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消費税5%に、自・公政権退場、核兵器廃止・自然・再生エネルギーで原発ゼロへ・憲法9条コワスナ。

セシウム基準値超え88%

2014-06-02 18:22:40 | 原発

          長崎新聞より転載

県内トピックス (2014年6月2日更新)
長崎新聞
セシウム基準値超え88%
福島県川内村のキノコに含まれる放射性セシウム濃度について報告するグループのメンバー=長崎市平野町、長崎原爆資料館
福島県川内村のキノコに含まれる放射性セシウム濃度について報告するグループのメンバー=長崎市平野町、長崎原爆資料館

 長崎大原爆後障害医療研究所の高村昇教授の研究グループは1日、福島第1原発の30キロ圏内にある福島県川内村で自生していたキノコ154点の放射性セシウム濃度を測定した結果、88%の136点が国の基準値(1キログラム当たり100ベクレル)を上回ったことを明らかにした。研究グループは「基準値を上回るキノコは食べないよう住民への説明が必要」とし、村で採取したキノコは村にある高性能機器で測定するよう求める考えを示した。

 長崎市内で開かれた原子爆弾後障害研究会で報告した。放射性セシウムはチェルノブイリ原発事故後の調査でキノコに集積しやすいことが分かっている。今回は昨年8~11月、村の住民が持参した分を調べた。

 濃度が最も高いムラサキアブラシメジモドキは1キログラム当たり最大12万4900ベクレルを記録し、基準値の千倍以上に達した。これを1日100グラム、毎日食べた場合の年間被ばく線量は約68ミリシーベルトで、がんのリスクが高まるとされる100ミリシーベルトは下回った。研究グループは今後、今回の採取場所と濃度の測定結果を示した「キノコマップ」を作成する。

 研究会には約150人が参加。被爆による健康影響に関する研究発表や「福島復興の現状」と題したシンポジウムなどもあった。


田植えに汗、子ども歓声 「広野町がんばっ会」

2014-06-02 12:45:00 | 日記

          福島民報より転載

田植えに汗、子ども歓声 「広野町がんばっ会」

 

 福島県広野町の町民有志でつくる広野町がんばっ会(鈴木すみ会長)の田植えは1日、町内折木の新妻良平さん(55)方前の水田で行われ、子どもが汗を流した。
 同会は、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故後の平成24年6月に発足した。町内で暮らす子どもたちに楽しく過ごしてもらおうと、夏休みには流しそうめん、冬には餅つき大会など、さまざまなイベントを繰り広げている。
 田植えは昨年に続いて二度目で、約30人が参加した。子どもたちは新妻さんらに植え方を教えてもらった後、水田に入った。泥に足を取られながらも、一生懸命、植えていた。
 新妻さん方の水田では、アヒルを放して害虫や雑草を除く特別栽培米を生産している。生後、数日のひなが飼われており、2週間後に水田に放される。田植えの後、子どもたちはアヒルのひなを抱っこして楽しんでいた。
 同町では、昨年からコメの栽培が再開し、昨年は110ヘクタール、今年は145ヘクタールで作付けしている。

( 2014/06/02 09:15カテゴリー:主要

 

泥んこになりながら田植えする子ども

官邸・国会前大抗議 「川内再稼働ノー」1万人

2014-06-02 12:14:19 | 原発

                                   しんぶん赤旗                    2014年6月2日(月)

官邸・国会前大抗議 「川内再稼働ノー」1万人

「大飯」判決 全原発に当てはまる

 「川内原発再稼働やめろ 官邸・国会前☆大抗議」が1日、首相官邸前と国会正門前で行われました。主催は、首都圏反原発連合(反原連)。1万人(主催者発表)の参加者が、九州電力川(せん)内(だい)原発を突破口に全国各地の原発の再稼働を狙う安倍内閣に対し、全国が連帯して再稼働を止めよう、と声をあげました。


写真

(写真)「原発ゼロに」「再稼働反対」と声をあげる人たち=1日、国会正門前

 30度を超える炎天下にもかかわらず、続々と人々が駆けつけました。国会正門前では、原発立地県の議員や市民団体の代表、国会議員らが訴えました。

 反原連のミサオ・レッドウルフさんがあいさつし、「原発を再稼働させようとする政府・電力会社は巨大な城に見えるが、私たちの力で必ず壊すことができる」と呼びかけました。

 かごしま反原発連合有志の岩井哲さんは「川内原発の周辺には地上だけではなく、海底にも火山があり、いつ噴火、地震、津波が襲ってくるかわからない」と危険性を告発。「13日の鹿児島県庁包囲行動を成功させ、再稼働を必ずとめたい」と語りました。

 北海道反原発連合の中川喜征さんは「原発が事故を起こせば、北海道全体が被害にあう。全国で力を合わせ、原発ゼロをめざそう」と発言。「みやぎ金曜デモ」の布原啓史さんは「大飯原発の運転差し止めを命じた福井地裁判決を武器に、原発ゼロを実現しよう」と話しました。

 「原発をなくす全国連絡会」の馬渡耕史さんは「再稼働を狙う政府や電力会社が『参った』というまで声を上げ続けよう」と訴えました。

 首相官邸前では、「再稼働反対」「すべてを廃炉」とコールしました。

 熊本県水俣市から参加した男性(76)は「水俣は、川内原発が事故を起こしたときの避難先ですが、避難に29時間もかかるなんて非現実的です。企業のもうけのために水俣病の犠牲になった地域として、原発には反対です」と語りました。

 「STOP HAMAOKA(ストップ・浜岡)」と書かれたTシャツを着た女性(36)は、10歳の娘と静岡県沼津市から参加。「危険だと分かっている原発に、なぜ安全神話をつくってまで再稼働と輸出をしたいのか」と語りました。

志位委員長がスピーチ

写真

(写真)スピーチする志位和夫委員長(中央)、笠井亮衆院議員(右)、吉良よし子参院議員=1日、国会正門前

 日本共産党の志位和夫委員長は1日、笠井亮衆院議員、吉良よし子参院議員とともに反原連の抗議行動に参加して、国会正門前でスピーチしました。

 志位氏は、大飯原発の運転差し止めを命じた福井地裁判決について、「国民の世論と運動がかちとった判決だ。この判決の論理は、日本のすべての原発にあてはまる」と強調。「判決を重く受け止めて全国の原発の再稼働を断念せよ、川内原発の再稼働を断念せよ、このことを訴えたい」とのべました。

 志位氏は、「川内原発が立地している場所は、超巨大噴火にともなう火砕流が過去、何度も襲ったという大問題が指摘されている」と強調。火山噴火予知連絡会会長が「噴火するかしないかで立地の適否を判断するなら、“わからないから立地は認められない”ということになる」とのべていることを示して、「川内原発にいま求められているのは、廃炉です。ただちに廃炉にすることこそ、いま決断すべきです」と訴えました。(スピーチ)

 

「世界標準に達してない」 泉田知事インタビュー

2014-06-02 09:08:02 | 原発

朝日デジタルより転載

「世界標準に達してない」 泉田知事インタビュー全文〔2014年4月23日 朝日新聞デジタル〕

<<   作成日時 : 2014/04/27 10:00   >>

「世界標準に達してない」 泉田知事インタビュー全文
聞き手=論説委員・稲垣えみ子
2014年4月23日02時51分
http://digital.asahi.com/articles/ASG4376Y6G43PTIL02R.html





 泉田裕彦・新潟県知事とのやり取りは次の通り。

原発の新規制基準「住民守れぬ」
原発30キロ圏首長アンケート(3/11)

 ――泉田知事は米国原子力規制委員会(NRC)のヤツコ前委員長との対談で、原発の立地自治体でつくられている避難計画は実際には機能しないのではと指摘されました。どんな点が、なぜ、機能しないと考えておられるのでしょう。

 「まず大前提として、原子力規制委員会が『新しい規制基準をクリアしている』と判断した原発も、『安全な原発』ではないのです」

 「そもそも、規制基準適合審査とは安全審査ではありません。一定の確率で事故が起きることを前提にしている基準であり、この基準を満たしたからといって、安全性を保証するものではありません。いざトラブルが起きたとき、周辺の住民が健康に影響のある被曝(ひばく)をすることは避けられない内容の規制なのです。つまり、緊急事態が生じたときに自治体がしっかりした対応ができなくては、住民の命、安全、健康は守れません」

 「では、いざというときに住民を安全に逃がすことができるのか。私は2007年の中越沖地震で、原発と地震の複合災害を疑似体験しました。その経験からいうと、計画の形をつくっただけでは、とても住民を安全に避難させられるとは思えません」

 ――なぜそう思うのですか。

 「避難計画で、あらかじめ逃げる場所を指定しておくことはできるでしょう。問題は、放射能が出てくるまでの制限時間内に、安全に逃げ切ることができるかどうかです」

 「東日本大震災はプレート境界型の地震でした。私も現地を見ましたが、津波の影響のないエリアでは、直下型だった中越沖に比べて比較的道路の被害は少ない印象でした。直下型地震では、事態はより深刻になる可能性があります」

 「中越沖地震で何が起きたかというと、道路が次々に寸断されたんです。道路というのは、端に30センチでも段差があったらもう通れない。とりあえずは段差ができたところに砂利を敷いて、そこを徐行して通るしかないんですが、その応急措置をとるだけでも半日かかりました。つまり、直下型地震が来ると『道路が連続してつながっている』という想定そのものが難しくなる。1カ所でも段差ができたら全部止まってしまうというのが道路の性質なんですよ。中越沖のときは、消防自動車もパトカーも救急車も、すべての緊急車両が動けなくなり、現場に3時間かかってもたどりつけなかったのです」

 「原発で事故が起きたとき、どのくらいで放射能が出てくるのでしょうか。東日本大震災では、全電源喪失から8時間半でベントの判断をしています。国会事故調では、それでも判断が遅かったと指摘しています。ということは、数時間のあいだに逃げなければ間に合わない可能性があります。ところが実際には、緊急車両ですら通るのに半日かかってしまう。住民が制限時間内に逃げられず、健康に影響のある被曝(ひばく)が避けられないケースがおおいに起こり得るのです」

 ――どうしたらいいのでしょう。

 「新潟県からは、いわゆる核シェルターのようなものがないと避難しきれないと提案しています。さきほど申し上げた道路の問題に加えて、例えば夜中に事故が起きた場合はどうするんでしょうか。数時間で全員に連絡して圏外へ避難させるなんて至難の業です。高齢者、お子さん、病気の人もいる。逃げられるはずがないんです」

 「さらに、線量が高くなってくると、避難に必要なバスの運転手さんの手配もできません。原発の構内で働く人でも、浴びてもよい放射線量の上限値は法令で定められています。実際に事故が起きると、この上限値を大幅に超える線量を浴びる可能性があります。そういう場所へ運転手さんを派遣しようと思っても、できません」

 「実際、東日本大震災の時は、福島からSOSをもらって新潟からバスを派遣したんですが、やっぱり民間の人は線量の高いところへは入れないんですよ。法令で入っちゃいかんことになっているわけで」

 「緊急車両もたどり着けない、バスも派遣できない。そういう状況で、どうやって避難するんですか」

 ――それで核シェルターを用意するわけですね。集落に一つのシェルターをつくるようなイメージでしょうか。

 「現場からは『各戸につくってくれ』という声も出ています。みなさん、いろいろな事情を抱えています。たとえば寝たきりの家族がいたら『体育館に行ってくれ』と言われても行けないでしょう。特に新潟は雪国ですから、雪が降っていたら動けないんですよ。だから自宅にシェルターが欲しいという声も出てくるのです」

 ――かなりの予算が必要になります。

 「そうですね。国に必要な財源措置をしてもらわなければなりません」

 「問題はまだあります。小さいお子さんの健康被害を避けるためにはヨウ素剤を早く服用することが重要ですが、国は市町村に『医師の説明をしたうえで配布しろ』と指示しているのです。実際は難しいですよ。原発から5キロ圏内の住民にはあらかじめ配っておけというのですが、仕事で来ている人や、たまたま原発近くの道路を通過している人もいます。そういう人にはどうやって配るんですか」

 「さらに、直下型地震では通信回線も途切れるんですよ。携帯も通じません。交通も通信も途切れるなかで、どうやって服用の指示を出すんですか。それなのに、指示を届けることは自治体任せです。30キロ圏内は事前配布もしません。いざ事故が起きてから『取りに来て下さい』といって、並んで取りに来てもらっている間にメルトダウンが起きて被曝(ひばく)したらどうするんでしょう」

 「現実に複合災害が起きたときのことを想定すると、とても、いまの国のやり方では機能すると思えないんです」

 ――要介護者の避難も難題です。福島では実際に、多くの人が避難の途中で亡くなりました。

 「新潟ではいま、福祉施設など施設全体を順次『核シェルター化』して、放射性物質が中に入れないように作り替えています。無理に避難するよりは、そのほうが安全だと思うからです。ただ当然、未来永劫(みらいえいごう)そこにいるわけにはいきません。いずれ救助に行くことになります。誰が行くんでしょうか」

 「規制区域になった場合、消防が行くんでしょうか。消防署員は自治体職員ですが、放射線量が高いところに突入するような装備もないし、訓練も受けていません。放射能に対しては民間人と全くいっしょです。じゃあ自衛隊が行くんでしょうか。それとも特別なレスキュー隊をつくるんでしょうか。そんな法体系や組織の整備やコンセンサスが必要なのに、国は何もやらないわけですよ。原発災害が起きたら『即時避難』というだけです。極めて無責任だと思います」

 ――そもそも国は、複合災害で原発事故が起きたとき、現実に何が起きるのかという想定をきちんとしているのでしょうか。

 「とてもそうは思えません。原発が事故を起こすとしたら、地震や津波などの大災害が起きたときだと考えるのがふつうです。そのとき道路が機能していると考える方がおかしいのに、それすら想定しているように見えません」

 「なぜこんなことになっているのかというと、おおもとの国の法や制度が、福島の原発事故の反省を生かさないままになっているからです。いまの法律では、自然災害は災害対策基本法で対応します。事務局は内閣府です。一方、原子力災害は原子力災害対策特別措置法で対応します。事務局は原子力規制庁です」

 「原子力災害と自然災害は同時に起きる可能性が極めて高いのに、こんなバラバラなことをしているから、当然起きうる事態が想像できないんです」

 「私は中央防災会議でずっと『一本化してほしい』と発言しています。民主党政権では平野達男・復興大臣が法改正をすると発言したのですが、政権交代後、検討対象から外れてしまいました。自民党は震災のとき当事者ではなかったので、あのときいかに混乱したか、実感が伴っていないように思えます」

 「このままでは、いざ何かが起きたとき、指揮系統がばらばらになって避難がうまくいかずに大混乱した東日本大震災の失敗を繰り返しますよ。避難指示を出す権限は、自然災害では市町村長、原発災害では官邸。どうしてこれで住民をきちんと避難させることができるんでしょうか」

 ――お話を伺っていると、避難計画を立てること自体が難しい原発が多いようにも思えます。そもそも日本では『事故は起きない』という前提で原発を建ててきたので、人口密集地にあったり、原発が集中立地していたり、避難路が一本しかなかったり、冬場の気象条件が厳しかったり、事故時の避難を前提として建てられていない原発がたくさんあります。

 「だからこそ、いざというときに住民の被害をいかに減らすかを考えれば、どの国よりも厳格な避難計画がなければおかしいでしょう。そこをきちんとやらないっていうのは、住民にリスクを押しつけたまま、カネのためにだけ原発を動かすっていうふうにしか見えないじゃないですか」

 ――どうすればいいのでしょう。

 「私は、福島の事故後にできた原子力規制委員会に、きちんと責任を果たしてほしいと思っています。規制委は、設置法のなかで『原子力利用における安全の確保を図ること』が任務とされています。ところが今の規制委は、原発のハードの設備を審査するだけです。これでは住民の安全は確保できません」

 「規制委は政府から独立した権限を持っていて、政府の不備を直すことができます。いざというときに住民が安全に避難できないような法や制度の不備があれば、新たな法や制度を整備するよう、関係省庁に勧告することができるのです。そういうふうに制度設計されているんですよ。そのために三条委員会にしたわけです。ところが、規制委はそこから逃げています。結局、住民の安全を守る体制はすっぽりと抜け落ちたままです」

 「ちなみにアメリカでも以前は、日本と似たような事業者任せの規制でした。ところが1979年のスリーマイル島原発事故で大混乱した反省から、事故が起きることを前提に、政府も軍も出て対応する体制に変えました。さらに9・11の同時多発テロの後は、原発に航空機が突っ込んできたらどうするのかという観点から再び規制を変えていきました」

 「ところが日本は、あれだけの事故を起こしながら、あいかわらずサイトの中のハードの性能だけをみれば『安全』ということにしてしまって、何かが起きたときにどうするかを考えない。この差は大きいですよ。安全神話はそのまま残っているのです。間違っています」

 「私は、規制委に自治体の代表を入れるべきだと思います。どういうことかというと、いざというときに自分が放射能を浴びるかもしれない人間を入れるべきだと思うのです。いまの日本の規制は、自分は放射能を浴びない人たちだけでやっているのです」

 「アメリカの規制当局(NRC)から学ぶべきです。NRCの最大の人材供給源は海軍です。彼らは原子力の専門知識を持ち、組織の統制能力もあり、さらに『ユーザー』でもある。つまり、いざというときにちゃんとやらないと、自分が放射能を浴びる立場なんですね。こういう立場の人間が入っていないと、安全を確保するという観点に立った規制はできないのではないでしょうか」

 ――現実にはいま、規制委による原発の適合審査だけが着々と進んでいます。優先審査が行われている原発では夏前にも審査が終わる見込みで、政府は「世界一厳しい基準に適合した原発は再稼働する」と明言しています。

 「『世界一厳しい基準』というのはどこから出てきたのでしょうか。実際には世界標準にも達してないというのが現実だと思います」

 「事故が進展して冷却材が失われたら、最後には、線量が高いところへ誰かが近づいて冷却をしなければいけないのです。実際に福島の事故でも、4号機の使用済み核燃料プールがメルトダウンを起こしたら、囲いもないところで大量の放射性物質が放出される最悪の事態になりかねなかった。たまたま水素爆発をしたので外から水を入れることができたのです」

 「もし同じことが再び起きたとき、誰がその場所へ行くんでしょうか。労働法制上、民間事業者である電力会社の従業員に、命をかけて収束作業をするよう命じることができるのでしょうか。できない場合は、だれが収束作業をするのでしょう。アメリカでは、あらかじめその場所へ行く人間が決まっていて契約書にサインをしています。日本では何もせず、いざというときに初めて『決死隊』を精神論で募るんですか。まさに神風特攻隊じゃないですか。そんな肝心なことも何も決まっていません。議論もしていません」

 「せめて、世界標準のことをしてほしいんです。日本はこれだけの事故を起こしてしまったんですから、本来なら世界をリードするような安全の仕組みをつくって、世界に発信する必要があるんじゃないでしょうか。それが実際には、世界標準にも達していない現状を正そうともしないで、やっていないものをやっているかのようなウソをつく。こんなことをしていてもう一回事故を起こしたら、国際的な信用を失います。国としての水準が問われる話だと思います」

 ――原発の再稼働を認めるかどうかについては、どう思われますか。

 「その議論に入る前の段階だと思います。たとえどんな小さな工場でも、火事が起きれば警察や消防が入って強制捜査を行い、現場を検証し、なぜ火事が起きたのかを調べて必要な処罰を行いますよね。ところが福島であれだけの重大な事故を起こしておきながら、いまだに事故原因の究明も分析も全く不十分なままです。文明国としていかがなものか」

 「事故を引き起こしたヒューマンファクターの検証も全く行われていません。安全の確保は機械の性能だけでは決まりません。それを動かす人間がどう考えどう行動するかが、決定的に重要なのです」

 「例えば、いざ事故が起きたとき、原子炉を冷やすために海水を注入するかどうか、だれがどう判断するんでしょうか。福島の事故では3月13日になっても『海水入れるのか』と、いかにももったいないというような議論をやっている。一基5千億円するんですよ。これをパーにするような重大な経営決断を誰がするのか。いざというとき、やっぱり経済が先に立つということになったら、冷却や閉じ込めに失敗して大惨事になりかねません。そのつど誰かが判断するというのでは、とても住民の安全は守れない」

 「そうではなくて、特定の事態に至った場合には即時に海水を注入するというような対応ルールを改めて決めて欲しいと規制委に文書を出しています。でも規制委は、ここからも逃げています」

 「新潟県の柏崎刈羽原発について言えば、まずは東京電力から分離してほしいと思っています。いまの東電は、安全よりお金優先になっています。社長の頭の中は、安全について考える余裕なんてないわけですよ。借金、廃炉、汚染水、賠償と、対応しなければならない問題が山積で、安全については1割くらいしか考えられない。だから、いかにコストを安くするかということばかりです。柏崎刈羽でも当初『防潮堤はなくても安全だ』と言われました。水密扉があれば大丈夫だと。住民の安全を考えたら、カネ優先になっている限りはだめだと思うのです」

 「東電は、企業経営の観点からもモラルハザードを引き起こしています。福島の事故処理で、国が、東電にお金を貸していた金融機関も株主も免責してしまったからです」

 「資本主義のルールでは、金融機関はお金を貸すとき、その会社が事故を起こして貸したお金が回収できなくなるリスクを考えなければなりません。ところが、事故を起こしても国が保証してくれる、リスクがないとなれば、金融機関は、たとえ危なくてもカネのために動かしてもらった方がいいということになる。おかしいでしょう。資本主義の倫理が働く形になっていないんですよ。株主も、事故を起こしたら投資したお金が焦げ付くとなれば、みなで会社を監視する。そうして安全文化が育つんです。ところが株主も免責されてしまった」

 「いまの東電は、安全文化が壊れた状態で原発を運転すると言っている会社です。もってのほかだと言わざるを得ません」(聞き手=論説委員・稲垣えみ子)

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