所属中学校で行われている取り組みの一つに、自学ノートというものがある。
何でも自習した痕跡をノートに残し、それを日々提出して確認するのだ。
その中の、おそらく国文法の学習で、面白いものを見つけた。
自動詞:それ自身の動作・作用を表して、「何を」ということばを必要としない動詞
他動詞:他へ働きかける動作・作用を表して、「何を」ということばを必要とする動詞
これを見たときに、英語の自動詞・他動詞の区別で迷う日本人学習者が多い理由が少し分かったような気がした。
少々、ややこしい話になるので先に結論から。
同じ文法用語であっても、言語が異なれば、その定義や使い方が異なってくる。
そして、そのことに気づいている人は意外と少ない。
たとえば、英語の授業の中で、
lookは「意識して視線を向ける」なので自動詞、
seeは「見ようとしたのでなく見える」なので他動詞、
という説明を聞くことがある。
それなら、goとvisitの関係はどうか。
I went to London last summer. と
I visited London last summer. の間に
自動詞だから、他動詞だから発生しうる重要な意味的違いはあるか。
私自身は英語における自動詞と他動詞の違いは、
目的語があるかどうかにつきると教えている。
その場合に、前置詞+名詞のセンスグループはすべて修飾語であり、
目的語には絶対にならないことを明白に伝えておくべきだ。
そして、副詞は多くの場合、
「いつ」、「どこで」、「どのように」、「どのくらい」の意味の範疇に入る。
I visited London. のように、
すべての場所情報が修飾語句というわけではない点には注意する必要はある。
加えて、副詞的目的格のような
前置詞が食われてしまう表現にも注意がいるかもしれない。
話は少し逸れるが、若い頃、先輩の教員に、
補語をどのように説明したらいいか悩んでいると相談したことがある。
そもそも、補語は日本語文法にはないのでイメージが掴みづらいのだ。
「補うことばだと説明したら」とアドバイスをいただいたが、
何をどう補うと教えていいのか当時は分からなかった。
しかし、さすがに少したてば私にも理解できた。
第一文型 → 主語 + 動詞(完全自動詞) +(副詞(句・節))
第二文型 → 主語 + 動詞(不完全自動詞)+ 主格補語 +(副詞(句・節))
第三文型 → 主語 + 動詞(完全他動詞) + 目的語 +(副詞(句・節))
第五文型 → 主語 + 動詞(不完全他動詞)+ 目的格補語 +(副詞(句・節))
※(副詞(句・節))はない場合、文頭や、主語と動詞の間に来る場合もあり。
つまり、補語は不完全な動詞を補っているのである。
たとえば、He got angry. であれば、
get angry で「怒る」という意味の一つの動詞として機能している感覚で、
You make me happy. であれば、
make ~ happy で 「~を幸せにしている」という一つの動詞のような感じである。
英語の自動詞・他動詞の区別は、その和訳を通して考えるべきものではない。
もちろん、国文法における自動詞・他動詞のとらえ方を否定するものではない。
言語が変わり文法体系が変われば、文法用語の捉え方も変わって当然なのだ。
他にも、こんな例がある。
gerund ということばは、英文法では「動名詞」とされ、
「~すること」と和訳される場合が多い。
ところが、gerund = 動名詞ではない。
wikiを引いてみる。
A gerund is any of various nonfinite verb forms in various languages;
most often, but not exclusively, one that functions as a noun.
In English, it has the properties of both verb and noun,
such as being modifiable by an adverb and being able to take a direct object.
日本語を学ぶための日本語文法の中では、日本語文法で使われるgerundを動詞の「~の」「~て」への活用形だとしている。これでは、話が通じないはずである。
ちなみに、国文法の形容動詞は、「な形容詞」と呼ばれ、日本語文法では普通の形容詞(い形容詞)と区別されている。
最後にもう一点ネットを回っていて気になったこと。
多くの人が、runは自動詞、speakも自動詞のような書き方をしている。
May I speak to Jane? のspeakは自動詞だが、
I don't speak English. のspeakは他動詞である。
I run on Sunday morning. のrunは自動詞だが、
I don't want to run a risk. のrunは他動詞である。
多くの動詞は様々な意味と用法を持ち、
自動詞として使われる場合もあれば、
他動詞として使われる場合もある。
その区別の決め手となるのは、唯一目的語の有無だけなのである。
何でも自習した痕跡をノートに残し、それを日々提出して確認するのだ。
その中の、おそらく国文法の学習で、面白いものを見つけた。
自動詞:それ自身の動作・作用を表して、「何を」ということばを必要としない動詞
他動詞:他へ働きかける動作・作用を表して、「何を」ということばを必要とする動詞
これを見たときに、英語の自動詞・他動詞の区別で迷う日本人学習者が多い理由が少し分かったような気がした。
少々、ややこしい話になるので先に結論から。
同じ文法用語であっても、言語が異なれば、その定義や使い方が異なってくる。
そして、そのことに気づいている人は意外と少ない。
たとえば、英語の授業の中で、
lookは「意識して視線を向ける」なので自動詞、
seeは「見ようとしたのでなく見える」なので他動詞、
という説明を聞くことがある。
それなら、goとvisitの関係はどうか。
I went to London last summer. と
I visited London last summer. の間に
自動詞だから、他動詞だから発生しうる重要な意味的違いはあるか。
私自身は英語における自動詞と他動詞の違いは、
目的語があるかどうかにつきると教えている。
その場合に、前置詞+名詞のセンスグループはすべて修飾語であり、
目的語には絶対にならないことを明白に伝えておくべきだ。
そして、副詞は多くの場合、
「いつ」、「どこで」、「どのように」、「どのくらい」の意味の範疇に入る。
I visited London. のように、
すべての場所情報が修飾語句というわけではない点には注意する必要はある。
加えて、副詞的目的格のような
前置詞が食われてしまう表現にも注意がいるかもしれない。
話は少し逸れるが、若い頃、先輩の教員に、
補語をどのように説明したらいいか悩んでいると相談したことがある。
そもそも、補語は日本語文法にはないのでイメージが掴みづらいのだ。
「補うことばだと説明したら」とアドバイスをいただいたが、
何をどう補うと教えていいのか当時は分からなかった。
しかし、さすがに少したてば私にも理解できた。
第一文型 → 主語 + 動詞(完全自動詞) +(副詞(句・節))
第二文型 → 主語 + 動詞(不完全自動詞)+ 主格補語 +(副詞(句・節))
第三文型 → 主語 + 動詞(完全他動詞) + 目的語 +(副詞(句・節))
第五文型 → 主語 + 動詞(不完全他動詞)+ 目的格補語 +(副詞(句・節))
※(副詞(句・節))はない場合、文頭や、主語と動詞の間に来る場合もあり。
つまり、補語は不完全な動詞を補っているのである。
たとえば、He got angry. であれば、
get angry で「怒る」という意味の一つの動詞として機能している感覚で、
You make me happy. であれば、
make ~ happy で 「~を幸せにしている」という一つの動詞のような感じである。
英語の自動詞・他動詞の区別は、その和訳を通して考えるべきものではない。
もちろん、国文法における自動詞・他動詞のとらえ方を否定するものではない。
言語が変わり文法体系が変われば、文法用語の捉え方も変わって当然なのだ。
他にも、こんな例がある。
gerund ということばは、英文法では「動名詞」とされ、
「~すること」と和訳される場合が多い。
ところが、gerund = 動名詞ではない。
wikiを引いてみる。
A gerund is any of various nonfinite verb forms in various languages;
most often, but not exclusively, one that functions as a noun.
In English, it has the properties of both verb and noun,
such as being modifiable by an adverb and being able to take a direct object.
日本語を学ぶための日本語文法の中では、日本語文法で使われるgerundを動詞の「~の」「~て」への活用形だとしている。これでは、話が通じないはずである。
ちなみに、国文法の形容動詞は、「な形容詞」と呼ばれ、日本語文法では普通の形容詞(い形容詞)と区別されている。
最後にもう一点ネットを回っていて気になったこと。
多くの人が、runは自動詞、speakも自動詞のような書き方をしている。
May I speak to Jane? のspeakは自動詞だが、
I don't speak English. のspeakは他動詞である。
I run on Sunday morning. のrunは自動詞だが、
I don't want to run a risk. のrunは他動詞である。
多くの動詞は様々な意味と用法を持ち、
自動詞として使われる場合もあれば、
他動詞として使われる場合もある。
その区別の決め手となるのは、唯一目的語の有無だけなのである。