夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』

2023年05月26日 | 映画(わ行)
『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』(原題:Fast X)
監督:ルイ・ルテリエ
出演:ヴィン・ディーゼル,ジェイソン・モモア,ミシェル・ロドリゲス,タイリース・ギブソン,クリス・“リュダクリス”・ブリッジス,
   ジョーダナ・ブリュースター,ナタリー・エマニュエル,サン・カン,ジェイソン・ステイサム,スコット・イーストウッド,
   レオ・アベロ・ペリー,ヘレン・ミレン,シャーリーズ・セロン,ブリー・ラーソン,アラン・リッチソン,ダニエラ・メルキオール他

イオンシネマ茨木にて。
 
“ワイルド・スピード”シリーズって22年も続いているんですね。これは第10作に当たるのだそうです。
まったく、どんだけ出演者多いねん。主要キャストだけ上に挙げようと思ったのに、全然書き切れへんがな。
もうワケわからんことになっています。(--;
 
亡妻エレナとの忘れ形見リトル・B(レオ・アベロ・ペリー)と3人で穏やかな日々を送っていたが、
ある日、秘密工作組織“エージェンシー”から仕事の依頼を受け、
ラムジー(ナタリー・エマニュエル)がその仕事を片付けるためにローマへと向かう。
 
ところがそれは罠。
10年前、ドムたちファミリーから莫大な資産と金庫を奪われた麻薬王レイエスの息子ダンテ(ジェイソン・モモア)が、
亡き父親の復讐を誓うべく、念入りに計画を立てて動き出したのだった。
ダンテはドムひとりに仕返しをするのではなく、ドムの愛する者すべてを破壊しようとしており、
ファミリーが連携を取れないようにまず散り散りにして……。
 
あらすじを書く気も起こりません(笑)。
いつもどおりワーッとやって、バーッとなって、でね、最後はそれなりに落ち着くじゃないですか。
だから、ポール・ウォーカーが映画の外で事故死してしまったことを除けば安心して観ていられたのに。
ここで終わらせるとは、相当ずるい。回想シーンに頼りすぎの感もあり。
 
誰が生き残ったのかもわからず、たぶん悪役みんな生きている。
続編を作って引っ張る魂胆が透けて見えてガックリ。
客みんな「はぁ?何この終わり方」と思ったことでしょう。
ドムの弟ジェイコブ(ジョン・シナ)は本当に死んじゃいましたか。
 
最後にクレジットなしでガル・ガドットドウェイン・ジョンソンが出てきてもねぇ。
ガル・ガドットは最近こういうオマケ的な出方が多くないですか。
 
“アクアマン”のジェイソン・モモアがこんなイカれたサイコ役とは。あんまり見たくなかったかも。
続編も仕方ないから観に行きますけど、リトル・Bが大活躍する姿とか見たいです。
 
ずるい商売だなぁ。みんなそれなりの歳になったんだから、そろそろ終わりにしますかね。

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『ワタシの中の彼女』

2023年04月13日 | 映画(わ行)
『ワタシの中の彼女』
監督:中村真夕
出演:菜葉菜,占部房子,好井まさお,草野康太,上村侑,浅田美代子他
 
甲子園と映画のハシゴでへろへろになった翌日、おとなくしているべきところ、
晩は道頓堀まで笑福亭笑利さんのトークライブに行く予定だったから、
せっかく大阪市内へ出るのに映画を1本も観ないのはもったいない。
母を選挙に連れて行ったあと、十三の第七藝術劇場へと向かいました。
 
短編映画4本をひとつにした作品なのだそうです。
ちょうどいい時間だったから選んだだけですが、
大阪アジアン映画祭では本作の1つめの作品が“Japan Cuts Award”を受賞。
……と聞いてもどういう賞だかわかっていません。ごめんなさい。
 
監督は中村真夕、4本とも主演は菜葉菜
彼女が年齢も職業も異なる4人の女性を演じています。
 
第1話『4人のあいだで』。
コロナ禍、20年ぶりに連絡を取り合った大学の同級生3人がオンライン飲み会。
専業主婦のナナエ(菜葉菜)、パートナーと同棲中のフサエ(占部房子)、貧乏役者のコウジ(草野康太)。
ここには不在の女優サヨコの名前が出ると……。
 
第2話『ワタシを見ている誰か』。
写真家のカズヤ(好井まさお)はフードデリバリーのバイトもしている。
ある晩の配達先は、リモートワーク中のOLで30代後半のメイ(菜葉菜)の部屋。
ところがメイは自分で注文した料理なのにカズヤに食べてほしいと言い……。
 
第3話『ゴーストさん』。
20代後半の風俗嬢サチ(菜葉菜)は、帰宅途中のバス停でいつも同じホームレス女性を見かける。
彼女は60代のカヨコ(浅田美代子)で、サチはひそかに「ゴーストさん」と呼んでいた。
ある晩、言葉を交わしたふたりは、かつて同じ夢を抱いていたことを知り……。
 
第4話『だましてください、やさしいことばで』。
40代前半の盲目の女性トモコ(菜葉菜)は、ある日、母にかかってきた電話に応対。
弟の同僚を騙ってやってきた青年タケオ(上村侑)に金を渡す。
なりすまし詐欺だとわかっていながらタケオに話しかけるトモコは……。
 
いずれもコロナ禍での出来事を描いていて、孤独だったり希望だったり、
コロナ禍じゃなくてもあり得ただろうけどコロナ禍だからこそ、そんな気がします。
しかし私の場合、そもそもコロナに寄せた作品があまり好きではないため、
没頭できないまま話が進んでしまうのでした。

たとえば配達に来た男性がかねてから自分のことを撮影していたとか、怖いやん。
だいたい、配達人を家に上げて一緒に食事するなんていうこと自体、ないし。
 
思い返すと、私が菜葉菜を知ったのはやはりこのナナゲイで、
『どんずまり便器』(2012)を観たときでした。
あれからもう10年が経ったと思うとなんだか感慨深いものがあります。
普通の役を演じることが多くなった彼女を見ると、西田尚美とかぶる。
今のような普通の役じゃなくて、『ひみつの花園』(1997)のときの彼女が好きだったから。
 
などと思いつつ、本作ではちょっと居眠り気味で。申し訳ありません。

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『わたしの幸せな結婚』

2023年03月27日 | 映画(わ行)
『わたしの幸せな結婚』
監督:塚原あゆ子
出演:目黒蓮,今田美桜,高橋努,山口紗弥加,髙石あかり,小林涼子,山本未來,小越勇輝,
   石橋蓮司,大西流星,尾上右近,前田旺志郎,津田健次郎,渡邊圭祐,火野正平他
 
109シネマズ箕面にて。
 
スルーするつもりでいました。
だって、Snow Man目黒蓮とかなにわ男子大西流星とか、顔見ても全然わからんし。
でも、わりと最近、かまいたちの『これ余談なんですけど…』に流星くんが出ていて、
やっぱり関西の子っておもろいなぁと思いました。
ジャニーズなのに、お笑いまでトレーニングに組み込まれているなんて知らんかったけど。
と言っても、スルーつもりでいたものを観に行ったのは、単にほかに観るものがなかったからです。
 
原作は、顎木あくみの富士見L文庫の同名ベストセラー小説だそうで。
富士見L文庫って、学生時代に私が書店でバイトしていた頃にはなかったと思います。
私のイメージは、富士見書房といえば富士見ロマン文庫。
こりゃもうフランス書院文庫と双璧をなすエロエロ文庫でしょう。
その富士見書房がもともと角川書店の1グループだったということは知りませんでしたが、
1990年代初めには完全に角川書店に吸収合併されたそうですね。
「富士見」という名前は事業部の名称として残り、ライトノベル系文芸作品のレーベルが富士見L文庫。
 
てな話は明らかな余談。映画化したのは主にTVドラマで活躍する塚原あゆ子監督。
思いのほか面白くて、序盤から泣いちゃって、スルーしなくてよかった。
 
異能者であることが価値ありとみなされる時代。
優れた異能を持つ名家に長女として生まれながら異能を持たない斎森美世(今田美桜)。
彼女を守ってくれた実母(土屋太鳳)は美世が幼い頃に亡くなり、
斎森家の当主・真一(高橋努)は香乃子(山口紗弥加)と再婚する。
 
真一と香乃子の間には斎森家の次女・香耶(髙石あかり)が異能を持って生まれる。
異能を持たない美世は使用人として扱われ、凄絶な虐めを受ける。
それでも美世はいっさい抵抗することなく、手をあかぎれだらけにしながら毎日を過ごす。
 
やがて香耶が幼なじみで名家の息子・辰石幸次(小越勇輝)と婚約したのをきっかけに、
美世のことを厄介払いしようと、真一と香乃子は結婚話を進める。
美世の嫁ぎ先は、文句のつけようもない名家・久堂家。
その当主・久堂清霞(目黒蓮)は若くして異能部隊を率いるエリート軍人だが、冷酷無慈悲との噂。
これまでに送り込まれた数多の婚約者は全員3日と持たずに逃げ出したらしい。
 
継ぎ接ぎだらけの着物と風呂敷包みをたったひとつ持って自力で久堂家にやってきた美世。
久堂家に長らく仕えている通いの家政婦・ゆり江(山本未來)は美世を認め、
これまでにやってきた女性たちとは違うようだと清霞に進言、つれない態度を諫める。
 
怯えながらも心の限りを尽くして清霞に接していた美世は、清霞の優しさに触れる。
ふたりはお互いに惹かれるようになるのだが……。
 
継母と異母妹の意地悪さと言ったら、「おまえら死ね~!」と叫びたくなるぐらい。
凄いですよ、山口紗弥加と髙石あかりの演技。根性悪にしか見えない顔(笑)。
一方の美世役の今田美桜の健気で可愛いこと。
朝ごはんを食べた清霞が「旨いな」とつぶやいたのを聞いて、
それまで自分が作った料理を褒めてもらったことなどなかった美世の目にみるみるうちに涙が。
このシーンでは私も一緒に泣いちゃいましたね。まさかこの映画で泣くとは(笑)。
 
能力を隠したり、陰謀を企んだり、どれもこれも子を思ってのことだと思うと複雑。
異能を持っていないと思われていた美世には当然異能があるわけで、最後にそれが発せられる。
正直なところ、これがどういう異能だったのか、説明しろと言われてもよくわからない。
わからないけれど、清霞を助けたい一心で現場に駆けつける美世、よかったなぁ。

なんか予想外に結構キュンキュンできます。やっぱり何でも観てみるもんですね。(^O^)

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『ワース 命の値段』

2023年03月07日 | 映画(わ行)
『ワース 命の値段』(原題:Worth)
監督:サラ・コランジェロ
出演:マイケル・キートン,スタンリー・トゥッチ,エイミー・ライアン,テイト・ドノヴァン,
   シュノリ・ラマナタン,ローラ・ベナンティ,タリア・バルサム,マーク・マロン他
 
109シネマズ箕面にて、公開初日にレイトショーに行きました。
 
9.11アメリカ同時多発テロ事件で被害に遭った約7,000人に対して補償金を公平に分配するため、
犠牲者それぞれの命に値段を付けるという難題に挑んだ弁護士の実話に基づく。
 
同時多発テロが発生して間もないとき、弁護士のケン・ファインバーグのもとへ政府から依頼が入る。
政府は訴訟を回避するために補償基金を設立しようとしているのだが、
遺族が政府の提示する補償金をすんなり受け入れるとは思えない。
補償金を受け入れることを拒否して集団訴訟を起こしたりしないように、
犠牲者の遺族たちに補償金の申請を促すのがケンの役目。
 
ケンは犠牲者たちそれぞれの収入を基にした計算式を打ち出し、補償金の額について説明するが、
その算定方法に納得できない遺族たちの猛反発を食らう。
7,000人全員の申請を取り付けるのは無理だろうが、8割には到達させたい。
弁護士事務所の部下たちが遺族らと面談し、なんとか納得してもらおうとするのだが……。
 
犠牲者たちは年齢も違えば、事件に遭った状況も異なります。
ワールドトレードセンターに勤務していた人、消防士として現場に向かい、死んでしまった人。
個々なにもかも違うのに、収入のみで補償金を決めると言われてもそりゃ納得できない。
 
当初、ケン自身は面談しない。部下にまかせっきり。
遺族の話に耳を傾ける部下たちは、どうしても事務的には考えられなくなります。
たとえば、ゲイのカップルのうちひとりが命を落とし、彼が最期に電話をかけたのはパートナーだった。
しかしゲイを憎みすらしている被害者の両親は、それを認めようとしません。
自分の息子はストレートで、パートナーは金の亡者だ、補償金を受け取るのは私たち親だと言って譲らない。
録音された最期の電話を聴けば、誰だってパートナーの権利を認めるべきだと思うのに。
 
良き夫であり良きパパだと思われていた男性には隠し子がいたことがわかります。
隠し子の家庭にも補償金を受け取る権利があるわけで、
だけどそれをどのように妻に伝えるかがまた悩ましいところ。
 
私の大好きなハゲ俳優、スタンリー・トゥッチがここでも素晴らしい役者ぶり。
この事件で妻を亡くした身でありながら、最初の説明会でケンの話を怒号で遮る遺族らを一喝。
いま責めるべきはこの弁護士ではないから話を聴こうと。
だけど説明会後には「基金には全然納得していないから今からあなたを叩きますよ」とケンに言う。
 
ある程度事務的でなければこの問題は片付けられない。
けど、遺族の話に耳も傾けずにいては駄目。
それを気づかせてくれるのがトゥッチ演じるチャールズであり、部下たちでした。
 
集団訴訟を起こさせて儲けようという金持ちもいたりして、愕然とします。
何が正解かなんてわかることではないですけどね。こういう話がありましたということで。

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『別れる決心』

2023年03月02日 | 映画(わ行)
『別れる決心』(英題:Decision to Leave)
監督:パク・チャヌク
出演:タン・ウェイ,パク・ヘイル,イ・ジョンヒョン,パク・ヨンウ,
   コ・ギョンピョ,キム・シニョン,ユ・スンモク,パク・ジョンミン他
 
イオンシネマ茨木にて。今年2度目の“おひとりさま”でした。
こんなにも客入りがよろしくないのに、字幕版と吹替版が上映されているのは何故?
洋画は字幕で観る派ですが、これは韓国作品。
どうせ韓国語はまったくわからんからええかと、上映時間の都合で吹替版を観ました。
ほ~、ここでも声優に沢城みゆき姐さんの名前が。大活躍。
 
『オールド・ボーイ』(2003)を観たときの衝撃が忘れられません。
あのパク・チャヌク監督の作品だから、えげつないに決まっている。
でも吹替版だったせいなのか、そこまで残虐なシーンがないせいなのか、わりとマイルド。
 
刑事の鑑のように生真面目なチャン・ヘジュンは、妻のジョンアンと週末婚。
休日以外は仕事一筋、その日も男が岩山で滑落死した事件の捜査に出向く。
 
死亡した男は出入国・外国人庁(旧・出入国管理事務所)の職員キ・ドス。
彼の妻で中国人のソン・ソレは、夫の死を聞いても驚く様子なく、笑顔さえ見せる。
夫から虐待を受けていた可能性もあるソレをヘジュンは疑う。
 
疑念を抱きつつも、張り込みでソレの動きを見つめるうちに彼女に惹かれるヘジュン。
一方のソレはヘジュンに見張られているのを楽しむかのよう。
やがてドスの死は自殺と断定され、ヘジュンとソレが会う理由はなくなるのだが……。
 
最近、なんだか長尺の作品が多い。これも138分あります。
わりと淡々と進んでゆく話に睡魔が来るかと心配しましたが、それは一切なし。
面白かったけれど、物足りなさも感じるのはキャストのせいなのかなぁ。
 
『ラスト、コーション』(2007)で凄まじい濡れ場を演じたタン・ウェイがソレ役。
顔からして真面目なヘジュンには『王の願い ハングルの始まり』(2019)のパク・ヘイル
ふたりがどうにも別れられずに惹かれ合うという設定なのでしょうけれど、
ソレのほうはそうでもなくてヘジュンを弄んでいるようにしか私には見えないのです。
 
好きでもないのに損得勘定で最初の男と結婚したソレ。
その男が亡くなるとヘジュンのもとを去り、再会した折にはチャラ男と同伴。
見た目もすれた風で、この女になぜ惹かれてしまうのかと思う。
 
ただ、こういうイメージがあったからこそ、終盤はかなり切ない気持ちに。
ヘジュンを利用しているだけに見えたソレが、本当は心の底からヘジュンを愛していて、
彼に迷惑がかからないように、彼の人生を台無しにしないようにと考えてやったこと。
真実を知った男はもう立ち直れないと思いますよ。ちゃいますか。
 
客席に私ひとり、贅沢に鑑賞させてもらいました。
もったいないけど、地味な作品だしなぁ。
それにここまで真面目な顔つきな男ではないほうが私は好き(笑)。

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