夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『リバウンド』

2024年05月08日 | 映画(ら行)
『リバウンド』(英題:Rebound)
監督:チャン・ハンジュン
出演:アン・ジェホン,イ・シニョン,チョン・ジヌン,チョン・ゴンジュ,キム・テク,
   キム・ミン,アン・ジホ,イ・ジュンヒョク,キム・ジンス,チャン・ヒョンソン他
 
前述の『あまろっく』の次に、同じくなんばパークスシネマにて。
 
実話に基づくスポ根韓流映画。面白くならないわけがない。
2012年にあったことなのだそうです。
 
伝統はあるものの、昔と違って弱小チームになりさがってしまった釜山中央高校バスケットボール部
あまりのダメっぷりに、就任したコーチは次々と辞め、何人かいた部員も今は2人のみ。
ついには校長が廃部を言い渡そうとするが、OBが黙っていないかもしれないと、
教頭以下の教師たちが安月給でも来るコーチを雇って形だけ存続させましょうと校長を説得する。
 
そんなバスケ部のコーチとなったのは、高校生当時はMVP選手に選ばれたこともあったのに、
その後は鳴かず飛ばずで冴えない日々を過ごしていたカン・ヤンヒョン(アン・ジェホン)。
「形だけのバスケ部」の「形だけのコーチ」のはずが、ここは一発逆転の人生にしたい。
まずは部員を集めて試合に出られるようにしようと、各校選手のデータを集めはじめる。
 
スター選手として崇められながら身長の伸びが止まると同時にスランプに陥っているチョン・ギボム(イ・シニョン)。
かつてはギボムのチームメイトであったが脚を傷めて逃げ出したペ・ギュヒョク(チョン・ジヌン)。
高身長を買われてサッカー部からバスケ部に移ることになったホン・スンギュ(キム・テク)。
ストリートボールを楽しんでいたところをスカウトされたチョン・ガンホ(チョン・ゴンジュ)などなど。
ヤンヒョンの元教え子で将来を有望視される生徒も入部したおかげでそこそこ以上に強いチームになるはずが……。
 
驚いたのは、大会試合当日に明らかになる選手の引き抜き。
スポーツ選手として全国的に認められると後の人生にも影響が及ぶのはインドと同じか
親も必死だから、少しでも強いチームに子どもを入れたい。
子ども本人がこのチームに居たいと願ったとしても、親が移したければそうなるのですね。
当日会場に行ってみると、昨日まで自分のチームにいた選手が相手チームに引き抜かれているなんてビックリ。
 
強豪校には余るほどの部員がいて、こちらの釜山中央高校にはたった6人。
1人怪我をすれば交代選手がいなくなり、ぜぇぜぇ言いながらコートを駆け回る。
 
選手(ほぼ)みんなイケメンでカワイイから、俄然応援したくなります。
特にイ・シニョンとチョン・ジヌン。チョン・ゴンジュもいいねぇ。
後からチームに入るホ・ジェユン役のキム・ミンがなかなか泣かせるし、
第二のマイケル・ジョーダンを自負するお調子者ながらスター性ありのチョン・ジヌク役のアン・ジホも○。
そして一応ヘッドコーチのイ・ジュンヒョクが笑わせてくれます。名バイプレイヤー
 
楽しかった!

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『ラブリセット 30日後、離婚します』

2024年04月23日 | 映画(ら行)
『ラブリセット 30日後、離婚します』(英題:30 Days)
監督:ナム・デジュン
出演:カン・ハヌル,チョン・ソミン,チョ・ミンス,キム・ソニョン,
   ユン・ギョンホ,ファン・セイン,イ・サンジン,ウォン・ウー他
 
「『死ぬ死ぬ詐欺』やな、いや、お母さんが死ぬ死ぬ言うてるわけやないし、
先生の『死にます死にます』詐欺か」などとと言っては笑っております。
 
母の余命を聞いたときにはすごく悲しかったし、いろんなことを思い出しては泣いてしまうけれど、
今日明日死ぬかもしれませんと言われてから1カ月近く経つと、気持ちが落ち着いてくる。
「またヤバイときにはすぐに病院から電話がかかってくるし」と映画へ。
この日はなんばパークスシネマまで足を伸ばしてみました。
 
監督は大好きだった『色男ホ・セク』(2019)のナム・デジュン。
カン・ハヌルチョン・ソミンのダブル主演で、たぶん、きっと面白い。
 
富裕な家庭に生まれ、映画プロデューサーとして働くホン・ナラ(♀)は、
弁護士を目指すも司法試験に毎年落ちているノ・ジョンヨル(♂)と交際していたが、
あるときジョンヨルの心にもない言葉が原因で別れる。
 
親が薦める相手と見合いしてすぐに結婚を決めたナラだったが、
挙式当日に別れを悔やむジョンヨルが酒に酔った勢いで会場に乗り込もうとしていたところ、
逆に会場からナラが逃げてくる。こうしてなんとも劇的に結婚したふたり。
 
それから3000日、つまり約8年が経過。
ナラの仕事は順調、ジョンヨルも無事に司法試験に合格して売れっ子弁護士になったというのに、
ふたりの仲は冷え切って喧嘩ばかり。お互いにもう我慢の限界だと離婚を決意する。
 
裁判所へ調停に出向くと、熟慮期間を設けて30日後に離婚を認めると言い渡されるが、
その帰り道、ふたりは交通事故に遭い、記憶喪失となってしまう。
病院で目覚めたときには家族のこともお互いのこともまったく思い出せず。
 
双方の親の仲も最悪だから、離婚は絶対に成立させたい。
記憶喪失のせいでふたりがまた恋に落ちたら厄介だと、
ナラの妹がふたりの家に同居して妙なことにならぬよう監視する役目を仰せつかり……。
 
険悪だったナラとジョンヨルがあらためて恋に落ちる。
展開は見え見えですが、キャストがよくてやっぱり楽しい。
 
特にナラの母親を演じるチョ・ミンスが素晴らしい。
最初にナラが挙式から逃げたときも、そうまでして一緒になろうとしたジョンヨルが無職だとわかったときも、
こぇぇオバハンではあるのですが、なんだかんだでいちばんに考えているのはナラの幸せ。
対するジョンヨルの母親役、キム・ソニョンが憎たらしいのなんのって。
貧乏人の劣等感ありありで、ナラが何かするたびに「金持ちのお嬢さんだから」と嫌みばかり。
こんな姑だったら嫌だなぁ(笑)。
 
ユン・ギョンホほか、ジョンヨルやナラの友人たちも笑わせてくれます。
なんということはないけれど、楽しい気分になることは間違いなし。
 
嫌なところばかり目につきはじめると、つきあいはじめた頃の気持ちは忘れてしまうもの。
思い出したとしても嫌なものは嫌ってこともあるでしょうが(笑)、
映画ならばこんなハッピーエンドが望ましい。

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『流転の地球 太陽系脱出計画』

2024年04月09日 | 映画(ら行)
『流転の地球 太陽系脱出計画』(原題:流浪地球2)
監督:グオ・ファン
出演:ウー・ジン,アンディ・ラウ,リー・シュエチェン,シャー・イー,
   ニン・リー,ワン・チー,シュ・ヤンマンツー他
 
映画を観に行かない日が3日続いていました。
がそんな状態だから、そもそも映画を観に行く気分でもないけれど、
それでも近所の劇場で前週末に封切りとなった作品は鑑賞済み。
この日も母と面会後にまっすぐ家へ帰ろうと思ったのですが、
ちょっと気になっていた本作を観るために名神茨木から西宮まで高速に乗って行っちゃいました。
TOHOシネマズ西宮にて。
 
中国の人気作家リウ・ツーシンのSF短編小説を映画化したのが『流転の地球』(2019)だそうで。
観てないし、そんな作品があったことすら知らんかったけど。
本作はその第2弾で、前日譚が描かれています。ボリウッドも顔負けの173分の長尺。
 
近未来の地球では太陽が急速に膨張しはじめている。
いずれ地球は太陽に飲み込まれると科学者たちの間で結論づけられ、
 
さまざまな意見の中から採用されることになったのは、
地球そのものを太陽系から脱出させる巨大プロジェクト“移山計画”。
プロジェクトの実現に向け、全世界で準備が進められるのだが……。
 
地球自体が宇宙船のごとく宇宙空間を移動するというプロジェクト。
現実にこれが可能かどうかは私にはまったくわかりませんが、
とにかく大がかりでお金がかかっていて、劇場で観るべき作品であることは間違いありません。
 
移山計画以外にも検討されていた計画はいろいろあり、そのうちのひとつがデジタル生命体。
地球ごと移動するのではなくて、人間の記憶や人格をコンピュータ上に再現し、
太陽系崩壊後もデジタル生命体として生きることを選びたい人もいるんですね。
そちらを唱える人たちは宇宙ステーションを破壊するテロを目論んだりもする。
 
アンディ・ラウ演じる量子化学研究者は、事故で愛娘を亡くした過去があり、
その娘をなんとかデジタル生命体として蘇らせたい。
彼の気持ちを理解しつつも、立場的にそうすることを認められない上司の気持ちを慮ると悲しい。
また、ウー・ジン演じる宇宙飛行士は、同僚の女性宇宙飛行士に一目惚れして恋を成就させますが、
息子を授かったのちにかつて放射能を浴びた彼女の余命がわずかであることを知ります。
 
とにかくこのプロジェクトの主軸になっているのは中国とロシアだから、
日本人としてはあまりテンション上がらず、「はぁ」と思うしかありません。
ロシアの司令官のうるさいことと言ったら、ちょっとゲンナリするくらい(笑)。
 
と言いつつも、200人以上が志願して『アルマゲドン』(1998)のブルース・ウィリス的役目を果たすシーンは
じわんと感動して泣きそうになりましたけどね。(^^;

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『落下の解剖学』

2024年03月09日 | 映画(ら行)
『落下の解剖学』(原題:Anatomie d'une Chute)
監督:ジュスティーヌ・トリエ
出演:ザンドラ・ヒュラー,スワン・アルロー,ミロ・マシャド・グラネール,アントワーヌ・レナルツ,サミュエル・タイス,
   ジェニー・ベス,サーディア・ベンタイブ,カミーユ・ラザフォード,アン・ロトジェ,ソフィ・フィリエール他
 
この日はなんばグランド花月の夕方の回に行き、北浜で食事をすることになっていました。
その前に何か映画を観ようと上映予定を物色したら、とても観たかった本作の時間がバッチリ合う。
TOHOシネマズ梅田のシアター6にて。満席です。
 
第76回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールに輝いたフランス作品。
地味で小難しい作品を想像していました。確かに地味だけど凄く面白くて、152分居眠りの隙なし。
地域のせいか、『フレンチアルプスで起きたこと』(2014)を思い出しましたが、こっちのほうが好き。
 
フランス・グルノーブルにほど近い人里離れた山荘に暮らす3人家族。
売れっ子作家サンドラのインタビューに女子大生ゾーイが訪ねたところ、
サンドラの夫サミュエルが階上で音楽をかけはじめる。
途轍もない大音量で、夫は客を歓迎していないに違いない。
致し方なく日と場所を改めることにして、ゾーイは退散する。
 
ゾーイが車に乗り込んだ後、サンドラとサミュエルの一人息子で11歳のダニエルが表に出てくる。
ダニエルはかつて遭った事故のせいで弱視だが、犬を連れて散歩に出かける。
 
ところがダニエルが戻ってくると、玄関先の雪の上に父親が倒れていた。
頭から血を流し、どうやら屋根裏部屋から転落した様子。
ダニエルの泣きわめく声で飛び出してきたサンドラも、すでに死んでいる夫を見て呆然とする。
 
事故か事件か。警察はサンドラを殺人の容疑で逮捕。裁判が始まって……。
 
誰かが家に忍び込んだはずもないから、自殺か事故死か妻による殺害しかありません。
裁判が進むと、夫がひそかに録音していた夫婦喧嘩の模様などが暴露されて、
サンドラの立場はどんどん悪くなります。
 
観ているこちらは、どう考えても彼女が殺したわけはないと思うのですが、
これもしかして息子がお父さんを突き落としたとかいう話じゃないよねなどと、嫌な予感も。
 
けれどもそんなことにはなりません。
ダニエル役ミロ・マシャド・グラネールはたまらないほど知的で可愛らしい。
どうか彼を傷つけないでと願いましたが、「あなたが傷つくから傍聴は禁止」という裁判長に対して、
「もう傷ついてる」とダニエルが答えるシーンは切なかったですねぇ。
 
いったい何が起きたのかが解き明かされていくさまが面白い。
検察官が意地悪すぎてずっと辟易とさせられましたが、
もしかすると本作は男性と女性で意見が分かれるかもしれません。
 
夫も作家になりたかったのに妻ばかりが売れて、止むを得ず教師の道へ。
息子が視力を失った責任は自分にあり、だから息子の面倒を見ているけれど、
それにしても妻だけが好きな道を歩んでいることに苛立っています。
夫は妻のことを「何も我慢していない」と言いますが、もともとドイツ人の妻がロンドンに行き、
そこにとどまっていたかったのに、どうしても故郷に帰りたいという夫の都合でフランスに来ている。
フランス語もそんなに上手くない、友だちも頼れる人もいない。妻はじゅうぶん耐えていると思う。
 
サンドラが唯一頼れる相手が弁護士のヴァンサンで、彼役のスワン・アルローが素敵でした。
彼とサンドラが安易に不倫関係にならないのも○。
 
人気作家の夫が謎の死を遂げたら、事故死よりも作家が殺したほうがマスコミ的には面白い。
世間はそんなもんなんだろうなと思いました。
めっちゃ見応えあり。

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『レザボア・ドッグス』【デジタルリマスター版】

2024年02月05日 | 映画(ら行)
『レザボア・ドッグス』(原題:Reservoir Dogs)
監督:クエンティン・タランティーノ
出演:ハーヴェイ・カイテル,ティム・ロス,マイケル・マドセン,クリス・ペン,スティーヴ・ブシェミ,
   ローレンス・ティアニー,カーク・バルツ,エディ・バンカー,クエンティン・タランティーノ他
声の出演:スティーヴン・ライト
 
1991年のアメリカ作品のデジタルリマスター版がなんばパークスシネマで上映されていました。
クエンティン・タランティーノの名を一躍世に知らしめた作品として有名ですね。
2005年のイギリスの映画雑誌『エンパイア』が発表したインディペンデント映画ベスト50では1位に選ばれています。
当時の対抗馬は『ユージュアル・サスペクツ』 (1995)などなど。
 
それはきっと私が『パルプ・フィクション』(1994)を教えたからだと思います。
本作のDVDも弟の部屋にあったのを思い出し、観に行ったというわけです。
 
ロサンゼルスの裏社会を牛耳る大物ジョーは宝石店に押し入ることを計画。
息子エディを司令塔に指名し、確かな腕を持つと見込んだ6名を実行メンバーとして集める。
もしもお互いの本名や出身地などを知れば、何かの拍子にポロリとそれを口走ってしまうかもしれないと、
素性を隠すためにコードネームで呼び合うことに。
 
ジョーが決めたコードネームは、ミスター・ホワイト(ハーヴェイ・カイテル)、ミスター・オレンジ(ティム・ロス)、
ミスター・ブロンド(マイケル・マドセン)、ミスター・ピンク(スティーヴ・ブシェミ)、
ミスター・ブルー(エディ・バンカー)、ミスター・ブラウン(クエンティン・タランティーノ)。
 
計画は簡単に実行できるものと思われたが、警報が鳴るが早いか警官が駆けつける。
ホワイトは、銃で撃たれて重篤なオレンジを抱えて車に乗り、なんとか集合場所の倉庫にたどり着く。
しばらくして現れたピンクは、メンバーの中に警察のイヌがいるに違いないと主張。
次にやってきたブロンドは、現場から人質として連れてきた若い警官を拷問し、誰がイヌかを吐かせようとするのだが……。
 
それぞれのキャラクターがよく書き込まれていて面白いですよねぇ。
自分で脚本を書いて、出演もして、明らかな低予算でこんな1本を撮り上げたタランティーノ。
そりゃみんな大騒ぎしたことでしょう。
 
私も30年以上ぶりに観ましたが、やっぱり楽しい。グロいシーンも多いけど。
弟のお気に入りだった作品であることも含めて、いろいろと懐かしくなります。
エディを演じたクリス・ペンはその後40歳のときに亡くなり、もうとっくにこの世にいません。
一方で、ハーヴェイ・カイテル、ティム・ロス、マイケル・マドセン、スティーヴ・ブシェミといった俳優たちは、
相当なオッサン、いえ、ジジイになってはいるものの、まだ現役。
 
懐かしさでいっぱい。
観に行ってよかったと思います。

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