シリーズ第三回目は要約の課題から。要約に関しては個人的にあまり嬉しくない思い出があり、苦手と言うより嫌いな問題パターンだ。まあ、それはともかく、要約は受験指導では避けて通れないところであり、他の先生方の授業を見学できるのは有り難いことである。また、木村先生から要約技術に関する素晴らしいアイディアを頂いたことはすでに記した。
しかし、個人的には今の主たる関心事は読解の深み。要約のために取捨選択をかけながら読むという技術の必要性は深く認識しつつ、敢えて要約課題を使って読みの深さについて述べてみたい。というわけで要約技術論は先延ばし。
以下のパッセージは、ちょっと面白い趣旨の温暖化に関する論説文の結びの部分である(一部リライト)。その前に簡単に前半の内容を紹介する。
「温暖化については実は正確に分かっていないことが多い。また、新しい科学的な報告からすると、温暖化のスピードやその大きな被害の現実化は初期の予想よりも遅れそうだ。もしそうであれば、代償、危険度、効果などを冷静に見極めて温暖化対策を講じるべきだ」
これに続いて、
If global warming is really happening, but it won't bring imminent disasters, a gradual approach is worth considering. (中略) A gradual approach also makes it cheaper to exchange dirty technologies with cleaner ones. It costs much more to close down a coal plant earlier than planned than to replace it with something cleaner at the end of its useful life.
この文章の中で面白いと思うのはdirty - clean と、coal plant。 dirty - cleanはもちろん単に汚い、清潔のレベルではない。
dirty = 地球温暖化を加速する(温暖化ガスを多く発生する)
clean = 地球温暖化をあまり加速させない(温暖化ガスをあまり発生しない)
さらに、coal plantがより"clean"なものに取って代わられなければならない対象であることを考えれば、おそらくこれは「石炭工場」ではなく「(石炭を用いる)火力発電」であろうという論理的な推測が可能になる。さらに、それに対してsomething cleanerは「水力、風力、太陽熱などの発電」であろうと思いを巡らせ、この範疇に原子力を入れるのは可能だろうかなどと考えることにもつながっていくだろう。
読む力をしっかりつけるためには、このように批判的視点を持ったり発想を広げたりして考えながら読むことが必要なのではないか。辞書を使いながら、文(章)構造を解析するという従来型の学習だけでは越えられない壁が存在するのである。ちなみにdirty - clean、coal plantについて上記のような意味を手元の辞書に見つけることはできない。
しかし、個人的には今の主たる関心事は読解の深み。要約のために取捨選択をかけながら読むという技術の必要性は深く認識しつつ、敢えて要約課題を使って読みの深さについて述べてみたい。というわけで要約技術論は先延ばし。
以下のパッセージは、ちょっと面白い趣旨の温暖化に関する論説文の結びの部分である(一部リライト)。その前に簡単に前半の内容を紹介する。
「温暖化については実は正確に分かっていないことが多い。また、新しい科学的な報告からすると、温暖化のスピードやその大きな被害の現実化は初期の予想よりも遅れそうだ。もしそうであれば、代償、危険度、効果などを冷静に見極めて温暖化対策を講じるべきだ」
これに続いて、
If global warming is really happening, but it won't bring imminent disasters, a gradual approach is worth considering. (中略) A gradual approach also makes it cheaper to exchange dirty technologies with cleaner ones. It costs much more to close down a coal plant earlier than planned than to replace it with something cleaner at the end of its useful life.
この文章の中で面白いと思うのはdirty - clean と、coal plant。 dirty - cleanはもちろん単に汚い、清潔のレベルではない。
dirty = 地球温暖化を加速する(温暖化ガスを多く発生する)
clean = 地球温暖化をあまり加速させない(温暖化ガスをあまり発生しない)
さらに、coal plantがより"clean"なものに取って代わられなければならない対象であることを考えれば、おそらくこれは「石炭工場」ではなく「(石炭を用いる)火力発電」であろうという論理的な推測が可能になる。さらに、それに対してsomething cleanerは「水力、風力、太陽熱などの発電」であろうと思いを巡らせ、この範疇に原子力を入れるのは可能だろうかなどと考えることにもつながっていくだろう。
読む力をしっかりつけるためには、このように批判的視点を持ったり発想を広げたりして考えながら読むことが必要なのではないか。辞書を使いながら、文(章)構造を解析するという従来型の学習だけでは越えられない壁が存在するのである。ちなみにdirty - clean、coal plantについて上記のような意味を手元の辞書に見つけることはできない。