ジャン・アレチボルトの冒険

ジャンルを問わず、思いついたことを、書いてみます。

乃木坂エースの文春スクープ、先の読めない展開も、西野七瀬はファンと正面から向き合うべき [27May18]

2018-05-27 04:00:00 | 芸能

5月19日(土)に、ネット配信サイト「直撃!週刊文春ライブ」が、西野七瀬に関するスクープを報じて以来、乃木坂界隈には重い空気が漂っています。

当初、取り上げられるのはグループ内人気が6〜7番目という情報が流れていたので、選抜常連ながら2列目、3列目に配されることが多いメンバーと予想されていました。

ところが、蓋を開けてみると、乃木坂ツートップの1人であり、現役メンバー中、センター最多経験回数を持つ西野七瀬で、ファンの間に大きな衝撃が走った。


なあちゃんは、福神という以上に、フロント常連メンバーで、毎シングル、センターの有力候補に挙げられ、多数のCMに単独あるいは中心で起用され、主役・ヒロインを務めたドラマ・映画は数多く、音楽番組のステージにおける存在感も抜群に大きい。

白石麻衣と共に、乃木坂の基本イメージを担う「エース」で、彼女に対する文春スクープは、グループの今後を左右しかねない危険を孕んでいる。

やはり、この話題については書かざるを得ないので、今日は、週刊文春が、これから、どういう風にスクープを展開させていくのか、その辺を考えてみます。


5月19日(土)に報じられた内容は、テレビ関係者である30代男性が、2016年4月24日(日)夜、西野七瀬の自宅マンションに二人で入り、翌朝6時頃に、1人で出てきたという「お泊まりデート」を中心に、関連情報を紹介するものでした。

ただ、二人でタクシーに乗って地下駐車場に入り、その後、客が乗っていないタクシーが出てきた場面と、その1週間後の午後8時ごろ、男性が1人で彼女のマンションに入り、深夜1時ごろ二人で外出した場面という、スクープの中心となる画像は披露されず、次回、6月16日(土)に、それらを公開するようです。

いわば、今回の文春ライブは、本編へ向けた予告編で、本当のスクープは来月以降に持ち越されている。


予告と本編の2段階に分けたのは、この1ヶ月で、有料視聴者数を増やすことが、一つの目的かなと思います(笑)。

そして、予告だけを観て、本編の感想を述べるのに限界があるように、次回公開される写真の詳しい中身と、それに対する文春側の説明を吟味するまでは、何とも言えない面があります。

しかし、2014年秋に出た、松村沙友理の文春記事以降、乃木坂メンバーの恋愛系スクープを何度も読んできた経験からすると、この週刊誌の調査力と「証拠」を押さえる力には相当なものがある。

とくに今回のように、文春側が自信を持っている、いつ、どこで、誰と誰がという「事実」部分に反論するのは、かなり難しいと予想され、多くのファンもそれを感じているため、空気が重くなるのだと思います。


もちろん、西野七瀬本人が、相手は単なる男友達、あるいは仕事仲間であり、事情があって、深夜ながら自宅で一緒に過ごしたのだと主張すれば、話は違ってきます。

松村沙友理の場合は、3回、レストラン&居酒屋デートと派手な路上パフォーマンスを撮られましたが(笑)、3回とも、相手を自分のマンションには入れておらず、本人も男女の関係ではなく、相手に家庭があることも知らなかったと、文化放送『レコメン』で主張することになる。

その主張に反論する形で文春が出してきた、焼き鳥屋での会話詳細が、偽名を名乗っている点など、彼女の話と一致する点が多く、結局、さゆりんは本当のことを言っているのではないかと信じる人が増え、騒動が徐々に終息に向かうことになった。

(参考記事)
松村沙友理に関する文春記事はなぜデマを生んだのか?蘇る前田敦子泥酔スキャンダルの記憶 [20Nov14]


しかし、今のところ、ななせまる本人も、乃木坂公式も、この件に一切触れておらず、今後も、いわゆる「スルー」の気配が漂っています。

それが運営の方針なのだと思いますが、今回、文春側は2回の「お泊まりデート」に関して、かなり長期に渡る、立体的な取材を行っている印象を受けます。

というのは、相手男性の西野七瀬との「付き合い」が、いつまでで続いたかに関して、2017年4月に、女性関係のことでひどく落ち込んでいたとの証言があると述べている。


もちろん、それが西野七瀬との別れを意味するのかどうか、また「付き合い」の内容がどんなものかは分かりませんが、この30代男性が誰かを調べる中で、さまざまな周辺取材を行ってきたことが窺えます。

また、文春が撮影した西野七瀬との写真を見た関係者が激怒したとも述べていて、その後の「顛末」を押さえている。

さらに、直撃するため、男性の自宅を1週間張り込んだそうで、「予告編」ながら、相当な時間と労力を掛けて取材を進めてたことを示唆する内容で、本当に、2回の「お泊まりデート」で済むのか、追加情報があるのか、記事化の有無も絡んで、気になるところです。


欅坂46志田愛佳のスクープでは、最初の内容に対して、仲の良い地元の友達とバーベキューをして遊んでいただけという雰囲気がネットに広まったため、文春は、相手男性とのプリクラ写真など、さらに踏み込んだ情報を出している。

とくに相手がタレントではない場合、最初に出す写真はやや抑えめにして、SNSなどで「信ぴょう性」を疑問視する声が相次ぐと、それに対する反論として、より踏み込んだ「証拠」を投入するのが、文春スクープの流れじゃないかと思います。

ただ、志田さんの場合は、そもそも電車の中吊り広告に「熱愛」という文字が出ていたので、それを示す情報を持っている可能性は高かった。


一方、西野七瀬の場合は、「お泊まり」ながら、今のところ、あくまで「デート」という表現に留まっていて、大々的に「熱」とか「愛」が踊っているわけではない。

松村沙友理のように、会話内容を入手していれば、相手の素性を含め、二人の関係を早期に推測できた可能性があるけど、男性の仕事や名前を特定するのに2年も掛かっていることから、そういった情報はないんじゃないかと思います。

とはいえ、西野七瀬の文春スクープはまだまだ「予告編」を披露した段階で、今なお取材を続けているかもしれず、さらに乃木坂欅坂とも、別のメンバーに広がっていく可能性も否定できないので、2014年の晩秋と同じく、坂道ファンは、これから数ヶ月ほど、重たい空気を覚悟した方がいいかもしれない。


川村真洋が文春にスクープされたとき、完全に「スルー」しても、何ヶ月か経てば、ほとぼりが冷めて、以前と変わらず進めるだろうと、個人的には楽観視していました。

ところが、本人が何らかのコメントを出さない限り、ファンの心には、文春側の提示したイメージがいつまでも残って、なかなか払拭することが出来ないことが分かった。

能條愛未も、西野七瀬も、言いづらいことを言う必要はないけど、「ファンの方々にはご心配をお掛けして申し訳ありません」と一言述べるだけで、人々の心の中にある、週刊誌が作った虚像を壊して、現実の姿に目を向けて貰える可能性がある。

そして何より、本人の気持ちが少し軽くなるでしょう。


文春にスクープされた乃木坂の現役メンバーで、唯一、松村沙友理だけが本当の意味でそれを乗り越えられたのは、彼女が、自分の気持ちを、自分の言葉で、ファンに向かって、勇気を持って語ったからじゃないでしょうか。

何を語るかは、自分の判断で、自分が決めればよく、むしろ語る内容より、ファンと正面から向き合う姿勢が大事かと思います

箝口令という名の「地獄」にメンバーを閉じ込め、グループとファンを窒息させる今のやり方は、乃木坂の未来を奪っている気がします。


(関連サイト)

週刊文春デジタル


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// 最近のツイート抜粋

アレチボルト@sabakunonezumi のツイッターアカウント

乃木坂がMステに登場するたび、未だ出演経験のない1期2期のことが心に引っ掛かってきたけど、北野日奈子を含め全員揃った昨夜は、純粋にステージを堪能できた。惹かれたのはライトブルーの新衣装。飾り付けやアクセ抑えめながら、鮮やかな色味でダンスが映えた。放送後、iTunesトップソングで13位浮上
13:50 - 2018年5月12日

平手友梨奈や伊藤万理華のダンスは、高いスキル以上に内面から湧き出す独自テイストが魅力的で面白い。生駒里奈の個性的な踊りが抜けた昨夜のMステ「シンクロニシティ」は、謙虚で控えめなメンバーの多い乃木坂最大の問題「無難」感が増した印象。中軸は松村沙友理くらい攻めていいんじゃないかと思う
17:21 - 2018年5月12日

「世にも奇妙な物語」の白石麻衣主演「フォロワー」は、エスカレートする虚栄心と追いつかない現実による必然的破綻がテンポ良く描かれ面白かった。ミミ子は主人公の分身かも笑。演技力が前面に出る作品じゃないけど、極端な筋立てが引き出す様々なまいやんの表情は女優としてのアピールになったと思う
3:56 - 2018年5月13日

乃木坂46「シンクロニシティ」の楽曲人気は欅坂46「ガラスを割れ!」と比べ、現在、配信で1〜2割、動画は3〜4割低い印象。ただ一番の懸念は坂道音楽人気の国内相対順位が2016、17年より下がっている可能性。48GはK-POPとの連携を模索しているが、日本の「アイドル」には何か変化が必要なのかもしれない
1:33 - 2018年5月17日

生駒里奈の「卒業」からまだ10日だけど、日に日にロス感が強くなる。43個の美しい珠玉がまとまり、編み上げられ、自分がとても好きだった一つの造形を見せていたのに、要の1個が失われ、その形を変えていくような寂しさがある。すでに以前の形は思い出せず、今は一つ一つの輝きをじっと見つめている
3:27 - 2018年5月17日

乃木坂のMV人気を上げるには、ダンス系なら、目が釘付けになるような単独センターが欲しい。伊藤万理華が卒業した今、個人的には、桜井玲香と鈴木絢音に注目しているが、まだ隠れた逸材がいるかも。歌勝負なら、歌唱力の高いメンバーに主軸を任せるべき。何れにしても、従来の選抜序列を崩す勇気が必要
9:35 - 2018年5月17日

欅坂の志田愛佳は、懸命に頑張っているのに、色んな批判を受けると感じて、「誤解」という言葉をブログに綴ったのかもしれない。ただ、彼女は今、本当の自分がどうであるか以上に、どう見られるかが重要な世界にいる。単なる男友達でも、実家に何泊もすると誤解を招くと予期するのが最初の一歩かと思う
23:51 - 2018年5月17日

西城秀樹さんの歌がiTunesトップソングに多数登場。70年代のヒデキはジャニーズ時代以前の男性トップアイドルと言えるが、高い歌唱力と華やかなビジュアルで「YOUNG MAN」「傷だらけのローラ」「ギャランドゥ」などヒットを連発、一時代を築いた。本当のスターだった。心よりご冥福をお祈りします
22:45 - 2018年5月18日

ろってぃやじょーさんの件がそうだったけど、本人が公に説明するとそれ自体がニュースになって、騒ぎが大きくなるので、乃木坂としてはスルーが一番無難なのだと思う。しかし、今の気持ちを発信出来ない、とくにファンに何も言えないのは、本人にとって凄まじい重荷なのではと、本当に心底心配になる
6:55 - 2018年5月19日

今回の文春スクープ、本人と乃木坂公式の反応を見ないと、真偽を含め、まだ何とも言えません。ただ、CMドラマ雑誌に多数出演の現役エースを取り上げる以上、手元の「証拠」には自信があるのでしょう。相手に時間を与えつつ徐々により決定的な映像を出すのが文春パターンで、これは第1段階だと思います
1:47 - 2018年5月20日

スクープされたメンバーは、メンタルの非常に強い人なので、乗り切って行けると思います。超多忙な筈なのに、オフタイムも攻めていたようで笑、どんだけパワフルやねんと、個人的には、さゆりんごの場合と同じく、その人間らしさに却って親近感を覚えます。私も同じ大阪出身だからかもしれませんが笑
1:47 - 2018年5月20日

しかし、今回一つ話が違うのは、乃木坂をCM起用しているスポンサー企業が、このスクープをどう捉えるかが、今後の展開に影響を与えるかもしれない点。福神はCM選抜の面があり、起用する側からすれば、期待するイメージとの乖離は全然嬉しくない。この辺がどう問題になるかは、予断を許さないものがある
1:48 - 2018年5月20日

さらに、乃木坂出演番組のテレビ側スタッフが、本当にメンバーとお泊まりデートをしたのなら、立場としてシャレにならないという問題もある。番組を制作し盛り上げる人が、出演アイドルを危険に晒したことになる。CMスポンサーとテレビ局。本人と公式がスルーした場合何が起きるのか、全く分かりません
1:49 - 2018年5月20日

乃木坂界隈が妙に静か。西野七瀬の文春スクープ、大手メディアが取り上げないのは予想出来たが、多くのファンも迂闊なことは言えないと慎重になっているのかも。しかし、寡黙な空気が却って、与えた衝撃の大きさを物語っている。アイドルの過酷で生々しい現実が、ファンの甘い夢を吹き飛ばした感がある
7:46 - 2018年5月20日

しかし、抱いていた夢が消え、メンバーが直面する現実の一端を知ってからが、応援する本番じゃないかと思う。24時間自分の期待するアイドルであることは誰にも出来ない。実現不可能な幻想を求めるのではなく、間違いもある生身の人間の中に、華やかに輝くものを見出すのが、ファンの醍醐味だと感じる
8:16 - 2018年5月20日

生駒里奈の「卒業」で凹んでいるところに、西野七瀬の文春スクープが来て、不安と緊張が高まる中、斎藤ちはると相楽伊織が「卒業」を発表。95年組はすでに去り、中三トリオは生田絵梨花1人となり、夏以降もさらなる「卒業」の予感が拭えない。乃木坂にとって、今年は結成以来最大の正念場になりそうだ
22:05 - 2018年5月20日

昨年秋からの乃木坂「卒業」ラッシュは、年長組と年少組の間に位置する、中堅層で起こっている点に危機感を覚える。中元、万理華、川村、生駒、ちはる、相楽。歌やダンスのスキルが高く、年齢的にも、まさに今、グループを中心で支えるべきメンバーが次々と去り、「空洞化」が現実のものとなりつつある
22:50 - 2018年5月20日


# 記事中の青字部分は、テレビ番組、公式サイト、書籍、歌の歌詞などに、掲載されたものを、そのまま抜粋引用したことを表しています


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生駒里奈がいない乃木坂の果てなき喪失感、強力で多様な非公式ライバルが薄める坂道楽曲の存在感 [10May18]

2018-05-10 06:00:00 | 芸能

生駒里奈が、とうとう乃木坂を去っていきました。

5月6日の日曜日、幕張メッセで行われた全国握手会で、最後のミニライブと握手会をこなし、2011年夏から始まった怒涛の7年間に終止符を打ちました。

通常の学生が4年制大学を卒業する時期に当たる、22歳の春を「卒業」のタイミングに選び、新しい世界へ飛び込む。

舞台、ドラマ、バラエティを通して、多くの人と知り合い、芸能界でのつながりを広げ、ダンスや演技のスキル向上に励み、その一方で、乃木坂46は高い人気を謳歌している。

年齢的にも、培ってきた人脈と経験からも、そして、グループの勢いを考えても、ベストな時期に、ベストな形でのソロ活動開始。

15歳で乃木坂に入って単身上京、その後、数々の苦難を乗り越え、何度も重い決断を下してきただけに、見事に鮮やかで、時宜を得た「卒業」だと思います。


しかし、生駒里奈が乃木坂に与えてきたものは、とてつもなく大きい。

可愛らしく純粋な、透明感に溢れた美少女ながら、同時に、何事にも臆せず立ち向かい、がむしゃらに困難を乗り越えていく強さが、乃木坂の中核イメージを形作り、彼女がスポークスガールとして活躍することで、グループに対するプラスの印象を呼び込んでいた面がある。

そのイメージ中心がいなくなるだけでも、乃木坂にとって、少なからぬ痛手となる。


また、7枚目「バレッタ」で堀未央奈がセンターに大抜擢されたとき、彼女を落ち着かせるため、真っ先に声を掛けたように、生駒里奈は、乃木坂に何か大きなことが起こったとき、それを調整して、グループがぎくしゃくしないよう、気を遣ってきました。

例えば、文春騒動の渦中にいた松村沙友理のラジオ釈明では、他のメンバーが黙り込む中(笑)、司会役を引き受け、決然として番組を進め、さゆりんごの言いたいことが言えるよう、細かい配慮を見せている。

最近では、3期が躍進する中、選抜への抜擢が進まない2期を、色んな場面で積極的に取り上げていて、17枚目ヒット祈願の「氷瀑」登りは、生駒里奈を中心に、2期の寺田蘭世と渡辺みり愛が、1期の秋元真夏、齋藤飛鳥、星野みなみと結束を強めていく、象徴的なシーンだった。


グループ内の人間関係を支え、メンバー同士の結束力を高めていく、生駒里奈のオーガナイザーとしてのセンスには、目を見張るものがある。

深刻な亀裂を生みやすい選抜アンダー制、握手会主義、新規加入制などを、何度も乗り越え、乃木坂がチームとしてのまとまりを維持してきた背景には、彼女の少なからぬ貢献があったと思います。


さらに、センターを務めた「制服のマネキン」「太陽ノック」「Against」はもちろん、「インフルエンサー」や「シンクロニシティ」でも存在感を発揮したように、選抜のパフォーマンスを牽引し、そこに独自の陰影を加味していく、表現者としての役割も、生駒里奈は果たしてきた。

こういった乃木坂のダンスに大きな影響を与えたメンバーとしては、生駒里奈の他に、伊藤万理華と川村真洋の名前が浮かびます。

この3人は、2016年始めに成人式を迎えた同学年の1期で、まりっかは早生まれの96年ながら、「95年組」と呼ばれ、乃木坂の中でも、アーティスティックな表現をとくに追求するメンバーと目されていた。

北野日奈子は、最新のブログに、「卒業」した川村真洋に対して、次のような言葉を綴っています。

まひろさんは
私が初めて選抜に選ばれた時に
緊張していてなかなかみんなの中にとけ込めない中、顔を合わせる度に声をかけて下さったり
ダンスを覚えるのに追いつけない時に
一緒に残って教えて下さったり
本当にたくさんお世話になりました。
長く一緒に過ごしたアンダーメンバーとしての活動の中でも、まひろさんの存在は私にとっても皆んなにとっても大きかったです。

(北野日奈子の2018/04/18_14:00ブログ)

ろってぃは、テレビ東京の『カラオケバトル』に出演したこともある、非常に歌の上手いメンバーで、さらに、「乃木坂の詩」でフロントに立つなど、ダンスのセンスも抜群だった。

選抜への起用は2回だったものの、アンダー曲やアンダーライブを通して、ダンスのお手本を示し、きいちゃんのように、直接教えてもらったメンバーも少なくないようです。

乃木坂パフォーマンスのレベルアップを、アンダーから支えてきた面があり、ろってぃの「卒業」もグループにとって、大きなダメージになると思います。


伊藤万理華は、多くのファンが認めるように、優れた個人PVを何作も送り出した高い演技力を備えたメンバーですが、同時に、ダンスの表現力も圧倒的で、「インフルエンサー」においては、3列目ながら、中央で踊るシーンが敢えて設けられ、パフォーマンスの鍵を握っていたとすら言える存在だった。

2017年12月4日の『第50回日本有線大賞』における「インフルエンサー」のステージで、不参加だった伊藤万理華に代わって、ポジションに入った鈴木絢音は、まりっかの姿勢を後ろから見て、背筋の伸びが全然違うことに気づいたと語っています。

体幹を安定させるヒントをまりっかのダンスから読み取ったようで、「有線大賞」でのパフォーマンスにもそれが生かされ、アンダーからの代役ながら、ポイントを押さえた踊りを展開し、今後への期待を抱かせる仕上がりになっていました。


生駒ちゃんが選抜前列、まりっかは選抜後列、ろってぃがアンダーにいて、95年組3人は、図らずも、選抜からアンダーを貫く「ダンス軸」を形成していました。

そして、3人がステージ上で輝き、全体パフォーマンスをより魅力的にするだけでなく、お手本やインストラクターとして他メンバーのダンス力をレベルアップしていく。

2017年終わりから18年春という短期間に、3人全員が「卒業」したことは、乃木坂のパフォーマンスを、内側と外側の両方から強力に支えてきた、この「ダンス軸」が一気に消えたことを意味するわけで、大きなテコ入れが不可欠な、深刻な事態だと思います。


生駒里奈は、初期5シングルにおける「不動のセンター」というだけでなく、透明感のある美貌と不屈のチャレンジ精神を体現する、乃木坂イメージの象徴であり、グループをまとめ、その結束を維持する優れたオーガナイザーであり、ダンスパフォーマンスを牽引する表現アーティストだった。

乃木坂にとって必要な役割を、たった1人で幾つも果たしてきたメンバーで、彼女の「卒業」によって、グループは「ダンス軸」の喪失に留まらず、様々な面において、本当に「不動のセンター」を欠くことになる。

生駒里奈「卒業」によって、乃木坂が失うものはあまりに大きく、最初に知ったときは、絶句してしまった。


生駒里奈のいない乃木坂がどうなるのか、今のところ見通しは全然立たず、正直、様々な心配が次から次へ頭を過ぎります。

しかし、彼女自身にとっては、これ以上ないタイミングでの、素晴らしい旅立ちだと確信しています。

生駒ちゃん、乃木坂での7年間、本当にお疲れ様でした。

そして、本当にありがとうございました。

あなたが乃木坂に入って、数々の困難を乗り越え、頑張ってくれたから、ファンである私は、多くのドキドキやハラハラを経験し、ガッツポーズをしたくなるような瞬間を何度も味わい、当初予想すらしなかった、光り輝く華やかな景色をたくさん観ることが出来た。

「卒業」おめでとうございます。

乃木坂時代と同じく、今後のご活躍を心から祈っています。


以下の記事の終盤に、生駒里奈について書いた当ブログの過去記事へのリンクを載せています。興味のある方はご参照ください。

生駒里奈が乃木坂46からの「卒業」を発表、ショートカットの少女が仲間と紡ぎ続けた珠玉の物語 [31Jan18]



最後の全国握手会における別れの挨拶で、生駒里奈は次のように述べています。

やめてからも、乃木坂46のために活動するのが、私のやり方です
なので、根っこの部分、一番大切な乃木坂を、皆さんに守っていただいて
時々、私の様子も見ていてほしいなって

(日刊スポーツ「乃木坂46生駒里奈が卒業、別れのあいさつ全文」より)

自分が去った後の乃木坂を、相当気にしている様子が伝わってきます。

そこで、最新曲「シンクロニシティ」の現時点におけるセールス状況を確認しながら、「根っこの部分」を守るには何が必要なのか考えてみます。


まず、CDセールスからですが、欅坂46の最新6枚目シングル「ガラスを割れ!」がオリコン累計でミリオンを達成したので、そちらから見ておきましょう。

(表1) 欅坂46「ガラスを割れ!」のオリコン週間シングルランキング推移

凡例
[順位] 対象週の売り上げ (その週までの累計) : CD発売後経過週数 日付期間

#「売り上げ」と「累計」は万枚単位で、小数点以下2桁目を四捨五入
#「CD発売後経過週数」は、発売日を含む月曜から日曜の区切りを「1W」、次の月〜日を「2W」と、順に数えたもの
#「※」の右は、その週における全国握手会の開催日と会場、またはそれ以外の特典イベントに関連する情報
# 発売10Wのデータは来週発表

[01位] 83.3万枚 (083.3) @ 01W 03/05(月)11(日)
[03位] 05.5万枚 (088.9) @ 02W 03/12(月)18(日)
[03位] 03.4万枚 (092.2) @ 03W 03/19(月)25(日)※ 24(土) ポートメッセなごや
[10位] 01.3万枚 (093.5) @ 04W 03/26(月)01(日)
[06位] 01.3万枚 (094.8) @ 05W 04/02(月)08(日)
[09位] 00.9万枚 (095.8) @ 06W 04/09(月)15(日)
[07位] 02.1万枚 (097.8) @ 07W 04/16(月)22(日)※ 21(土) 幕張メッセ
[12位] 00.7万枚 (098.5) @ 08W 04/23(月)29(日)
[07位] 01.8万枚 (100.2) @ 09W 04/30(月)06(日)※ 04(金) インテックス大阪
[00位] 00.0万枚 (000.0) @ 10W 05/07(月)13(日)※ 11(金) SPイベント応募締切


初動83.3万枚だったので、ミリオンは行くか行かないか、ギリギリかなと思っていたんですが、3つある全国握手会開催週に大きく売り上げを伸ばし、最後のインテックス大阪が行われた発売9Wに100.2万枚へ到達しています。

一方、乃木坂46の20枚目「シンクロニシティ」は、初動で111.7万枚を記録した後、幕張メッセ全国握手会が開催された2Wは9.8万枚を積み上げ、累計は121.5万枚となっています。

生駒里奈が「卒業」する握手会で、実際、3.5万人も集まったそうなので、初回限定盤セールスを中心に9.8万枚という大きな売り上げが出たのだと思います。

(表2) 乃木坂46「シンクロニシティ」のオリコン週間シングルランキング推移

# 表記法は(表1)と同じ
# 発売03Wのデータは来週発表

[01位] 111.7万枚 (111.7) @ 01W 04/23(月)29(日)※ 29(日) インテックス大阪
[02位] 009.8万枚 (121.5) @ 02W 04/30(月)06(日)※ 06(日) 幕張メッセ (生駒卒業)
[00位] 000.0万枚 (000.0) @ 03W 05/07(月)13(日)※ 12(土) ポートメッセなごや


発売3Wにもポートメッセなごやで最後の全国握手会があり、「ガラスを割れ!」の3Wを参考にしても、3万枚を越えるような大きな数字が予想されます。

欅坂のCDセールスが100万枚を突破したのは初めてで、乃木坂も121.5万枚は歴代最高のシングル売り上げになる。

両グループとも過去のセールスを凌駕する数字を叩き出し、おそらくオリコン年間シングルランキングでも、AKB48と並んで、乃木坂・欅坂が上位を独占すると思われます。


つまり、CDセールスにおいては、前作、前々作より大きい売り上げを達成して「坂を上れば」、他アーティストの作品を寄せ付けないほど、高い順位に入ることが出来るわけです。

ところが、配信や動画の人気指標に目を転じると、坂を上って、ダウンロード数やMV再生回数を前作より伸ばしても、J-POP全体での順位が上昇しないどころか、むしろ落ちているケースがある。

なぜかと言うと、理由は簡単で、他アーティストがより一層大きく数字を伸ばしていて、坂道がその成長速度に追いつけなくなりつつあるからです。


例えば、「シンクロニシティ」のCD発売週におけるMV再生数は、歴代最高の累計628万回に達し、増加速度15.1万回/日は前作「いつかできるから今日できる」の10.6万回/日を上回り、「インフルエンサー」16.9万回/日と遜色ない数字です。

しかし、Billboard JAPAN Hot100「国内動画再生回数」ランキングでは、「インフルエンサー」の9位より大幅に低い24位に留まっている。

(表3) CD発売週における坂道表題曲MVのYouTube再生回数と「国内動画」順位

凡例
速度 (累計/+積み上げ) [M] 順位 @ MV公開後経過週数 日付期間 曲名

#「速度」は、対象週における再生回数の平均増加速度。小数点以下2桁目四捨五入
#「累計」は、対象週終わり時点での再生回数。万回単位で小数点以下1桁目四捨五入
#「積み上げ」は、対象週での再生回数増加分。万回単位で小数点以下2桁目四捨五入
#「順位」は、Billboard JAPAN Hot100「国内動画再生回数」ランキングの対象週における順位
#「MV公開後経過週数」は、MV公開日から以降初の日曜までを「1W」、次の月〜日を「2W」、次の月〜日を「3W」と順に数えたもの。表示されているのは、すべてCD発売週に相当する週数

15.1万回/日 (0628/+105.8) [M]24位 @ 04W '18/04/23(月)29(日) シンクロニシティ
10.6万回/日 (0418/+073.9) [M]28位 @ 04W '17/10/09(月)15(日) いつかできるから今日できる
07.0万回/日 (0301/+049.1) [M]57位 @ 04W '17/08/07(月)13(日) 逃げ水
16.9万回/日 (0575/+118.6) [M]09位 @ 04W '17/03/20(月)26(日) インフルエンサー
07.0万回/日 (0357/+048.9) [M]34位 @ 04W '16/11/07(月)13(日) サヨナラの意味
08.1万回/日 (0296/+056.6) [M]17位 @ 04W '16/07/25(月)31(日) 裸足でSummer

33.0万回/日 (1038/+231.2) [M]03位 @ 04W '18/03/05(月)11(日) ガラスを割れ!
16.1万回/日 (0716/+112.8) [M]09位 @ 04W '17/10/23(月)29(日) 風に吹かれても
28.1万回/日 (0701/+196.8) [M]04位 @ 03W '17/04/03(月)09(日) 不協和音
15.8万回/日 (0402/+110.6) [M]07位 @ 03W '16/11/28(月)04(日) 二人セゾン
07.0万回/日 (0344/+049.3) [M]16位 @ 05W '16/08/08(月)14(日) 世界には愛しかない
18.1万回/日 (0413/+126.5) [M]03位 @ 04W '16/04/04(月)10(日) サイレントマジョリティー


欅坂においても、CD発売週における「ガラスを割れ!」の増加速度は33.0万回/日で、デビュー曲「サイレントマジョリティー」18.1万回/日の2倍近いスピードで進み、累計は同じ4W終わりながら、前者1038万回、後者413万回と、2.5倍もの差が付いている。

しかし、「国内動画再生回数」ランキングでは、いずれも同じ3位で、最新曲が1位を獲得していません。

2016年春、18.1万回/日で3位にランクインしたのに、2018年春になると、その同じ3位に入るには33.0万回/日が必要で、「風に吹かれても」のように16.1万回/日となると、2017年秋でも9位になってしまう。


まあ、「ガラスを割れ!」はCD発売週に3位に入り、「シンクロニシティ」のように24位ではないのだから問題ないという見方もある。

ただ、欅坂最新曲のMV公開1Wから最新12Wまでの順位推移を、デビュー曲と比較すると、置かれている状況の厳しさが浮き彫りになります。

(表4) 欅坂46「ガラスを割れ!」「サイレントマジョリティー」MVのYouTube再生回数の週単位推移

凡例
速度 (累計/+積み上げ) [M] 順位 @ MV公開後経過週数 日付期間 曲披露の音楽番組

# 表記法は(表3)と同じ

ガラスを割れ!
86.8万回/日 (0412/+412.1) [M]03位 @ 01W : 02/14(水)18(日)
27.6万回/日 (0606/+193.5) [M]08位 @ 02W : 02/19(月)25(日)
28.7万回/日 (0807/+201.2) [M]09位 @ 03W : 02/26(月)04(日)
33.0万回/日 (1038/+231.2) [M]03位 @ 04W : 03/05(月)11(日) ※ CD発売
29.7万回/日 (1246/+207.6) [M]05位 @ 05W : 03/12(月)18(日)
22.8万回/日 (1405/+159.7) [M]10位 @ 06W : 03/19(月)25(日)
15.8万回/日 (1516/+110.6) [M]22位 @ 07W : 03/26(月)01(日)
15.6万回/日 (1625/+109.2) [M]27位 @ 08W : 04/02(月)08(日)
18.8万回/日 (1757/+131.8) [M]17位 @ 09W : 04/09(月)15(日)
15.3万回/日 (1864/+107.4) [M]22位 @ 10W : 04/16(月)22(日)
12.3万回/日 (1951/+086.4) [M]28位 @ 11W : 04/23(月)29(日)
12.8万回/日 (2041/+089.7) [M]29位 @ 12W : 04/30(月)06(日)

サイレントマジョリティー
18.8万回/日 (0089/+089.3) [M]12位 @ 01W : 03/16(水)20(日)
14.3万回/日 (0190/+100.3) [M]04位 @ 02W : 03/21(月)27(日)
13.9万回/日 (0287/+097.4) [M]08位 @ 03W : 03/28(月)03(日)
18.1万回/日 (0413/+126.5) [M]03位 @ 04W : 04/04(月)10(日) ※ CD発売
24.1万回/日 (0582/+168.5) [M]01位 @ 05W : 04/11(月)17(日)
25.8万回/日 (0763/+180.9) [M]02位 @ 06W : 04/18(月)24(日)
32.5万回/日 (0990/+227.2) [M]01位 @ 07W : 04/25(月)01(日)
26.4万回/日 (1175/+184.5) [M]02位 @ 08W : 05/02(月)08(日)
19.6万回/日 (1312/+137.0) [M]02位 @ 09W : 05/09(月)15(日)
17.4万回/日 (1433/+121.8) [M]02位 @ 10W : 05/16(月)22(日)
14.5万回/日 (1535/+101.7) [M]03位 @ 11W : 05/23(月)29(日)
12.7万回/日 (1624/+088.9) [M]07位 @ 12W : 05/30(月)05(日)


「サイレントマジョリティー」は、MV公開5Wから10Wまで、増加速度が24.1万回/日、25.8万回/日、32.5万回/日、26.4万回/日、19.6万回/日、17.4万回/日と変化しますが、その間のランキングは1位、2位、1位、2位、2位、2位と、トップ2に留まり続けている。

一方、「ガラスを割れ!」は、MV公開2Wから6Wまで27.6万回/日、28.7万回/日、33.0万回/日、29.7万回/日、22.8万回/日と、最盛期のデビュー曲を越える速度を連発しているのに、8位、9位、3位、5位、10位という推移で、トップ2には一度もランクインしなかった。

デビュー曲は公開10Wに17.4万回/日で2位にランクインしたのに、最新曲では、公開4Wのように33.0万回/日を叩き出してもTOP2入りできず、最高が3位に留まっている。


2016年春の頃、「サイレントマジョリティー」MVほどの勢いで再生数を積み上げていくMVは滅多になく、デビュー曲は音楽動画の人気トップに君臨することが出来た。

しかし、2018年の春、凄まじい速度で再生数を伸ばしていくMV作品が、幾つも登場して、状況がすっかり変わっています。

以下の表は、最近公開された人気の高いMV作品に関して、公開からの日数を出来るだけ揃えて、平均速度を比べたものです。

(表5) MV人気曲の公開80日間における再生回数の平均増加速度

凡例
速度 (累計) for 期間の長さ @ 計測日 [M]順位 曲名 / アーティスト名

#「速度」は、MV公開から計測日までの期間におけるYouTube再生回数の平均増加速度
#「累計」は、計測日における再生回数。万回単位
#「期間の長さ」は、MV公開から計測日までの日数
#「順位」は、Billboard JAPAN Hot100「国内動画再生回数」の最新2018/05/14付ランキング
# 対象MVはすべてフルバージョン

106.0万回/日 (7685) for 72日 @ 05/09(水) [M]01位 Lemon / 米津玄師
061.7万回/日 (4961) for 80日 @ 04/01(日) [M]14位 Candy Pop / TWICE
035.1万回/日 (2815) for 80日 @ 04/27(金) [M]13位 さよならエレジー / 菅田将暉
025.9万回/日 (2069) for 80日 @ 05/08(火) [M]22位 ドラえもん / 星野源
025.2万回/日 (2012) for 80日 @ 05/05(土) [M]29位 ガラスを割れ! / 欅坂46
022.9万回/日 (0756) for 33日 @ 05/09(水) [M]24位 シンクロニシティ / 乃木坂46


米津玄師「Lemon」は、平均増加速度が106.0万回/日という、常軌を逸したスピードで再生数を伸ばしていて、国内で公開されている動画としてはNo.1の人気を集めています。

また、K-POPアイドルのTWICEも、出す曲、出す曲、とにかくMV人気が半端ではなくて(笑)、「Candy Pop」は61.7万回/日という速度を見せている。

さらに、菅田将暉「さよならエレジー」もMV人気が非常に高く、公開80日間に限れば、欅坂46「ガラスを割れ!」は星野源「ドラえもん」とほぼ同じ水準になります。


人気MVが幾つもあるため、「サイレントマジョリティ」の頃と異なり、余程の増加速度を叩き出さなければ、上位には食い込めない。

しかも、時間経過に伴う減速が大きいと、すぐに順位が下がってしまうので、一時的に爆発的な速度を記録しても、それを長く維持しなければ、ランキングにおいて存在感を示すのは難しい。

乃木坂46「シンクロニシティ」は公開33日目ですが、この期間全体の平均速度が22.9万回/日で、何か強力なプロモーションがないと、TOP10といった上位は難しい雰囲気が漂っています。


ただ、「シンクロニシティ」に関しては、相当に分厚い新曲キャンペーンを仕掛けているんですが、強力なライバルMVが何作品もあるからか、あまり効果が出ていない節があります。

(表6) 乃木坂46「シンクロニシティ」MVのYouTube再生回数の週単位推移

凡例
速度 (累計/+積み上げ) [M] 順位 @ MV公開後経過週数 日付期間 曲披露の音楽番組

# 表記法は(表3)と同じ
#「曲披露の音楽番組」は、「テレビ披露リスト」の番号で表記

81.1万回/日 (0223/+223.1) [M]07位 @ 01W 04/06(金)08(日) [1]
26.5万回/日 (0409/+185.4) [M]03位 @ 02W 04/09(月)15(日)
16.2万回/日 (0522/+113.3) [M]21位 @ 03W 04/16(月)22(日) [2]、卒業ライブ in 武道館
15.1万回/日 (0628/+105.8) [M]24位 @ 04W 04/23(月)29(日) [3]〜[7]、CD発売
14.7万回/日 (0730/+102.8) [M]24位 @ 05W 04/30(月)06(日) [8]、卒業 in 幕張メッセ

テレビ披露リスト
[番号] 演奏時間 @ CD発売日午前零時からの披露タイミング [ステージ放送開始日時]
[1] 3分01秒 @ 17.1日前 [04/07(土)21:17] (地デ) TBS『CDTV祝25周年SP』
[2] 3分01秒 @ 03.2日前 [04/21(土)18:17] (地デ) フジテレビ『MUSIC FAIR』
[3] 2分57秒 @ 00.2日前 [04/24(火)19:58] (地デ) NHK総合『うたコン』
[4] 3分01秒 @ 02.9日後 [04/27(金)20:35] (地デ) テレビ朝日『MUSIC STATION』
[5] 3分00秒 @ 03.1日後 [04/28(土)01:15] (地デ) 日本テレビ『バズリズム02』
[6] 2分32秒 @ 04.1日後 [04/29(日)01:42] (地デ) TBS『CDTV』
[7] 3分00秒 @ 05.0日後 [04/30(月)00:25] (地デ) テレビ東京『乃木坂工事中』
[8] 4分10秒 @ 12.0日後 [05/06(日)23:03] (BS) NHK BSプレミアム『乃木坂46SHOW』


MV公開4Wに相当するCD発売週には、『うたコン』『Mステ』といったゴールデン枠放送を含む、地上波テレビの5つの音楽番組に出演し、その内4番組で、3分のロングステージを披露しています。

しかし、4Wにおける増加速度は15.1万回/日で、前週3Wの16.2万回/日より低く、翌週5Wは14.7万回/日とさらに減速して、テレビ披露による跳ね上がりがあまり見られない。

MV作品そのものに、何か視聴者の興味を集め切れない面があるのか、あるいは、米津玄師、菅田将暉、K-POPなど、強力なライバルに客を奪われているのか(笑)、とにかくアイドルを取り巻く環境は、最近、とくに厳しさを増している気がします。


ここまでは動画人気の現状を紹介しましたが、実は、配信人気でも似たようなことが起こっています。

火曜日に、「シンクロニシティ」は、iTunes Storeでの配信開始から21日目を迎えましたが、トップソングの順位帯分布を、初期21日で揃えて、直近6表題曲と並べてみると、かなり好調なセールスを展開していることが分かります。

(表7) iTunesトップソングにおける乃木坂表題曲の配信開始後21日間の順位帯分布

凡例
A-B-C-D-E / F-G-H [Z] (50位以内/200位以内ランクイン日数; 確認できた最高順位) 曲名

# 上記の A〜H と Z は、それぞれ以下の順位帯にランクインした日数を表す
A(1〜10位)、B(11〜20位)、C(21〜30位)、D(31〜40位)、E(41〜50位)、F(51〜100位)、G(101〜150位)、H(151〜200位)、Z(200位圏外)
# ランキング対象の配信源は、Special Edition に収録されたもの
#「シンクロニシティ」配信21日目は2018/05/08(火)

14-6-1-0-0 / 0-0-0 [00] (21/21日; 2位) シンクロニシティ
14-7-0-0-0 / 0-0-0 [00] (21/21日; 3位) いつかできるから今日できる
08-2-6-5-0 / 0-0-0 [00] (21/21日; 4位) 逃げ水
09-6-5-1-0 / 0-0-0 [00] (21/21日; 4位) インフルエンサー
07-7-5-1-1 / 0-0-0 [00] (21/21日; 3位) サヨナラの意味
05-9-5-1-1 / 0-0-0 [00] (21/21日; 8位) 裸足でSummer
02-3-4-6-4 / 2-0-0 [00] (19/21日; 5位) ハルジオンが咲く頃


また、配信63日目となる欅坂「ガラスを割れ!」も、「サイレントマジョリティー」は別格として、今のところ、歴代トップクラスの順位推移を見せています。

(表8) iTunesトップソングにおける欅坂表題曲の配信開始後63日間の順位帯分布

凡例
A-B-C-D-E / F-G-H [Z] (50位以内/200位以内ランクイン日数; 確認できた最高順位) 曲名

# 表記法は(表7)と同じ
#「ガラスを割れ!」配信63日目は2018/05/08(火)

19-19-12-10-03 / 00-00-00 [00] (63/63日; 2位) ガラスを割れ!
16-13-14-15-04 / 01-00-00 [00] (62/63日; 1位) 風に吹かれても
14-04-02-03-11 / 26-03-00 [00] (34/63日; 1位) 不協和音
12-16-22-12-01 / 00-00-00 [00] (63/63日; 2位) 二人セゾン
06-02-04-01-01 / 17-24-08 [00] (14/63日; 4位) 世界には愛しかない
29-08-12-10-04 / 00-00-00 [00] (63/63日; 1位) サイレントマジョリティー


順位推移を眺める限り、「ガラスを割れ!」のダウンロード数は、少なくとも「サイレントマジョリティー」を除いた2作目以降では、もっとも多いのではないかと思います。

ところが、動画人気と同じく、そのレベルでは、POPs音楽全体の上位を狙えないのが2018年の状況です。

(表9) 配信人気曲のオリコン週間デジタル単曲ランキングにおけるダウンロード(DL)数

凡例
累計DL数 / +対象週DL数 @ 配信開始後経過週数 from 配信開始日 曲名 / アーティスト名

#「対象週DL数」は、2018/05/14付チャートにおけるDL数
#「0.00」はランクインなしの30位圏外
#「累計DL数」は、配信開始週から対象週までのDL数累計。対象週は「Against」以外全曲、最新2018/05/14付の週
#「DL数」はすべて万DL単位で小数点以下3桁目を四捨五入
#「経過週数」は、配信開始日から以降初の日曜までを「1W」、次の月〜日を「2W」、次の月〜日を「3W」と順に数えたもの
#「瞬き/back number」の配信開始は2017年。それ以外はすべて2018年

100.53万DL/+3.23 @ 12W from 02/12(月) Lemon/米津玄師
28.51万DL/+0.92 @ 20W from 12/20(水) 瞬き/back number
21.83万DL/+0.55 @ 17W from 01/07(日) さよならエレジー/菅田将暉
19.55万DL/+1.03 @ 10W from 02/28(水) ドラえもん/星野源
08.71万DL/+1.46 @ 05W from 04/07(土) 零-ZERO-/福山雅治
08.76万DL/+0.00 @ 09W from 03/07(水) ガラスを割れ!/欅坂46
04.43万DL/+0.87 @ 03W from 04/18(水) アイラブユー/西野カナ
04.20万DL/+0.93 @ 03W from 04/18(水) シンクロニシティ/乃木坂46
00.50万DL/+0.50 @ 01W from 04/18(水) Against/乃木坂46


動画で桁違いの人気を見せている米津玄師「Lemon」は、配信でも別次元の強さを誇っていて、12Wにおいて、とうとう100万DLを突破してしまいました。

「Lemon」は文句なしの大ヒット曲で、2018年暮れに発表される年間単曲チャートで、この曲が3位以内に入っていなければ、今年の後半、恐ろしいほどのヒット曲が3曲以上現れるか、もしくは、その音楽チャートそのものが無意味かのどちかでしょう(笑)。

米津玄師以外では、back number、菅田将暉などが強く、星野源「ドラえもん」もほぼ確実に20万DLを越える高い人気を集めています。


「ガラスを割れ!」は、配信8Wまでに累計8.76万DLまで稼いだのですが、最新9Wでは、30位圏内に入らず、週間ダウンロード数が0.47万DLを切るレベルまで減少しています。

累計10万DLが一つの目標かと思いますが、DL数を維持する粘りがやや乏しく、到達する可能性は高いものの、もうしばらく時間が掛かるかもしれない。

「シンクロニシティ」は配信3Wで4.20万DLまで積み上げていて、同じ日に配信を始めた西野カナ「アイラブユー」と、今のところ、似たような推移を辿っています。

(表10)「ガラスを割れ!」「シンクロニシティ」「アイラブユー」のiTunes順位帯分布とオリコンDL数の週単位推移

凡例
A-B-C-D-E / F-G-H [Z] : 対象週DL数 (累計DL数) 順位 @ 配信開始後経過週数 対象週の日付期間

# 上記の A〜H と Z は、対象週のiTunesトップソングにおいて、それぞれ以下の順位帯にランクインした日数
A(1〜10位)、B(11〜20位)、C(21〜30位)、D(31〜40位)、E(41〜50位)、F(51〜100位)、G(101〜150位)、H(151〜200位)、Z(200位圏外)
#「対象週DL数」は、対象週のオリコンデジタルにおけるDL数
#「累計DL数」は、配信開始週から対象週までのDL数累計
#「順位」は、対象週のオリコンデジタルにおける順位

ガラスを割れ!/ 欅坂46
5-0-0-0-0 / 0-0-0 [0] : 3.49万DL (3.49) 02位 @ 01W 03/07(水)11(日) ※ CD発売
5-2-0-0-0 / 0-0-0 [0] : 1.65万DL (5.15) 07位 @ 02W 03/12(月)18(日)
0-7-0-0-0 / 0-0-0 [0] : 0.88万DL (6.02) 08位 @ 03W 03/19(月)25(日)
0-3-4-0-0 / 0-0-0 [0] : 0.57万DL (6.59) 20位 @ 04W 03/26(月)01(日)
1-4-2-0-0 / 0-0-0 [0] : 0.51万DL (7.10) 11位 @ 05W 04/02(月)08(日)
6-1-0-0-0 / 0-0-0 [0] : 0.78万DL (7.88) 08位 @ 06W 04/09(月)15(日)
2-2-3-0-0 / 0-0-0 [0] : 0.52万DL (8.40) 16位 @ 07W 04/16(月)22(日)
0-0-1-6-0 / 0-0-0 [0] : 0.37万DL (8.76) 30位 @ 08W 04/23(月)29(日)
0-0-2-3-2 / 0-0-0 [0] : 0.00万DL (0.00) 30外 @ 09W 04/30(月)06(日)

シンクロニシティ / 乃木坂46
5-0-0-0-0 / 0-0-0 [0] : 1.79万DL (1.79) 04位 @ 01W 04/18(水)22(日)
7-0-0-0-0 / 0-0-0 [0] : 1.48万DL (3.27) 04位 @ 02W 04/23(月)29(日) ※ CD発売
2-5-0-0-0 / 0-0-0 [0] : 0.93万DL (4.20) 09位 @ 03W 04/30(月)06(日)

アイラブユー / 西野カナ
5-0-0-0-0 / 0-0-0 [0] : 2.25万DL (02.25) 02位 @ 01W 04/18(水)22(日) ※ CD発売
6-1-0-0-0 / 0-0-0 [0] : 1.31万DL (03.56) 06位 @ 02W 04/23(月)29(日)
0-7-0-0-0 / 0-0-0 [0] : 0.87万DL (04.43) 12位 @ 03W 04/30(月)06(日)


(表7)と(表8)で示したように、「シンクロニシティ」と「ガラスを割れ!」は、それぞれ歴代表題曲の中では、良好な順位推移を見せているけど、2018年に存在する他アーティストの人気曲に比べると、先頭集団を走っているという感じではなく、そこを狙おうとしているものの、場合によってはさらに順位を下げてしまう危険もある、第2グループという印象です。

先頭集団にいる人気曲は、iTunesトップソングで、どのような順位推移を辿っているのか、米津玄師と星野源のケースを載せておきます。

(表11)「Lemon」「ドラえもん」のiTunes順位帯分布とオリコンDL数の週単位推移

凡例
A-B-C-D-E / F-G-H [Z] : 対象週DL数 (累計DL数) 順位 @ 配信開始後経過週数 対象週の日付期間

# 表記法は(表10)と同じ

Lemon / 米津玄師
7-0-0-0-0 / 0-0-0 [0] : 23.56万DL (23.56) 01位 @ 01W 02/12(月)18(日)
7-0-0-0-0 / 0-0-0 [0] : 11.94万DL (35.49) 01位 @ 02W 02/19(月)25(日)
7-0-0-0-0 / 0-0-0 [0] : 12.51万DL (48.00) 01位 @ 03W 02/26(月)04(日)
7-0-0-0-0 / 0-0-0 [0] : 09.77万DL (57.78) 01位 @ 04W 03/05(月)11(日)
7-0-0-0-0 / 0-0-0 [0] : 10.82万DL (68.59) 01位 @ 05W 03/12(月)18(日) ※ CD発売
7-0-0-0-0 / 0-0-0 [0] : 09.69万DL (78.29) 01位 @ 06W 03/19(月)25(日)
7-0-0-0-0 / 0-0-0 [0] : 05.64万DL (83.93) 01位 @ 07W 03/26(月)01(日)
7-0-0-0-0 / 0-0-0 [0] : 03.93万DL (87.86) 01位 @ 08W 04/02(月)08(日)
7-0-0-0-0 / 0-0-0 [0] : 03.28万DL (91.14) 01位 @ 09W 04/09(月)15(日)
7-0-0-0-0 / 0-0-0 [0] : 02.99万DL (94.13) 01位 @ 10W 04/16(月)22(日)
7-0-0-0-0 / 0-0-0 [0] : 03.17万DL (97.30) 02位 @ 11W 04/23(月)29(日)
7-0-0-0-0 / 0-0-0 [0] : 03.23万DL (100.53) 02位 @ 12W 04/30(月)06(日)

ドラえもん / 星野源
5-0-0-0-0 / 0-0-0 [0] : 5.42万DL (05.42) 02位 @ 01W 02/28(水)04(日) ※ CD発売
7-0-0-0-0 / 0-0-0 [0] : 3.35万DL (08.77) 03位 @ 02W 03/05(月)11(日)
7-0-0-0-0 / 0-0-0 [0] : 2.12万DL (10.89) 02位 @ 03W 03/12(月)18(日)
7-0-0-0-0 / 0-0-0 [0] : 2.00万DL (12.88) 03位 @ 04W 03/19(月)25(日)
7-0-0-0-0 / 0-0-0 [0] : 1.59万DL (14.47) 03位 @ 05W 03/26(月)01(日)
7-0-0-0-0 / 0-0-0 [0] : 1.23万DL (15.70) 04位 @ 06W 04/02(月)08(日)
7-0-0-0-0 / 0-0-0 [0] : 1.07万DL (16.76) 03位 @ 07W 04/09(月)15(日)
6-1-0-0-0 / 0-0-0 [0] : 0.90万DL (17.67) 07位 @ 08W 04/16(月)22(日)
4-3-0-0-0 / 0-0-0 [0] : 0.85万DL (18.52) 09位 @ 09W 04/23(月)29(日)
6-1-0-0-0 / 0-0-0 [0] : 1.03万DL (19.55) 08位 @ 10W 04/30(月)06(日)


「Lemon」は今まで一度もTOP3から落ちたことがなく、先頭集団というよりぶっちぎりの独走状態で、ここまでくると参考にもなりません(笑)。

一方、MV再生数では、少なくとも公開後80日間では「ガラスを割れ!」と互角の勝負になっている「ドラえもん」は、配信人気では欅坂最新曲を明確に上回っています。

やはり、20万DLを狙うには、iTunesトップソングTOP10に、配信7Wくらいまでは留まる必要があるようで、3Wで11位以下が入ってくる坂道は、まだまだ楽曲人気に勢いがないと言うしかありません。


乃木坂46は、今、日本の女性アイドルでは「No.1」の人気を誇っていると思います。

しかし、社会におけるアイドルの存在感が低下して、「No.1」アイドルが、必ずしも「国民的」アイドルではない時代が訪れつつある。

光回線、Wi-Fi、スマートフォンなどの普及によって、ネットを介した大容量データのやり取りが容易になり、YouTubeで動画を楽しみ、iTunes Storeで音楽コンテンツを購入する人々を刻一刻と増やしいるのでしょう。

その結果、テレビではなく、ネットから人気者が現れるようになり、YouTuberがMステに出演するような、少し前には考えられなかった出来事が起こり始めている。


当然、音楽CDの売り上げ減少は一層加速し、オリコンのシングルCDランキングは、大規模握手会でセールスを稼ぐ、AKB48Gと坂道の独壇場になっていく。

しかし、多くのアーティストが、ネット時代に対応して、MV再生回数や配信ダウンロード数を伸ばす工夫を続ける中、CDセールスにこだわり、握手会や総選挙に莫大な時間とエネルギーを注ぎ続ける「トップ」アイドルは、孤立感が深まっている。

CD売り上げを稼ぐ仕組みが広く知れ渡っている今、人気を測る尺度として、CD売り上げランキングは無意味化しつつあり、ミリオン達成のニュースですら大きな話題になっている感じではない。


音楽のメインフィールドはネットを介した動画や配信に移っていて、人気楽曲のMV再生数やダウンロード数のスケールが、年々大きくなっている。

そんな中、乃木坂は、CDセールスを伸ばすために考案された、握手会人気による選抜序列を未だに堅持し、ダンス力や歌唱力とは無関係な配置や歌割りを採用し続けている。

生駒里奈が願ったように、乃木坂を「守る」ためには、時代の流れを読んで、CD枚数ではなく、動画や配信の人気上昇を中心テーマに据え、魅力的なパフォーマンスの実現に取り組むことが、もっとも有効な方法じゃないでしょうか。


このまま何も手を打たなければ、95年組全員「卒業」のダメージから逃れられず、パフォーマンスのレベルが落ち、新しい人気アーティストが次から次へ登場する中、「アイドル」の存在感は薄れ、MV再生数やダウンロード数の相対順位が低下し続け、どこかで蒼ざめるという未来しか見えない。

最近、Mステがよく取り上げる、高校ダンス部やYouTuberは、すでに新しい「アイドル」としての役割を果たし始めている。

平手友梨奈が「サイレントマジョリティー」を引っさげ、J-POPの世界に登場した時から2年しか経っていないけど、たった2年で「アイドル」を取り巻く状況が激変し、今も刻々変化し続けていると認識することが、生駒の乃木坂に対する想いを無駄にしない第一歩だと思います。


(関連記事)

なぜ乃木坂のCDセールスは伸びたのか?「シンクロニシティ」初動ミリオンの鍵は全国握手会 [02May18]

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2018年はアイドル「大淘汰」時代の幕開けか、AKB48Gの「総選挙」ジレンマと広がる坂道との格差 [19Apr18]

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// 最近のツイート抜粋

アレチボルト@sabakunonezumi のツイッターアカウント

最新Billboard JAPAN Hot100「国内動画再生回数」で、乃木坂46「シンクロニシティ」は24位。同時期「インフルエンサー」9位、欅坂表題は2枚目以外TOP10。うたコン、Mステ、バズリズム02、CDTVと連続テレビ披露の週であり、MV人気に伸び悩み感。ダンスのドラマ性向上のため、新作衣装などの工夫が欲しい
19:32 - 2018年5月2日

『めざましどようび』の生田、衛藤、桜井による「雲になればいい」生歌ライブ、歌唱力だけでなく、凄まじい美人揃いで、魅入ってしまった、朝から笑。ただ、ここまで歌えるとラップ以上の字余り歌詞が気になる。せめて、いつでき風の字足らずなら、もっと歌声が堪能出来る。番組後、iTunes順位が急上昇
11:13 - 2018年5月5日

生田、衛藤、久保による「さらばシベリア鉄道」の『うたコン』ステージ以来、太田裕美さんのオリジナルをあらためて聴いてみた。感心するのは、彼女の歌声の魅力を最大限引き出す楽曲構成になっていて、それが乃木坂3人の歌唱をも輝かせていること。歌の原点は人の声で、口パクから名曲は生まれない
17:51 - 2018年5月5日

「さらばシベリア鉄道」は、大瀧詠一氏が自身のために作曲したものながら、太田裕美の歌を数多く手掛けた萩田光雄氏が編曲する段階で、彼女に適したサウンドが出来上がったのだと思う。原曲の持つ広大な世界観を生田の声が、少年的部分を久保、繊細な女性面を衛藤が担当し、乃木坂バージョンが生まれた
18:19 - 2018年5月5日

「さらばシベリア鉄道」「雲になればいい」の生歌ステージは、生田、衛藤、桜井、久保と、魅力的な歌声を持つメンバーが多数いることを示した。傑出したダンス力の95年組3人が「卒業」した今、21枚目は、本格的な歌選抜を組んで「歌の乃木坂」で勝負するのが、グループ発展への最適解じゃないかと思う
18:41 - 2018年5月5日

幕張全握の生駒里奈「卒業」と関連番組放送を受け、センター曲「Against」のiTunesトップソング順位が、土曜142位から急上昇し現在27位。タイトでアグレッシブな黒の新衣装に、渾身のソロダンスが入る『乃木坂46SHOW』のフルステージは、乃木坂パフォーマンスの一つの到達点。何度観ても鳥肌が立つ迫力
0:21 - 2018年5月8日

「卒業」の日、最後にテレビ披露されたステージが、熱く挑戦的な、それでいて軽やかに踊る「Against」だったのは、いかにも生駒里奈らしい。誰にも正解が分からない世界で、決然と方向を定め、風のように駆け抜けた7年間。その歩みが今の乃木坂を生み、これからも彼女はそうやって進んでいくのだと思う
1:17 - 2018年5月8日

95年組の伊藤万理華、生駒里奈、川村真洋は、乃木坂ダンスパフォーマンスを、ステージ上だけでなく、チームのまとめ役や踊りの手本&先生として、内側から支えてきたメンバー。3人の一斉「卒業」はグループにとって相当厳しい。踊れるメンバーを前に出して、選抜・アンダーを貫くダンス中軸の再編が必要
1:36 - 2018年5月8日

今後の乃木坂46は、ダンス中軸の再編に加え、歌唱力で勝負する体制を整えて欲しい。『めざましどようび』スタジオ披露以降、iTunesトップソングに「雲になればいい」が再登場、200位圏内日数を歴代4位の17日まで延伸。「さらばシベリア鉄道」と同じく、衛藤美彩と生田絵梨花のハモりは「看板」に出来る
1:58 - 2018年5月8日

欅坂の握手会で起こった発煙筒事件は今でもメンバーを苦しめ、乃木坂は握手会序列で雁字搦めに縛られ、選抜アンダーの固定化が長く続いている。ミリオンに辿り着くため、坂道は甚大な犠牲を払ってきた。得るものの方が大きいという幻想がある限り、この残酷な美少女ゲームに終わりはないかもしれない
10:05 - 2018年5月8日


# 記事中の青字部分は、テレビ番組、公式サイト、書籍、歌の歌詞などに、掲載されたものを、そのまま抜粋引用したことを表しています


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なぜ乃木坂のCDセールスは伸びたのか?「シンクロニシティ」初動ミリオンの鍵は全国握手会 [02May18]

2018-05-02 03:45:00 | 芸能

乃木坂46が参加する、注目の番組とイベント

(テレビ・ラジオ・イベント・リリース)

05月06日(日) [BS] 23:00〜23:30 NHK BSプレミアム「乃木坂46SHOW!」。「シンクロニシティ」「Against」のフルサイズ披露。生駒里奈「卒業」ライブ潜入他


フジテレビCS放送の『プロ野球ニュース』、昨夜は衛藤美彩の初登場回でしたが、思った以上に落ち着いてMCをこなして、感心しました。

何と言っても1時間の生放送、しかも、通常は女子アナが担当する役割のため、みさみさが口を開かないと一歩も進まない番組構成で、緊張するのが当たり前の中、よく通る声でスムーズにしゃべっていて聴き易かった。

ただ、最初は原稿以外のコメントをしゃべる余裕がなかったようで、もう一人の、というより本当のMC大矢明彦さんからの気を遣ったあの手この手のフリに、「はい、そうですね」のあらゆるバリエーションで対処して(笑)、さすがのみさ先輩も相当固まっている印象だった。


それでも、番組半ばくらいに、「ロッテのあのユニフォーム、どう思う?」との問い掛けに、「おしゃれ!」「カワイイ!」と多分初めてアドリブで感想を返し、大矢さんも手応えを感じたのか、「おお!それじゃあ女の子にモテるね!!」と、普段の「プロ野球ニュース」ではあまり聞けないやりとりが炸裂。

同郷大分出身である西武の源田壮亮選手へのインタビューコーナーでは、レフ板光量多めのみさみさアップショットが、相手が話しているときですら二分割で入るという、アイドルとスポーツの革命的融合が展開、図らずも、フジテレビの「変わらなきゃ!」という意気込みを感じることに(笑)。

昨年までヤクルト監督だった真中満さんが、「尺長くないですか」と最後にツッコミを入れてくれたけど、バックに流れているのが「雲になればいい」で、もはや「乃木回」の雰囲気が漂っていました。


乃木坂公式サイトの「スケジュール」ページを調べると、5月は毎週月曜日に「プロ野球ニュース」衛藤美彩と書かれており、VTR出演が思っている以上にあるのかもしれない。

さらに、インタビューコーナーの冒頭、みさみさが「今回は私が・・・」と呟いた気がして、ひょっとすると別のメンバーが登場する可能性もあるのか?、そのうち歌のコーナーとか出来るんじゃないか?と、夢は膨らむばかりです(笑)。

私は、プロ野球と乃木坂46、両方好きで、試合内容をVTRで詳細に紹介し、解説する従来型だけでなく、こういった新企画の投入はどんどんやって欲しいし、やってくれれば、今まで以上に「プロ野球ニュース」を観るでしょう。

長年続いてきた「老舗」番組が、新しい試みを取り入れるのはワクワクすることで、多少の批判や失敗はあっても、挑戦する価値はあるんじゃないかと思います。

そういう観点からも、衛藤美彩の「プロ野球ニュース」は、面白くて、期待感を抱かせる回だった。


さて、乃木坂46の20枚目「シンクロニシティ」は、オリコン第1週売り上げが111.7万枚の1位だったことが判明しました。

19枚目「いつかできるから今日できる」初動を、なんと26.6万枚も上回る数字で、生駒里奈の「卒業」シングルがグループ初となる初動ミリオンを達成し、しかも、直近リリースのAKB48シングルである「ジャーバージャ」初動111.6万枚を、これまた初めて越えるという、出来過ぎ感すら漂う展開になっています(笑)。

しかし、では、乃木坂の人気が前作と比べて、26.6万枚分伸びたのかと言われると、いろいろ考えるべき点がある。


まずは、歴代売り上げとの比較を載せておきます。

(表1) 乃木坂歴代シングルのオリコンデイリー初日と週間第1週初動の推移

凡例
[シングル番号] 初日→(積み上げ)→初動 前作初動からの増減 [CD発売日] タイトル

#「初日」「積み上げ」「初動」「前作からの増減」はすべて「万枚」単位で、小数点以下1桁目を四捨五入
#「前作からの増減」は、増加した場合は上矢印「↑」、減少した場合は赤色の下矢印「↓」で示している

[01] 初日08.5→(05.1)→初動13.6 [2012/02/22] ぐるぐるカーテン
[02] 初日11.1→(04.4)→初動15.6↑01.9 [2012/05/02] おいでシャンプー
[03] 初日15.0→(03.7)→初動18.7↑03.1 [2012/08/22] 走れ!Bicycle
[04] 初日19.0→(04.3)→初動23.3↑04.6 [2012/12/19] 制服のマネキン
[05] 初日20.4→(03.8)→初動24.2↑00.9 [2013/03/13] 君の名は希望
[06] 初日28.6→(05.1)→初動33.7↑09.5 [2013/07/03] ガールズルール
[07] 初日34.7→(04.8)→初動39.5↑05.8 [2013/11/27] バレッタ
[08] 初日38.7→(07.1)→初動45.8↑06.3 [2014/04/02] 気づいたら片想い
[09] 初日37.5→(04.7)→初動42.2↓03.6 [2014/07/09] 夏のFree&Easy
[10] 初日41.2→(06.6)→初動47.9↑05.7 [2014/10/08] 何度目の青空か?
[11] 初日42.2→(07.8)→初動50.0↑02.2 [2015/03/18] 命は美しい
[12] 初日48.2→(12.8)→初動60.9↑10.9 [2015/07/22] 太陽ノック
[13] 初日53.4→(09.3)→初動62.7↑01.8 [2015/10/28] 今、話したい誰かがいる
[14] 初日59.1→(15.9)→初動75.0↑12.3 [2016/03/23] ハルジオンが咲く頃
[15] 初日60.0→(12.8)→初動72.8↓02.2 [2016/07/27] 裸足でSummer
[16] 初日68.3→(14.4)→初動82.8↑10.0 [2016/11/09] サヨナラの意味
[17] 初日74.3→(13.2)→初動87.5↑04.7 [2017/03/22] インフルエンサー
[18] 初日71.6→(16.4)→初動88.0↑00.5 [2017/08/09] 逃げ水
[19] 初日68.3→(16.8)→初動85.1↓02.9 [2017/10/11] いつかできるから今日できる
[20] 初日86.3→(25.3)→初動111.7↑26.6 [2018/04/25] シンクロニシティ


今作は初日段階で、前作をすでに18万枚上回ったのに加え、水曜から日曜までのデイリーも8.5万枚多く積み上げ、100万枚を12万枚近く越える初動ミリオンとなった。

デイリー推移を眺めると、ある日、どかんと援軍が来たというより、毎日毎日歴代最高レベルの売り上げが続き、結局、一度も3万枚を下回る日がなかった。

(表2) 乃木坂14〜20枚目の発売第1週オリコンデイリーの推移

凡例
[シングル番号] 初日 (曜日)デイリー売り上げ {水曜〜日曜累計 / 初日初動差} 初動↑↓前作からの増減

[14] 初日59.1 水11.4 木1.7 金1.1 土0.9 日0.8 {15.8/15.9} 初動75.0
[15] 初日60.0 水06.2 木1.9 金1.2 土0.9 日2.5 {12.8/12.8} 初動72.8↓02.2
[16] 初日68.3 水05.3 木2.5 金2.1 土1.4 日3.1 {14.4/14.4} 初動82.8↑10.0
[17] 初日74.3 水06.1 木2.2 金2.1 土1.5 日1.2 {13.1/13.2} 初動87.5↑04.7
[18] 初日71.6 水07.4 木3.6 金2.6 土1.6 日1.1 {16.4/16.4} 初動88.0↑00.5
[19] 初日68.3 水07.5 木3.9 金1.9 土2.1 日1.3 {16.8/16.8} 初動85.1↓02.9
[20] 初日86.3 水10.2 木4.6 金4.0 土3.5 日3.0 {25.3/25.3} 初動111.7↑26.6


どの曜日も満遍なく売れるのは、初回限定盤などの店頭セールスが好調だったことを窺わせるものです。

しかし、全国握手会の開催や「似顔絵会」「ゲーム会」などの応募が終わっていない段階での初回限定盤セールスは、収録されている音楽・映像コンテンツより、特典イベントの魅力で売り上げている分が圧倒的です。

以下の表は、19枚目「いつかできるから今日できる」のオリコン推移ですが、全国握手会の開催に売り上げ枚数と順位が大きく左右されているのが分かります。

(表3) 乃木坂19枚目のオリコン週間ランキング推移

凡例
[順位] 売り上げ枚数(その週までの累計) CD発売後経過週数 日付期間

#「売り上げ枚数」は小数点以下2桁目を四捨五入。「00.0万枚」は売り上げゼロではなく5百枚未満の意味
#「50外」はオリコンが無料一般サイトで公表している50位以内に入っていない
#「日付期間」は2017年秋から18年春に渡り、年度を省いている
#「全国」は全国握手会の開催

[01位] 85.1万枚(085.1) 01W 10/09(月)15(日)
[03位] 04.2万枚(089.3) 02W 10/16(月)22(日)
[05位] 02.0万枚(091.3) 03W 10/23(月)29(日)
[06位] 01.2万枚(092.4) 04W 10/30(月)05(日)
[12位] 01.1万枚(093.5) 05W 11/06(月)12(日)
[10位] 01.1万枚(094.6) 06W 11/13(月)19(日)
[18位] 00.7万枚(095.3) 07W 11/20(月)26(日)
[34位] 00.3万枚(095.6) 08W 11/27(月)03(日)
[20位] 00.5万枚(096.1) 09W 12/04(月)10(日)
[21位] 00.5万枚(096.6) 10W 12/11(月)17(日)
[17位] 00.5万枚(097.2) 11W 12/18(月)24(日)
[08位] 00.7万枚(097.9) 12W 12/25(月)31(日)※12/25(月)SPイベント応募締切
[02位] 01.5万枚(099.4) 13W 01/01(月)07(日)
[02位] 02.4万枚(101.8) 14W 01/08(月)14(日)※01/08(月)全国(幕張)
[05位] 02.7万枚(104.5) 15W 01/15(月)21(日)※01/20(土)全国(なごや)
[13位] 00.6万枚(105.0) 16W 01/22(月)28(日)
[18位] 00.5万枚(105.5) 17W 01/29(月)04(日)
[18位] 00.3万枚(105.8) 18W 02/05(月)11(日)
[27位] 00.4万枚(106.2) 19W 02/12(月)18(日)
[32位] 00.3万枚(106.5) 20W 02/19(月)25(日)
[28位] 00.3万枚(106.9) 21W 02/26(月)04(日)※03/02(金)個握応募終了
[35位] 00.3万枚(107.2) 22W 03/05(月)11(日)
[33位] 00.4万枚(107.5) 23W 03/12(月)18(日)
[20位] 00.5万枚(108.0) 24W 03/19(月)25(日)
[06位] 02.0万枚(110.0) 25W 03/26(月)01(日)※03/31(土)全国(大阪)
[50外] 00.0万枚(110.0) 26W 04/02(月)08(日)
[50外] 00.0万枚(110.1) 27W 04/09(月)15(日)
[50外] 00.0万枚(110.1) 28W 04/16(月)22(日)


19枚目最後の全国握手会は、CD発売25週目(W)に相当する、今年の3月31日(土)にインテックス大阪で行われました。

そして、この25Wまで0.1万枚以上を維持して、TOP50に入っていた売り上げが、26Wから急落し、50位圏外に去っている。

最終全国握手会の開催週まで大きなCDセールスが続き、それを境に低い数字が並ぶのは、坂道やAKB48Gによく見られる特徴です。


ただ、「低い」と言ってもゼロではなく、特典がすべて終わったあとの売り上げこそが、収録されている楽曲やMVの人気を反映するバロメーターになる。

例えば、欅坂のシングルは、特典終了後のオリコン売り上げが非常に良好で、リリースした全6作のうち、今まで200位圏外に落ちたのは、2017/12/18付における「二人セゾン」の1回だけという、俄かには信じられないCDセールスを続けています。

一方、乃木坂の場合は、17枚目「インフルエンサー」までの4シングルに限れば、200位圏外は1回に留まるけど、それ以前に遡ると、16枚目「サヨナラの意味」が17回の圏外を喫するなど、欅坂ほどの粘り強さはない。


最後の全国握手会が開催される週までのCDセールスは、それが店頭販売CDであっても、売り上げ枚数が示すのは特典イベントの集客・集金力であり、楽曲人気とはほとんど関係ありません。

こういう視点を持って乃木坂17枚目以降のオリコン売り上げにおける個別握手会セールスと店頭セールスの割合を眺めると、興味深いことが分かります。

初動において7割対3割だった個別と店頭の比が、全国握手会終了週の累計において6割対4割へ変わるパターンが続いている。


以下の表に示したように、17枚目「インフルエンサー」では、初動87.5万枚の中、6次応募分までを流し込んだ個別握手会セールスは推定60.4万枚、店頭セールスは27.0万枚で、個別対店頭の比は69%対31%。

個別握手会は、部数ベース完売率が84.4%と高く、その後、全国握手会終了週の発売14Wに達しても、90.9%までしか伸びず、個別握手会セールスの積み上げは0.7万枚に留まっている。

一方、店頭セールスは、14Wまでに13.8万枚を積み上げ27.0万枚。


発売1Wにおいて、個別握手会セールスはすでにほぼ売り切れ状態で、それ以降は、主に店頭セールスが上昇し、両者の比が7対3から6対4に変化する。

こういった動きが、17、18、19枚目と連続して起こっています。

(表4) 乃木坂17〜19枚目に関するCD発売週と全国握手会終了週のオリコン売り上げ内訳分析

凡例
対象週の発売後経過週数
個別握手会セールス [全体に占める割合]
対象週直前の受付次数 : 完売部数/総部数 (部数完売率_枚数販売率)
店頭セールス [全体に占める割合]
------------------------------
対象週のオリコン売り上げ @ 発売後経過週数

#「個別握手会セールス」は完売状況からシミュレーション計算で求めた推定値
#「店頭セールス」はオリコン累計から「個別握手会セールス」を引いたもの
# ↑↓の増減は、それぞれの売り上げ項目において「⬇︎」の矢尻から矢筈を引いたもの

17枚目「インフルエンサー」
01W CD発売週
個別 60.4万枚 [69%]
06次 : 743/880部 (0.844_0.916)
店頭 27.0万枚 [31%]
------------------------------
初動 87.5万枚 @ 01W
⬇︎
14W 最終全国握手会開催週
個別 61.1万枚↑00.7 [60%]
14次 : 800/880部 (0.909_0.927)
店頭 40.8万枚↑13.8 [40%]
------------------------------
累計 101.9万枚↑14.5万枚 @ 14W

18枚目「逃げ水」
01W CD発売週
個別 63.3万枚 [72%]
06次 : 805/930部 (0.866_0.987)
店頭 24.7万枚 [28%]
------------------------------
初動 88.0万枚 @ 01W
⬇︎
22W 最終全国握手会開催週
個別 64.0万枚↑00.7 [60%]
20次 : 893/930部 (0.96_0.998)
店頭 41.8万枚↑17.0 [40%]
------------------------------
累計 105.8万枚↑17.8万枚 @ 22W

19枚目「いつかできるから今日できる」
01W CD発売週
個別 62.0万枚 [73%]
05次 : 615/920部 (0.668_0.899)
店頭 23.1万枚 [27%]
------------------------------
初動 85.1万枚 @ 01W
⬇︎
25W 最終全国握手会開催週
個別 66.1万枚↑04.1 [60%]
21次 : 811/887部 (0.914_0.994)
店頭 43.9万枚↑20.8 [40%]
------------------------------
累計 110.0万枚↑24.9万枚 @ 25W


オリコン売り上げにおける個別握手会セールスと店頭セールスの比は、発売週では、前者が後者を圧倒する7割対3割の「初動」型、最後の全国握手会が行われる週では、後者が前者に迫る6割対4割の「累計」型を示すのが、直近数シングルの特徴です。

ところが、20枚目「シンクロニシティ」の初動は、7割対3割の「初動」型ではなく、6割対4割の「累計」型になっている。

(表5) 乃木坂20枚目に関するCD発売週のオリコン売り上げ内訳分析

20枚目「シンクロニシティ」
01W CD発売週
個別 65.1万枚 [58%]
07次 : 708/890部 (0.796_0.975)
店頭 46.6万枚 [42%]
------------------------------
初動 111.7万枚 @ 01W


20枚目のオリコン売り上げが、なぜ初動段階でいきなり「累計」型を示すのか、理由は全国握手会の日程が物語っています。

(表6) 乃木坂20枚目の特典イベントの開催及び応募日程

凡例
[オリコン日付] CD発売後経過週数 日付期間

[05/07付] 01W 04/23(月)29(日) ※04/29(日) 全国(インテックス大阪)
[05/14付] 02W 04/30(月)06(日) ※05/06(日) 全国(幕張メッセ) 生駒里奈「卒業」
[05/21付] 03W 05/07(月)13(日) ※05/12(土) 全国(ポートなごや)
[05/28付] 04W 05/14(月)20(日)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
[07/09付] 10W 06/25(月)01(日)
[07/16付] 11W 07/02(月)08(日) ※07/02(日) SPイベント応募締切
[07/23付] 12W 07/09(月)15(日)


前作では発売25Wまで掛かった全国握手会の消化が、今作では、たった3Wで終るスケジュールが組まれている。

しかも、2Wにおける幕張メッセは、「卒業」する生駒里奈の乃木坂における最後の仕事とアナウンスされている。

全国握手会の参加券とミニライブ券を求めて、多くのファンが発売前から初回限定盤を買うのは当然で、店頭セールスが一気に上がった主因だと思います。


つまり、20枚目「シンクロニシティ」は、通常よりずっと早く店頭セールスが上昇するよう、全国握手会の開催日程を決め、発売2Wの幕張メッセを生駒ちゃんの「卒業」イベントに設定し、その結果、仕掛けた通り、スタートから初回限定盤の売り上げが急伸して、初動ミリオンを達成し、個別対店頭比は最初から「累計」型を示すことになった。

であれば、前作初動と今作初動を比べて、店頭セールスが何枚伸びたかを調べても、あまり意味はない。

20枚目の初動は、19枚目で言えば、最終全国握手会が直前に迫った段階の累計に匹敵するもので、比較するならば、20枚目3Wと19枚目25Wのように、日程条件を揃える必要がある。

「シンクロニシティ」は、まだ初動が出たばかりなので、取り敢えず、19枚目25Wからの変動を計算してみました。

(表7) 乃木坂19枚目全国握手会終了週と20枚目CD発売週のオリコン売り上げ内訳分析

19枚目「いつかできるから今日できる」
25W 最終全国握手会開催週
個別 66.1万枚 [60%]
21次 : 811/887部 (0.914_0.994)
店頭 43.9万枚 [40%]
-----------------------------
累計 110.0万枚 @ 25W
⬇︎
20枚目「シンクロニシティ」
01W CD発売週
個別 65.1万枚↓1.1 [58%]
07次 : 708/890部 (0.796_0.975)
店頭 46.6万枚↑2.8 [42%]
-----------------------------
初動 111.7万枚↑1.7 @ 01W


個別握手会セールスは、前作から1.1万枚減ですが、部数ベース完売率がまだ79.6%と伸び代を残しており、総部数はほとんど変わらないので、発売3W累計では互角になると思います。

一方、店頭セールスは2.8万枚増と、すでに前作レベルを越えており、2Wと3Wの積み上げを加えると、3W累計では10万枚近くアップしても不思議ではない。

そして、その上昇分こそが、レコード大賞の受賞、生駒里奈の「卒業」、メディア露出の拡大などがもたらした、握手会セールスの引き上げ「効果」と言えます。


全国握手会を超短期決戦型日程にしたことで(笑)、初回限定盤が通常よりずっと速く買い進まれ、初動が大幅に上昇した。

ただ、理屈通りに、短期での売り上げアップを実現できたのは、乃木坂が高い人気を持っている証拠で、とくに全国握手会の強い動員力を示している。

全国握手会の強化は、乃木坂が近年取り組んできたテーマのようで、その成功が17枚目以降の売り上げ4割という、高い店頭セールスに表れています。


個別握手会は、事前に日時とメンバー名を設定して予約販売するので、メンバーの都合による不参加には、振替が求められてしまう。

そのため、どんなに素晴らしい出演オファーが舞い込んでも、泣く泣く断らなければならず、乃木坂の人気が上昇して、トップメンバーを中心に、CM、テレビ、舞台、イベントなどの仕事依頼が増えると、個別握手会参加は活動の足枷になっていく。

17枚目「インフルエンサー」から、白石麻衣、松村沙友理、西野七瀬、生田絵梨花、秋元真夏、生駒里奈、若月佑美、桜井玲香ら中軸メンバーを、個別握手会の全日程不参加もしくは一部限定参加にして、外仕事に対する自由度を確保している。


3期の握手会人気が急上昇したことで、個別握手会セールスは安定したものの、開催日数や総部数の今以上の増加は、メンバーの負担アップや費用対効果を考えると避けたいところです。

実際、「乃木恋」やライブDVDなどがよく売れるのだから、そこまで握手会にこだわる必要はない。

ただ、握手会規模を拡大しなければ、オリコンの売り上げ枚数は頭打ちとなってしまう。


そこで切り札になったのが、全国握手会の個別握手会化だと思います。

指名予約のない全国握手会は、参加メンバーを直前に発表すればよく、トップメンバーにとって、外仕事のスケジュールが調整し易い。

そして、従来の二人一組のペアで行っていた握手を、ソロによる握手にすれば、個別握手会に参加しない中軸メンバーと、ファンは1対1で会うことが出来る。


まいやんとさゆりんごの個別握手会全日程不参加が決定された17枚目「インフルエンサー」以降、発売1Wで個別握手会セールスがほぼ売り切れ、その後、全国握手会終了週まで店頭セールスが伸びていくパターンが定着していきます。

全国握手会が以前より重要性を増し、個別握手会セールスが伸びなくても、店頭セールスがそれを補う形が出来ていく。

握手会参加券とミニライブ券を切り離したのも、この流れの中にあり、トップメンバーの外仕事に対する自由度確保が出発点である一連の策が、生駒里奈の「卒業」シングルで、初動ミリオンに結びついたのだと思います。


これまでの握手会設定を見ていると、個別も全国も、AKB48のCDセールスを越えないよう、抑えている節があったけど、今回は遠慮せず、持っているカードを威勢よく切った感がある。

あるいは、生駒ちゃんの「卒業」をお祝いするため、派手な打ち上げ花火をぶっ放したのかもしれない(笑)。

しかし、特典が有効な期間のCDセールスは、楽曲人気とは関係なく、仕掛けた特典イベントに対する人気を表すに過ぎません。


米津玄師「Lemon」のオリコン初動は19.5万枚で、乃木坂「シンクロニシティ」の17%ですが、楽曲人気が17%というわけではない。

また、「Lemon」は握手会ではないCD特典を付けているようで、握手会人気が17%とも言えない(笑)。

さらに、AKB48は近年、「祭り」を筆頭に、握手以外のイベントを豊富に取り入れており、「シンクロニシティ」の握手会人気が「ジャーバージャ」を上回ったという主張にも、考え込んでしまう面がある。

そもそも乃木坂の20枚目と19枚目を比べるときですら、初動同士を並べても意味がないわけで、特典の複雑な条件設定に大きく左右されるCD売り上げは、もはや何を反映するのか分からない、使いづらい指標になっています。


一方、複数ダウンロードが難しく、特典が付かない配信のセールス指標は、比較的分かりやすい。

例えば、初動DLは「Lemon」23.56万DL、「ガラスを割れ!」3.49万DL、「シンクロニシティ」1.79万DL。

乃木坂の楽曲人気が米津玄師の8%とは言えないけど、累計が94.13万DLであることを考えると、両者の間に相当な開きがあるのは間違いなく、欅坂に届いてないことも認めざるを得ない。


オリコン初動ミリオンは、個別と全国、乃木坂の握手会人気と日程設定が呼び込んだ数字だけど、あくまで特典イベントの動員力を示すもので、音楽的人気とは関係なく、さらには、CMで商品の売り上げを伸ばす人気、テレビ番組で視聴率を稼ぐ人気、といったものと必ず連動しているわけでもない。

その区別を念頭に置いて数字を見ることが、今後、次々と出てくるだろう「ミリオン」の洪水に流されず、グループを着実に発展させていくのに不可欠だと思います。

38作連続でミリオンを飛ばし、今尚、それを続けているAKB48ですら、人気低落を囁かれていることが、その数字の価値と限界を示している。


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欅坂「ガラスを割れ!」初動は83.3万枚1位と3.5万DL2位、乃木坂が生駒最後の20枚目で目指すもの [15Mar18]

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// 最近のツイート抜粋

アレチボルト@sabakunonezumi のツイッターアカウント

今、欅坂において、メンタル面で苦しむ人が相次いでいるのは、デビュー曲がいきなり大ヒットし、猛然と走り続けてきた副作用かもしれない。一方、初期の乃木坂はあまり仕事がなく笑、メンバーはお互いの関係を育む余裕を持てた。その時培った絆がグループを安定させ、現在の活躍を支えている気がする
1:08 - 2018年4月27日

乃木坂46「シンクロニシティ」MVは金曜正午に公開3週目(w)が終了、累計は584万回。「インフルエンサー」506万回を越える歴代最速ペースも、3w増加速度はインフル15.4万回/日より低い14.7万回/日まで減速。MV公開3WのBillboard JAPAN Hot100「国内動画再生回数」も21位へ下落。やや伸び悩み感のある展開
23:48 - 2018年4月27日

乃木坂46の20枚目CW曲フルバージョンMVは発売日正午にショートへ。最終累計は「Against」209.7万回、「トキトキメキメキ」145.1万回、「新しい世界」67.3万回、「スカウトマン」65.1万回。Bilboard JAPAN Hot100は4曲全てがMV公開週にツイートと国内動画で100位圏内。シングル全体への注目度が高い印象
0:25 - 2018年4月28日

「シンクロニシティ」は地上波テレビで6回披露され、ほとんどのステージが演奏時間3分。前作「いつもできるから今日できる」は46SHOW!やMUSIC FAIRを除き2分半で、18th以前の表題曲も同じだった。今年に入って、音楽番組における乃木坂46の扱いがより良くなった印象。レコード大賞が利いてるのかも笑
18:41 - 2018年4月29日

音楽番組での乃木坂表題曲演奏時間
シンクロニシティ
3分01秒 CDTV25周年
3分01秒 Mフェア
2分57秒 うたコン
3分01秒 Mステ
3分00秒 バズリズム02
2分32秒 CDTV
いつかできるから今日できる
2分30秒 Mステ
2分59秒 Mフェア
2分30秒 MステSP
2分30秒 バズリズム02
2分30秒 CDTV
2分26秒 CDTV_ハロウィン
18:45 - 2018年4月29日

乃木坂20th個別握手会の総部数は19thとほぼ変わらず、販売率は両者とも100%に近い。従って、CDセールスの違いは店頭分に左右される。全国握手会を発売3週目で全消化する今作は、そこまでに前作25週分が注がれる可能性があり、今作3Wと前作25Wの累計差が、日程効果を差し引いた新規増減分と考えられる
22:22 - 2018年4月29日


# 記事中の青字部分は、テレビ番組、公式サイト、書籍、歌の歌詞などに、掲載されたものを、そのまま抜粋引用したことを表しています


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