いつものように7時前に学校に到着し、ごそごそと授業の準備などをしていたら、日課変更が生徒に伝わっていないことが判明した。ライティングの授業だったのだが、教材が揃わないまま強行するのもどうかと思い、リーディング教材のパッセージを使って読みを深めるための指導に急遽切り替えることにした。
教材は以下の一文。
As national boundaries gradually disappear in Europe, food has emerged as an important source of identity, giving a new twist to the phrase, "We are what we eat."
Slow Foodをテーマにしたパッセージの一部分であり、生徒は他の先生の指導ですでに学習済みなのだが、おそらく深くは読んでないだろうと踏んで問いかけたのである。グループ学習で意見を交換し読みを深めようという趣向。発問は以下のようなもの。
「We are what we eat. という表現は、もともとどのような意味だったのが、どのような社会の変化のために、どのような意味が付け加わったのか小学生にも分かるように説明しなさい」
この教材は昨年も使ったのだが、実は、失敗して痛い思いをしたのだ。そのときの自分の間違いを含めて、読解は必ずしもリニアに進むものではないことを伝えるつもりだった。
机間巡視を始めしばらくは曖昧な議論が続いたが、徐々に焦点は絞られて幸運にも私の間違いと同じ方向で意見を交わしているグループを発見。さっそく、クラス全体に議論を紹介して貰った。曰く、
「以前は食べるものがその人の所属する階級を表していたが、ヨーロッパの国境が曖昧になったため、食べ物がその人の出身地を示すようになった」
ロジックからすれば十分納得がいくが、現実にはこれは正解ではない。「アメリカでよく使われる表現なんだよ」などというヒントを与えると、首尾よく生徒の方から正解が出てきた。
「もともとは、『健康状態や体型が思わしくないのは暴飲暴食の結果であり自業自得である』という意味だったが、ヨーロッパではEUの成立などが原因で、各国毎の個性が薄くなり、『土着の食べ物は独自の文化の側面としての重要性を増すようになった』という意味でも使われるようになった」
訳すだけであれば「ヨーロッパにおいて国境が徐々に消えて行くにつれ、食べ物はアイデンティティの重要な担い手として頭角を現すようになり、私たちは私たちが食べるものであるという表現に新しい意味が加えられるようになった」でおしまいになる。
ここで終わるなら、EUのことだけでも頭に浮かべばまだましな方。メタボやマリー・アントワネットのことまで思いを巡らせて初めて、知的好奇心がくすぐられるリーディング活動と呼べるのではないだろうか。
教材は以下の一文。
As national boundaries gradually disappear in Europe, food has emerged as an important source of identity, giving a new twist to the phrase, "We are what we eat."
Slow Foodをテーマにしたパッセージの一部分であり、生徒は他の先生の指導ですでに学習済みなのだが、おそらく深くは読んでないだろうと踏んで問いかけたのである。グループ学習で意見を交換し読みを深めようという趣向。発問は以下のようなもの。
「We are what we eat. という表現は、もともとどのような意味だったのが、どのような社会の変化のために、どのような意味が付け加わったのか小学生にも分かるように説明しなさい」
この教材は昨年も使ったのだが、実は、失敗して痛い思いをしたのだ。そのときの自分の間違いを含めて、読解は必ずしもリニアに進むものではないことを伝えるつもりだった。
机間巡視を始めしばらくは曖昧な議論が続いたが、徐々に焦点は絞られて幸運にも私の間違いと同じ方向で意見を交わしているグループを発見。さっそく、クラス全体に議論を紹介して貰った。曰く、
「以前は食べるものがその人の所属する階級を表していたが、ヨーロッパの国境が曖昧になったため、食べ物がその人の出身地を示すようになった」
ロジックからすれば十分納得がいくが、現実にはこれは正解ではない。「アメリカでよく使われる表現なんだよ」などというヒントを与えると、首尾よく生徒の方から正解が出てきた。
「もともとは、『健康状態や体型が思わしくないのは暴飲暴食の結果であり自業自得である』という意味だったが、ヨーロッパではEUの成立などが原因で、各国毎の個性が薄くなり、『土着の食べ物は独自の文化の側面としての重要性を増すようになった』という意味でも使われるようになった」
訳すだけであれば「ヨーロッパにおいて国境が徐々に消えて行くにつれ、食べ物はアイデンティティの重要な担い手として頭角を現すようになり、私たちは私たちが食べるものであるという表現に新しい意味が加えられるようになった」でおしまいになる。
ここで終わるなら、EUのことだけでも頭に浮かべばまだましな方。メタボやマリー・アントワネットのことまで思いを巡らせて初めて、知的好奇心がくすぐられるリーディング活動と呼べるのではないだろうか。