ジャン・アレチボルトの冒険

ジャンルを問わず、思いついたことを、書いてみます。

球数制限は、日本に有利だった

2009-03-29 13:10:53 | Weblog
第1ラウンドは70球、第2ラウンドは85球、決勝ラウンドは100球。また、50球以上は中4日、30球以上は中1日、30球未満でも連投の場合は中1日。さらに、準決勝で30球以上は決勝で投げられない。

今回のWBCに適用された特別ルールである。

メジャー側からの強い要望で導入されたルールだが、終わってみれば、その恩恵を一番受けたのは、日本だった。

球数と連投に制限があると、素晴らしいピッチャーが一人いても、完投は出来ないので、それだけでは勝てない。どうしても、後続の「使える」ピッチャーを何人か、用意する必要がある。

例えば、先の日本シリーズでは、西武が、調子の良い岸と涌井に、ペナントレースでは考えられない壮絶な連投をさせて、日本一に輝いた。

もし、球数・連投制限があったら、総戦力で優る巨人が優勝した可能性が高い。

ひるがえって今回のWBC、

アメリカチームは、トップクラスの投手が、出場を辞退したために、実績のある選手は、準決勝の日本戦で登板したオズワルトくらいで、ややお寒い台所事情となってしまった。

韓国は、キム・グァンヒョン、ポン・ジュングン、ユン・ソクミンが三本柱だが、ユン・ソクミンは準決勝で投げ、キム・グァンヒョンは打ち崩されている。

残りの投手では、チョン・ヒョンウクとリュ・ヒョンジンあたりが、信頼出来るピッチャーだが、この二人を使い切ると、ソン・ミンハンは不調で使えず、チャン・ウォンサムとイ・ジェウは、すでに打たれていて、緊迫した試合では使いづらい。あとはリーグ戦で5勝くらいの投手ばかりで、相当に苦しくなる。

一方、日本は、岩隈の後に、ダルビッシュ、杉内、渡辺、涌井、小松、内海、田中、藤川、山口と、「使える」一流ピッチャーがずらりと控えている。

結局、ポン・ジュングンが球数制限でマウンドから降りれば、何とかなる日本と、岩隈を打っても、次から次へと力のある投手を相手にしなければならない韓国。

日本リーグと韓国リーグの規模の違いが原因だが、この投手層の厚さの差が、WBCの特別ルールによって、顕著に勝敗を左右する結果となった。

松坂大輔投手は、この球数制限を嫌がっていたが、参加国中、もっとも充実した投手陣を用意した日本が、このルールのおかげで非常に有利になったと思う。

ぜひ、次の大会でも適用して欲しいルールである(笑)。


WBCネタは、区切りをつけたつもりだったんですが、何だか、また書いちゃいました。どうも、世の中も、まだ優勝の余韻に浸ってる感じで、ついつい、あれこれ書きたくなってしまうんですよ(笑)。

プロ野球ファンとしては、近年にない、幸せなオフシーズンですね。


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WBC日本、課題の評価 (後編)

2009-03-28 10:56:25 | Weblog
1) ダルビッシュの復調
2) 先発型投手のセットアップ・抑えへの適応
3) 藤川の平常心を保ったピッチング
4) 村田のクレバーなバッティング
5) 原監督の冷静な采配

WBC開幕直前、2月27日付ブログで挙げた、上の五つの課題の評価を、前編に続いて、4番目から。

4) 村田のクレバーなバッティング A

第1ラウンドの韓国第二戦で、完封負けを喫したとき、バッター村田の中で、何かが変わったのかもしれない。

その後、第2ラウンドに入って、村田は、決して無理に引っ張らず、長打を狙わず、センターからライト方向へのヒットが多くなった。

実際、第2ラウンドの韓国第二戦で、村田が右太ももを負傷したときも、センター前にヒットを打った直後だった。

肉離れは、慣れないバッティングを続けたせいなのか?(笑)

実は、同じ変化が小笠原にも起こった。

最初の頃、力任せにバットを強振していた姿が、なりを潜め、内野の間をゴロで抜くような、ヒットが増えてきた。

この二人の変貌は、日本チームの得点力を、間違いなくアップさせた。

彼らは、ホームランや長打を豪快に放つ四番バッターから、試合に勝つためのヒットが打てる真の強打者に進化したと言えるだろう。

韓国を相手にした、大事な試合での完封負け。

それに続く、村田や小笠原の大味なバッティングへの厳しい批判。

そういう強烈な試練を経て、選手というのは、大きく変化し、成長していくものらしい。

彼らの、ペナントレースでの活躍が楽しみである。

5) 原監督の冷静な采配

これは項目別で評価。

[代表選考] B

最終メンバーの発表直後は、いろいろ賛否両論あったが、残った顔ぶれとしては、実績と実力に基づいて、ベストメンバーを選んだと言えるだろう。従って、A 評価をしたいのだけど、一つだけ、納得できないことがある。

というのも、巨人の亀井を大抜擢した意味が、未だに分からない。WBCを通して、ほとんど使わない、あるいは、使えないのなら、初めから、広島の栗原を連れて行った方が、はるかに意味があったのではないか。

結局、亀井は、重要な場面でチャンスを与えられることなく、終わってしまった。彼自身にとっても、国内のオープン戦に出ていた方が、調整という点で良かったと思う。

貴重な代表一枠を無駄にしたという批判を込めて、評価は B。

[投手起用法] A

岩隈を先発の柱にしたこと、杉内を中継ぎの要にしたこと、さらに、不安の残る藤川に代えて、ダルビッシュを抑えに抜擢したこと。以上は、評価できる決断だと思う。

さらに、試合途中の継投に関しても、球数制限や連投制限の結果でもあるが、それほど不思議に思う場面はなかった。

何と言っても、参加国中、最高のチーム防御率である。A 以外の評価は付けられない。

[スタメンの設定] C

相手投手の右左にこだわりすぎて、打順やスタメンが毎回変わる、落ち着かない打線になってしまった。そのため、出たり出なかったりの選手にとって、調子を上げるのが、難しかっただろう。

とくに、中国戦で使った「つなぐ四番」の稲葉を、韓国第一戦で、スタメンから、あっさりと外したのは、理解出来なかった。

続く韓国第二戦では、5番に起用されたが、左のポン・ジュングンに抑えられた。多くの打者がこの投手に手も足も出なかったが、稲葉だけは、第2ラウンドで出場機会をほとんど与えられず、そのうち、理由もなく「打撃不振」というレッテルを貼られてしまった。

これは、日本にとって、大きな戦力ダウンになった。

一方、村田と小笠原については、チャンスで凡退を繰り返しても、頑固に代えなかった。これは、彼らをバッターとして成長させたが、内川、川崎、片岡の出場機会を減らしたという側面もある。

すぐに下ろされる稲葉。絶対に下ろされない村田と小笠原。

「スモールベースボール」を謳いながらも、「やっぱり豪快なホームランを」という原監督の煩悩が、透けて見える起用法である。

さらに、決勝戦での四番城島という打順は、ひどい悪手である。こういった大舞台は、リードを任される捕手には、想像を絶する肉体的・心理的負担が掛かるはず。

そんな状態で、いきなり四番を任されて、さあ打ってくれと言われても、簡単に打てるものではない。城島は今まで通り、下位に置いて、リードに専念させるべきだった。

5打数ゼロ安打、2三振、1併殺が、この無茶ぶりの結果だ。

城島が不振というより、間違いなく、起用法が悪いのである。

[攻撃のパターン] B

足をからめた攻撃が、随所に見られて、それ自体は評価出来るが、ちぐはぐな感じを与える場面がいくつもあった。

例えば、キューバのカストロ前議長も指摘した、第1ラウンドの韓国第二戦。1点を追いかける8回裏、イチローを一塁において、一死から、当たっている中島に犠牲バントをさせた場面。

無死なら分かるが、一死で、走者がイチロー。エンドランでも、盗塁でも、とにかく仕掛ける好機だったと思う。

さらに、第2ラウンドのキューバ第一戦2回表。四球で出塁した小笠原、そして内川が、先発チャップマンのけん制で連続アウトという前代未聞の珍事が起こった。

単独盗塁なのか、ランエンドヒットか、どういうサインかは不明だが、間違いなく、拙い采配である。

ただ、大会が進むにつれて、青木、片岡、川崎といった、足のスペシャリストが、積極的な走塁を見せ始め、足を絡めた攻撃の形が、徐々に出来上がっていった感がある。

[守備陣容] A

守備については、日本代表のような混成チームの場合、青木、内川のレフト、片岡のショート、川崎のサードなど、慣れないポジションを受け持つのは、やむを得ない。

しかも、決勝戦で、内川が7番コ・ヨンミンのレフト前ヒットを、二塁への好返球で帳消しにしたように、むしろ上手くこなしていたと思う。

北京五輪でのGG佐藤のエラーを考えれば、出来すぎと言っても良いくらいである。

*******************

以上、五つの課題について、独断と偏見で評価してみました。ただ、何はともあれ、優勝したわけで、すばらしい感動を与えてくれたという意味では、日本チーム全体の評価はトリプルAAAです。

プライスレス!ってやつですね(笑)。

では、四年後、再び、こういう優勝記念ブログが書けることを祈って、「ジャン・アレチボルトの冒険  WBC特別シリーズ」は、ひとまず終わりにします。

読んで下さった方、ありがとうございます。


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WBC決勝10回表 ~ すれ違う投手と監督の心理

2009-03-27 17:30:02 | Weblog
かつて巨人の上原投手が、ベンチから敬遠を指示されて、泣き出したことがあった。

ピッチャーは、バッターを打ち取るために、マウンドに立っている。闘争心をかき立て、渾身のボールを投げ込むために、そこに立っている。

とくに、ピンチの場面ほど、相手が強打者であるほど、その思いが強くなる。

そんなときに、打者と勝負するな、歩かせろ、と言われるのは、とても辛いことである。ムチを入れた馬に走るなと言うのと同じくらい、無理なことである。

そして、良いピッチャーであればあるほど、そう感じるだろう。

WBC決勝戦の10回表、二死一三塁で、イチローを迎えたイム・チャンヨン投手も、敬遠の指示を怖れていたはずだ。

ヤクルトで33セーブも挙げたピッチャーである。

「ああ、イチローと勝負せずに助かった」

と思うようであれば、韓国代表チームの抑えの切り札なんかには、なっていない。

そういう心理状態にある投手に対して、

「きわどいコースを突いて、うまくいかなかったら歩かせる」

という指示は、極めて危険だ。

危険である理由は二つある。

一つめは、ピッチャーは、強打者に対しては、いつも「きわどいコースを突いて」勝負しているので、この指示は、「勝負してもよい」と同義になってしまう。

何としても勝負がしたいピッチャーからすれば、格好の免罪符である。

二つめは、勝負を挑んでいるのに、「ストライクは投げられない」という制限が入ることだ。

例えば、ど真ん中のストレートであっても、バッターが緩い変化球を待っている場合は、非常に有効な球である。つまり、通常ならば、組み立てに応じて、ストライクゾーンにどんどん投げ込んで良いし、むしろ、そうでなければ、打ち取るのは難しい。

しかし、「ストライクは投げられない」となると、途端に、組み立てが難しくなる。

手足を縛られている分だけ、投手が不利になって、打者有利となる。

「きわどいコースを突く」という指示が、あまり良い結果を生まないのは、このためだ。

そして、イム・チャンヨン投手も、イチローに打たれてしまった。

彼は、ベンチの指示を忠実に守りながら、窮屈な制限の中、投手の本能に従って、大打者イチローに立ち向かった。

そこには、目の前のバッターを何とか打ち取りたい、という思いがあるだけで、それ以上でも、それ以下でもないだろう。

一方、サインを出したキム・インシク監督の心には、イチローか中島かという以外に、韓国メディアのイチロー・バッシングやドジャース・スタジアムでのイチロー・ブーイングなど、さまざまな思惑が交錯していたと思う。

そして、「捕手を立たせての敬遠」という決断が出来なかった。

これだけの名将である。「きわどいコースを突く」という指示が、いかに危険であるか、事実、カットを繰り返すことで、イチローが圧倒的優位に立っていたことが、分からなかった筈はない。

興味深いニュースがある。

キム・インシク監督は、ヤクルトの高田監督に、謝罪の言葉を述べたそうだ。イム・チャンヨン投手に47球も投げさせて申し訳ないと、イム・チャンヨン投手に伝言を託したのだとか。

彼が、一番謝罪したかったのは、高田監督ではなく、イム・チャンヨン本人だった気がする。

試合後の記者会見で、キム・インシク監督は、イチロー「敬遠」の意図が、バッテリーに上手く伝わらなかったと釈明した。

一種の、責任転嫁である。

しかし、その後、一部の韓国メディアが、打たれたイム・チャンヨン投手を非難し始めたのを見て、激しい良心の呵責を感じたのではないか。

10回表イチローの打席。

大きなミスを犯したのは、誰なのか。キム・インシク監督自身が、それを、一番よく分かっているのだと思う。

国の威信をかけた代表チームの監督。

そこにかかる圧力は、計り知れないほどに、深く重いということだ。

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WBC日本、課題の評価 (前編)

2009-03-27 03:26:49 | Weblog
2月27日付のブログで、WBCの開幕直前、日本チームが連覇するために克服すべき課題を五つ挙げた。

1) ダルビッシュの復調
2) 先発型投手のセットアップ・抑えへの適応
3) 藤川の平常心を保ったピッチング
4) 村田のクレバーなバッティング
5) 原監督の冷静な采配

WBCが終わった今、これらの課題が達成出来たかどうか、A(十分)、B(微妙)、C(不十分)の三段階で評価してみたい。

優勝したから何も問題なしということはない。良かった点と不十分だった点をチェックすることが、次のWBC、すなわち三連覇へ、何かの足しになるかもしれない。

ここに書いても、何の足しにもならない、というもっともなツッコミは受け付けません(笑)。

1) ダルビッシュの復調  B

第2ラウンド、最初の韓国戦で、初回に3点を許したことが、ダルビッシュへの評価を下げてしまった。その後は立ち直ったものの、大事な試合の先発は、松坂と岩隈で、という流れを決定的にした。

準決勝と決勝では、抑えに回ったが、その評価も難しい。

アメリカ戦のように5点差ある場合は、素晴らしいピッチングだったが、韓国戦の9回裏1点差という厳しい場面では、第2ラウンドに続いて、強打者に連続四球を出してしまい、抑えきれなかった。

最後の10回裏は、下位打線相手とはいえ、異常な雰囲気の中で、見事に抑えて、日本に優勝をもたらしたことは、高く評価出来る。

しかし、全体として、ダルビッシュが本来の実力を出し切ったかどうかは、松坂や岩隈と比べると、微妙と言わざるを得ない。

WBCのような短期決戦では、間違いなく力のある投手であっても、メンタル面や調整面に不安がある場合は、今回のように、先発から外すのが、正解なのかもしれない。でも、選手は辛いな。

2) 先発型投手のセットアップ・抑えへの適応   A

杉内に関しては、特 A の評価である。中継ぎとセットアップを非常に上手くこなしていて、危なげなかった。

とくに、第2ラウンドのキューバ第二戦で、ずらりと並ぶ強打者を相手に、終盤三回を、ゼロ安打、4三振、無四球に抑えたのは、圧巻だった。

間違いなく、WBC連覇の立役者の一人である。

一方、ダルビッシュに関しては、上に書いたように、盤石の抑えではなかったが、難しい仕事を、急遽任された割には、よく投げたと思う。

韓国戦でも、9回裏、タイムリーを打たれた後、自分を見失いかけながらも、次の打者をアウトに取って、逆転を許さなかった。

先発型投手で中継ぎに回った選手の中で、大崩れしたひとはいなかった。大きな舞台で、不慣れな仕事だったと思うが、上手くこなしていた。

低いチーム防御率は、その成果である。

3) 藤川の平常心を保ったピッチング  B

藤川は、第2ラウンド、キューバ第一戦と韓国第二戦に抑えとして登場。いずれも、ゼロ点で切り抜けて結果を出した。

しかし、内容的に、ストレートの走りが今ひとつに見えたこと、ストライクを取るのに手こずっていたことなど、心配な面が見え隠れしていた。

藤川の場合は、変化球の球種が少ないので、ストレートが走らないと、非常に苦しくなってしまう。

結局、この二度の登板から、抑えはダルビッシュという雰囲気が出来てしまった。

つまり、第2ラウンドでの登板で、盤石のピッチングをアピール出来なかったために、抑えのチーム内最終選考に漏れてしまった、ということである。

準決勝、決勝で、藤川を抑えに使った場合、どういう結果が出たのかは、今となっては分からない。

間違いなく調子の良い選手を使って、少しでも不安のある選手は使わない。藤川にとって、気の毒な部分もあるが、優勝するには、やむを得ないことだったのかもしれない。

後編に続く。


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WBC韓国 ~ プライドの行方

2009-03-26 08:39:21 | Weblog
韓国チームのキム・インシク監督は、決勝戦、10回表二死二、三塁の場面で、

「イチローを歩かせなかったのが敗因」

と語った。

その上で、「きわどいコースを突いて、うまくいかなかったら歩かせる作戦だった」が、「バッテリーに十分伝わらなかった」と悔やんだそうだ。

しかし、イチローがヒットを放ったのは、2ストライク2ボールからである。韓国からみて、歩かせる必要があるほど、不利なカウントではない。

さらに、投手のイム・チャンヨンは、打たれたボール以外、ほとんどストライクは投げていなかった。ボールカウントが増えなかったのは、イチローが、全部カットしたからである。

つまり、バッテリーはベンチの指示を忠実に実行していた。

従って、「伝達ミス」はなかったと見るべきだ。むしろ「捕手を立たせて敬遠せよ」という指示を出さなかったことが、最大の敗因である。

では、それはなぜか?

「今後30年」発言以来、韓国メディアの激しいバッシングを受け続けているイチロー。そのイチローを、はっきりした形で敬遠するのは、彼に屈したと受け取られ、後で何を言われるか分からない。出来れば、敬遠したと見られないようなやり方で、歩かせたい。

そんな気持ちが働いたのかもしれない。

例えば、イチローをストレートに敬遠して、次の中島にタイムリーを打たれたら、韓国メディアは、イチローに脅えて、自ら墓穴を掘ったと、監督の弱腰采配をこぞって非難するだろう。

メディアによる過剰なイチロー・バッシングのために、監督自身が身動き出来なくなり、世界最強の打者と真っ向勝負する結果となって、チームを敗北させてしまった。

その辺が真相に一番近いのだと思う。

プライドや愛国心はもともと悪いものではないと思うが、度が過ぎると、自分をかえって不利な状況に追い込んでしまう。

かつて日本は、海の向こうのアメリカを見て、物量では負けているが、精神力では勝っている、実は、自分たちの方が優れているのだと信じ込んで、勝ち目のない戦争を始めてしまった。

米国への強い反発が、「米国は大したことない」という誤った判断を招き、悲惨な敗北につながった。

強いプライドや愛国心を持ちつつ、同時に、自分や自国の力を、冷静かつ客観的に判断する。

一つの理想ではあるが、成功した例を、あまり見たことがない。

残念なお知らせである(笑)。



あの打席で、一つだけ謎が残る。

あれだけ球が見えていたイチローが、なぜ、明らかなボール球まで、カットしたかという点だ。

ボールカウントが先行すれば、自分は敬遠されてしまう。なんとしても、自分が決めたい。そして、やっぱりイチローは凄い選手であると、日本に、韓国に、そして世界に見せつけたい。

そこまで考えてカットしたのだとしたら、イチローという選手は、究極のエゴイストであり、同時に、冷徹な戦略家だ。

何てことはない、「神が降りた」のではなく、自分で「神を引きずり降ろした」だけである(笑)。

度外れのプライドと冷静な判断力。

イチローは、両者が共存する、まれな成功例なのかもしれない。

コメント (2)
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勝敗を決めたのは、総戦力の差

2009-03-25 18:45:17 | Weblog
WBCの連覇、おめでとうございます!

日本は、韓国を 5 - 3 で破り、優勝しました。

延長10回に及ぶ死闘を、最後に制したのは、イチローの気迫の2点タイムリーだった。

まさに、イチローに始まり、イチローに終わった大会だった。

しかし、本当の意味で、勝敗を決めたのは、日本と韓国の間にある、大きな戦力差である。

韓国の選手は、日本を苦しめたポン・ジュングンなど、すぐれた選手が何人かいるが、それ以外の選手、とくに控えの選手については、レベルが下がってしまう。

従って、ポイントとなる選手がグラウンドからいなくなると、大きな戦力ダウンとなる。

分岐点となったのが、1点差で迎えた9回裏、韓国の攻撃である。

この回、ダルビッシュが、二死から、6番イ・ボムホにタイムリーを打たれて、同点とされてしまったが、次のバッターを抑えて、ピンチを切り抜けた時点で、実は、日本が圧倒的な優勢に立った。

なぜなら、韓国は、9回表に、抑えの切り札であるイム・チャンヨンを出した時点で、すべての投手カードを使い切っている。もう、自信を持って出せる投手はいない。

さらに、四球で出塁した3番のキム・ヒョンスと4番のキム・テギュンに代走を出したため、一番恐い打者が二人ともいなくなってしまった。そして、代打で使える選手には、さほどの迫力はない。

一方、日本の場合は、投手にしても、野手にしても、力のある選手ばかりで、誰が出ても遜色がない。

たとえダルビッシュが悪くても、渡辺、藤川、涌井、小松、内海、山口、田中と、一流投手が目白押しである。さらに、代打も、福留と阿部が控えている。

延長の総力戦になった時点で、韓国側は、日本の戦力の豊富さをひしひしと感じただろう。

結局、10回表、イチローの「神が降りた」ヒットは、背後にある、この圧倒的な戦力差が生み出したといっても過言ではない。

その意味では、選手全員で勝ち取った勝利である。

おめでとう、ニッポン!

そして、選手と監督、コーチ、スコアラーのみなさん

楽しい時間をありがとう!

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WBCアメリカ戦は、「精密機械」の勝利

2009-03-24 06:55:55 | Weblog
昨日、ロサンジェルスのドジャース・スタジアムでWBC準決勝が行われ、日本がアメリカに 9 - 4 で勝ち、2大会連続の決勝進出を果たした。

勝敗を分けたのは、エラーである。

1点を追いかける4回裏、稲葉、小笠原の連続ヒットで、無死一、二塁の場面。打者福留のゴロを、セカンドのロバーツが後ろに弾いてしまった。

このエラーが、勝ち越し点につながり、日本は、この回、一挙に5点を得ることが出来た。

さらに、2点差に詰め寄られた8回裏、二死三塁の場面。打者川崎のゴロを、ショートの名手ジーターが一塁へ悪送球。

その間に、三塁の片岡がホームに帰って得点。さらに、イチロー、中島が連続タイムリーを放って、留めとなる3点を挙げた。

つまり、序盤での追いつき、終盤でのダメ押し、その両方に、アメリカの守備ミスが絡んでいた。

もし、この二つのエラーがなければ、試合の行方は、どうなっていたか分からない。少なくとも、日本が、これほどの点差で圧勝することは、なかっただろう。

キューバのカストロ前議長は、日本の野球を、「精密機械」のようだと賞賛した。この指摘は、キューバ敗戦の本質をよく突いていると思う。

WBCのように、最高レベルの投手が投げ合う試合では、打力だけで得点を重ねるのは、簡単なことではない。

危なくなったら、すぐに次の投手が出てくる。そして、その投手は、どこかのチームのエースだったりする。

そのため、守りのエラーが少ない方、すなわち、「精密機械」のように、打球を精確に処理する守備力を持っている方が、勝つ確率が高くなる。

第2ラウンドでキューバに、準決勝でアメリカに勝ったのは、それらのチームより、日本の方が、より「精密機械」だったからである。

今日は、ついに韓国との決勝戦である。

韓国もまた、「精密機械」に徹して、勝ち上がってきたチームである。

優勝の行方は、神のみぞ知るだが、どちらが勝っても、一つだけはっきりしていることがある。

WBCの世界最強は、破壊力抜群の打線で相手を圧倒する中南米型ベースボールではなく、「精密機械」のような鉄壁の守りを誇る極東型野球だという点である。

おそらく、現在は、世界的に見て、投高打低の時代なのだろう。

あと一つだ。

頑張れニッポン!


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紀香の家族が離婚届を提出?

2009-03-23 20:23:02 | 芸能
ネットで、藤原紀香と陣内智則の離婚届が、今日、受理されたというニュースが流れている。

紀香の家族が、連休中に、役所に提出したとの記事もある。

これには、ショックを受けた。

今朝のブログ「紀香をめぐる冒険」で、

すべては、紀香が帰ってから

と書いたけど、37歳の女性が、自分が日本に居ない間に、家族に離婚届を出して貰うなんて、全然予想出来なかった。

いくら、離婚届に判が押されていて、関係修復の気持ちがなかったとしても、日本に帰ってから、自分の手で提出したいと思うのが、普通の人間の気持ちじゃないかな?

数億円の豪華挙式で結婚して、二年間夫婦だった相手ですよ。

国際電話で、「出しとくよ?」「うん、いいよ」って、そんなことがあるなんて、信じられん。

駐車場の更新手続きじゃないんだから(笑)。

それとも、世間の騒ぎに驚いた紀香の家族が、早く決着をつけたい一心で、紀香に相談なしに、出しちゃったとか?

それもスゴイ話だけど、その方が、まだ、理解可能な範囲に入ってるな(笑)。

いずれにしても、紀香と陣内の関係以上に、紀香とその両親の関係の方が、気になってくるぞ。

でも、これで、芸能記者が紀香に訊きたい質問の数が、桁違いに増えたのは、間違いない。

ああ、いろいろ訊きたいよね。ブログ書いた人間として、私も訊きたい(笑)。

しかも、答え方によっては、自立した女とか、社会問題にも深い関心を寄せる女優とか、これまでの藤原紀香像がダメージを受ける怖れもある。

この離婚騒動を乗り越えるためのハードルを、自分たちで、上げてしまったような。

紀香と紀香ママが、不慣れなゴシップ騒動に慌てふためいて、悪手を打ち続けている、その辺が、一番真相に近いのか?

だって、急いで離婚届を出す必要は、どこにも見当たらないし、出したからといって、この騒ぎが収まるとも思えない。

そもそも、騒ぎが嫌なら、最初から黙っておけば良かったわけで。

結局、

すべては、紀香が帰ってから

という同じ結論にしかならない(笑)。

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紀香をめぐる冒険

2009-03-23 05:16:57 | 芸能
藤原紀香と陣内智則の離婚問題で、社会的お祭り状態が出現している。

京本政樹が紀香から国際電話があったことをブログに書き、文章がキショイと評判になり、

橋幸夫はサイン会で離婚は罪と戒めて、旧ジェネレイションっぷりを見せつけ、

はるな愛が紀香から相談されたことを「(私)やるよねー」とばかりに、得々と明かし、

高橋ジョージが夫婦愛の重要性を語って、うんざりされ、

キム兄が自身の自虐離婚ネタを披露して、沖縄映画祭の客が引き気味になり、

林家いっ平が、結婚するには紀香は偉すぎ、でもでも、紀香はステキですよと、なぜか大慌て(笑)。

次から次へとマスコミ、芸能人が、陣内・紀香ネタに飛びつき、まるで、アリの巣の前で蜜壺をひっくり返したようなありさまだ。

さらに、一般のひとの関心も高いようで、私も、某ミクシィで何気なく紀香ネタを書いたら、1時間で60件以上のアクセスがあって、驚愕した。

通常は、1日5件くらいのペースなので、上へ下への大騒ぎである。

その離婚危機の方は、陣内が、もう一度やり直したいと、未練たらたらなこと以外は、もめた原因は何なのか、本当に別れるのか、今ひとつよく分からない。

何と言っても、肝心の藤原紀香が、アフリカに出張中ということで、彼女の言葉が全然出てこないため、「真相」については、憶測が憶測を呼んでるだけである。

しかし、彼女自身が日本に居ないのに、親や事務所といった紀香サイドから、

「陣内の度重なる浮気に、紀香が耐えられなくなって、離婚に追い込まれた」

というストーリーが世間に流れ出て、「真相」の基本ラインを形成している。

貞淑な紀香とクズの陣内という構図である。

もちろん、男と女のもめごとは、余程のDVでもない限り、一方だけが圧倒的に悪いということは、ほとんどない。

従って、おそらく、このストーリーは、藤原紀香というブランドを守るために、彼女の周りの人間が、意図的に作り上げたものだろう。

例えば、夫婦げんかのとき、夫が言った言葉だけを並べ立てて、妻の言葉を一切出さなければ、その夫は極悪人に見えるだろう(笑)。

売り言葉に、買い言葉。

ひどいこともされたし、ひどいことも言った。

普通は、そんな感じである(笑)。



ただ、問題は、アフリカの奥地にいる紀香自身が、今日本では、こういったストーリーが流布していて、紀香・陣内ネタが、B級ゴシップよろしく、大量消費されている事実を、どこまで知っているのかということである。

藤原紀香は、外見はもちろん、仕事や、生き方に至るまで、「美しい」ということに、とりわけこだわる女性である。

成田で芸能記者に追いかけ回され、あれこれ下らない質問を浴びせられることには、かなりの苦痛を感じるだろう。

また、たとえ陣内の浮気が原因でも、離婚の際に、彼だけを悪者にして、自分は、よい子スタンスを崩さないという、あまり「美しくない」シナリオを、どこまで受け入れるのかも、疑問が残るところだ。

そう考えると、少なくとも、帰国後、時間を置かずに役所へ行って、そのまま離婚届を提出する可能性は、少ないのではなかろうか。

関係修復をすでに断念していたとしても、しかるべき時期に、しかるべきシナリオで、「美しく」離婚しようと試みる。そういう気がする。

おそらく、藤原紀香自身にとっては、紀香サイドの今回の動きは、贔屓の引き倒し以外の何物でもなく、腹立たしい気持ちはあっても、感謝する気にはならないのではないか。

いずれにせよ、陣内パパが語ったように、すべては、紀香が帰ってからである。


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紀香と陣内の離婚など、正直どうでも良かったんだけど、みんなが楽しそうに盛り上がっているので、敢えて、真正面から取り組んでみた(笑)。

ところが、実際に、紀香をめぐってあれこれ考えてみると、自分自身の結婚観や離婚観に改めて気づかされて、とても面白い。

芸能ネタが好きなひとが多いのは、それが「紀香をめぐる冒険」である以上に、「自分をめぐる冒険」だからかもしれない。

最後に、いっ平は相変わらずキャラが薄いな。

京本政樹を見習ってみたらどうだろう(笑)。



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WBC韓国の耐えられない軽さ

2009-03-22 05:45:12 | Weblog
第2ラウンド最終戦、日本は韓国に圧勝した。

しかし、通算成績は、これで2勝2敗。取り組みを考えれば、とやかく言う成績ではない。つまり、日韓のどちらがより強いのか、それは決勝ラウンドのお楽しみである。

しかるに、韓国は、なにをトチ狂ったのか、第3戦の勝利のあと、ペトコ・パークのマウンドに、国旗を立ててしまった。

ここは、アメリカの土地であるはずだが、韓国の選手と、その責任者は、ここが韓国領だと言いたいらしい。

韓国系アメリカ人を苦況にさらして、なにが楽しいのだろう?

スポーツの大会になのに、度を超した、愛国心、国家意識。

見ていて、見苦しいばかりだ。

多分、韓国チームの首脳陣は、国際的な視野の持てない、視野の狭い人間なんだろう。

自国通貨の暴落、頼みの外資の脱出、デフォルトの危機、失業率の悪化。

自暴自棄になりそうな気持ちは分かるが、スポーツは別ものである。

どんな国家状態でも、試合後に、健闘した相手を称える気持ちを持ってこそ、真の一流選手、一流チームである。

日本チームは、いつでもその気持ちを持って、戦っている。もちろん、その最高の好敵手が、韓国である。

今度は、韓国が、ベネズエラ戦でそれを見せる番だ。

勝っても負けても、韓国は、スポーツマンの心意気を見せて、国際的なマナーの面でも、日本を凌駕する気持ちを持って欲しい。

韓国は、ただ強いだけの、世界から浮いてる、嫌われチームになりたいのだろうか?

そうではあるまい。

日本は、いつでも君を見ている。


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