夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ゆとりですがなにか インターナショナル』

2023年10月24日 | 映画(や行)
『ゆとりですがなにか インターナショナル』
監督:水田伸生
出演:岡田将生,松坂桃李,柳楽優弥,安藤サクラ,仲野太賀,吉岡里帆,島崎遥香,手塚とおる,高橋洋,青木さやか,
   佐津川愛美,矢本悠馬,加藤諒,厚切りジェイソン,木南晴夏,上白石萌歌,吉原光夫,中田喜子,吉田鋼太郎他
 
クライマックスシリーズが始まったらしばらくは映画を観に行っている場合じゃないから
その前日の仕事帰りにイオンシネマ茨木にて2本ハシゴ。
 
封切り前に劇場で流れていた予告編を観るまでは、こんなTVドラマがあったことすら知りませんでした。
脚本が宮藤官九郎で、監督は水田伸生なんですね。面白そうじゃあないか。
 
ゆとり教育を受けて「ゆとり世代」と揶揄されがちな若者たちも今は30代半ば。
 
東京の郊外で造り酒屋を営む坂間家の次男・坂間正和(岡田将生)は、
食品メーカーが経営する居酒屋のカリスマ店員だった茜(安藤サクラ)と結婚し、
可愛い娘ふたりに恵まれたが、茜の尻に敷かれっぱなし。
 
小学校教師の山路一豊(松坂桃李)は童貞のまま三十路に。
かつて教育実習生だった佐倉悦子(吉岡里帆)に振り回された過去がある。
女性と関係を持ちたいのになかなかそれができず、せっかく女性と会う機会ができたというのに、
フリーカウンセラーの麻生巌(吉田鋼太郎)をリモートで同席させてドン引きされる始末。
 
中華料理のようで日本発祥のエビチリで大儲けすべく中国へと渡った道上まりぶ(柳楽優弥)。
一旦はその目論見が成功したものの、中国人にすぐにパクられてどうしようもなくなる。
致し方なく坂間酒造で雇ってもらおうと帰国。
 
TVドラマ版を一度も観たことがないので、わからない点がいろいろありますが、
こんな感じの3人をメインに物語は進行します。
 
正和が勤めていた食品メーカーでは、坂間酒造の酒を居酒屋に卸す独占契約を結んでいたのに、
会社が中国だか韓国だかの企業に買収され、そのトップに就任したチェ・シネ(木南晴夏)の意向で、
契約は継続されないことになってしまう。
大慌ての坂間酒造にシネが突きつけた条件は、ノンアルの日本酒を開発すること。
そんなのはありえねぇと杜氏の服部(吉原光夫)は憤りますが、やってやれないことはない。
 
木南晴夏が韓国語に堪能なのは有名ですが、本当に話しているのを見たのは初めてかも。
マジで堪能。って、私は韓国語がまったくわからないから、これが流暢なのかどうかもわかりませんが。(^^;
 
クドカンの脚本に楽しいキャストでさぞかし面白い作品に仕上がっているのだろうと思いましたが、
これがなかなか笑えないのですよねぇ。ふきだしかけたのはただの一度きり。
中田喜子演じる坂間酒造の女将が仏壇に向かって「私は毎日あの世とリモートよ」と言ったシーンだけ。
 
TVドラマ版を観たことがなくても楽しめる劇場版はあるけれど、
これは最近観たその手の作品の中でいちばん「TVドラマ版を観てからのほうがよかった」と思う劇場版です。
ま、睡魔には襲われることなく最後までは観ました。

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『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』

2023年09月26日 | 映画(や行)
『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』
監督:酒井麻衣
出演:白岩瑠姫,久間田琳加,箭内夢菜,吉田ウーロン太,今井隆文,上杉柊平,鶴田真由他
 
109シネマズ大阪エキスポシティにて、前述の『アリスとテレスのまぼろし工場』の次に。
 
そんなにヒットしていないのだと思っていたら、若い女性や母子連れがいっぱいでビックリ。
誰目当てなのかしら。白岩瑠姫も久間田琳加も私は知らんねんけど。
てか、どっちがどっちの名前なのかもわからず。前者が男性、後者が女性のお名前なのね。
で、前者はJO1のメンバーだと。JO1もわからなくてすみません。
「しろいわるき」くんに「くまだりんか」ちゃんね。たぶんちゃんと覚えたで!
 
もともとはケータイ小説として公開され、のちに書籍化された汐見夏衛の同名ベストセラー。
監督は『劇場版 美しい彼 eternal』の酒井麻衣です。
 
高校生の茜(久間田琳加)は4人家族。
ずいぶん前に茜の実父と離婚した母・恵子(鶴田真由)は料理人の丹羽隆(吉田ウーロン太)と再婚。
恵子と隆の間には玲奈(佐藤恋和)が生まれ、つまり茜の異父妹となる。
隆はいつか茜に「お父さん」と呼んでもらえる日を心待ちにしているものの、無理強いはしない。
いつも優しくて茜の味方。そんな隆に感謝しつつも、まだ心を開くことはできない茜。
 
両親の離婚のこともあって、幼少時から周囲に気を遣って生きてきた茜は、
心の内を見られるのが怖くてマスクを手放せない。
高校では優等生で通り、学級委員を務めるなどみんなから信頼される存在で、
本当の自分とのギャップに思い悩んでいる。
 
そんななかにあって、茜が気になっているのは同級生の深川青磁(白岩瑠姫)。
青磁は銀髪イケメンの美術部員で、異性からも同性からもモテる学校一の人気者
彼にだけは自分のことを見透かされているような気がしていたら、
面と向かって「おまえは自分を隠している。作り笑いばっかり。大嫌い」と言われてしまう。
 
しかし通学途中にマスクを忘れたことに気づいてパニックになっていたとき、
青磁に助けられた茜は、彼の前でだけはマスクなしでいられるように。
次第にふたりの距離も縮まっていくのだが……。

学芸会かよと思いながら冷めた目で観ていました。
こんなだったかなぁ高校生の頃。いやいやいや、こんなんこっちが恥ずかしいわなどと思い。
ところが最後に結局泣かされているではありませんか、私。
 
このうえなくありきたりな話だと思っていたら、最後の展開が予想外。
さらには初めて「お父さん」と呼ぶシーンは私がお父さんの心境に陥ってしまった(笑)。
 
めっちゃよかったわけじゃない。でも思っていたよりはよかった。
JO1ファンの女子小中高生もお母さんも楽しめるんじゃないですかね。
 
美術教師役の上杉柊平がちょっとイイ。
でも先生は生徒のプライバシーについて口が軽すぎじゃないでしょか。(^^;

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『湯道』

2023年03月09日 | 映画(や行)
『湯道』
監督:鈴木雅之
出演:生田斗真,濱田岳,橋本環奈,戸田恵子,寺島進,厚切りジェイソン,浅野和之,
   笹野高史,吉行和子,ウエンツ瑛士,朝日奈央,吉田鋼太郎,夏木マリ,柄本明他
 
109シネマズ大阪エキスポシティにて。
 
世界的に評価された『おくりびと』(2008)の脚本家・小山薫堂が2015年から提唱している“湯道”。
華道茶道とともに入浴も日本の伝統文化に含めるべきだと小山氏はおっしゃっています。
今では給湯器メーカーのノーリツが“湯道百選”というのサイトを公開しているとのこと。
 
で、そんな小山氏が自ら脚本を手がけて映画にしたのが本作、お風呂エンターテインメント。
監督はこういうエンタメが大得意、TVドラマでも活躍する鈴木雅之
ロケ地はどこなのかなと思ったら、京都の松竹撮影所内だそうで。すごいセットだ。
 
建築家の三浦史朗(生田斗真)は、大手事務所に勤めていた頃に数々の賞を受賞したが、
いざ独立してみるとなかなか仕事を受注できず、肩書きの大きさを実感している。
東京でどう暮らして行こうかと迷うなか、久しぶりに故郷に顔を見せることに。
 
実家は地元の人びとに長年愛されてきた銭湯“まるきん温泉”。
先代だった父親の死後、次男の悟朗(濱田岳)が後を継ぎ、
住み込みで働く秋山いづみ(橋本環奈)とふたりで銭湯を切り盛りしているらしい。
そこへ帰ってきたのが、父親の葬儀にすら出席しなかった史朗。
 
実は史朗の目的は、銭湯を畳んでマンションに建て替えるという計画を進めるため。
そうとは知らない悟朗も史朗に何か魂胆ありと考えるが、
もともと仲が良いとは言えない兄弟だから、悟朗は史朗とろくにしゃべろうとせず……。
 
めちゃめちゃよかったわけではないけれど、誰でも楽しめる作品だと思います。
 
生田斗真、濱田岳、橋本環奈以外のキャストもなじみのある顔ばかり。
寺島進戸田恵子は銭湯の近所で食堂を経営する夫婦。
笹野高史吉行和子も必ず一緒にやってくる老夫婦。
一番風呂で歌を唄うのを楽しみにしている客は天童よしみで、その息子役がクリス・ハート。
湯道の家元役が角野卓造で、彼の内弟子に窪田正孝
風呂だけが唯一の楽しみである定年間近の真面目な郵便局員小日向文世
彼の妻役が藤田朋子で、次女役は生見愛瑠。あれ?長女役って誰でした?
風呂に無償で薪を運んで火にくべては、入浴して帰ってゆく謎の風呂仙人に柄本明
浅野和之堀内敬子が夫婦役で、その娘役に森カンナ、婚約者役に厚切りジェイソン
源泉掛け流し主義者の評論家に吉田鋼太郎、その秘書に朝日奈央。
銭湯好きのDJにウエンツ瑛士などなどなど、知っている人だらけです。
 
そこそこ笑えて、たまにしんみりできて、ハッピーエンド。
テレビでじゅうぶんとも言えますが、この風呂は大画面で見るほうが楽しいかと。
 
銭湯を一緒に訪れた夫婦が桶を鳴らし合って会話する「ひびき桶」が○。
あと、やっぱり“上を向いて歩こう”は良い歌です。

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『柳川』

2023年01月23日 | 映画(や行)
『柳川』(原題:漫長的告白)
監督:チャン・リュル
出演:ニー・ニー,チャン・ルーイー,シン・バイチン,池松壮亮,中野良子,新音他
 
シネ・リーブル梅田にて、前述の『ドリーム・ホース』の次に中国作品を。
 
不治の病で余命わずかとなった男性ドン。
疎遠になっていた兄チュンに声をかけ、久しぶりに酒を酌み交わす。
 
ドンは一緒に日本へ旅行しようとチュンを誘う。
気乗りしない様子のチュンだったのに、行き先は福岡の柳川というところだと言った瞬間、
俄然興味を示し、さっそく柳川へ。
 
チュンがその気になった理由は、「柳川」を中国語読みすると
元カノの名前「リウ・チュアン」と同じだから。
かつてチュンが好きで好きでたまらなかったいい女チュアン。
実はドンも彼女のことが好きだった。
身勝手なチュンはほかに好きな女ができてチュアンを振ったが、いま会いたいと言う。
 
柳川に到着した兄弟は、予約していた宿に向かう。
そこは大きな民家で、親から受け継いだ中山という男が余った部屋を貸している。
チェックインを済ませたふたりは、チュアンがいるはずのバーを訪ねて……。
 
うーむ、ごめんなさい。
途中までは面白く観ていたのですが、チュアンが登場する辺りから、
彼らのやりとりがやたら鼻についてしまって。
常に弟にマウントを取りたがる兄も好きになれず、中山役の池松壮亮もビミョー。
中野良子が女将を務める近所の料理屋も、ひとりで切り盛りするには広くないか。
通じない中国語と日本語の会話も私はシラけるばかりで。
 
柳川って、「日本のヴェニス」と呼ばれているんですってね。
船頭さんが漕いでくれる舟に乗ったまま団子を買うとか、いいな~と思う。
でも私にはそれだけ。ごめんなさい。

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『ゆめのまにまに』

2023年01月16日 | 映画(や行)
『ゆめのまにまに』
監督:張元香織
出演:こだまたいち,千國めぐみ,三浦誠己,山本浩司,中村優子,村上淳他
 
せっかく仕事帰りにシネ・リーブル梅田まで足を伸ばしたのでもう1本。
前述の『そばかす』の後に観ました。
 
ウィキペディアによれば、株式会社ディケイドは、「映画を中心に活躍する俳優のほか、
幅広い分野で活躍するアーティストが所属する芸能事務所」なのだそうです。
インディーズの音楽レーベルも運営しているし、映画製作もおこなっているとのこと。
そんな会社が設立30周年を記念して製作したのが本作。
 
舞台となっているのは浅草に実在する古物商店“東京蛍堂”。
その店主・和郎(村上淳)を訪ねて熊本からやってきたのが真悠子(千國めぐみ)。
古物を求めて日本中を旅する和郎と何かあったらしく、
真悠子は和郎に会いたい一心で突然彼を訪ねる決意をしたようですが、
肝心の和郎は店に不在。いつ行っても会うことができません。
 
和郎に代わって店を守っているのがマコト(こだまたいち)。
いつ帰ってきていつ出て行ったかわからない和郎が置いてゆく古物を
丹念に手入れしては店に並べます。
 
和郎がいないことを当たり前に思って来店する人々。
彼らの口ぶりから、和郎という男はおそらく女たらしのろくでなしで、
だけど仕事は一流だとわかります。かつ、人たらしでもある。
 
古着物を粋に着こなす唐子(中村優子)は和郎の眼の確かさに舌を巻く。
自身が目利きの唐子は、真悠子が首飾りとしてつけている帯留めに目を見張ります。
営業先回りとおぼしき間にマコトに缶コーヒーを差し入れる男性(三浦誠己)。
同様に時折ここへ寄っては熟考のうえ気に入ったものを買う会社員(山本浩司)。
和郎の息子(遊屋慎太郎)も顔を出しますが、父親に会えることはほぼ無し。
 
そのほかさまざまな人が足を踏み入れる東京蛍堂。
ゆるゆるした時の流れを感じられて、浅草の街並みにも魅せられます。
マコトが昼にとる食事が何気なく美味しそうなのもいいところ。
カツ丼と一緒にテイクアウトするキュウリは生なのかな、一本漬けなのかな。
 
浅草に行きたくなります。

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