「志」の英語教育

英語教育実践について日々の雑感を語ります。

たのしくて、たのしくて

2021-05-13 21:05:20 | 授業
今日は、勤務校ALTさんとのTT。
訳あって、これからしばらくTTはありません。
その意味もあって、楽しい授業になればと思っていました。

運のよいことに、とても楽しい授業になりました。
活動の半分は、今学んでいる語彙教材と教科書からのビンゴゲームです。

ビンゴというと、教育的効果を懐疑視される向きもあるかと思いますが、
ビンゴを通して、本物のコミュニケーションができていれば、
潜在的効果は表面的なものを大きく超えると思います。

今日、面白いと思ったのは、ビンゴの「当たり」を願った生徒が、
ALTさんにテレパシーを送って「当たり」を獲得しようとし、
ALTさんもこれを理解して、テレパシーの送信・受信のまねをしたこと。

そして、それを周りで見ている多くの生徒が理解し笑っていたこと。
結果、テレパシーを送った生徒が「当たり」を獲得し喜びの表情を見せたこと。
加えて、周りの生徒がその状況を理解していたこと。

すごくないですか? これ、昨年から英語を学び始めた中2の授業ですよ!

昨年、福岡の県立校へ転籍したとき、
なぜ、キャリアダウンを選択したのかと、何度か聞かれました。

やっぱりプレーヤーとして働けるうちはプレーヤーがいい。
マネージャーは全権を与えられていなければ(あるいは与えられていても)、
本当の意味でカタルシスは得にくいものだと思います。

プレーヤーとしていけるだけいきます。
それが、自分の人生を輝かせてくれると信じています。

新教育課程、どうでしょう?

2021-04-22 22:51:19 | 授業
久々のエントリーになってしまいました。
お若い人々に約束もしたので、
このところ気になっていたことを綴ります。

ご案内の方はとっくにご案内だと思いますが、
中学校は今年度から新教育課程が一斉導入になっています。

どういうことかというと、
昨年まで旧教育課程で学んでいた中2、3も
新教育課程のカリキュラムで使う教科書で学ぶということです。

新教育課程では小学校で外国語(英語)は評価を伴う教科ですが、
旧教育課程では外国語活動として学ばれていたものの
正式な教科ではありませんでした。

つまり、私の受け持つ中2生は、昨年までは旧教育課程の1年生向け教科書で学びましたが
今年度からは小学校で英語を正式に学んだ新教育課程の2年生向け教科書で学ばなければならないということです。

当然のことながら、小学生で英語を学んだ生徒向けの教科書と
正式には学んでない生徒向けのカリキュラムには進度の差があります。

文法項目の大きな違いは未来を表す表現のwillとbe going toが未習でしたので
今年度の授業はそこのカバーから始めました。

しかし、大きな問題は語彙です。
旧課程では中学卒業時語彙レベルは1200でした。
それが、新課程では小学生時に学ぶ600を含め2200~2500に増えました。
プラス1000~1300、これはあまりにも大きい。

新教育課程の教科書のLesson1に出てきている語で
難しそうな語をアルクさんの英辞郎でレベルを調べました。
レベルの根拠は同社のSVL12000です。
ざっくり言えば、レベル1は1000語、
レベル12は12000語レベルということになります。

detective L4
naughty L6
author L3
investigate L4
situation L3
frustrate L6
scared L4
depressed L6
thrill L4
fiction L4
opponent L5
flour L3
dough L8

これらすべてが中2のLesson1のたった10数ページの中に出てきます。
現実的には、きっちりカバーするページとざっくり流すページで強弱をつけるしかないのでしょうが、
この教科書を見た、「普通の」中学生は圧倒され途方に暮れるのではと思います。
教科書はあくまでもスプリングボード、
それを超えるところの提示は指導者の裁量でと思うのは甘いのでしょうね。

私の勤務校は幸いにも県立中高一貫中学ですので、
この教科書を見て絶望的な気分になる子ばかりではないだろうと思いますが、
一般の市町の学校でこの学校を与えられたときの破壊力はいかほどかと思います。

中学の教科書の範囲から出題される公立高校の高校入試や、
高校の教科書への影響も興味があるというか心配なところです。

Freedom

2020-12-28 14:32:46 | 授業
昨日は来春受験を控えた長女の合格祈願で隣の街の神社へ。
アマビエ様のお出迎えでちょっとほっこり。

こちらの街は私が山口県の教員だった時代に9年住んだ街で
その間、結婚したり長女が産まれたりで思い入れがあります。

お祭りで御輿を担いで駆け上がった石段も、
歩いて登るだけで息があがります。
時の流れは残酷ですね。

話は変わって現任校の中一の授業です。
フリートークみたいな形で英語でのコミュニケーションを試みてますが、
教えてない文法項目を制限なく使ってます。

SDGsプレゼンのスクリプトにも教えてない文法項目満載です。

ことばの習得が他の科目の学習と異なり
暗示的かつ自然習得的な面の有用性に期待ができるなら、
文法項目の後出しも有りなのではと思っています。

まずは、コミュニケーションありき、
その上で、明示的知識の定着を目論んでいます。

PPPかTBLTかの選択ではなく、
どちらも併用でいいように思っています。


I am flying, I am free.

2020-12-11 21:28:00 | 授業
それでは、英語教育に関する夢というか目標を。

1)限界を設けない
中1だからここまで、中学生だからここまで、といった発想を完全に捨てる。
とことん行けるとこまで行く。
世の中には短期間で驚くほど外国語が上達する例は山ほどある。
いろいろな分野で中学生日本チャンピオンが出る時代、
伸ばせるところは本物の限界まで伸ばす。

2)スピーチ・ディベートコンテストに注力
今年度はコロナ禍でほとんどの大会が開催されなかったが、
世の中が元に戻れば前任校以上に力を入れて指導する。
高松宮杯に出場する生徒を出したい。
PDAで活躍する生徒を出したい。
その他、各種のコンテストで活躍できる生徒を育てる。

3)英検上位級合格者増加
準2級以上を取得する中学生を手厚く支援する。
中学在学中に、それも早いうちに2級以上挑戦を勧める。
モチベーションの高いファストラーナーには個別に課題を与え
どんどん先に進ませる。

4)英語で授業を最大限活用
英語で授業をすることにより、
コミュニケーションの中で英語力を身に着けさせる。
英語を使い意味のあるやり取りを通して
覚えようと努力しなくても、覚えてしまっている状況を作る。
コンテクストの中で表現を習得する機会を提供する。

5)様々な人々と英語でコミュニケートする機会を提供する
ネイティブでなくとも英語でコミュニケートできるゲストを呼び、
実際に英語でコミュニケートする機会を提供する。
英語がリンガフランカであることを実感させるとともに
日本人特有の英語に対する妄想的な高いハードルを消し去ってもらう。

6)スピーキングを中心に据えた4技能の涵養
4技能をバランスよく育てるにはスピーキングを中心に据えるしかない。
スピーキングを中心に据えてバランスの取れた4技能育成を図る。
そのために、校内プレゼンテーションコンテストを活用する。
SDGsの枠組みの中でプレゼンしてもらうことで、
現代社会の諸問題にも高い意識を持てるように仕向ける。

Where I am

2020-12-10 06:00:00 | 授業
昨年、福岡県立高校の採用試験を受け、運よく採用していただきました。
着任校はなんと6年一貫校の中学校、しかも中一の担任プラス同学年3クラスの英語担当です。
教職キャリア初体験の中一担当かつコロナによる変則勤務状況、本当に戸惑いました。

しかしながら、2学期末を迎える今、授業の8割弱を英語で運営しても授業は成立しています。
そんな姿には感動すら覚えます。高校生向けの教材も語彙レベルを調整すれば使用可能。中一ですよ。

過去形を学ぶ段に入り、ギアアップ、無理めな課題もどんどん与えています。
この子たちの未来に大きな可能性を確信し、中学一年生の指導に無限の広がりを感じています。
限られた時間の中でも遠くて近い未来に大きな成果が得られますように。

ノンネイティブによる最強レベルの英語教育が提供できるよう最善を尽くします。

全英連大分大会2(パラダイムシフト)

2015-11-24 21:09:42 | 授業
全英連大分大会はこれまでに参加した研修会とは意味合いが全く違っていました。学びとれたものは決して多いとは言えないのに、はっきりと感じ取れたことのインパクトが非常に大きいです。

自分の中の軸になるものが破壊され、もう一度スクラッチビルドが必要であることを悟りつつも、自分にはそれは達成できないかもしれないという恐怖感が強いです。

二つ目のキーワードは「ラーナーオートノミー」、学習者の自律を促すこと、そして、メタ認知力を上げること。これらのことばは今までにも使ってきましたが、スケールが全然違います。

問題はこれまで授業でやっていたことのうち、どれだけ多くを生徒の責任で学ばせることができるかです。自分達が教えていたことを生徒が自分で学べるような仕組を創造していかなければなりません。

その仕組の鍵となるのが「間接学習」、この業界の人なら覚えている人も多いと思いますが、故 R.Pausch先生が head fakeと呼んだあれです。

例えば、生徒が授業でなすべきことは、コンピュータの作曲ソフトを使ってどれだけ素晴らしい音楽を作れるかを競うこと。授業はその発表の場です。しかし、それをなすためには自分で作曲ソフトを理解し操作できなくてはならない。それは自分の責任でやらなければならないということだと思います。

もちろん、ピアサポートが受けやすい環境を作っておくなど、ソフトの使い方を習得するための「足場」は用意しておかなくてはなりません。

うまくいけばものすごい化学反応が起きるでしょうが、触媒の役目が不発だとなんともしょぼいものになってしまいます。

単に「英語の授業は英語で」などといった安っぽいものではないのです。

公開授業

2015-03-05 22:43:18 | 授業
久しぶりに、外部向け公開授業をしました。
今回は、指導主事先生に加え他校校長先生、副校長先生にお越しいただき、
この上なく有難いことでした。

昨今、報われない思いの残る仕事の多い中、
身に余る励ましのお言葉を参加された先生方からいただき、
本当にありがたいことでした。

授業者が元気をいただく公開授業では本当はだめなのですが
少なくとも、明日からまたエネルギー満タンで授業に迎えます。

お越しいただいた先生方、同僚の先生方、どうもありがとうございました。

ありがたいことです

2012-03-06 22:20:50 | 授業
昨年の4月より、2年間の期限付きで
隣県のパイロット校に勤めておりますが、
ようやく、折り返し地点が見えて参りました。

ほぼ、文科省直下ですので
相変わらず個人的な活動は控えめにしています。

そのような状況でありながら、
拙ブログへお運びいただいた方々が
少なからずおられることには、
心から有り難いことだと感謝しております。

この一年間、公開授業をはじめ、
様々な活動をさせていただきました。
また、多くの方々との新たな出会い(あるいは、貴重な再会)にも恵まれ、
自分の幸運さに申し訳ない気持ちさえ抱いています。

本来であれば、今こそ自分の経験を記録に残して
多くの方の目に触れるところにしておくことが、
より大きな視点からは有益なことでしょうが、
自分の置かれた状況を鑑みて、
然るべきときに、然るべき形で
お伝えできればと考えています。

来年度もよろしくお願い致します。