夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『エンド・オブ・ホワイトハウス』

2013年06月30日 | 映画(あ行)
『エンド・オブ・ホワイトハウス』(原題:Olympus Has Fallen)
監督:アントワーン・フークア
出演:ジェラルド・バトラー,アーロン・エッカート,モーガン・フリーマン,アンジェラ・バセット,
   ロバート・フォスター,メリッサ・レオ,ラダ・ミッチェル,リック・ユーン他

TOHOシネマズ伊丹にて、レディースデーに鑑賞。
結構ヒットしているようなのに、このとき以来の貸切状態でした。

ホワイトハウスが乗っ取られる。
そんなアホなことがあるかいなと言いたいところですが、
先日のボストンマラソン開催時のテロといい、
アメリカ本土が攻撃される可能性もないとは言えません。

予告編では今夏公開の『ホワイトハウス・ダウン』が流れ、
『G.I.ジョー バック・トゥ・リベンジ』も対テロリスト、北朝鮮首脳陣を小バカにした台詞も。
趣を同じくした作品が次々と公開されるのは、今こそアメリカはエライんだと主張したいから?

日本は完全に無視、韓国はコケにされまくっている本作ですが、腹を立ててはいけません。
脳ミソをからっぽにしてジェラルド・バトラーの奮闘を楽しみましょう。

シークレットサービスとして米国大統領の警護に就くマイク。
ある雪の夜、大統領一家を乗せた車が事故に遭う。
救出を試みるも、身動きが取れなくなった大統領夫人をあきらめざるを得ず、
結果的には夫人を見殺しにしたこととなってしまう。
大統領とはお互いに任務を超えた絆を感じていたが、マイクの顔を見るのが辛いのだろう、
マイクは大統領の警護から外されて、デスクワークに甘んじる日々。

それから1年半が経過し、アメリカ独立記念日の翌日。
韓国首相が来訪し、ホワイトハウスで大統領と会談予定。
ちょうどそのとき、未確認の輸送機が上空に侵入、
警告した米軍戦闘機を撃墜すると、市街地に向けて砲撃を開始する。
そして、観光客と思われていたアジア人がホワイトハウスに攻撃をしかける。

緊急事態の連絡を受けた大統領は、ほかの米国首脳陣や韓国首相とともに
バンカー(大統領危機管理センターの通称で、地下にある防空壕のような施設)へ。
しかし、韓国首相の護衛を務めていた男が実はテロリストのリーダー、カン。

いちはやく事態に気づき、ホワイトハウスに潜入したマイクは、
大統領の息子でどこかに隠れているはずの少年コナーを探し、
また、大統領を救うためにたったひとりで突き進んでいくのだが……。

こういう作品を観るたびに、さんざんコケにされる登場人物を演じるのは、
いったいどういう役者さんたちなのか気になります。
「顔立ちがそうなだけでアメリカ人なんだもん」なのか、
収入のために本意ではないがやむを得ずなのか。

何も気にしなければ、普通に楽しいアクション映画です。
強すぎるマイク役、ジェラルド・バトラーはカッコイイし、
大統領役のアーロン・エッカートはほとんど縛られた状態で忍耐あるのみ。
下院議長役のモーガン・フリーマンはどんな作品にも知性を添え、
シークレットサービス長官役のアンジェラ・バセットはいつもデキる女の風情。
一時出まくっていた美人女優のアシュレイ・ジャッドが
速攻で死んでしまう大統領夫人役だったのにはビックリしましたけれども。

こんな大作のイメージのない役者陣もちらほら見えて、
やっぱり愛国心からなのかしらと思ったりして。(^^;

確かにこのまま主役をブルース・ウィリスが演じれば“ダイ・ハード”

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『二流小説家 シリアリスト』

2013年06月28日 | 映画(な行)
『二流小説家 シリアリスト』
監督:猪崎宣昭
出演:上川隆也,片瀬那奈,平山あや,小池里奈,賀来千香子,でんでん,
   高橋惠子,戸田恵子,本田博太郎,伊武雅刀,武田真治他

前述の『言の葉の庭』とハシゴ。
平日23:00終映の回を観るのは翌日の体調に差し障りがありそうでツライですが、
夜な夜な映画を観に行けるのもしばらくお預けになるため、ここは気合いで。

ところで、先月、「ひさしぶりに読んだ海外ミステリー」を書いたところ、
アラ還のお姉様がジェフリー・ディーヴァーの本を数冊、
そして本作の原作本を送ってきてくださいました。
前者にはまだ手をつけていませんが、これは映画を観る前に読もうかと。

なにせ鬼門(笑)の『このミス』ランキング1位作品です。
しかも本作については原作が海外ミステリーだというのに日本人キャストで映画化。
茶番になりそうな雰囲気がアリアリですが、
もしかすると『このミス』については読んでから観るべきなのではという気がして。

書きたいものだけでは身が立てられず、
アダルト雑誌の官能小説でなんとかやりくりしている小説家の赤羽一兵(上川隆也)。
以前には母の旧姓と写真を借りてヴァンパイア小説を書いたこともある。
(なぜかヴァンパイア小説は女性作家でなければ売れないらしい。)
家賃も思うように払えず、おじの好意に甘えて家を借りている。
姪の亜衣(小池里奈)がしょっちゅうやってきては、「二流小説家」とからかう。

そんなある日、拘置所から一通の手紙が届く。
差出人は呉井大悟(武田真治)、12年前の連続猟奇殺人の犯人で、死刑判決を受けた男。
これまで事件についてまったく語ろうとしなかった呉井が、
なぜか二流小説家の自分を指名、告白本を執筆してほしいと言う。

世間を騒がせた男を独占取材して告白本を出版するとなれば、
一流小説家への道が開かれるにちがいない。
そう考えた一兵が拘置所へ面会に出向くと、呉井は条件を提示する。
呉井にファンレターを寄越した女性3人に一兵が会いに行き、
彼女たちと呉井を主人公に仕立てた官能小説を書いてくれれば、
告白本の出版を許可するというのだ。

12年前の事件の遺族らは、一兵の執筆に断固反対。
事件の担当者だった刑事の町田(伊武雅刀)もやってきて、やめておけと忠告するが、
元カノ(黒谷友香)に偶然再会した一兵は、いい格好をしたくて引き受けてしまう。

ところが、呉井が選んだ女性3人に会いに行った直後、
その3人が次々と惨殺される。しかも12年前とまったく同じ手口で。
呉井の無実を信じる女性弁護士の前田礼子(高橋惠子)は、
真犯人はほかにいるはずだとして死刑判決に待ったをかけるのだが……。

非常に読み応えのある原作で、それを全部詰め込もうとすると無理があります。
原作に忠実であろうとした頑張りは窺えるので、読んでからだと楽しめる点はたくさん。
ただ、死刑執行のシーンなど、見せなくてもいいものも見せすぎの感。
なんというのか、そのせいで品がなくなってしまい、
わざわざ映画にしなくても、なんたらサスペンス劇場でよかったかなぁと。

呉井に関しては原作のイメージとはずいぶん違います。
原作ではずる賢くももっとシンプルな男だったのが、
血が美しいとか芸術的だとか熱弁をふるわれてもドン引きなのでした。

ま、でも、楽しかったです。
唖然呆然ともしなかったし、鬼門だった「このミス」、クリアということで。(^o^)

それにしても、48歳の上川隆也の母親役が51歳の賀来千香子って、
吉永小百合と仲村トオルのツーショット以上にアンマリじゃないでしょか。(^^;

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『言の葉の庭』

2013年06月26日 | 映画(か行)
『言の葉の庭』
監督:新海誠
声の出演:入野自由,花澤香菜,平野文,前田剛,寺崎裕香他

もしも、いちばん好きなアニメーション作品は何かと尋ねられたら、
きっと『秒速5センチメートル』(2007)だと答えます。

同監督の本作は現在も公開中、DVDは先週から販売、レンタルは来月上旬に開始。
TSUTAYA DISCASの予約リストにもずいぶん前に登録済みで、
観に行くべきかどうか迷っていましたが、
先週初め、どうしても劇場で観たくなってTOHOシネマズ西宮へ。

靴職人を目指す15歳の高校生、タカオ。
雨が大好きで、学校へ向かう途中に雨が降れば電車をおりる。
傘をさして日本庭園風の大きな公園に足を伸ばすと、
誰もいない屋根の下、ベンチに腰かけて靴のデザインをスケッチ。
雨の日の午前中は学校をさぼってこうするのが習慣だ。

あるときからこの屋根の下で女性を見かけるようになる。
タカオよりひとまわりほど年上とおぼしきその女性は、
朝から缶ビールを開け、おつまみにはチョコレート。
きちんとスーツを着ているところを見ると、仕事をさぼっているらしい。

約束したわけではないのに、雨が降ればここで会うようになるふたり。
家事もお手の物のタカオは、ときには弁当を多めに作り、彼女と食事。
彼女が自分の分を作ってくることもあるが、相当な味音痴と見えて、
タカオが味見しては苦笑してしまうほど。

自分の夢を家族以外には話したこともなかったタカオだが、
彼女には靴職人になりたいのだと打ち明ける。
「歩き方を忘れてしまったの」という彼女のため、
タカオは靴を作ろうとするのだが……。

美しい、本当に美しい。心洗われる映像です。
『秒速5センチメートル』では雪のシーンが印象に残っていますが、
本作では徹底して雨、雨、雨。小雨、大雨、豪雨といろんなタイプ。
雨滴の飛び跳ねる様子や水面に広がる波紋に魅入られます。
そして、そういった雨のシーンがあるから、日が射すシーンがより美しい。

公園の景色だけでなく、街や駅の雑踏、学校の廊下など、
静けさと騒がしさの対比が感じられて、すべてに目を奪われます。

ストーリーとしては、15歳の少年と27歳の女性の淡い恋なんて経験はないものですから、(^^;
『秒速5センチメートルの』のほうが俄然惹かれるものがありましたが、
この美しさはずっと見ていたい気持ちに駆られます。

この監督の音楽の使い方も大好きです。
今回は秦基博が歌う大江千里の“Rain”のカバーで、これが秀逸。
学生の頃によ~く聴いた大江千里の曲のうち、特に好きな曲を3つ挙げるとすれば
“ふたつの宿題”、“リップスティック・グラフィティ”、そしてこの“Rain”です。

衝動的に車を買い替えたら、ディーラーで付けてもらえるオーディオはカセットテープ不対応。
車ではどうしても昔のカセットテープを聴きたくなることがあるだろうと、
前の車のオーディオを付け替えてもらいました。
本作の観賞後、さっそくカセットテープの棚をごそごそ、大江千里の同曲収録アルバムを発見、
翌日から車で聴き倒しています。

結局、先週末にDVDも購入、秦基博のCDも購入。
現在の私は『言の葉の庭』一色の生活です。
ほら、今日もこんな雨、やっぱりこの曲が聴きたくなっちゃうのでした。

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『俺はまだ本気出してないだけ』

2013年06月24日 | 映画(あ行)
『俺はまだ本気出してないだけ』
監督:福田雄一
出演:堤真一,橋本愛,生瀬勝久,山田孝之,濱田岳,水野美紀,石橋蓮司,
   指原莉乃,賀来賢人,ムロツヨシ,村松利史,池田成志,佐藤二朗他

ダンナの出張中はほぼ毎日、最低1本は映画を観ていたため、
こうして連日更新しないと書ききれない状態ですが、ためたネタもあと数日分になりました。
これはちょうど1週間前、月曜日がレディースデーのワーナー・マイカル・シネマズにて。

心を鷲掴みにされた『HK/変態仮面』の福田雄一監督。
変態仮面の父親役や敵役だった人がちょっとずつ顔を出していて嬉し。
また、“勇者ヨシヒコ”シリーズつながりで山田孝之も。

この監督の作品を観ると、必ず三木聡監督を思い出すのですが、
本作には村松利史が出ていたために、より強く思い出しました。
で、三木監督も言われていることですが、
どうもこの監督たちの作品は小馬鹿にされているようだと、嫌いな人も多いよう。
けれども私はこのなんとも言えない間(ま)が大好きですねぇ。

大黒シズオ(堤真一)、42歳。
高校生の娘である静子(橋本愛)と、父親の志郎(石橋蓮司)の3人暮らし。
突然会社を辞めて自分を「模索中」らしいが、
家でごろごろ、TVゲームに熱中、散歩して鳩に餌をやる日々。

ところがある日、本屋で立ち読みしていたシズオに啓示が舞い降りる。
漫画家になる、自分にはそれしかない。決意するシズオ。
描き上げた原稿を出版社に持ち込むと、
担当編集者の村上(濱田岳)が褒めたり励ましたりはしてくれるものの、毎回ボツ。

ファーストキッチンでバイトを始めるがしょっちゅうミス。
25歳の冷ややかな店長から怒られてばかり。
手持ちの金がなくなると静子から借り、
飲みに行きたくなれば幼なじみの宮田(生瀬勝久)にたかる。
そんなシズオに志郎は激怒するのだが、一向に漫画家デビューは訪れず……。

バイト先でのあだ名は店長(本物の店長はほかにいる)、
少年野球チームでのあだ名は監督(本物の監督はほかにいる)、
どうしようもないシズオを堤真一が好演しています。
ほかの出演者も思う存分に演技を楽しんでいるようで、終始笑ってしまいました。

生瀬勝久演じる宮田は、勤め先でそれなりに出世、
けれどもいい人すぎるからと離婚されました。
ファーストキッチンに新人バイト、山田孝之演じる金髪で無愛想な市野沢が、
なぜかシズオや宮田としばしば飲みに行くようになり、
その居酒屋の店主が蛭子能収という、愉快な設定。

基本的にとてもお気楽に観られる作品ですが、
生涯サラリーマンでいつづけるお父さんたちの大変さを思わずにはいられません。
喧嘩っ早くて仕事がつづかない市野沢が何気なく口にする、
「かっこいいですよ、サラリーマン」という言葉に、
宮田がちょっぴり救われたかのような、でも寂しそうな表情にはジワリ。
また、シズオを父親に持ちながらグレもしない静子のけなげさや、
宮田の幼い息子の子どもならではの心配に泣き笑い。

後味よし。いいんじゃないすか、ダメ男でも。

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『インポッシブル』

2013年06月23日 | 映画(あ行)
『インポッシブル』(原題:The Impossible)
監督:J・A・バヨナ
出演:ユアン・マクレガー,ナオミ・ワッツ,トム・ホランド,
   サミュエル・ジョスリン,オークリー・ペンダーガスト他

友人と会う前に2本観られるかどうかの瀬戸際、
前述の『華麗なるギャツビー』とハシゴ。
同劇場ではありますが、本館から別館へ、その間5分しかないので必死のぱっち。

アメリカ/スペイン作品。
2004年のスマトラ島沖地震による大津波で被災した家族をめぐる実話を
『永遠のこどもたち』(2007)のJ・A・バヨナ監督が映画化。

2004年12月。
イギリス人夫婦のヘンリーとマリアは、息子のルーカス、トマス、サイモンを連れて、
タイのリゾート地をクリスマスのバカンスに訪れる。
ところがクリスマス当日、ホテルのプールでそれぞれ楽しんでいたところ、
スマトラ島沖地震が発生、一瞬にして津波に呑み込まれる。

濁流の中、かろうじて生き延びたマリアと長男のルーカス。
大けがを負ったマリアをルーカスが支えながら、なんとか水の引いた場所へ。
地元の住民に助けられ、病院へと搬送される。

一方のヘンリーは、二男と三男のトマスとサイモンとともになんとか無事。
幼いふたりをほかの大人たちに預けると、
あきらめきれずにマリアとルーカスを探しに出かける。
点在する避難所や病院を来る日も来る日も回りつづけるのだが……。

あくまでも家族愛がテーマの、災害に遭って離散した一組の家族が再会するまでの物語。
もしも同様の災害で家族を失った人が観たら、辛いだけかもしれません。

それでも、こうした災害に遭ったとき、
尊厳を傷つけずにいられるか、利己的にならずにいられるか。
『遺体 明日への十日間』を観たときと同じことを考えさせられます。
助けを求める人のことを「自分の身も危ないのに、他人を助けてはいられない」と思わないか。
携帯電話を借りたいという人に気持ちよく差し出すことができるのか。

母親のマリアは、出血の酷い凄惨な状況に置かれながらも、
さっさと自分たちだけで逃げようという息子のルーカスに、
それは断じてならないことだと言い聞かせます。
そうしてルーカスも母親の思いをしっかりと汲み取り、
病院内では自分ができること、人のためになることをなんとか見つけようとします。

涙なくしては観られない作品であることは間違いありません。
しかし、私の泣きモードのスイッチが入りかけたときに、ずいぶん離れた席から聞こえてくる嗚咽。
それがこれまで聞いたどんなものよりもスゴくて、
さすがに「アンタ、それは泣きすぎやろ!」とツッコミたくなりました。(^^;
決してシラけたわけではなく、よそさまのあまりの泣きっぷりに笑ってしまい。

なぜに“Impossible(=不可能な)”かと思っていたら、途中こんなシーンが。
父親のヘンリーから三男を見てやれと言われたまだ幼い二男が、
心細い気持ちを抑えて三男に膝枕しながら星空を見上げたとき。
同じく被災した老婆が近くに座り、星の話をします。
どの星も輝いているけれど、中にはすでに死んでしまっている星もある。
星の生死はここから判断することができないのかと尋ねる二男に、老婆が“Impossible.”と。
人の生死もそこで判断することはできないから、
その目で確かめるまであきらめられないのですね。

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