夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

今年観た映画50音順〈わ行〉

2016年12月31日 | 映画(わ行)
《わ》
『私たちのハァハァ』
2015年の日本作品。
福岡県北九州の片田舎に住む仲良し女子高生4人組が、高校最後の夏休みにチャリで東京へ。
目的は大ファンであるバンド“クリープハイプ”のライブを観ること。
福岡でのライブに行ったさい、出待ちしていた彼女たちはメンバーから声をかけられ、
「東京のライブにもぜひ」と言われて狂喜。
その言葉を真に受けて、家出同然に飛び出してきた彼女たちの願いは叶うのか。
自撮り映像を上手く用いたロードムービーで、まるでドキュメンタリーのフィクション。
お金もないからヒッチハイク、停まってくれたのは池松壮亮
さらには年齢を偽ってキャバクラの面接に行くも、2人は採用、2人はボツ。
ボツにされた片割れは、面接で血液型を聞かれて正直に答えたせいだと思っているが、
そんなこたぁない。要はルックスの良い2人だけが採用されたわけで。
『男子高校生の日常』(2013)では男子、本作では女子。
アラサー松居大悟監督の描く高校生たちはどこにでも居そう。
ちょっぴり悪ぶっているところが可愛くて、なんだかんだで観てしまいます。

《を》《ん》
15年この「50音順」を続けてきて、
「を」を埋められたのは去年だけ。
「ん」を埋められたのは2013年だけ。

劇場鑑賞本数が初めて200本を超えて208本だったのは一昨年。
もうこれ以上は無理だと思っていたけれど、去年は222本。
それ以上は絶対に無理だと思っていたのに、今年はどういうわけか254本。
正真正銘、「観ようと思ったら観られたのに観なかった」という日はありません。
やればできるもんやなぁ。へろっへろやけど(笑)。

今日はもう劇場へ行くのは無理だから、これにて打ち止め。
DVD鑑賞本数は面倒くさくてまだ数えていません。
今晩観られたらいいな〜と思い、“スター・ウォーズ”旧三部作のうち最初の2本をDVDレンタル中。
すでに劇場で『ローグ・ワン』を二度観たのですが、
旧三部作を観たら、来年もう一度観に行っちゃうかも。

今年もおつきあいをありがとうございました。
どうぞ良い年をお迎えください。

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今年観た映画50音順〈ら行〉

2016年12月30日 | 映画(ら行)
《ら》
『ライチ☆光クラブ』
2015年の日本作品。
他のDVDで本作の予告編を観たときにどうにも気持ち悪く、
やめておいたほうがいいかなぁと思いつつ、野村周平くん目当てでレンタル。
黒煙と油にまみれた町、螢光町の廃墟に夜ごと集まる9人の少年。
そこは、彼ら“光クラブ”の秘密基地で、
強いカリスマ性を持つゼラ(古川雄輝)が残りの8人を支配している。
自分たちが邪魔だと判断した者を見つけては拉致、
8人が考える方法のうち、ゼラが気に入った方法でその大人を処刑するのだ。
兵器を開発中だった彼らは、ライチの実を燃料として動くロボット“ライチ”を完成させる。
ゼラはライチに美少女を捕獲してくるように命じ……。
予告編を観て懸念したとおり、エログロ満載、ただただ気持ち悪く、
生理的に受け付けられなくて直視できなかったシーン多数(泣)。
光クラブのあり方に疑問を持ち、ゼラに対抗するタミヤ役の野村くんだけが救い(笑)。
内藤瑛亮監督の作品だと鑑賞後に知りました。
同監督の『先生を流産させる会』(2011)のほうが(タイトルはエグイけど)ずっと面白かった。

《り》
『リザとキツネと恋する死者たち』
2014年のハンガリー作品。舞台は1970年代のブダペスト
独身女性リザは、元日本大使の未亡人マルタのアパートで専属看護師として働く。
何千回も読んだ愛読書、日本の恋愛小説が示唆するとおり、
30歳の誕生日にハンバーガーショップで運命的な出会いがあると信じている。
誕生日当日、リザはマルタの許可を得てハンバーガーショップへ。
ところがリザをほかの男に渡したくないと陰謀を企てる奴がいた。
それはリザにしか見えない日本人歌手、故・トミー谷の幽霊。
リザに下心を抱いた男性は、トミー谷の幽霊の策略によって次々と死に至る。
警察はすべて事故死ではなくリザによる殺人ではないかと疑念を持つ。
リザの監視を命じられたのは新米刑事のゾルタンで……。
カラフルな映像にレトロでポップな音楽、妙な日本語も楽しい。
監督はハンガリーの売れっ子CMディレクターだそうで、なんだか納得。

《る》
『ROUTE42』
2012年の日本作品。
伊勢や熊野など、神話が息づく三重県を舞台にしたロードムービー。
龍也(高岡蒼佑(旧・蒼甫,現・奏輔))は、恋人の陽子(菊池亜希子)にプロポーズしたその日に、
交通事故に遭い、助手席に乗っていた陽子を亡くす。
絶望的な思いのまま時が過ぎたある日、姉(矢田亜希子)の結婚式会場から出た龍也は、
陽子に瓜二つの女性・友梨(菊池亜希子の一人二役)に出会う。
やはり人生に絶望していた友梨は、龍也に「根の国」(=黄泉の国)へ行こうと誘う。
国道42号線、つまり「死に号線」を走りはじめたふたりは……。
自ら命を絶とうとする龍也と友梨。龍也に恋愛感情を抱いている男友だち、
その男友だちから結婚式をすっぽかされた女性など、さまざま。
三重県のご当地ムービー的作品ながら、『クハナ!』とはまったくちがう静かな作品。

《れ》
『レジェンド 狂気の美学』(原題:Legend)
2015年のイギリス/フランス作品。
1960年代初頭のロンドンで裏社会を支配していた双子のギャング、クレイ兄弟。
実在のこの双子は強い絆で結ばれているけれども、性格は対照的。
兄レジーが理知的で冷静、ビジネスの才能もあるのに対し、
弟ロンといえば暴力を好み、キレると手がつけられない。
そんななか、部下の妹フランシスと恋に落ちたレジーは、
彼女を守るために犯罪から距離を置くようになる。
真面目にナイトクラブの経営に力を注ぎはじめたレジーのことがロンは気に入らず……。
トム・ハーディが一人二役。
面白い話ではあるのですが、130分超えで長すぎる。
DVDで観ると集中力が持ちません。劇場で観るべきでした。

《ろ》
『ロック・ザ・カスバ!』(原題:Rock the Kasbah)
2015年のアメリカ作品。
今夏開催の“カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション 2016”にて上映。
落ちぶれた音楽芸能マネージャーのリッチーは、
所属歌手のロニーを連れてアフガニスタンの首都カブールへ。
米軍の慰問コンサートを開けば高額ギャラが貰えると聞かされたからだ。
いまだ紛争の絶えない危険地帯に足を踏み入れるが、
あろうことかロニーがリッチーの財布とパスポートを持って逃げてしまう。
コンサートは当然キャンセル、一文無しで途方に暮れるリッチーは、
仕方なく現地で知り合った武器商人の仕事を手伝うはめに。
危険地帯の砂漠のど真ん中にある集落に武器を届けることになり、
用心棒をボンベイというムキムキ男に頼む。
その集落で美しい歌声を持つ少女に出会い、類い希な才能を感じる。
そこでこの少女を“アフガン・スター”というオーディション番組に出演させようとするが、
イスラム教の戒律を重んじる人びとの間では、女性が人前で歌うことは許されず……。
リッチーにビル・マーレイ、用心棒にブルース・ウィリス
現地で荒稼ぎする娼婦にはケイト・ハドソンが扮しています。
このキャストで面白くないわけがないでしょ!?

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今年観た映画50音順〈や行〉

2016年12月29日 | 映画(や行)
《や》
『闇金ドッグス2』
2016年の日本作品。
第1弾を観ずにいきなり第2弾を観ました。
若くして組長までのぼりつめながら、訳あってヤクザの世界から追われた安藤(山田裕貴)。
そののち開業した闇金“ラストファイナンス”は今のところ順調な経営ぶり。
イケメンホストの須藤(青木玄徳)を女性の勧誘に使って顧客倍増。
そんななか、居酒屋の店長を務める岡林(黒田大輔)は、
これまで安藤から少額を借り入れ、その都度遅延なく返済する優良顧客だったのに、
場末のスナックのあざみママ(伊藤裕子)に熱を上げて血迷った様子。
あざみから頼まれた200万円を貸してほしいと安藤のもとへやってくる。
しかし安藤が調べてみると、あざみは保険金詐欺を繰り返す悪女。
最初は信じなかった岡林だが、殺されかけてやっとあざみの本性に気づく。
200万円を取り返すべく、安藤は岡林と須藤に一芝居打つよう命じるのだが……。
シリーズ化されていて、第5弾が来月公開。ってことはそこそこ人気があるのですね。
闇金といえばウシジマくんだけど、こっちの人気も納得、けっこう面白い。
どちらも単なるワルじゃなく、一本筋が通っています。

《ゆ》
『ゆれる心』
2015年の日本作品。
ピンク映画の片岡修二監督、元グラビアアイドルの瀬戸早妃主演。
官能ラブコメディを謳っていますが、ショボすぎる。
外食産業の商社に勤務するOLの美咲(瀬戸早妃)は、
職場の先輩・倫子(矢吹春奈)から結婚式の発起人を頼まれて張りきる。
一方、会社が運営するうどん屋のマネージャーが突然倒れて、美咲が代理を務めることに。
うどん屋の店長・竜也(柴田明良)はつれない態度を見せていたが、
公私ともになんでも引き受けてやりきろうとする美咲に惹かれはじめ……。
こうして書いていても腹立たしいくらい酷かった(笑)。
官能もクソもあったもんじゃない、瀬戸早妃は脱がず、どうでもいい友だちが脱ぐだけ。
瀬戸の化粧が異様に濃くてドン引き、矢吹春奈のほうがずっと良い。
「がんばってるアピール」がイタイわサブイわ、まったく心を打たず。
「ゆ」で始まる映画がほかになかったので観たけれど、今年のワースト3に入ります。
これを劇場で公開していたことが驚き。観た人、います?

《よ》
『映画 妖怪ウォッチ エンマ大王と5つの物語だニャン!』
2015年の日本作品。
大人気TVアニメの劇場版第1弾は『映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!』(2014)でした。
お金を払ってまで観ようとは思いませんでしたが、
ちょうどTOHOシネマズのフリーパス所持期間中に公開されたので、タダで観ました。
第2弾である本作公開時はフリーパスなく、DVDにて鑑賞。
全部で5つのエピソードに分かれています。
平々凡々、嫌になるほど「普通」だけれど、妖怪とともだちの小学5年生ケータは、
ある日マンホールの底に落ちて死亡、直後に自身が妖怪になってしまう。
どんな妖怪かというと、取り憑いた相手を「普通」にしてしまう妖怪“ふう2(ツー)”で……。
1つめのこのエピソードがいちばん楽しかった。
同級生の優等生に取り憑いたら、彼が何もかも普通になっちゃうというお話。
その他、エンマ大王が人間の病気のはずのインフルエンザに罹患し、
人間と関わるとろくなことがないと、交流を禁止するという話などなど。
やはり“ドラえもん”には及ばないと思うのですが、幼い頃からこれを観ていたら、
“妖怪ウォッチ”派になるのもうなずける。素直に楽しい。

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今年観た映画50音順〈ま行〉

2016年12月28日 | 映画(ま行)
《ま》
『マジカル・ガール』(原題:Magical Girl)
2014年のスペイン作品。
日本の文化をこよなく愛するとカルロス・ベルムト監督の長編デビュー作。
白血病で余命わずかな少女アリシアは、日本のアニメ“魔法少女ユキコ”が大好き。
娘がユキコのコスチュームをほしがっていることを知った父親のルイスは、
ネットで調べて購入しようとするが、日本のデザイナーによる1点物でべらぼうに高い。
現在失業中のルイスは金策に困り、強盗に入ろうとしていたところ、
ひょんなことから高級宝石店の上階に住む人妻バルバラの部屋へと引き入れられる。
精神科医の夫を持つバルバラは、金には困らない暮らしを与えられているが、
彼女自身が精神を患っている様子。そんな彼女とルイスは関係を持つ。
翌日、情事をネタにバルバラから金を脅し取ろうと電話をかける。
一方、かつてバルバラの教師だったダミアンは、訳あって服役中。
バルバラとの再会を恐れて出所をためらっていたが、刑務所が長居させてくれるわけもない。
刑期を終えて出所したところ、バルバラから連絡があり……。
DVDで観たなかでは群を抜いて面白く、印象に残った作品です。
いろいろと不明なまま終わってしまった部分もあるので、もう一度観てみたい。
悲惨な物語なのに、陰惨さは感じない。非常にシュールです。

《み》
『ミッドナイト・アフター』(原題:那夜凌晨,我坐上了旺角開往大埔的紅VAN)
国際的な評価を得ているフルーツ・チャン監督による2014年の香港作品。
原題は「深夜、旺角発大埔行き紅VANに乗って」の意。
「紅VAN」とは香港ではおなじみのミニバスのことなのだそうです。
“シッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション 2015”にて上映。
午前2時半過ぎ、香港の旺角(モンコック)を出発した深夜バス。
老若男女17名の乗客を乗せ、北上して大埔(タイポー)へ到着したのが午前3時半頃。
ところが、夜も賑やかな繁華街のはずが、人っ子一人いない。
乗客らが思い返してみると、獅子山(ライオン・ロック)トンネルを抜ける辺りで
前後を走る車がすべて消えたような気がする。いったい何が起きたのか。
バスに乗り込むところまでは群像ドラマかと思われたのに、その先はハチャメチャ。
ホラー、サスペンス、パニック、コメディ、SF混在の不思議な作品で、
予想だにしなかった残酷なシーン多数のため、R15+。
広げるだけ広げておいて、回収しない伏線だらけ。これで121分は長すぎる。
唯一の見どころ(聴きどころ)はデヴィッド・ボウイの“Space Oddity”。

《む》
『無伴奏』
2015年の日本作品。
直木賞作家である小池真理子の半自伝的同名小説。
若者たちが学園紛争に明け暮れていた1969(昭和44)年。
仙台の高校に通う野間響子(成海璃子)は、本当はノンポリのくせして、
時代の波に乗り遅れまいと同級生らと制服廃止闘争委員会を結成。
親友に連れられて入ったバロック喫茶“無伴奏”で、
大学生の堂本渉(池松壮亮)、その親友の関祐之介(斎藤工)、
祐之介の恋人の高宮エマ(遠藤新菜)と出会い、意気投合。
渉に強く惹かれるようになった響子は、初めての恋に身を焦がすのだが……。
家柄も容姿も何一つ不自由ないお嬢が暇つぶしに学園紛争に参加して、
つきあいはじめた男とやりまくり、だけどその男は実はゲイだったという展開。
まず、声が小さすぎて、台詞を聞き取るのに一苦労。
ダラダラの132分で唯一見どころになりそうな成海璃子の絡みのシーンだけど、
脱いでいるようで脱いでいない。潔くないなぁ(笑)。
彼女と池松壮亮の絡みよりも、池松壮亮と斎藤工の絡みのほうが
断然色気が感じられて笑えます。
なんだこのつまらなさはと思ったら、『太陽の坐る場所』(2014)の矢崎仁司監督。
私は合わないようです。

《め》
『メニルモンタン 2つの秋と3つの冬』(原題:2 Automnes 3 Hivers)
2013年のフランス作品。
パリ郊外の町メニルモンタンに暮らす33歳の男性アルマン。
ジョギング中に27歳の女性アメリと出会い頭にぶつかって一目惚れ。
謝罪の言葉を口にしただけで別れてしまったが、もう一度会いたい。
再会したときのためにとジョギングスーツを新調するが、アメリに会えずじまい。
あきらめかけたころ、暴漢に襲われそうになっていたアメリを発見。
アメリは恋人と一緒にいたにもかかわらず、恋人はすたこらさっさと逃げたらしい。
彼女を助けようとアルマンが暴漢の前に飛び出したところ、腹を刺されてしまう。
病院のベッドで目覚めたアルマンは、アメリと晴れてつきあいはじめるのだが……。
主演のヴァンサン・マケーニュの風貌が私はどうも苦手。
河童かフランシスコ・ザビエルかという髪型がどうにもいただけない。
いっそスキンヘッドにしてくれたらと思うのですけれども。
アメリ役のモード・ウィレールも一目惚れするような美女と思えず。
タイプじゃないふたりのウダウダした恋愛を見せられても眠くなるだけ。(^^;

《も》
『モヒカン故郷に帰る』
2015年の日本作品。
大好きな沖田修一監督の作品なのに、劇場で観逃してしまった1本。
デスメタルバンドのモヒカン頭のボーカル・英吉(松田龍平)は、
同棲中の恋人・由佳(前田敦子)が妊娠したのをきっかけに、
7年降りに瀬戸内海に浮かぶ小さな島・戸鼻島(架空の島)に帰郷する。
父親の治(柄本明)と母親の春子(もたいまさこ)、弟の浩二(千葉雄大)は
いきなり顔を見せた英吉と由佳にびっくり。
治は昔ながらの小間物店を営むかたわら、中学校の吹奏楽部のコーチをしている。
ところが矢沢永吉命である治が選ぶ曲は矢沢永吉のバラード“アイ・ラヴ・ユー、OK”。
生徒たちは「吹奏楽には不向きな曲」と不満を口にするが、治は聞こうとしない。
そんな治が末期癌であることがわかり、英吉と由佳は滞在を延ばすのだが……。
息子にその名前を付けてしまうほどの永ちゃんファン。
ブーたれる生徒に「矢沢永吉は広島県民の義務教育」と言う治が可笑しい。
母は母でものすごい広島カープファン。私が阪神タイガースを見る姿をかぶってワラけます。

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今年観た映画50音順〈は行〉

2016年12月27日 | 映画(は行)
《は》
『俳優 亀岡拓次』
2015年の日本作品。
居るだけでなんか可笑しい安田顕が主人公の俳優役という楽しい設定。
脇役ばかりの俳優人生を送る37歳独身の亀岡拓次(安田顕)。
役の選り好みをせず、どんな役でも引き受ける。
それがたとえ流れ弾に当たるホームレス役であろうと、
呆気なく斬られる役であろうと、呼ばれればどこへでも参上。
事務所からは重宝され、監督やスタッフから愛されてはいるが、
スポットライトには一度も当たったことがない。
そんな彼がロケ先でふと立ち寄った居酒屋の若女将(麻生久美子)に恋をして……。
存在感はあるけど絶対的な主張はしない、安田顕の特徴をよく活かした作品。
しかしものすごく面白いわけでもなく、ゆるりとしすぎてたまに睡魔も。
宇野祥平新井浩文染谷将太山崎努、杉田かおる、工藤夕貴
それに大森立嗣監督までさりげなく出演していて、キャストが魅力的。

《ひ》
『ひつじ村の兄弟』(原題:Hrutar)
2015年のアイスランド/デンマーク作品。
アイスランドの辺境の村で暮らす老いた兄弟キディーとグミー。
何が原因なのか仲違いしたまま40年。
隣同士に住みながら互いに話もせず、口を開けば罵り合うだけ。
牧羊がすべてのこの村で毎年おこなわれる羊の品評会。
兄弟それぞれが出品し、常にふたりで優勝を争ってきたが、
キディーの羊がスクレイピーという疫病に感染していることにグミーは気づく。
1匹感染していることが判明すれば、村のすべての羊が殺処分の対象になる。
キディーを除き、グミーを含む村の人々は殺処分を受け入れ、
やがてキディーもそうせざるを得なくなる。羊がいなくなる村。
しかし実はグミーが地下にこっそり何頭かの羊を隠していて……。
アイスランドは不思議な作品が多いですね。去年は馬で、今年は羊。
最後は吹雪の中、服を脱いで抱き合い、暖を取る老兄弟。
しわしわの裸のじいちゃんふたりが肌をすり合わせる姿はなんとも微妙。(^^;

《ふ》
『ふたつの名前を持つ少年』(原題:Lauf Junge Lauf)
2013年のドイツ/フランス作品。英語タイトルは“Run Boy Run”。
1942年、ワルシャワユダヤ人強制収容所から脱走した8歳の少年スルリック。
別れ際の「絶対に生きろ」という父親の言葉を胸に、走る走る。
本名ではユダヤ人だと気づかれてしまうから、
ポーランド系のユレク・スタニャクという偽名を名乗って。
道中、孤児グループと遭遇し、行動を共にするもドイツ軍に追われ、
飢えと寒さから行き倒れたところを一人暮らしのヤンチック夫人に救われる。
そこだっていつまでも安心だというわけではない。
夫人は、ユレクがここを去らねばならない日が来たとしても、
彼がひとりでポーランド人孤児として生き抜けるよう、
架空の身の上話とキリスト教の作法を教え込む。
案の定ゲシュタポが現れ、夫人はひそかにユレクを逃がす。
またしてもひとりきりになったユレクは、過酷な放浪を強いられるのだが……。
ドイツのロケでは、子役の労働時間の規制が厳しいそうで、
なかなか撮影を進められそうにないと思案していたところ、
オーディションで主役の座を勝ち取った少年が双子であることが判明。
双子が2人で1役ということに、メイキング映像を見るまで気づきませんでした。
実話が基だということにも衝撃を受けました。心が震えます。

《へ》
『ヘリオス 赤い諜報戦』(原題:赤道)
2015年の中国作品。
韓国が開発した携帯できるほどのサイズの超小型核兵器“DC-8”。
それを積載していた飛行機が墜落するが、墜落機から“DC-8”が消えていた。
盗んだ犯人は犯罪組織“ヘリオス”で、武器密輸組織に売るつもりらしい。
その受け渡しが香港でおこなわれるとの情報が入り、香港警察が動き出す。
同時に、韓国国防省から任命されたチェ理事官が護衛のパクを伴って香港へ駆けつける。
激しい銃撃戦が繰り広げられたのち、チェはDC-8の奪還に成功するが、
この核兵器がアメリカ政府との駆け引きに利用できると考えた中国政府は、
韓国にDC-8を返還しないよう、香港警察に命じて……。
黒幕は「オイッ、おまえかい!」と言いたくなる人物で、ちょっとウケました。
どうも続編をつくる気満々のようですが、それは要らんのじゃないかと。

《ほ》
『星ガ丘ワンダーランド』
2015年の日本作品。
資生堂、コカコーラ、ソニー、グーグル、イケア、複数の電話会社に自動車会社などなど、
手がけたCM数知れずという売れっ子クリエイターの柳沢翔が映画監督に初挑戦。
小さな駅“星ガ丘駅”に駅員として勤務する温人(はると)(中村倫也)。
20年前、彼の母(木村佳乃)は家族を置いて突然去った。
別れ際、母は自分の手袋の片方を温人に渡して言った。
「必ず取りに来るから持っていて」と。そのことを温人は今も忘れられずにいる。
やがて父(松重豊)は亡くなり、兄(新井浩文)とも疎遠に。
ある日、その母の訃報が届く。
母は閉園した遊園地“星ガ丘ワンダーランド”の観覧車から飛び降り自殺したらしい。
高所恐怖症だったのに、そんな高いところまで母がひとりで行ったとは思えない。
自殺と断定されたことに納得できない温人は、真相を探りはじめるのだが……。
人脈があるのか、初監督作にゴージャスなキャスト。
上記のほか、再婚した母の継娘に佐々木希、息子に菅田将暉
市の清掃職員には市原隼人、刑事には嶋田久作
真相が明らかになるシーンではホロリ涙。雪降る小さな町の赤い観覧車が美しい。

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