夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

こんな店主のいるお店

2005年07月28日 | 映画(番外編:映画と食べ物・飲み物)
先日、ここの管理人さんの掲示板で下記のような質問が出ました。
(〈おことわり〉「さるさる日記」サービス終了にともない、その掲示板は閉鎖しました。)

1.店員の態度はめちゃめちゃ悪いが味がいい店
2.店員の態度は最高だが味が悪い店
3.店員の態度は普通で味も普通の店

料理の価格、店までの距離などの条件はすべて同じ。
このいずれかに今晩行かなあかんとしたらどの店にしますか。

2を選択した人はまだいません。
食べることが目的だったら、さすがに不味いのは勘弁してってとこでしょうか。

さて、映画にもさまざまな飲食店が出てきます。
料理をテーマにした映画でないと、
なかなかその店で出される料理の味までは描かれませんが、
こんな店主がいるなら、味にかかわらず
足を運んでみたいと思わせるお店は結構あります。

西ドイツの作品、『バグダッド・カフェ』(1987)。
砂漠を縦断するハイウェイで喧嘩別れしたドイツ人夫婦。
置き去りにされた妻で巨漢のジャスミンは
カフェ併設のモーテル、“バグダッド・カフェ”へ辿り着きます。
女店主のブレンダは、非協力的な家族のせいで
すべてをひとりで切り盛りして、常に不機嫌な顔。
いつまで滞在するとも知れない異国の客ジャスミンに対し、
明らかに不快な態度をしめすブレンダ。
うだるような暑さのなか、ジャスミン、ブレンダ、
そしてカフェに集う客たちの奇妙な日々が始まります。

推察どおり、ブレンダがやがて心を開くわけですが、
その心を開くまでの過程が実に素敵。
愛想がいいとは言えないふたりが
やがて“バグダッド・カフェ”を大人気店へと変貌させるのも
観ていて元気百倍になります。

ハイウェイでジャスミンの夫が捨てた、
コーヒーの入ったままの魔法瓶をブレンダの夫が拾ってカフェに持ち帰り、
客にそのまま出しちゃうのも愉快な一コマ。

ところで、私にとって「愛想が悪い」と「愛想がない」は別もの。
「愛想の悪い人」は、人を見てゴマをすったり、
感じワルかったりする人。これ最悪。
「愛想のない人」はゴマをするなんてできない人。
日頃は愛想を作るなんてできない人が、
作ることなく笑ってくれたり、話しかけたりしてくれたら、
私はものすごく嬉しくなります。
だから、愛想の悪い店は嫌いですが、愛想のない店、大好きです。

ついでに、うちの近所に
「この店に何も期待しないでください。
料理は不味い、遅い、サービスも悪いです」と、
看板を出してるお店があるんです。
そこまで言われると行ってみたくなりませんか。

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『スーパーサイズ・ミー』

2005年07月23日 | 映画(さ行)
『スーパーサイズ・ミー』(原題:Super Size Me)
監督・出演:モーガン・スパーロック

去年の暮れ、公開に先立って、
「飲み食いの極限を知ってみる」ですでに触れた作品ですが、
やっとDVD化されてレンタル開始となりました。

ドキュメンタリーとは何ぞやとはたびたび映画雑誌などでも問われることで、
辞書によればドキュメンタリーとは、
「実際の事件に虚構を加えずに構成されたもの」となっています。
しかし、映画ってすべて虚構のような気がします。
作り手側が観る側に伝えたいことがあるからそれを撮るわけで、
作り手側には観る側を導きたい方向が明らかにあると思います。

本作もまず「ファストフード=体に良くない」という前提があり、
そうかもと思っていた人なら「やっぱり」な作品です。
かく言う私も最後にマクドナルドへ行ったのは
かれこれ5年ほど前なので、大納得。(^^;

監督であり被験者であるモーガンは、
非の打ちどころのない健康体の持ち主です。
その彼が1カ月間、1日3食、マクドナルドで食事をとり続けるとどうなるか。

実験中、医師や栄養士の協力を得て、
定期的に体重を測定、コレステロールや中性脂肪、
肝臓の機能を表す数値などを詳しく調べます。
すると、1週間目には医師すら驚きの結果が。
体重増加はもちろん、肝臓の状態はアル中患者並み、
精神状態にも異常を来しました。
なんとか実験をやり遂げるも、途中、
「今すぐ実験を中止しなければ取り返しのつかないことになる」と宣告されたほど。

アメリカの公立高校は財政難のため、
企業をスポンサーとして清涼飲料の自動販売機を校内に設置するのだそうです。
食堂のメニューは冷凍食品だらけ。
でも、ある高校で、添加物をできるだけ排除し、
その場で調理したメニューを出すように努めたら、
生徒たちの集中力が増し、学力も向上したとか。

映像を見ていて感じたのは、ジャンクフードって同じ色ばかりで、
身体に優しい料理のほうが圧倒的に綺麗なんです。
でもジャンクフードのほうが大人気。

本作公開後、マクドナルドはスーパーサイズを廃止しましたが、
客の強い要望により、復活したようです。
日本マクドナルドの創設者、故藤田田氏がおっしゃっていたように、
「人間の味覚は12歳までに決まる」はきっと真実。
誰が何と言おうと、幼い頃から食べ続けた味はやめられないでしょうね。
けど、アミノ酸(うま味調味料)漬けの味覚は治せるとも言うけどなぁ。

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阪神タイガースの投手、ブラウンって

2005年07月21日 | 映画(番外編:映画とスポーツ)
阪神の試合のある日に阪神の話をするとろくなことにならないので、
日常はよっぽどの阪神ファンとじゃないと
阪神ネタはしゃべらないことにしています。

だもんで、ここに阪神ネタを書き込むのもどうだかなぁと思ってますが、
とりあえず前半戦が終わり、あと1週間は平穏な夜を送れそうなので、
たまにはこういう話も。

阪神にブラウンという投手がいます。
前半戦を終わって4勝0敗。
凄い球を投げるでもなく、防御率もイマイチ。
あと1回投げれば勝利投手の権利を得るというときに
シュッと代打を出されたりする気の毒な投手。
しかし、彼が降板するとすぐにチームが点を取ったりして、
なんとなくツキを呼び込む投手という印象です。

そんなブラウンのことが、私は密かに気になっています。
というのも、ひとえに彼の顔のせい。
「ゲイリー・オールドマンとクリスチャン・スレイターを
足して2で割った顔」なんです。

これを聞いてわかってくれる人はほとんどいません。
唯一、大笑いしてくれたのが野球をまったく観ない友人。
阪神のHPでブラウンの写真を見た瞬間にツボにハマり、死ぬほど笑っていました。
「ゲイリー・オールドマンとクリスチャン・スレイターのどちらかに
とっても似ているというわけではなく、確かに足して2で割った顔だ」と。

ちなみにゲイリー・オールドマン
『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』(2004)のシリウス・ブラック役の俳優です。

クリスチャン・スレイターの出演作では
ショーン・コネリーと共演した『薔薇の名前』(1986)が好きですが、
このときのスレイターはあまりに若すぎて、ブラウンと似ているかどうかはわかりません。
洪水に見舞われた町で起こる、現金輸送車の強盗事件を描いたアクション娯楽作『フラッド』(1998)で、
ガードマン役を演じた俳優といえばわかりやすいかも。
このときの強盗役がモーガン・フリーマンでした。

このふたりをまとめて見られるのが『告発』(1995)。
アルカトラズ刑務所の極悪副所長をゲイリー・オールドマン、
死刑が確実視される囚人の弁護士をクリスチャン・スレイター。
これは実話に基づいた作品で、アルカトラズ刑務所が閉鎖されるきっかけとなった事件を描いています。
軽く観るには適しませんけど。

このふたりはこれまでにもたびたび登場していますので、
過去の日記もご覧いただけましたら。

あぁ、阪神ファンってツライ。

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日活ロマンポルノ体験

2005年07月17日 | 映画(番外編:小ネタいろいろ)
SMの女王、谷ナオミの名前を挙げたので、
日活ロマンポルノの話を。

日活ロマンポルノなんて、いくら興味が湧いても
一般的に女性の観にいける雰囲気はありません。
しかし、名作ロマンポルノを作りつづけてきたことで有名な
神代辰巳監督が他界した1995年、追悼上映会に行くことができました。

神代監督といえばやはりロマンポルノなのですが、
ポルノ以外では原田美枝子や宇崎竜童、三国連太郎らが共演した、
『ミスター・ミセス・ミス・ロンリー』(1980)なども。
萩原健一と水谷豊の『傷だらけの天使』の演出も手がけています。

神代監督のロマンポルノには、
蟹江敬三や宮下順子、絵沢萌子、伊佐山ひろ子、白川和子など、
今も活躍中の俳優が多く登場しています。
とは言っても、現在の彼らはもちろん脱ぐことはなく、
普通のお父さん、お母さん役を演じたり、
ドキュメンタリーでナレーションを担当したりしていますね。

私が観たのは『一条さゆり 濡れた欲情』(1972)と
『赤線玉の井 ぬけられます』(1974)でした。
前者はロウソクショーで有名な関西の伝説のストリッパー、一条さゆり本人が主演。
ポルノにストーリー性はないと思い込んでいた私は
ロマンポルノってこんなにおもしろいものなのかと驚きました。

遊郭の女性たちの会話や男性客たちとのやりとりも
昭和初期の様子が描かれていて興味を惹かれます。
冬の寒い日、仕事に入る前の女性たちが
談笑しながら火鉢をまたいで股間を温める姿には
もの凄いたくましさを感じます。

これを観たあとで、大阪・新世界へ行きました。
NHKの朝の連ドラ『ふたりっ子』が始まる前だった新世界は
まだ全然観光地化されていなくて、道端には不思議な露店がいっぱい。
長靴片方だけとか、ラジオの取扱説明書だけが売られていたりします。
需要があるのか疑問。(^^;
バティック風シャツはプリントかと思いきや、
よく探せば本当に染められたものも混じっていて、
それが500円しなかったりして。

飛田新地の辺りは遊郭だらけで、
男性はたとえ女性連れで歩いていようとも「お兄さ~ん」と呼び込まれます。
「この辺りで女性を買わないでください」という、衝撃的な看板も見かけました。

遊郭をそのまま利用した居酒屋「百番」に一度行ってみたいと思いつつ、
まだ果たせていません。
鍋料理の湯気のせいで建物の老朽化が噂されているので、
店のあるうちに行っておきたいものです。

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映画雑誌『PREMIERE 日本版』と『映画秘宝』(その2)

2005年07月14日 | 映画(番外編:映画と読み物)
前述の『PREMIERE 日本版』の対極を行くような雑誌が『映画秘宝』。
その昔はムック形式でしたが、いつのまにやら月刊化。
興味の湧かない特集をしていることもあるので
毎号買っているわけではありませんが、購読歴はかれこれ10年になります。

これが女性としては実にレジに持って行きづらい雑誌です。
7月号の表紙なんて、日活ロマンポルノのSMの女王だった谷ナオミが
縛られた状態で馬にまたがっとるんです。もちろん胸アラワ。
今年の1月号の表紙は、香港映画の『レディ・ウェポン 赤裸特工』(2002)の
主演女優であるマギー・Qとアンヤという美女ふたりが
セミヌードで向かい合っている写真でした。

表紙だけ見たら、男性向け雑誌と誤解してもおかしくありません。
そして中を開けても普通の映画雑誌じゃありません。
とっても変なんです。

毎年欠かさず購入している2月号では、
前年のベスト・ワーストを選ぶ投票結果が発表されます。
『キル・ビル Vol.2』(2004)や『スパイダーマン2』(2004)、
『チャーリーズ・エンジェル/フルスロットル』(2003)など、
娯楽度満点の作品が上位を占め、ピンク映画のベストも選出されます。
選者もオタクでマニアックな変人ばっかり。
その筆頭がおそらく町山智浩さん。
彼はその昔、『底抜け超大作』という『映画秘宝』のムックについて
大御所映画雑誌の『キネマ旬報』からダメ出しされたことに憤り、
キネ旬編集部にシェービングクリームで作ったパイを投げ込んだ有名人です。
『底抜け超大作』はとりあえず私の愛読書。

キリスト拷問映画『パッション』(2004)が公開された頃には
芥川賞作家の金原ひとみと漫画家の辛酸なめ子が対談。
尼僧姿でロウソクと聖書を手に携えて。
対談終了時に金原ひとみが「こんな恰好をさせられたことが
映画の内容よりある意味衝撃的」と笑っていました。

ヤクルトスワローズの名ショート、宮本選手が
プロ野球選手対抗のしりとりか何かのときに、
AV女優の名前ばかりを挙げていたのですが、
宮本選手の特にお気に入りと思われる及川奈央を
私はこの雑誌で企画された大槻ケンヂとの対談で知りました。
世間で人気のあるAV女優ってこんな人なのかと納得。

書店に行かれたさいは、『映画秘宝』をぜひ一度、
手に取ってみてください。
B級なのに誤植は少ない雑誌だと思ってましたけど、
先月号でショーン・ペンの名前が
「スオーン・ペン」になってたのにはズッコケたよ、秘宝さん。

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