まつや清の日記 マツキヨ通信

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発議第23号「原子力発電所の警備に関する意見書 反対討論

2011年12月15日 | ニュース・関心事
※ 「議案と関係ない」のヤジ、「発言を慎んで下さい」の議長注意、騒然とした中での討論でした。討論の前半部分が情勢に関わることで、これが長すぎたのかなという気持ちしますが、要はこの意見書で反対というのがおかしいと云うのが背景にあると思いました。皆さんは、この討論原稿をどのように思われるでしょうか。感想を聞かせてください。  
                     2011・12・15
会派「虹と緑」を代表して発議第23号 「原子力発電所の警備に関する意見書」案に反対の立場で討論を行います。

3月11日の東日本大震災は、東京電力第一原発において、世界の原発事故史上類を見ない震災を引き起こし、いまだ収束のめどは立っておりません。メルトダウンした原子炉からは大量の放射性物質が大気中や海洋へ放出され、構内では被ばく労働も深刻化しています。日本と世界は、「ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ」の高線量外部被ばくから「チェルノブイリ・フクシマ」の低線量内部被ばくという日常的放射能汚染時代を迎え、原爆であれ、原発であれ人類に原子力をコントロールできないことを改めて認識させられています。  

 放射能汚染は福島県を超えて東日本の広範な地域へ広がり、静岡市もお茶の汚染に見舞われました。汚染食材・食品による内部被曝、ホットスポットの発見、放射性がれき・汚泥処理など、問題は拡大しています。事故から9カ月を経ても、年間1ミリシーベルトを超える被曝量のある地域でいまだ多くの子どもたちが生活しています。その深刻な状況を、私たちはしっかりと認識する必要があります。
この子供たちの状態を少しでも緩和したいと私と宮澤議員を含め全国の自治体議員140名で「福島原発震災情報連絡センター」を10月26日に立ち上げました。課題は、子どもたちだけでも避難をさせる制度を作ること、避難できない子どもたちに放射能に汚染されていない食材を提供すること、放射能測定所設置支援、チェルノブイリ原発事故でソ連政府は数年間にわたって子どもたちに非汚染食品を提供し続けました。そして将来の健康被害に対する被曝者援護法を国民的運動を背景に制定すること等を目指しています。福島県いわき市で今日の同じ日に、全国で初めて原子力発電所被ばく者援護法制定を求める意見書が全会一致で可決されます。
こうしたことの一環として、11月25日から27日まで「虹と緑しずおかフォーラム」の皆さんと、5回目の福島県訪問、視察をしてまいりました。4つの幼稚園、保育園に放射能に汚染されていない静岡のみかん、さつまいも、里芋、ジャガイモ、玉ねぎ、レタス 、生姜、レモンなど給食食材、静岡市水道局から寄付いただいた静岡市のおいしい水等を届けてまいりました。現地の被ばくを考えるとやはり60歳を過ぎた私どもががんばらないといけないわけであります。
子どもたちには大変喜んでもらいましたので、改めてクリスマスには、もう一度静岡のミカンを4つの保育園・幼稚園に届けようと剣持議長にもミカンの提供をお願いましたところ快くお引き受けをしていただいております。議員の皆さんにもぜひ食材提供の協力をお願いさせていただく次第です。

さて、こうした中での今回の「原発の警備に関する意見書」発議の提案です。私は、この意見書に前文に書かれている「収束に向けた努力が続けられている福島第一 原発に対して、テロ組織等が攻撃を企てると、不安定な状態となっている原子炉から大量の放射性物質が放出される可能性もあり」と述べてい ますが、私はこの「テロの脅威と放射性物質の放出」の認識については全く同感であります。標的になり易いわけでありますから「警備の強化」するのではなく、そんな危険なものはすぐに「廃炉」にすべきというのが、私ども「会派 虹と緑」の考えです。

ならば、賛成すればいいのではないかということになります。この意見書の問題の第一は、繰り返しになりますが原発が安全保障上、極めて危険な存在であるという認識を持ちながら、「対処療法」=「警備の強化」に向かい、原因を取り除く「根本療法」=テロに弱い危険物の除去=「廃炉」に向かっていない点です。

第二は、現在の原発震災による国家的危機を原発推進勢力が国防の問題にすり替え、「廃炉」の課題を覆い隠そうとしている点です。テロの問題、国防の問題、は重要テーマです。テロをどうやって防ぐのかという問題も、武器を増やせばよい、軍備を増やせばよいと言う問題ではなくテロが発生する世界的、社会的差別社会に対し、平和国家日本がどのような役割を果たすことによって達成すべき課題です。これは、既に9:11以降のアフガニスタン、イラクへのアメリカの戦略の失敗として歴史の教訓になっています。これは、今日の本筋の問題ではありませんので別の場で議論したいと思います。

今、福島県の地元で一番心配されているのは、実はテロではなく1年 は続くといわれる余震、新たな地震による福島原発第一原発の真下にある双葉断層、活断層が動くことによる原子炉からの大量の放射性物質の 放出」の問題であります。東海地震が30年間の間に起こる可能性が87%と いう状況で政府による浜岡原発の運転停止要請がなされ現在防潮堤の建設が始まっておりますが、福島県民の犠牲の上に私たちは「一時の安堵」 を得ております。静岡県知事は、防潮堤だけでなく使用済み核燃料の対処策が明確にならなければ再開は困難と言明しています。今、東海地震 が起きたらいったいどうなるのか、東海地震の震源域の真上にある浜岡原発ですから、福島原発震災より過酷な事故になることが確実です。

だからこそ、静岡県内35の市町の議会で10の自治体で廃炉決議が上がり、挙げられようとしているわけです。ところが、この事態の中で、わが静岡市議会は9月議会において原発の「段階的縮小」決議はあげましたが、浜岡原発廃炉決議をあげていません。13日の三島市議会で挙げられた意見書には「浜岡原子力発電所は、地震想定に見直しに伴う安全対策や三島市民はもとより静岡県民の合意形成が得られない場合、再稼働させない(廃炉にする)こと」が掲げられています。田辺市長も再稼働時に市民意見調査を行うとしており、廃炉に賛成であると推察しております。ですから、今あげなければならないのは「警備強化」の意見書でなく「廃炉」意見書である思います。原発がテロの対象になるのではなく、原発の存在自体が国防上の問題であるという認識に立って「廃炉」を求めることであると考えます。以上、発議第23号に反対する理由であります。

提案者の皆さんの気持ちの変化が起きることを期待いたしまして反対討論を終わります。
※意見書案

 原子力発電所の警備に関する意見書

今般の福島第一原子力発電所の事故は、国際社会に大きな衝撃を与えた。原発の安全対策は自然災害のみならず、 テロ対策も重要であることは言うまでもない。

 特に現在、終息に向けた努力が続けられている福島第一原発に対して、テロ組織等が攻撃を企てると、不安定な 状態となっている原子炉から大量の放射性物質が放出される可能性もあり、厳重な警備態勢が必要とされている。

しかしながら、我が国の法体系、警備体制は十分と言えず、原発を含めた重要施設の警備については、国家として 確固たる意志を示さなければ、テロリストの標的となり、国民の生命・財産を危機にさらす可能性があるものと考える。

 よって、国会及び政府にあっては下記事項について早急に検討し、実現できるものは可及的速やかに実現するよ う強く求める。

1 「成田国際空港警備隊」を参考に、警察に新たに「原発等警備隊」を創設するなど、警備体制の充実を図ること。

2 自衛隊の任務に原発施設等の警護を加える自衛隊法の改正を行うこと。

3 海上からの攻撃に対処するため、海上保安庁と海上自衛隊の連携を強化すること。
 以上、地方自治法第99条 の規定により意見書を提出する