私の専門書の読み方は甘い。ざっと流し読みしつつ、面白そうなところが見つかれば深く読むというスタイルをとっている。たいていの人が新聞を読むときに使う方法である。
当然のことながら、興味が涌くのは手持ちのコマとの関わりが基本になるので、一度目を通した書物も、二度、三度と読み返せば、自分の成長・変化に応じた新たな発見に結びつくこともある。
というわけで、夏休みの間に何冊かの専門書を眺めている。今回は、「英語の感覚・日本語の感覚」という基礎的な認知言語学に関する本からいくつか雑感を拾い上げてみる。
まず最初に上位語・下位語に関する専門用語の話。このブログでも「意味の上下関係」に関しては何度か触れている。
http://blog.goo.ne.jp/zenconundrum/e/b71a855aa942b3b3373d5cfe434ce5eb
この記事のタイトルは「スーパー・サブとプロトタイプ」、上位語を意味するsuper-ordinateと下位語を意味する(はずの)sub-ordinateを意識したものである。(ちなみにprototypeはそのカテゴリーの典型のこと。たとえば鳥であれば、コマドリはprototype度が高いだろうが、ペンギンやダチョウはかなりそれから離れている)
実は以前、この用語に対して当時の指導主事先生から指摘を受けたことがある。曰く、sub-ordinateが下位語の意味で使われるのは聞いたことがないと。何年か前に悉皆研修で県立広島大の馬本勉先生のワークショップに参加したときのことである。
門田先生・野呂先生の「英語リーディングの認知メカニズム」の中ではsub-ordinateが使われているので気にせず使い続けてきたが、池上先生はhyponymという言葉を使われている。また、上下関係の包摂性にもhyponomyという用語を用いられている。おそらく人によって、どちらの言葉が使われるか分かれるのだろうが、この辺のところは原書にあたる力のない私には分からないのだ。
次に、言葉の意味の変化について。たとえばdeerが昔は動物全般を指す言葉であったということは比較的よく知られていると思う。(そういえば竹岡先生も言及された)この語のように、時間と共に意味が変化する例はよくある。その変化パターンとして、一般化と特殊化、向上と堕落があげられている。
これらにはもちろん納得がいくのだが、個人的に面白いなと思うのは意味が真逆になるケースが多々見られること。日本語で言えば「すごい」などがその典型だろう。英語で言えばterrific とterrible、awesomeとawfulの例などがあげられるか。
困るのは、意味の変化が進行中で両極端の意味が共存している場合。有名なのは受験生必須のapparently。マイケル・ジャクソンがBADを歌ったときに、あれはcoolの意味だという説明もよく聞きました。自分の経験からいえばperuse。ネイティブ・スピーカーの夫婦が正しいのはどちらの意味か議論していたのが面白かった。このような意味の混乱はoverstatement、understatementといった修辞法から発生するのだろうか。
最後に、これまたよく目にするなぞなぞを本の中に見つけたのでそれを引いて締めにします。
A man and his young son were apprehended in a robbery. The father was shot during the struggle and the son, in handcuffs, was rushed to the police station. As the police pulled the struggling boy into the station, the mayor, who had been called to the scene, looked up and said, 'My God, it's my son!'.
How can this be possible?
当然のことながら、興味が涌くのは手持ちのコマとの関わりが基本になるので、一度目を通した書物も、二度、三度と読み返せば、自分の成長・変化に応じた新たな発見に結びつくこともある。
というわけで、夏休みの間に何冊かの専門書を眺めている。今回は、「英語の感覚・日本語の感覚」という基礎的な認知言語学に関する本からいくつか雑感を拾い上げてみる。
まず最初に上位語・下位語に関する専門用語の話。このブログでも「意味の上下関係」に関しては何度か触れている。
http://blog.goo.ne.jp/zenconundrum/e/b71a855aa942b3b3373d5cfe434ce5eb
この記事のタイトルは「スーパー・サブとプロトタイプ」、上位語を意味するsuper-ordinateと下位語を意味する(はずの)sub-ordinateを意識したものである。(ちなみにprototypeはそのカテゴリーの典型のこと。たとえば鳥であれば、コマドリはprototype度が高いだろうが、ペンギンやダチョウはかなりそれから離れている)
実は以前、この用語に対して当時の指導主事先生から指摘を受けたことがある。曰く、sub-ordinateが下位語の意味で使われるのは聞いたことがないと。何年か前に悉皆研修で県立広島大の馬本勉先生のワークショップに参加したときのことである。
門田先生・野呂先生の「英語リーディングの認知メカニズム」の中ではsub-ordinateが使われているので気にせず使い続けてきたが、池上先生はhyponymという言葉を使われている。また、上下関係の包摂性にもhyponomyという用語を用いられている。おそらく人によって、どちらの言葉が使われるか分かれるのだろうが、この辺のところは原書にあたる力のない私には分からないのだ。
次に、言葉の意味の変化について。たとえばdeerが昔は動物全般を指す言葉であったということは比較的よく知られていると思う。(そういえば竹岡先生も言及された)この語のように、時間と共に意味が変化する例はよくある。その変化パターンとして、一般化と特殊化、向上と堕落があげられている。
これらにはもちろん納得がいくのだが、個人的に面白いなと思うのは意味が真逆になるケースが多々見られること。日本語で言えば「すごい」などがその典型だろう。英語で言えばterrific とterrible、awesomeとawfulの例などがあげられるか。
困るのは、意味の変化が進行中で両極端の意味が共存している場合。有名なのは受験生必須のapparently。マイケル・ジャクソンがBADを歌ったときに、あれはcoolの意味だという説明もよく聞きました。自分の経験からいえばperuse。ネイティブ・スピーカーの夫婦が正しいのはどちらの意味か議論していたのが面白かった。このような意味の混乱はoverstatement、understatementといった修辞法から発生するのだろうか。
最後に、これまたよく目にするなぞなぞを本の中に見つけたのでそれを引いて締めにします。
A man and his young son were apprehended in a robbery. The father was shot during the struggle and the son, in handcuffs, was rushed to the police station. As the police pulled the struggling boy into the station, the mayor, who had been called to the scene, looked up and said, 'My God, it's my son!'.
How can this be possible?