夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ラスベガスをぶっつぶせ』〈追記〉

2008年10月30日 | 映画(ら行)
前述の『ラスベガスをぶっつぶせ』で、
ミッキーがベンをチームに引き入れるきっかけとなったのは、
数学の授業中のある質問に対する回答でした。

その少し前、別の問いかけに対して、
ほかの学生とは異なる論を唱えたベンに、ミッキーは興味を持ちます。
どの程度のヤツなのか見極めてやろうとでも言いたげに
ミッキーがベンに聞いたのはこんなこと。

「目の前に3つの扉がある。
 そのうち2つの扉の向こうにはヤギが、
 残る1つの扉の向こうには高級車が。
 一発で高級車の扉を開けた場合には、その車が貰えるとする。
 さて、君はどの扉を選ぶ?」

ベンは左端の扉を選びます。

ミッキーは、順番に扉を開けて行こうと言い、
まずは右端の扉を開けます。
右端の扉の向こうにはヤギが。

「残る扉は2つ。君は最初に左端の扉を選んだ。
 今なら開ける扉を変えてもいいよ。どうする?」

するとベンは、いとも簡単に「変えます。真ん中の扉に」。

「普通は変えないものだ」とミッキー。
「扉の向こうがヤギか車か、知っている者に念押しされれば、
 変えることに不安が生じて、普通は変えないものだ。
 君はなぜ変える?」

ベンは答えます。
「3つの扉があり、どれか1つの扉の向こうに車があるとすれば、
 その確率は≒33.3%。
 右端の扉が開いて、その向こうがヤギだったことがわかり、
 僕が左端の扉を選んでいるなら、
 真ん中の扉の向こうが車である確率は≒66.7%。
 右端の扉の33.3%が加わるから。
 右端の33.3%、ありがとう。」

それはとても単純なことだとベンは言うんですけれど、
これって、単純なんですか?
だって、扉が3つあって、右端がハズレだとわかったら、
その時点では左端も真ん中も、車である確率って50%じゃないの?

思わず巻き戻して見直しましたが、それでも理解できず。
しかし、ここでつまずくと、気になって先に進めません。
わからんけど、まぁええわ。で、進みました。

字幕では、これらのことを「変数変換の法則」と訳していたので、
観終わってからネットで調べてみました。
そしたら、どうやらその訳は誤りだという指摘も。

ホンモノの「変数変換の法則」はとてもわかりそうにないですが、
ヤギか車かの問題は理解したいんです。なんでなん?

カジノで荒稼ぎするためには、
この「確率の変化」を頭に叩き込んでおかないとあかんようです。
きっと、頑なに開ける扉を変えない私にはムリッ。

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『ラスベガスをぶっつぶせ』

2008年10月29日 | 映画(ら行)
『ラスベガスをぶっつぶせ』(原題:21)
監督:ロバート・ルケティック
出演:ジム・スタージェス,ケイト・ボスワース,
   ローレンス・フィッシュバーン,ケヴィン・スペイシー他

ベストセラー・ノンフィクションの映画化。
ただし、実際のチーム構成者は、アジア系の学生が大半だったそうです。

MIT(マサチューセッツ工科大学)の学生ベンは、
ハーバード大学医学部への入学資格を得ながら、
学費30万ドルの捻出に頭を痛めている。
裕福でない家庭にあっては、母に頼るわけにもいかず、
奨学金プログラムに応募するも、狭き門で見通しは暗い。

そんな折り、数学の授業に出席した彼は、
ある質問に対して、教授のミッキーを驚かせる回答をする。
ベンに傑出した数学の才能を認めたミッキーは、
極秘の研究チームに彼を招き入れる。

優秀な学生数名を集めたチーム結成の目的は、
ブラックジャックのカードカウンティングを習得して、
カジノで一儲け、いや大儲けしようというもの。
最初は気乗りしないベンだったが、
必要な30万ドルを稼いだら辞めると誓って参加する。

カードカウンティングというのは、すでに使用されたカードを記憶して、
未使用のカードの中に何が残っているのかを読むという方法で、
違法ではないんだそうです。
しかし、このワザの習得者は荒稼ぎが可能なため、
カードを読んでいることがバレれば、追い出されることもあるようで。

数学は苦手ですけど、嫌いじゃなかったので、
数学の天才が出てくる映画には惹かれます。
『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(1997)、然り。
でも、数学の天才が主人公だからって、
数字だらけで脳を酷使する作品かと思ったら、そんなことはありません。
というのか、そこの部分はなかなかついていけない。(^^;

数学に興味を抱いてレンタルした作品でしたが、
それよりも普通に青春ドラマとして楽しい。
地味で真面目だったベンが、大金を手に入れると、
それまでの友人とのつきあいを避け始め、
暮らしぶりも人間関係も変化します。
声をかけることすら躊躇われた学内一の美人とも恋仲になり、
勝ち組必至かと思いきや、人生そんなに甘くない。

ラストは、これってホンマの話?と訝りたくなりますが、とても清々しい。
青春時代のどんな苦い経験も、その後の人生に活かせるかどうかは本人次第。
そう思えるオチです。

数学に関係なく楽しいと書いたものの、
冒頭の「ある質問」は、思わず巻き戻して見たので次回に追記を。

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『ゲット スマート』

2008年10月26日 | 映画(か行)
『ゲット スマート』(原題:Get Smart)
監督:ピーター・シーガル
出演:スティーヴ・カレル,アン・ハサウェイ,アラン・アーキン,
   ドウェイン・ジョンソン,テレンス・スタンプ他

ロードショーにて。
1960年代のTVシリーズの劇場版リメイクなんだそうです。
予告編がおもしろそうだったこともありますが、
『40歳の童貞男』(2005)の彼が主演と来れば、
どうしても観たくなるというもの。

米国極秘諜報機関“コントロール”に所属する分析官スマート。
彼は、現場で諜報活動をおこなうエージェントになることを切望しているが、
分析官としての腕があまりに優れているせいで、
エージェントへの昇格を上司は認めてくれない。

そんなある日、コントロールの本部が襲撃される。
犯人は、世界征服を目論む国際犯罪組織“カオス”。
カオスの陰謀を阻止するため、
コントロールはエージェントを送り込むことにするが、
なにしろ、襲撃されたさいに、エージェント全員の顔がバレてしまっている。

そこで、面割れしていないスマートに白羽の矢が。
整形手術で顔を変えたところの美人エージェント99と組み、
早速、任務に就くスマート。

娯楽映画はこうでなくちゃという決定版。
これがB級にならないのは、
やっぱりお金がかかっていることが歴然としているからで、
アクションシーンも半端じゃありません。
こんなアホな映画にお金をかけられるって、スバラシイ。

名優もいっぱい出演しています。
アラン・アーキンが、お茶目な上司役だったり、
テレンス・スタンプが犯罪組織のボス役だったり、
ジェームズ・カーンが能天気な大統領役だったり。
3人とも1960年代に映画デビューした、今はおじいちゃん役が似合う俳優。
こんな名優たちがマヌケなシーンを楽しげにこなしていることが、
作品に風格すら与えています。
プロレスラーで、主役級の俳優ザ・ロックが、
その名も改めて脇役に回っていて、コメディのセンスもばっちり。

個人的なツボは、エージェント13役のビル・マーレイ。
超人気コメディ俳優なのに、木の幹の中から顔を出す一瞬の出演。
ヒッチコックの『知りすぎていた男』(1956)をご覧になった方なら
カオスの暗殺計画は読めると思いますが、
ビル・マーレイの出演作に『知らなすぎた男』(1998)があったので、
そのシャレで一瞬出演かと思いました。

……なんて、昔の映画のことは知らなくても
楽しめる作品であることはまちがいありません。

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『100万ドルのホームランボール』

2008年10月22日 | 映画(は行)
『100万ドルのホームランボール』(原題:Up for Grabs)
監督:マイケル・ラノヴィックス

野球のことには触れずに、
ロードショーで観た映画について書くべきなんでしょうが、
敢えて引っ張っておきます。

なんちゅうのか、シーズン中、70回近い投球回数で、
自責点がわずか5点だった藤川が、
これまでの対戦でほぼ三振に仕留めてきたウッズに
パコ~ンと2ランを打たれ、
その裏のこちらの攻撃では3番、4番、5番が
ショボショボに終わるあっけなさ。どうよ、これ。

本作は、2001年、メジャーリーグのポストシーズンに起こった、
アホらしく、なおかつ、非常に興味深いお話のドキュメンタリー。
2004年の作品で、日本公開は去年でした。

2001年10月7日。
バリー・ボンズが年間最多本塁打記録となる73号ホームランを放つ。
過去にそのようなボールに数億円の値がついたことを知っている観客たちは、
自分こそが73号ホームランボールを捕ろうと殺気立つ。
外野スタンドに飛び込んだボールの上に重なる観客。
いったいボールを捕ったのは誰なのか。

ボールを掲げた男性はパトリック・ハヤシ。
取材中のTV局のカメラに向かって満面の笑みをたたえる。
ところが、彼にボールを横取りされたという男性、
アレックス・ポポフが現れる。
最初にキャッチしたのは自分で、ヤツにボールを盗られたと主張。

双方の言い分はひたすら平行線をたどり、
法廷で争われることに。さて、その結末は?

おもしろいです。
ポポフは目立ちたがり屋で口も達者な自信家。
一方のハヤシはおとなしい日系人で、
口数が少ないのが逆効果を与えてしまいます。
うしろめたいから何も喋らないんだろ、てな感じで。

物的証拠や目撃証言が公平な目で展開されるので、
本当はどちらが嘘をついているんだろうと、
まるでミステリー映画を観ている気にさせられます。
でも、たぶん、どちらも嘘はついていない。
問題は、最初に捕った人、自分の前に転がって来たそれを捕った人、
どちらに所有権があるかということで、この訴訟を担当した判事は、
こんな興味深い事例を担当できることが光栄だと言っています。

2001年といえば、9.11同時多発テロの年。
その1カ月後に、こんな論争が繰り広げられ、
ときにはイラク戦争よりも大きく取り上げられていたなんて(苦笑)。

欲に駆られて争うことが、
人から見ればいかに醜くてアホらしいか。
後日談も効いていて笑えます。
ポストシーズンのこんなネタも楽しいけれど。

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『うた魂(たま)♪』

2008年10月17日 | 映画(あ行)
『うた魂(たま)♪』
監督:田中誠
出演:夏帆,ゴリ,石黒英雄,間寛平,薬師丸ひろ子他

TSUTAYA DISCASで予約リストに載せるも、
レンタル希望者数に対して在庫枚数が少なすぎ。
回ってくるのを待てずにDVD購入しました。

全国にその名を轟かせる、北海道七浜高校合唱部。
ソプラノのパートリーダー、かすみは、
自分の歌声と容姿に並々ならぬ自信を持つ、自意識過剰な女子。

今日も砂浜で歌の練習をしていると、
遠巻きにそれを見つめる町の人たち。
彼らは「猛暑で頭がイカレたか?」と噂するが、
かすみは、みんなが自分の声に聴き入っていると信じて疑わない。

ある日、かすみが想いを寄せるイケメンの生徒会長、純一から、
放課後の屋上に呼び出される。てっきりコクられるかと思いきや、
純一は、合唱部で歌うかすみを撮影したいと言う。
かすみは少々がっがりするが、良いように解釈、了承する。

ところが、後日、純一に写真を見せられて呆然。
歌っているときのかすみの顔は、まるで可愛くないのだ。
追い打ちをかけるように、純一が腹を抱えて笑いながらひと言。
「産卵中のシャケみたいな顔」。

あまりのショックに、退部を決意したかすみは、
最後の舞台のつもりで、夏祭りの合唱イベントに参加したところ、
かすみのやる気のなさを見て取った、
湯の川学院高校の番長率いるヤンキー合唱団に怒鳴られる。

歌の上手さでは七浜高校には勝てないかもしれない、
けれど、聴衆の心を掴むことにかけては、俺たちは負ける気がしねぇ。
そう言う彼らの歌を客席で聴いたかすみは度肝を抜かれ、
歌いたい気持ちでいっぱいになる。

R30、いや、R40でしょ。
イマドキの高校生が主人公の立派な青春学園ものですが、
ヤンキー合唱団が熱く歌い上げるのはすべて尾崎豊の曲。
しかも、番長に歌の素晴らしさを教えた女神は、
薬師丸ひろ子演じる路上の「女版・尾崎」。
そのオンナ尾崎が、実は七浜高校の合唱部の臨時顧問という設定。
彼女が歌う『OH MY LITTLE GIRL』は必聴です。

合唱コンクールで七浜高校合唱部が歌うのは、
ゴスペラーズの『青い鳥』。
観客は大喝采ですが、この辺りはちょっと退屈。
エンディングでかかる本家本元の歌い声のほうがしっくり来ます。
それでもやっぱり、楽しいもんは楽しい。

35歳のゴリが高校生役というのも可笑しいけど、
かすみの爺ちゃんが大阪弁なのも変じゃあないか?(笑)

今週ずっと、尾崎の曲が頭の中で鳴りっぱなし~♪

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