夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

タバコの似合うひと

2003年11月25日 | 映画(番外編:映画と嗜好品)
前述の『阿修羅のごとく』の終盤、
縁側で深田恭子が喫煙するシーンがありました。
っちゅうてもふかしてるだけなんですが。
この姿の似合わんこと!
慣れないのに無理して一服といったところなので、
似合わないようにわざと見せているなら、それはそれで立派です。

私はタバコは吸いませんが、嫌煙家でもありません。
新幹線などの喫煙車両は勘弁してほしいけれど、
ほっとして一服するひとを見ると、ええなぁと思うこともよくあります。

映画を観ていると、ものすごくタバコの似合うひとと、
「やめときや」と言いたくなるひとがいます。
もし、いちばん似合うひとを挙げるとしたら、
私はジョン・トラヴォルタに1票。
タバコの持ち方、吸い方、立ち姿、そのすべてに惚れ惚れします。

彼が出演している作品なら、ほぼどれでもその姿を見られると思いますが、
『パルプ・フィクション』(1994)では
彼がユマ・サーマンのためにタバコを巻くところも見られます。

最近は嫌煙運動がさかんで、
タバコはなかなかおおっぴらに宣伝しづらい状況になっていますが、
以前はタバコ屋自体を舞台にした作品もありました。
『スモーク』(1995)がそれですが、
店主役のハーベイ・カイテルはもちろんタバコが似合います。
おっちゃんのほうがいい味出るんでしょうかね。

『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』(1997)はドイツの作品。
ヨーロッパの映画には喫煙シーンが登場することが多いですが、
この作品でもタバコが効果的に使われています。
とある病院で、脳腫瘍と骨肉腫でそれぞれ死期間近と宣告されたふたりの青年。
彼らはまだ一度も海を見たことがない。
死ぬ前にどうしても海が見たくなったふたりは、パジャマのまま病院を飛びだします。
途中、車を盗んで銀行強盗。
ところが盗んだ車はマフィアのもので、マフィアと警察の両方から追われるはめに。
最後にたどりついた海で、ふたりがタバコを吸うシーンが。

その昔、阪急ブレーブスが優勝したとき、大騒ぎの周囲をよそに、
ベンチの片隅で一服する上田利治監督の姿がひっそり映し出されたことがありました。
タバコに否定的なうちの母が
「あれ見て、タバコもええなぁと思ったわ」と言ったことを今でも覚えています。

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『阿修羅のごとく』

2003年11月22日 | 映画(あ行)
『阿修羅のごとく』
監督:森田芳光
出演:大竹しのぶ,黒木瞳,深津絵里,深田恭子,小林薫,
   仲代達矢,八千草薫,板東三津五郎,中村獅童他

このあいだのレディースデイ。
そんなに混むこともないやろとタカをくくっていたら、
げげっ、『阿修羅のごとく』だけ満席。
そのまま帰るのも悔しいので、2回目の上映に席を確保。
まずは『キル・ビル』を観るにいたりました。
『マトリックス・レボリューションズ』ですら満員じゃないのに、
恐るべし、向田邦子。

そんなわけで、いまさら説明はいりませんね。
向田邦子が飛行機事故で亡くなってから20年と少し。
いまだ人気を博しつづける作品の映画化です。

舞台は昭和54年の冬。
三女・滝子の呼びかけで集まった4人姉妹。
滝子によれば、70歳になろうかという父に、どうも愛人とその子どもがいるらしい。
動転する姉妹は、母の耳にだけはなんとか入れまいとする。

このできごとをきっかけに描かれる4人それぞれの毎日。
長女・綱子は未亡人。
華道の師匠であり、出入りの料理旅館の旦那と不倫関係にある。

次女・巻子は夫と2人の子どもをもつ主婦。
夫の浮気を疑っているが、誰にも相談できずにいる。

三女・滝子は図書館の職員。ド真面目で潔癖症。
父の浮気調査を依頼した興信所員が気になっている。

四女・咲子はパッとしないボクサーと同棲中。
彼が新人戦で勝てば結婚しようと思っている。
同棲をいやらしいと思う滝子からは目の敵にされており、
咲子のほうも滝子とはなんとなくソリが合わない。

こんな姉妹の悩みをよそに、
母は父の愛人騒ぎなどまったく知らない様子。
毎日穏やかな顔で過ごしている。

映画館のなかは年齢に多少の開きはあるものの、なんと100%おばちゃん。
性格も生き方もちがう4人姉妹が、それぞれに悩みを持っていて、
おばちゃんたちはどこか自分を重ね、この作品を観て笑い、泣く。
おばちゃんのハートをわしづかみの作品と言わざるを得ません。
観終わったあとの、みんなの満足げな表情。
こうしておばちゃんがおばちゃんに伝え、
そして今日も『阿修羅のごとく』は満員御礼。

興信所の調査員役、中村獅童はおばちゃんにウケまくり。
『ピンポン』(2002)とはうってかわり、
どもり症の純朴な青年がハマったようです。

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『キル・ビル』

2003年11月20日 | 映画(か行)
『キル・ビル』(原題:Kill Bill)
監督:クエンティン・タランティーノ
出演:ユマ・サーマン,デイヴィッド・キャラダイン,
   ルーシー・リュー,栗山千明,サニー千葉他

結婚式の最中。
腫れあがった花嫁の顔の大写しから始まる。

その花嫁、「ザ・ブライド」は「毒ヘビ暗殺団」の元エージェント。
彼女のかつてのボスであり、お腹の子の父親でもあるビルは
「ザ・ブライド」の結婚式に刺客を送り込み、参列者を惨殺。
そして彼女の頭をも撃ち抜いたのだった。

しかし、奇跡的に彼女は一命をとりとめた。
4年間の昏睡状態から目覚めた「ザ・ブライド」。
寝たきりで思うようにならなくなった脚の爪先を見て、
「親指を回せ」と念じつづける彼女。
そう念じながら、彼女は自分を裏切ったかつての仲間たちに復讐を誓う。

復讐リストを書きあげ、沖縄の服部半蔵のもとを訪れた彼女は、
刀を譲り受けるとともに修行を重ねる。

まずはリストのトップ、オーレン・イシイのもとへ。
彼女はビルの寵愛を受け、ヤクザの元締めとして日本で名高かった。
護衛を引き連れたオーレンのいる店へ、「ザ・ブライド」も向かう。

おもろい。
タランティーノの「愛」をいっぱい感じます。
あんた、ほんまにアメリカ人か?

オタクな要素、目白押し。
タイトル前に登場するのは「ショウ・ブラザーズ」という、
現在の香港アクションの歴史を作ったとも言うべき
老舗映画会社のトレードマーク。

服部半蔵にはもちろんサニー千葉(千葉真一)。
タランティーノが彼の大ファンであることは超有名。
『服部半蔵 影の軍団』シリーズは全部録画してあるそうです。
オーレン・イシイという名もこのシリーズの志穂美悦子の役名「お蓮」から採ったそうな。

そのオーレン・イシイと対決するのは雪の散らつく日本庭園。
これは梶芽衣子主演の『修羅雪姫』(1973)から。
エンディングに流れる曲はやはり梶芽衣子の『怨み節』です。

スプラッタ顔負け、バッサバッサと斬るわ斬るわ。
オーレン・イシイ役のルーシー・リューなんて、
最後はデコから上を斬り落とされて死に至る始末。
三池崇史監督の『殺し屋1』(2001)に匹敵する血祭りぶりでしたが、
なんとなく直視できてしまった自分が不思議。

2部作にて公開とは聞いてましたが、
復讐しなあかん人5人のうち、まだ2人目までしか殺してへんのですよね。
3人目以降、気になってしゃあないから、
続編も観にいくハメに陥りました。うわ~ん。

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『ブラッド・ワーク』

2003年11月18日 | 映画(は行)
『ブラッド・ワーク』(原題:Blood Work)
監督:クリント・イーストウッド
出演:クリント・イーストウッド,ジェフ・ダニエルズ,ワンダ・デ・ジーザス,
   ティナ・リフォード,アンジェリカ・ヒューストン他

クリント・イーストウッドが演じるのは
FBIの心理分析官テリー・マッケレイブ。
連続殺人犯「コード・キラー」は、現場にマッケレイブに宛てた血のメッセージを残す。
「俺を捕まえてみろ、マッケレイブ」という挑発的なその文句。
どうやら、マッケレイブとともにマスコミをにぎわせることに
「コード・キラー」は快感をおぼえているようだ。

現場検証の途中、犯人らしき男を発見したマッケレイブは追跡をはじめる。
しかし、銃を発砲したあと、マッケレイブは心臓発作を起こして倒れてしまう。

2年の月日が流れ、心臓移植を受けた彼は無事退院する。
ヨットハーバーの小さな船で暮らす彼のもとへ
ある日、グラシエラと名乗る女性が訪ねてくる。
彼女は自分の姉がマッケレイブへの心臓提供者だと言う。
グラシエラの姉はコンビニ強盗に殺され、犯人はまだ見つかっていない。
警察の捜査に進歩がないことに苛立つ彼女は、
マッケレイブに犯人捜しを依頼するのだった。

気乗りがしないながらも断れずに協力するマッケレイブ。
捜査を進めていくうちに、現場にたまたま居合わせた不運な被害者だと思われていたグラシエラが
実は狙われていたのではないかと思い当たり……。

著名なハードボイルド作家、マイケル・コナリーのベストセラーを映画化。
原作の邦題は『わが心臓の痛み』です。
「ブラッド・ワーク」とは血液検査のこと。

クリント・イーストウッドはヨタヨタで、走るのも辛そう。
と思ってたら、心臓をやられて倒れるという設定でしたから、あれも演技か!?

ネタバレしちゃいますが、
中盤、「この人が犯人やったら嫌やなぁ」と思ってた人がまさしくそう。
「いちばん怪しくない人が犯人」の定説そのままやんかいさ~。
しかし、やっぱりハラハラどきどきさせられて、
小粒ながら楽しめるサスペンスなのではあります。

イーストウッドに一句。
「いつまでも やれると思うな ラブシーン」。

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『ニュー・ガイ ハイスクール★ウォーズ』

2003年11月16日 | 映画(な行)
『ニュー・ガイ ハイスクール★ウォーズ』(原題:The New Guy)
監督:エド・デクター
出演:D・J・クォルズ,エリザ・ドゥシュク,ズーイー・デシャネル,
   ライル・ラヴェット,エディ・グリフィン他

B級ちっくなこのタイトル。
どうやらサブタイトルのほうはビデオ化のさいにつけ足したようです。
この邦題のせいで借りるのをやめよかと思いましたが、
ほかに観たいものがなかったので仕方なく。

ディジーはロッキー・クリークの高校生。
イケてない仲間たちとファンクのバンドを組んでいる。
その演奏はプロ並みだが、なんせ影が薄すぎる。

イケてる組の生徒たちからは酷いイジメに遭う毎日。
こんな悲惨な状況から抜け出したいと考えていたある日、
刑務所でルーサーと出会う。

ルーサーが言うには、自分ももとの刑務所ではみじめな毎日を送っていたが、
規則をとことん破ってそこから追い出され、
新天地で「いかつい自分」としてデビューを果たしたらしい。

ルーサーからガンの飛ばし方やハッタリのかまし方、
喧嘩に勝つ方法を伝授されたディジー。
イケてる歩き方、踊り方までを修得した彼は
新しい自分に生まれ変わる決意をする。

ロッキー・クリークで備品のモップを折って見事退学になり、
イースト・ハイランドへと転校する。
見るからに悪そうな生徒ばかりのこの高校で、
不良のボスを見つけると、すかさず喧嘩を挑む。
勝利をおさめたディジーは、一躍学園の人気者となる。

ディジーを演じるのは、『ザ・コア』(2003)の天才ハッカー役、D・J・クォルズ。
この人、長身なんですけど(たぶん)、40kgぐらいしかないんちゃうかと思うほどの細さ。
こんななりでガン飛ばせるんかと心配しましたが、
なかなかサマになってて笑わせてくれます。

期待せずに観たぶん、楽しさはそれなり以上でした。
また、人からどう思われるかを気にしてしまう自分、
生まれ変われたがゆえに、それまでの友だちと接しにくくなった自分、
ディジーの気持ちの揺れ動きもわかって、
これはいじめられた経験皆無の監督ではないんだろうなと。

いろんな映画のパロディーもてんこ盛り。
タイトルに惑わされてはいかんと今さらながら思ったのでした。

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