「志」の英語教育

英語教育実践について日々の雑感を語ります。

ジョーク以外で創造的読解力の養成

2008-04-29 12:10:43 | リーディング
今のところ実践はしていないが、想像的な読解力養成を狙った素材としてジョーク以外で使えそうなもののアイディアがいくつかある。

ジョークに近いものとしては4コマ漫画。手法自体は入試問題やライティング教材としてすでにおなじみである。気をつけたいのは適度な「落ち」があるものを選び、その部分を考えさせること。英検の2次試験のように絵の説明に留まってしまえば単に表現力のための課題になってしまう。手元あるCathyやPeanutsが上手く使えそうである。

よくある手法では歌詞も使える。歌詞を読ませたり歌を聴かせた上でどのような状況か想像させるのだ。スティービー・ワンダーの「心の愛」とかビートルズの「イエスタデイ」などが思いつくだろう。「ホテル・カリフォルニア」は実はドラッグの世界を歌ったものだという記事がたしか昔の「英語教育」に載っていた。 でも、これらは想像だけで真意にたどり着けるものではないので駄目。

田尻大先生が認知症になった夫についての歌を講演でよく紹介されているが、あのパターンが理想的。ただし、使えそうな素材を見つけるのは本当に大変である。

歌詞が素材として適しているのは、すべてが歌詞の中に表現されていないからである。つまり、読み手に想像の余地をわざと残しているのだ。同じ理由で詩にも教材として大きな可能性があると言える。

やや易しめの素材としては寓話が考えられよう。すべての寓話には教訓がある。というよりも、教訓を分かりやすく伝えるために寓話はあると言った方がよいかもしれない。寓話を読ませた後に教訓は何か考えさせるのである。

そして王道はやはり小説。文学を英語教育から排除しようという動きなど本当に愚かとしか言いようがない。

ジョークを使った想像的読解力の養成(2)

2008-04-29 10:40:34 | リーディング
和訳を超える読解力を養成する素材としてジョークの利点はいくつかある。第一にはもちろん文字通りの意味を超えるメッセージの理解が必要であること。そして文の長さ難易度の調節が比較的簡単なこと。そしてなんと言ってもそれを読むこと自体が楽しい活動だということだ。

前回の答えは言うまでもないが(1)がnails、(2)がgrapesである。ここで細かな解説をするのは蛇足だろう。

今回のジョークも誰でも知っている語を入れなさいというもの。(同じくオリジナルはJokeBug.com)

Two old guys, Abe and Sol, are sitting on a park bench feeding pigeons and talking about baseball, like they do every day. Abe turns to Sol and says, "Do you think there's baseball in heaven?" Sol thinks about it for a minute and replies, "I dunno. But let's make a deal: if I die first, I'll come back and tell you if there's baseball in heaven, and if you die first, you do the same." They shake on it and sadly, a few months later, poor Abe passes on.

One day soon afterward, Sol is sitting there feeding the pigeons by himself when he hears a voice whisper, "Sol... Sol..."
Sol responds, "Abe! Is that you?"
"Yes it is, Sol," whispers Abe's ghost.
Sol, still amazed, asks, "So, is there baseball in heaven?"
"Well," says Abe, "I've got good news and bad news."
"Gimme the good news first," says Sol.
Abe says, "Well... there is baseball in heaven."
Sol says, "That's great! What news could be bad enough to ruin that!?"
Abe sighs and whispers, "( 1 )( 2 ) pitching on Friday."

( 1 )、( 2 )にはどんな言葉が入りますか。

ジョークを使った想像的読解力の養成(1)

2008-04-28 07:40:15 | リーディング
伝統的なリーディング指導を行うとき、多くの場合以下のような手順がとられよう。

まず、教える対象の生徒の力を頭に描きつつ、語数とテキストの難易度などから適当な長文問題集が見繕われる。授業ではそれを頭から順に和訳させる。あとは、素材の難易度を徐々に上げていく。

この方法が全く無意味だとは言わない。むしろ、これにより読解力のどのような部分が、どのくらい身につけられるかは興味深いところである。

しかしながら、この方法だけではおそらく養成しにくい力が読解力の内には存在するようだ。それは筆者のメッセージを想像しながら読む力であり、また自分の想像が論理にかなっているかチェックしながら読み進める力である。

こういった力を意図的に育もうとするとき、避けられないのは綿密な素材選びである。その力の大切さを学習者に感じさせることのできる教材と、その力なしには解決できない「仕掛け」を指導に組み込む必要があるのではないかと考えるからだ。

実は、これに関して自分の中にいくつかのアイディアはある。その一つがジョークを使って「落ち」の部分を考えさせるというものだ。グループワークで試したら予想以上に反応が良かった。シリーズでいくつか紹介するつもりであるが、今回はその一つ目。

A duck walks into a bar and asks, "Got any grapes?"
The bartender, confused, tells the duck that no, his bar doesn't serve grapes. The duck thanks him and leaves.
The next day, the duck returns and says, "Got any grapes?"
Again, the bartender tells him that, no, the bar does not serve grapes, has never served grapes, and, furthermore, will never serve grapes. The duck, a little ruffled, thanks him and leaves.
The next day, the duck returns, but before he can say anything, the bartender begins to yell: ''Listen, duck! This is a bar! We do not serve grapes! If you ever ask for grapes again, I will nail your stupid duck beak to the bar!''
The duck is silent for a moment, and then asks, ''Got any ( 1 )?''
Confused, the bartenders says no.
''Good!'' says the duck. ''Got any ( 2 )?''

( 1 )、( 2 )にはどんな言葉が入りますか。
※ ジョークはJokeBug.comのものです。

リーディングとはどういうことか

2008-04-18 20:03:46 | リーディング
3年生向け授業、第1時間目はオリエンテーションである。受験英語の手ほどきのつもりで、学習に向かう姿勢・態度などについて覚えておいて欲しいことを一通り話した。

その中で最後に話したのが「リーディングの力とは何か」についてである。いわゆる行間を読むこと、つまり直接的に表現されていないことを読み取る力の大切さを説く。

例えば、「メスを握る山田の額に汗が光る。それを見た花子はそっとハンカチを持つ手を伸ばした」といった文からは、おそらく山田は医師で花子は看護師であること、二人は手術の最中であり簡単な手術ではなさそうだということが推測されよう。

このように想像力を活用しながら英文を読む力は、決してリード&ルックアップやシャドーイングなどのトレーニング系指導法だけでは育たないというのが私のスタンスである。

授業から帰ると机上には数研出版さんのCHART NETWORKが。実は、このジャーナルは私の密かなお気に入りだ。

巻頭の記事は「リーディングとはどういうことか」というタイトル。筆者は早稲田大学の松坂ヒロシ先生だ。

「なんという偶然」と思いながら読んでみるとこれがとても素晴らしい記事であった。特に、「リーディングは文字を追うことでも、音読でも、暗唱でも、訳読でもない」というあたりに大いに感銘を受けた。流行に翻弄され本質を失った英語教育に対する痛快な批判である。

すぐにメールを送りたいと思い早大のサイトを見たものの、残念ながらアドレスは見つからず。いつかじっくりお話を伺いたいものである。

なにはともあれ

2008-04-16 20:01:11 | その他
突如、復活します。
1ヶ月以上の長いブランクでした。
とりあえず、これからも前向きに頑張ろうという気持は持っています。

進路指導の責任者ということで、
今年は3年生の授業が12時間だけになりました。

新2年生の皆さん、ごめんなさい。