2020年5月18日
自治体議員立憲ネットワーク
共同代表 西崎光子(生活者ネットワーク・前東京都議)
ゆさみゆき(立憲民主党・宮城県議)
松谷清(緑の党・静岡市議)
玉田輝義(無所属・大分県議)
高田良徳(社民党・香川県議)
仲村未央(社民党・前沖縄県議)
中村洋(国民民主党・東京都議)
今国会に安倍内閣が提出した検察庁法改正法案では、内閣や法務大臣が、裁量(特例)で63歳の役職定年の延長、65歳以降の勤務延長を行い、検察官人事に強く介入できることとなります。
私たちは、検察官の65歳までの定年延長や役職定年の設定自体について反対するものではありませんが、内閣や法務大臣の裁量(特例)により役職延長や勤務延長が行われることにより、不偏不党を貫いた職務遂行が求められる検察の独立性が侵害されることを強く危惧するものです。「準司法官」である検察官の政治的中立性が脅かされれば、憲法の基本原則である三権分立を揺るがすこととなり到底看過できません。少なくとも野党が提出した修正案通り、この法案部分は削除されるべきです。
しかしながら、政府・与党は、検察庁法改正法案を国家公務員法改正との「束ね法案」とした上で衆議院内閣委員会に付託し、森雅子法務大臣が出席する同法務委員会との連合審査とすることもせず、性急に審議を進めてきました。
5月13日に開催された同内閣委員会では公務員制度を所管する武田良太行政改革担当大臣は検察幹部の特例規定を問われた中で「法務省職員ではないので具体的に言えない」と答弁し、現時点での特例要件が存在しないことを認めました。
さらに世論に押されて同15日の同内閣委員会に出席をした森雅子法務大臣は特例の要件も具体的に示せず、改正の根拠となるような過去の事例もないことを明らかにしました。
こうした政府・与党の検察庁法改正への動きに、今大きな抗議の声が上がっています。Twitterではハッシュタグ「#検察庁法改正案の強行採決に反対します」がトレンド1位に入るなど、著名人を含む多くの国民から検察庁法改正に反対する意見が広がっています。
また、同15日には法務省に対し松尾邦弘元検事総長ら検察OB14名が「検察人事への政治権力の介入を正当化し、政権の意に沿わない動きを封じて、検察の力をそごうと意図している」として検察庁法改正に反対する意見書を提出しました。こうした世論の動きに呼応する形で、複数の与党・自民党の議員からもこの法案への反対や慎重な意見が上がっています。
そしてついに同18日、政府・与党は今国会での検察庁法改正を含む国家公務員法改正案について、今国会での成立を断念するとの判断をしました。
新型コロナウイルス感染拡大防止に全力を注がねばならない時にまさしく「火事場泥棒」のようなこの検察庁法改正の審議の強行に対し、反対の世論が大きく湧きおこり、ついに今国会での成立断念に追い込まれました。
しかしながら、政府・与党は秋にも予想される臨時国会での検察庁法改正の成立を目論んでいます。私たちは憲法の基本原則である三権分立を揺るがす検察庁法改正案の撤回を強く求めるとともに、検察庁法改正案が撤回されるまで粘り強く政府・与党そして世論に働きかけていきます。
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6360109