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小松 実
12時間前 ·
「成田空港の軍事利用は許さない」国交省・防衛省と交渉
イラク派兵に際し、武器・弾薬を含めた物資の輸送が民間機によって行われており、成田空港も利用されていたという衝撃的な事実が、過日、日本共産党辰巳孝太郎参議院議員の国会質問で明らかにされました。地元住民をはじめ、日本共産党千葉県委員会や「成田空港から郷土と暮らしを守る会」「三里塚平和塔奉賛会」などは今日、この問題で、国交省・防衛省に要請・交渉を行いました。
辰巳孝太郎参議院議員、さいとう和子衆議院議員が同席しました。
成田空港建設に当たっては、1972年4月、当時の運輸大臣(丹羽喬四郎氏)と千葉県知事、空港公団、そして三里塚平和塔奉賛会会長佐藤行通氏(日本山妙法寺三里塚道場主任)の4者によって「取極書」が交わされています。そこには、成田空港は、「純然たる民間空港であり、安保条約およびこれに基づく地位協定の存在にもかかわらず、これを軍事的に利用することは絶対に認めない。」ことが明記されており、この約定に「疑義を生じたときは、別に甲(三里塚平和塔奉賛会=小松)、乙(運輸大臣・千葉県知事・空港公団=小松)等において協議する。」こととされています。
要請では、成田空港から武器・弾薬の輸送が行われた事実があるか、あるいは行われていなかったと証明する根拠があるか、武器・弾薬、戦闘地域に行く自衛隊員を輸送することは、軍事利用に他ならないが、どうか、「取極書」に反する事態が生まれており、約定に従って改めて4者による協議の場の設定をという、諸点が焦点になりました。
しかし、これらの要請に対する国交省、防衛省の回答は、まるで誠実さを欠く、驚くべきものでした。
まず、民間機を使っての武器・弾薬の輸送実態については、関係文書が保存期間を過ぎで破棄されているため、確たる回答はできない、というもの。文書が存在しなくても、日通等、契約した会社がわかっているのだから、防衛省が発注者なのだから、実態調査をして明らかにすべきだ、との辰巳議員の再三の指摘で、しぶしぶ調査を約束しました。
また、軍事利用について国交省は、成田空港から武器・弾薬を輸送したとしても(国交省は、武器・弾薬を輸送していないことを証明できない)、防衛相が「復興支援」だと言っているので、軍事利用には当たらい、したがって協議の場を設定するつもりもない、というものでした。
それでは、「国交省は、何をもって『軍事利用』と判断するのか、その基準を示せ」との質問にも、回答することができません。「防衛相が判断する」というだけです。これでは国交省は、「取極書」の当事者たる責任をまるで放棄していることになります。参加者からは厳しい批判の声が相次ぎました。「少なくとも、『取極書』は4者によるものだから、防衛相が何と言おうと、国交省がそれをどう判断しようと、4者のうちの1者が疑義を訴えたら、『協議』は、行うべきだ。」との指摘に、これもしぶしぶ「持ち帰って協議する」との回答になりました。「仮に、協議を行う場合には、今度は防衛相も参加してほしい」との要望も出されました。
4者のなかには、千葉県が含まれます。成田空港を軍事利用させない責任が、千葉県にもあります。千葉県からも、当然、国に対して「取極書」に基づく「協議」の申し入れを行うべきです。今度はその問題で、千葉県とも話し合いを持ちたいと思っています。