夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』

2003年09月30日 | 映画(あ行)
『踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』
監督:本広克行
出演:織田裕二,柳葉敏郎,深津絵里,水野美紀,ユースケ・サンタマリア,  
   北村総一朗,小野武,斉藤暁,筧利夫,真矢みき,いかりや長介他

観てきました。ひとりで。

告白すると、『踊る大捜査線』フリークです。
もともと、織田裕二の出演する「熱くて、なおかつ笑えるドラマ」が好きで、
『お金がない!』や『正義は勝つ!』などもお気に入りでした。
1997年にテレビで『踊る大捜査線』が始まったとき、
その第1回から虜になりました。

しかし、ドラマが最終回に近づくにつれて人気が出てきて、
視聴率はさほど高いとも言えなかったのに、
なんとなくカルトな番組になってしまいました。
あまり見ている人がいないうちはさんざん「ええで、ええで」とふれまわっていたのですが、
みんなが知るようになって、ス~っと引いた私です。

とは言うものの、ひそかに思いつづけておりました。
ドラマ終了後は廉価版を待てずにチョー高いビデオを全巻揃え
(ダンナに「しばらく何も買わないから」とお願いした)、
サントラも即購入。

一応あらすじを書いておきますと、いまや観光地と化したお台場。
連日観光客でにぎわう湾岸署管内で猟奇殺人事件が発生。
本庁からは初の女性管理官、沖田がやってくる。
室井はそのサポートにまわることに。
犯人はお台場にいるはずだが、未完成のこの地では、
日々ビルや道路が増えているため、完成した地図が存在しない。
青島、恩田らは被疑者を確保できるのか?

『踊る大捜査線』に関しては、私の愛は盲目的で、
出来の善し悪しはまったく関係ありません。
何を見ても楽しい、嬉しい、泣ける、幸せ。
ただ、このメンバーあっての作品ですからね、
ドラマの番外編で内田有紀主演のやつ、あれだけはいただけません。

柳葉敏郎が眉間にシワよせて、
口をへの字に結んで、その顔を見ただけでグっときます。
部下の盾になってくれる上司、く~っ、かっこええ~。

ヤマで流れる“Love Somebody”のオーケストラ・バージョン、
あれも聴くだけで涙が。
ついでに、ドラマの「凶弾・雨に消えた刑事の涙」の回で、
真下警部補が銃弾を浴び、
大雨のなか、湾岸署員が弾丸を探す場面で流れていたジーザス・バージョン、
いま聴いても涙がでます。

ベタほめでんな、これ。
たまにはいいでしょ、理屈抜きで好きな映画があっても。(^^)

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『サイドウォーク・オブ・ニューヨーク』

2003年09月29日 | 映画(さ行)
『サイドウォーク・オブ・ニューヨーク』(原題:Sidewalks of New York)
監督:エドワード・バーンズ
出演:エドワード・バーンズ,ロザリオ・ドーソン,ヘザー・グラハム,スタンリー・トゥッチ,
   デヴィッド・クラムホルツ,ブリタニー・マーフィ,デニス・ファリナ他

ニューヨーク、マンハッタンのカップルを追いかける。

テレビ局に勤めるトミー。
恋人から突然別れを切りだされ、傷心。
レンタルビデオ屋で出会った女教師マリアに声をかける。

マリアの元夫ベンジャミンはホテルのドアマン。
夫の浮気癖が原因で離婚。
しかし、マリアに未練たっぷりのベンジャミンは
しょっちゅう彼女のもとへ押しかけている。

トミーは恋人から部屋を追いだされ、新しい部屋を探している。
彼に物件を案内するのは不動産屋のアニー。

アニーは歯科医の夫グリフィンの浮気を疑っている。
グリフィンの相手は大学生のアシュレー。
ホテルでしか会おうとしないグリフィンのことを
アシュレーは不満に思っている。

アシュレーがアルバイトするカフェにベンジャミンが訪れる。
にこにこ微笑みかけるアシュレーを
ベンジャミンは自分に気があると思い込む。

こうしてどこかで繋がっている6人のインタビューをはさみ、
その恋愛模様を描いたドキュメンタリー風フィクション。

ロバート・レッドフォード主催のサンダンス映画祭で
グランプリを受賞した『マクマレン兄弟』(1995)以降、
エドワード・バーンズの監督作は必ず観てしまいます。
都会に生きるカップルのラブストーリーは
会話も風景もオシャレで、それでいてスカしてない。
住んでみたいで、ニューヨーク!と思わせられます。

男前ゆえ、役者としても活躍。
『プライベート・ライアン』(1998)では8人の兵士のうちのひとりを。
『15ミニッツ』(2001)ではロバート・デ・ニーロの相棒役。
しかし、やはり彼自らの監督・主演作のほうが○。
ボン・ジョヴィを主役に抜擢した『ノー・ルッキング・バック』(1998)はイマイチだったけど、
キャメロン・ディアスとブラピの妻ジェニファー・アニストンが出演した『彼女は最高』(1996)は大好き。

わが家で夫婦喧嘩をしたとき、私は腹が立って寝られない。
それなのに隣でいびきをかいて豪快に寝るダンナを見て
「なんで寝られるね~ん!」と余計に腹が立つことが。
トミーに女の口説き方をアドバイスをする、デニス・ファリーナの台詞を聞いて大納得。
「女は(物事を)無視できない」。
そうだったのかぁぁ!(^^;

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『バティニョールおじさん』

2003年09月25日 | 映画(は行)
『バティニョールおじさん』(原題:Monsieur Batignle)
監督:ジェラール・ジュニョ
出演:ジェラール・ジュニョ,ジュール・シュトリック他

タイトルから察するに、
優し~いおじさんと近所の子どもたちの心温まる話を想像してたら、全然ちゃうやん。
「バティニョールおじさん」はハゲで小デブ、ちょびヒゲにへの字マユの偏屈オヤジ。
1942年のパリが舞台で、ユダヤ人一斉検挙に燃えるドイツ軍がウヨウヨ。
背景も非常にヘヴィーです。

精肉・惣菜店を営むバティニョール。
妻と娘、そして娘の婚約者、ピエール=ジャンとともに暮らしている。
隣人はユダヤ人のバーンスタイン。
妻と幼い息子ふたりの4人家族。

バーンスタイン一家が逃亡計画を実行するはずだった日、
バティニョールの店からハムが盗まれる。
ピエール=ジャンから隣人が犯人だと聞かされたバティニョールは、
バーンスタイン家を訪れる。
実はドイツ軍協力者であるピエール=ジャンが
隣人がユダヤ人であると密告し、
軍当局がやってくるまで足止めをくらわすために
バティニョールを利用したのだった。
そしてバーンスタイン一家は検挙される。

チクリ屋ピエール=ジャンのおかげで、
バティニョールは空室となった隣人の豪華な部屋を手にいれる。
バティニョールの惣菜は軍幹部の御用達に。
釈然としない思いのまま、毎日を送るバティニョール。

ある日、自宅でドイツ軍支援者のためのパーティーを催していると、玄関のベルが鳴る。
バティニョールが出てみると、そこにはバーンスタインの息子であるシモンが。
聞けば、収容所へ送られる途中に逃げてきたとのこと。
自分の家だと思ってたどりついたのに、
そこはバティニョールの家になっていたのだ。

仕方なく、メイド部屋にシモンをかくまうことに。
食事や毛布を運び、おもちゃの人形も与える。
しかし、家族に内緒で面倒をみるのがむずかしくなり、
バティニョールはシモンをスイスへ逃がそうと決意。
シモンの従姉妹も連れていくはめになって、
なんとか資金を工面したバティニョールと3人の子どもたちは
パリを抜けだしてスイスへと向かう。

惣菜をつくることにかけては素晴らしい腕の持ち主だけど、
子どもの心をつかめない、さえないおっちゃん。
でも、下心なしに、なんとか子どもを無事に逃がしてやろうと
孤軍奮闘する姿がほんとにかっこいい。
重たい背景だけど、笑えて、ウルッとできて、爽やかな気持ちに。
とってもオススメ。

おっちゃんもエライのだ。

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『きれいなおかあさん』

2003年09月22日 | 映画(か行)
『きれいなおかあさん』(原題:漂亮媽媽)
監督:スン・チョウ
出演:コン・リー,ガオ・シン,シー・ジンミン,リュ・リーピン他

昨年公開された2001年の中国の作品。

コン・リー演じる女性はタクシー運転手の夫と離婚。
聴覚障害のある息子をひとりで育てている。
どうしても普通学級で学ばせたいと、懸命に言葉を教える母。
しかし、息子は緊張のあまり、試験に落ちてしまう。

息子が試験に落ちたのは
自分の仕事が忙しくてかまってやれなかったせいだと、
高収入の外資系工場での仕事を辞め、
息子と少しでも長く過ごせる新聞配達や家政婦の仕事を始める。

かなりベタな話ですが、
これでもか!という泣きへの強引さは感じられず、素直に涙。

コン・リーって山口百恵にドスコイ入ったみたいな感じで(失礼)、
美しく化粧した顔も似合うけど、
すっぴんに近い顔でがんばる母もやたら似合います。
「人生って楽じゃない」とこの顔で言われると、
そうよ、そうやんね、でもなんとかするんやで!と
心の底から応援したくなります。

幼い息子を演じたガオ・シンは、実際に聴覚障害があるそうです。
めちゃめちゃうまいです。けなげです。

2度目の試験の前、「試験に落ちたらどうしよう」と、
校門から先に進めないでいる息子に対し、
「今年ダメだったらまた来年。来年ダメだったら再来年。
再来年がダメならその次があるよ。
母さんがついてるから大丈夫」とにっこりと笑う母。

通りすがりの小学生から補聴器のせいでいじめられ、
もう学校には行きたくないと母に八つ当たりする息子。
息子を激しく叱ったあとで「母さんはいじめられたらどうすればいいの?
いじめられても、母さんには帰るところがない」と泣き崩れる母を見て、
息子は大好きな物語を大きな声で暗唱します。

人生は楽じゃない、でも嫌なことばっかりでもない、
それが心にジワ~ン。

ついでに、「マクドナルド」の存在は外せません。
母子がマクド(関西ではこう略す)にいる場面がありますが、
イギリス映画の『アバウト・ア・ボーイ』(2002)でも
「お祝いにマクドナルドで食事はどう?」と母が息子に言うシーンがありました。
誰でも入れるように思ってしまうマクドナルド。
日々の生活を切り詰めている母子にとっては特別な日の特別な食事なんやなぁと。

おかあちゃんはエライのだ。

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『Sweet Sixteen』

2003年09月21日 | 映画(さ行)
『Sweet Sixteen』(原題:Sweet Sixteen)
監督:ケン・ローチ
出演:マーティン・コムストン,ウィリアム・ルアン,アンマリー・フルトン,
   ミッシェル・クルター,ゲイリー・マコーマック他

スコットランドの田舎町。
リアムはもうすぐ16歳の誕生日を迎える。
ヤク中の母は服役中。
祖父、そして母の恋人スタンとともに暮らしている。

3人は母に面会に出かけるが、
スタンは母にヤクを渡して所内で売りさばくように強要し、
祖父もそれに加担する。
そんなふたりを見て嫌気がさしたリアムは家を飛びだす。

シングルマザーである姉のもとへ転がりこんだリアムは、
母との温かい生活を夢見て、家を手に入れるべく、金を稼ぐことを決意する。

リアムと親友ピンボールは、スタンが隠し持っていたヤクをくすねて売ることに成功。
しかし、場を荒らしたことからヤクザの怒りを買い、ボスに呼びだされる。
袋だたきにされると思いきや、彼の腕を見込んだボスはリアムに仕事を与える。

ボスのお気に入りとなり、どんどん稼いで裏社会で出世してゆくリアム。
そして、親友との仲はどんどん離れてゆく。
念願の家も手に入れ、出所日の母を迎えにゆくのだが……。

イギリスの労働者階級の問題を描かせたら天下一品のケン・ローチ監督。
これまでの作品も、ヤク中やらアル中やらを主題にしていました。
『マイ・ネーム・イズ・ジョー』(1998)など、
スネに傷を抱えるオッサンが主人公であることが多かったですが、
今回は純粋無垢な少年を主人公に据えています。

天気と同じく、暗い主題なのに、
この監督の作品はいつでも悲惨になりすぎず、
傷つきながらも懸命に生きてゆこうとする人びとを
優しく見守ってくれているような気がします。

余談ですが、主演の彼は役者になる気などさらさらなく、
スコットランド・リーグのチームと契約が済んでいたそうです。
ほんとならサッカー選手。

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