肺であるもの、植物にとっては」つまり、「植物にとって葉っぱは動物の肺に相当する」「倒置」をヒントにこの構造を生徒自身に発見させれば、「ことばへの気づき」とすることができたが時間不足で断念。

関係詞what 関連はwhateverも含めて面白いものがたくさんある。標題はディズニー映画ポカホンタスに出ていたいたずらキャラの「ミコー」のTシャツにプリントされていたもの。10年以上前、初めて渡米したときにロスのディズニーランドで目にしたのだ。

Whatever happens happens. はずっと前にヤクルトで活躍した(たしか)ブロスというピッチャーがインタビューで言っていた。「なるようになる」といったところか。野球関係では、Whatever happened last year happened last year. などというのも印象に残っている。高校生のころ好きだったカシオペアの曲にも、What can't speak can't lie. というタイトルがあった。

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組織力

2010-06-25 07:35:44 | その他
今週末はPTA進路指導講演会。代々木ゼミナールさんに講師をお願いし、進学を目指す親へのメッセージということでお話しいただく。私もこの春の入試結果の総括、在校生の現状などを話すつもり。

このところ、所属校は比較的良好な進学状況を保っているが、それを保ち続けるのは至難の業。以前、進路指導担当者の話し合いの中で聞いた印象的な言葉がある。「今年は生徒の力が高かったので良い結果が出たではダメ」、さらに「今年はスタッフが揃っていたから良い結果が出たでもダメ」

組織として成長を続けていくためには「ワザ」の共有が大切。ある人がいなくなったらダメになったのでは本物の力ではないのだ。突出した個の力が評価されるのではなく、組織の成長のために発揮された力が評価されるべきだ。

実は授業においても全く同じこと。自分が指導しているときにはいい結果が出せるが、自分が外れたらパフォーマンスが落ちるような指導はどこかに欠陥があるはずだ。

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協同学習

2010-06-21 00:43:36 | 協同学習
土曜日は福岡の駿台のセンター分析会へ。数学の同僚の車に乗せてもらい4人で親富孝通りまで。毎年おなじみ霜先生で、内容も例年とあまり変わらず。何人かの顔見知りの先生にご挨拶して早々に退散。

帰ってから本屋へ向かい忘れていた「英語教育」をゲット。今回は協同学習特集だから楽しみにしていたのです。中身についてのコメントは現時点では敢えて避けます。もう少しじっくり読んだ後に、何らかのリアクションを残したいが、来週は忙しくなるからどうなることやら・・・。



プロフィールの写真は、息子がデジカメをいたずらしていて自分を撮ってしまったものを置いてみました。私じゃないです・・・。

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プロのプライド

2010-06-19 07:14:13 | 研修
昨日は外国語活動の研究授業を見学に再び隣町の小学校へ。現教科調査官の直山木綿子先生が来られ授業をされるというので、無理を言って許可をいただいた。(もちろん、授業はすべて変更の上、年休で参加です)

この分野で精力的に活動をされている若手研究者の兼重昇先生の授業も見学でき、大変貴重な経験となった。お二方とも「無理のない」授業をされ、参観者にintimidatingな印象を与えないような配慮をされていたようだ。

そうではあっても、ご自分の持ち味をしっかりと発揮され、見応えのある授業にされたのはさすがである。とくに、直山先生の授業は最初の10秒ですでに勝負がついていたように感じた。

さて、研究授業に続いて午後の日程は、会場校のご発表、パネルディスカッション、直山先生のご講演と続いたが、パネルディスカッションが素晴らしかった。

参加者はコーディネーター役の県の義務制の指導主事先生と兼重先生、それに2月に菅先生が来られたときに授業をされた地元大学付属中のS先生。S先生には前回もその緻密な授業に圧倒されたのだが、今回はその舞台裏をご披露いただいた形。自分の実践の甘さを深く反省いたしました。

http://blog.goo.ne.jp/zenconundrum/e/a06c0297bdb352e85502e100cde44102

実は、tm先生のおかげで、S先生とは前項のフォーラムでも接点ができたので、今後もいろいろ学ばせていただきたいと考えている。

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第3回山口県英語教育フォーラム

2010-06-05 12:50:09 | 研修
皆様ご存知のTM先生による英語教育フォーラムを、今年は運営委員としてお手伝いさせていただくことになりました。昨年は私を除く家族全員がインフルエンザで倒れてしまい参加すらかないませんでしたので、その分を取り返すつもりで勉強させてもらいます。

以下TM先生のブログからの転載です。

http://d.hatena.ne.jp/tmrowing/

第3回山口県英語教育フォーラム
日時: 2010年10月23日 (土)
10:00 ~ 17:00頃 (予定)
会場: パルトピアやまぐち・防長青年館 (山口県山口市神田町)
主催: 長州英語指導研究会
協賛: 山口県鴻城高等学校,ベネッセコーポレーション
講師:
大津由紀雄
(慶應義塾大学教授)
柳瀬和明
(日本英語検定協会顧問)
加藤京子
(兵庫県三木市立緑が丘中学校教諭)


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九州大学入試問題研究会 その4

2010-06-04 19:58:02 | 研修
ここからはいよいよ表現力の問題である。第4問は英文要約。 

The famous writer Robert Louis Stevenson wrote, “Imaginary friends are sure to be present when children are happy and playing alone.” Parents may worry about children having imaginary friends, but researchers say invisible playmates are really teaching infants the art of communication. “Having an imaginary friend is a good thing,” according to Evan Kidd, a La Trobe University psychologist.

Dr Kidd and a colleague asked children aged from four to six to describe pictures in a book. “Those with imaginary companions proved to be better communicators than children who did not have them,” Dr Kidd said. “That makes sense. To communicate information to another person you have to understand what the listener needs to know. That requires practice. When you have an imaginary friend, you have to invent both sides of the conversation, which is good practice for real conversation.

One child in the study had eight fantasy friends. Dr Kidd says, “Children with imaginary friends tend to be first-born or only children but are not lonely misfits. They are highly socially interactive and they tend to be creative.” It is an untrue myth that children cannot tell the difference between real and fantasy friends. “Some children in the study had totally imaginary playmates; others gave life to objects such as teddy bears. But many would stop their talk with their fantasy friends to say that they knew it was not true, that it was only pretending.”

Children try to understand the world around them by having imaginary companions act out roles. Dr Kidd adds, “It is also normal for children to blame some wrong they have done on fantasy friends. They are separating the good self from the bad self. So, I advise

概要 英文を自分の言葉で言い換え要約する問題。子供の「想像上の友達」に関する論説である。
 作家のスティーブンソンは子供が楽しくひとり遊びをしているときの証と述べているが、親の中にはその傾向を心配するものもある。キッドなどの研究者は「想像上の友」はコミュニカーション力の発達に役立つものと肯定的に評価している。
 キッドの研究では「想像上の友」をもつ子供は持たない子供よりコミュニケーション力に長けていることが分かった。子供が「想像上の友」とのやりとりを通じて話者双方の立場に立つことにより、実際のコミュニケーションに必要な相手の知りたいことを理解するという練習ができているからだと考えられる。
 キッドによれば「想像上の友」を有する子は長子か一人っ子でありながら周りに馴染むことを苦にしない子であることが多く、社交性や想像力に富むようだ。現実と想像の世界の区別がつかなくなると言うのは迷信であり、全く実態のない「想像上の友」をもつ子も、ぬいぐるみなどを「想像上の友」と見立てるものも、それが現実でないことは分かっていて、単に「ふり」をしているだけである。
 子供は「想像上の友」を通じて周りの世界を理解しようとしているだけであり、何か悪いことをしてしまったときに子供が「想像上の友」のせいにするのも普通のことである。親はそんな子供を安心して見ていればよいのであって隠そうとしてはいけないのだ。

読解の方向性: やはりオーソドックスな流れで内容も素直。第1パラグラフにパッセージ全体の芯となる考えが示されていて、以降それに従って展開される。2パラには「想像上の友」の有用性、3パラには「想像上の友」をもつ子の特徴、4パラは新しい情報もあるが、1パラからの筋をまとめた締めのパラグラフと考えてよいだろう。

要約の方向性: 中心となるアーギュメントは「子供の「想像上の友」はコミュニケーション力の発達に役立つ」 その他、加えたい点は、
・子供は「想像上の友」とのやりとりによって実際のコミュニケーションの練習ができ、相手の立場に立って相手の望むことを理解できるようになる。
・「想像上の友」を持つ子の多くは長子か一人っ子で創造力があり人付き合いが苦手でないという特徴がある。
・「想像上の友」をもつ子にも、現実と空想の区別はできる。
・「想像上の友」に罪をかぶせる行為も、心配すべきことではない。
・親は子供が「想像上の友」を持つことを隠そうとせず、受け入れるべきだ。
の5つ。

日本語要約例

「想像上の友」を持つ子供は、長子か一人っ子で想像力があり人付き合いが苦手でないという場合が多く、現実と空想の区別はできる。「想像上の友」とのやりとりによって実際のコミュニケーションの練習ができ、相手の立場に立って相手の望むことを理解できるようになる。「想像上の友」はコミュニケーション力の発達に役立つので、たとえ子供が「想像上の友」に罪をかぶせても心配無用であり、親は子供が「想像上の友」を持つことを隠そうとせず、受け入れるべきだ。

英語要約例(パラグラフの流れに沿って、受験生に可能だと思われる表現の範囲内で)
Some parents worry if their children have an imaginary friend. However, according to a researcher, an imaginary friend helps children improve their communication skills. Many of the children who have an imaginary friends are better communicators because they learn what information is necessary to successfully communicate by taking both roles of two communicators. They are often the oldest child or an only child, are creative and get along with others. They know they are just pretending and can tell reality from their fantasy world. Don't worry if your child blames their imaginary friend when they do something wrong. Just accept it instead of hiding it.


次は入試問題研究会で得た知見から。(   )内は私個人の感想などの補足。


要約文に入れたいポイントは、
1)「imaginary friends(以下IF)のいる子供は情報伝達が上手になる」、
2)「1)の理由として話して聞き手双方の役を演じる必要があるから or 聞き手が何を知る必要があるか理解する訓練がされる、のうち少なくとも一つ」、
3)「IFのいる子供は対人関係が良好」、
4)「IFのいる子供は現実と架空の区別がつく」、
5)「IFのいる子供は彼らにいくつかの役割を演じさせることにより、自分のまわりの世界、及び、自分の内面を理解しようとする。」
(2)については、両方欲しいところ。5)は解釈に無理があるのではと感じる)

再現答案分析は量が多すぎるので省略。


最後に解答例の比較。概要を日本語で。標準答案をH、研究会で示された解答例をSとし、参考に他の予備校によってweb上に示された解答例をYとKとする。


S: キッド博士の研究によれば、想像上の友をもつことはよりよくコミュニケーションできるようになる助けになる。これはよい話し手でありよい聞き手になることが必要だからであり、彼らに聞き手が知りたいことを理解させる訓練になるからだ。想像上の友を持つ子供は、他者とよりよくコミュニケーションでき創造性があるが、一部で信じられていることとは逆に、その会話が本物ではないと気づいている。想像上の友に別の役割を演じさせることで、そういった子供は自分のまわりの世界と内面の世界の両方を理解しようとしているのである。
(3つ目の文で、but, contrary to what some people believe, …といった繋がりになっているが、前半と後半に関連性が薄いので2文に分けた方がよいかもしれない。最終文の表現は面白いがやはり言い過ぎのような気がする。)

H: 親は子供が想像上の友や仲間をもつことを心配することがあるが、想像上の友は子供の発達に役立つと多くの研究が示している。心理学者のキッドにより想像上の友を持つ子供はコミュニケーション技術が優れていることが判明した。彼はひとりで会話の両方の役を演じることは本物のやりとりのための技術を発達させると信じている。そのような子は長子や一人っ子である場合が多いが、社交的かつ想像的で、想像の世界から本物の世界を見分けることができる。実際想像上の友は彼らが外界を理解し善悪の区別ができるようになる助けになる。キッド博士は、それゆえ、親はそういった行為の価値を認め隠すべきでないとしている。
(さすがによく練れていると思う。Whileを使った軽い逆接表現が参考になるはずである。なるべく言葉を換えようという意図が見え、indicateやinteraction、appreciate、concealなどが用いられているが、受験生の英語力を考えれば、むしろ、本文の表現よりも簡単な言葉で言い換えさせる方が好ましい方向性だと考える)

K: キッド博士とある同僚は想像上の友達の研究をしている心理学者である。想像上の友をもつ子供は、想像上の友のことを本物の人間と考える孤独な不適応者だと考えている人は多いようだ。しかしキッド博士が言うには想像上の友を持つことはよりよくコミュニケーションできるようになる助けになるのでよいことである。誰かとよくコミュニケーションしたければ、相手が知りたいことを知る必要がある。そんな子供はふりをしているだけだと分かっているから、親がそんな行為を心配したり隠したりする必要はない。つまり、キッドは親に落ち着いて子供が遊ぶのを見ていなさいとアドバイスしているのだ。
(「ある同僚」は不要? 全体の枠となる概念が提示されるのが3つ目の文なので、その後に盛り込める情報が少なくなっている。3つ目と4つ目の文でcommunicate betterとcommunicate well が、すぐ近くに連続して出るのはスタイル的に? 4文目と5文目の繋がりが希薄では? "In conclusion(つまり)"も不要かも)

Y: 親は子供が想像上の友や仲間をもつことを心配することがよくあるが、想像上の友はコミュニケーションの技術を子供に教えていると多くの研究が示している。
実際、研究によれば想像上の友を持つ子供は、持たない子供よりも他者とよりよくコミュニケーションできる。この「友」は完全に想像上のみの存在からテディーベアのような身近な存在までいろいろな形態を取ることがある。自分が育つ環境を理解しようとする子供にとって話しをさせ役割を演じさせる想像上の友がいることは多くの利点があり害は少ない。
(friend or companionやthe art of comunication、better than children without such companionsなどの表現はもっと短くできるかもしれない。また、想像上の友の実態に関する情報は、優先度的にどうだろうか? 情報量がちょっと物足りない気がする。)


自分の解答例は穴だらけで細かく見ればきりがないから一つだけ。短くまとめるのであるから、最初の文は "A research shows that an imaginary friend helps children improve their communication skills." などの全体の大枠となるものにすべきであった。

children with an imaginary friendやDr. Kidd saysなど何回も使う表現で字数を使ってしまうのをどう処理するかに苦労する。つなぎ言葉や不要な表現をそぎ落としなるべく多くの情報を盛り込みたい。


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九州大学入試問題研究会 その3

2010-06-03 19:44:12 | 研修
今回は第3問。最後の長文問題。

The house cat is the most popular pet in the world. A third of American households have cats, and more than 600 million live among humans worldwide. Yet, as familiar as these creatures are, understanding their origins has proved difficult. Whereas other once-wild animals were domesticated to serve humans, cats contribute virtually nothing in the way of food or work to help us. How, then, did they become common features of our homes?

Scholars had believed that the ancient Egyptians were the first to keep cats as pets, starting around 3, 600 years ago. But research over the past five years has generated fresh insights into both the ancestry of the house cat and how its relationship with humans evolved. In 2004, Jean-Denis Vigne of the National Museum of Natural History in Paris reported finding the earliest evidence of humans keeping cats as pets on the Mediterranean island of Cyprus. He found that 9,500 years ago an adult human of unknown gender was buried in a shallow grave there. In its own tiny grave just 40 centimetres away was an eight-month-old cat, its body oriented in the same westward direction as the human's. This indicates that people had a special relationship with cats nearly 10, 000 years ago.

With an approximate age of the beginning of cat domestication established, we can begin work on the old question of why humans ever developed a special relationship with cats. Whereas other domesticated animals were recruited from the wild by humans who bred them for specific tasks, cats probably chose to live among humans because of opportunities they found for themselves there. For example, it is almost certain that house mice attracted cats into homes. Over time, those wild cats adapted to human environments.

Because small cats do little harm, people probably did not mind their company. They might have even encouraged the cats to stay around when they saw them killing mice and snakes. Cats may have held other appeal, too. Some experts think that cats possess features that might help them to develop a relationship with people. In particular, cats often have "cute" features, which are known to attract nurturing from humans. In all likelihood, then, some people took kittens home simply because they found them adorable and tamed them, giving cats an entry into the human family.


以下は例の如く以前に私が個人で作っていたものです。


概要 
 ペットとしてのネコと人間の関係について。ネコはペットとして人気だが、なぜそうなったのか。他の動物は仕事をするから、食料になるからと言う理由で飼われたがネコにはそのような利点はほとんどない。
 ペットとしてのネコの始まりは約3600年前のエジプトだと信じられてきたが、新しい説がある。約9500年前の地中海キプロスで、ネコと一緒に埋葬されたと思わしき人の墓が出てきたのだ。
 付き合いの始まりがいつか分かれば、次は付き合いの深まりのなぞについてだ。他の動物は人間の都合で野から連れてこられたのに対し、おそらくネコはその利点のため自ら人間と共存する道を選んだ。たとえばネズミの存在だ。
 ネコは殆ど無害だから人間はネコの存在を嫌がらず、ネズミや蛇の退治役として歓迎しさえした。養育したくなる愛らしさがあるなど、ネコには人との関係を深めるのに役立つ他の特徴があったという見方もある。きっと、誰かが可愛いからネコを自宅へ連れ帰り飼い人のうちへ入るのを許したのだろう。

読解の方向性 大問1と同じく文の流れはオーソドックスで内容も素直。ネコと人間の関係の謎、ネコと人間との付き合いの歴史、ネコと人との関係の理由1、ネコと人との関係の理由2といった段落構成である。

問題文のポイント
・一段落三文、Yet, as familiar as these creatures are, understanding their origins have proved difficult. as familiar as these creatures are は譲歩。最初のasがない方が受験生にはなじみがあるだろうが、文脈を考えればそう難しくはない。
・三段落二文、Whereas other domesticated animals were recruited from the wild by humans who bred them for specific tasks, cats probably chose to live among humans because of opportunities they found for themselves there. Whereasは対比を表し≒while。下線部訳の問題でも出ている。opportunities they found for themselves there の構造が分かるか。
・四段落一文、people did not mind their companyはmindとcompanyのニュアンスが掴めているか。

各問の分析
1 下線部の日本語訳
Whereas other once-wild animals were domesticated to serve humans, cats contributed virtually nothing in the way of food or work to help us.
・Whereas ≒ Whileであることを知っているか。
・domesticate、contribute などは必修語。
・virtually ≒almost virtuallyやinitialなどはより簡単な語と同義だと覚えるのがよい。
・in the way of food or work to help us の具体的イメージが湧くか。具体例が出せるか。
解答例:「かつては野生動物であった他の動物が人の役に立つように飼い慣らされた一方で、ネコは食用としてあるいは仕事をするものとして人の役に立つ貢献をほとんど何もしていない」

2 代名詞Thisの内容を日本語で答える問題。
キプロス島で約9500年前にネコと共に埋められたと見られる人がいたという話に続けて、This indicates that people had a special relationship with cats nearly 10,000 years ago. 例によって、含められる情報はなるべく多く含めて解答する。
解答例:パリの国立自然史博物館に勤務するバイン氏によって地中海のキプロス島で2004年に確認された約9500年前のものとされる人の墓から40センチの近くに同じ西向きに埋葬されていた月齢八か月のネコが発見されたこと。

3 下線部の日本語訳
With an approximate age of the beginning of cat domestication established, we can begin work on the old question of why humans ever developed a special relationship with cats.
・withの付帯状況の構文、establishedが補語であることが分かるか。
解答例:「猫が飼い慣らされはじめたおよその年代が分かって、昔からの謎である何故我々が猫と特別な関係を発達させたのかという問題に取りかかれる。」

4 人間がネコをペットとして受け入れた理由を3つあげよ。
本文中に出てくる解答になりそうな情報は、1)ネコ自身が自身の利益のために人間との共存を選択し、人間はネコが無害なため、その存在を嫌がらなかった。2)ネコはネズミやヘビを補食するため人間に受け入れられた。3)ネコは飼育したくなる愛らしさを持っており、人間が家に連れて帰り飼うようになった。以上の3点。ヘビとネズミを分けるなどする受験生もいそう。


次に入試問題研究会で得た知見をまとめたもの。受験生の再現答案分析による。(   )内は私個人の感想などの補足。

問1
・be domesticated to serve humans の解釈でほぼ適切なものが5割。domesticated をdominatedと混同したような答案がよく見られる。
・in the way of food が「それ自体が食物になったり、牛乳のように食物を供給するという点で」という意味にとれていないものが1/3。
・in the way of 自体に誤解や欠落があるもの半数強。
・to help us の修飾関係に誤解があるもの7割弱。(to help us はリライトの関係で分かりにくくなったのかもしれないとのこと)
・virtuallyを無視したものが約3/4。
・contrubute nothingの誤解や欠落が1/3強。

問2
「9500年前にある人の墓の40センチしか離れていない場所にネコが埋葬されていた」と「ネコは人間と同様に西に向けて埋葬されていた」の2点を基準としている。(「地中海のキプロス島で」の省略は可? 人間とネコとの付き合いはエジプトで始まったという通念があるから、この発見に大きな価値があるのではないか?)
・ほぼ満足な答案が1/5強。
・同じ墓に埋葬されていたと解した誤りが4割強。
・「近く」、「墓」などに不足や誤解のあるもの 1割強。
・「西に向けて」を「同様に」など略してあるもの2割強。

問3
・ほぼ適当なもの1/4強。
・With an approximate age …establishedが付帯状況の構文だと見抜けてないものが3割強。
・approximateが不適なもの3割弱。
・the beginning of cat domesticationの誤解約1/4。
・establishedの誤解1/3弱。
・begain work on の誤解1/4弱。
(本文全体の内容理解するうえで、あまり重要性を感じない部分である。ここを下線部訳として出題するのはどうなのか。)

問4
・3つの理由がほぼ適当なもの1/4。
・ネコが無害で気にならないからを欠くものが1/4。
・ネズミやヘビの退治の欠落、誤解が1/5。
・飼いたくなるようなかわいらしさの欠落、誤解が1/5。そのうち、ネコのおかげで人間関係がよくなると解したものが1/4


締めは今回も解答例比較で目立った点について。標準答案をH、今回示された解答例をSとし、参考に他の予備校によって示された答案をYとKとする。


問1 domesticated to serve humansをYのみ「飼い慣らされて人間の役に立つようになった」と結果に解している。あとは全て目的。to help usの処理に関しては、私の解答が一番意訳度が高い。

問2 加えればきりがないが、以下のような要素を考えてみた。1) 地中海のキプロス島で、2) 9500年前の、3) ある人の墓から、4) 40センチしか離れていないところに、5) 生後8か月の、6) ネコが、7) 人間と同じく西の方角に向けて、8) 埋葬されていたこと。

H: 1)のみなし。S: 1)のみなし。K: すべてあり。ただし、「人の墓の中で」横たえられていたとしている。Y: 1)なし。他に「性別不明の成人」、「身体を」西に向けての表現があり。

問3 前半はどの解答例もほぼ同じ。work onについてH、Sは「取り組む」、K、Yは「研究する」 私は「取りかかれる」とした。ここは、実際に「研究を開始できる」というわけではなく、「話題をそちらに移せる」というニュアンスだと思われるがいかがだろうか。

問4 1つめは、ネコが小さいことに関する記述がないのがK。2つめはYのみ、ネズミ、ヘビを捕るため「人間の近くにいさせようとした」3つ目は、K、Yは「飼いたくなる、世話したくなる」の表現がなし。Yは「人間との関係を気づくのに役立つかもしれない」かわいさという表現。


今回のレポートを作っているときに、ふと思い立ってS予備校のサイトに載っている解答例も見てみた。これが研究会の解説とは距離のあるものだったのでちょっとびっくりしている。(Kさんでは考えられないことでしょう)

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