福島民報より転載
今を生きる 音楽で子どもを笑顔に 復興祈る曲披露 喜多方の加納小
■全盲のシンガー・ソングライター いわき出身 大和田広美さん 41
「音楽で子どもたちを笑顔に」。いわき市出身で全盲のシンガー・ソングライター大和田広美さん(41)=横浜市=は14日、喜多方市の加納小でピアノコンサートを開き、復興への祈りを込めた曲を演奏した。
同校と同市の熱塩小児童が6月、修学旅行先の東京都で東京電力福島第一原発事故の風評払拭(ふっしょく)を目的に手作りした観光パンフレットを、大和田さんのガイドボランティア・坂庭裕子さん(59)=同=に手渡したのが縁で実現した。
大和田さんは1歳9カ月の時、はしかにより視力を失った。4歳の時、姉が通っていた、いわき市四倉町のピアノ教室で音楽に出会った。それまでは、目が見えないことで「他人とは違う」と感じていた。しかし、音楽なら健常者と同じように自分を表現できる。それ以来、楽しさや魅力に取りつかれ、鍵盤を弾き続けてきた。
平成23年3月11日。東日本大震災が起き、古里が津波で被害を受けたと知る。被災者を元気づけたいとの思いは募ったが、なかなか本県を訪れる機会を見つけられずにいた。そんな時、ガイドボランティアを務めていた坂庭さんがJR東京駅でパンフレットを受け取った。坂庭さんは、喜多方市や本県の名所、魅力が描かれたパンフレットを見て「郷土愛にあふれた内容に涙が出た」と振り返る。すぐに大和田さんに連絡を取り、コンサート開催が決まった。
コンサートには児童や保護者計約120人が訪れ、大和田さんのオリジナル曲「虹のかかるとき」などに聞き入った。選曲について、大和田さんは「雨上がりには必ず希望の虹が架かる。子どもたちに明るい未来を感じてほしかった」と笑顔で話した。
(2014/11/15 11:34カテゴリー:連載・今を生きる)