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『ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人』

2024年03月04日 | 映画(さ行)
『ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人』(原題:Jeanne du Barry)
監督:マイウェン
出演:マイウェン,ジョニー・デップ,バンジャマン・ラヴェルネ,ピエール・リシャール,
   メルヴィル・プポー,パスカル・グレゴリー,ディエゴ・ルファー,ポーリン・ポールマン他
 
そろそろ上映終了になりそうで、見逃してももういいかと思っていましたが、
梅田までほかの映画を観に行くのも面倒になって109シネマズ箕面でこれを。
そうしたら、思っていたよりもずっと面白かった。観てよかった。
 
ジャンヌ・デュ・バリーといえば、『ベルサイユのばら』のイメージが強烈。
卑しい出自でありながらルイ15世を虜に。しかしマリー・アントワネットと激しく対立。
皇太子妃マリーに無視されつづけて苛立っていたジャンヌが、
ついに声をかけられて勝ち誇った顔をしていた漫画のシーンをよく覚えています。
徹底して嫌な女として描かれていた印象がありました。それが一転。
どれが本当の彼女の姿なのかはわからないとしても、見方ひとつでこんなに変わる。
 
貧しい家庭に私生児として生まれたジャンヌだったが、彼女の母親の雇い主が善人で、
将来ジャンヌが困らぬよう、知識欲を満たす十分な教育を授ける。
やがて雇い主の計らいで修道院に入ったジャンヌは読書をやめられない。
普通の本を読むだけならよかったが、エロティックな小説も読むようになったものだから、
ふしだらな女の烙印を押されて修道院から追い出されてしまう。
 
もとの屋敷に戻るも、美しく成長したジャンヌを見た雇い主の妻は、
自分の夫がジャンヌに誘惑されるかもしれないと嫉妬して追い出す。
どこへ行こうが男性との関係を怪しまれてしまうジャンヌは娼館へ。
そこで売れっ子の娼婦となり、デュ・バリー伯爵に見初められて彼の屋敷へ。
 
ルイ15世のもとへ女性を送り込んでいたリシュリュー公爵は、ジャンヌに白羽の矢を立て、
ジャンヌがルイ15世の目にとまるようさりげなく仕組んだところ、そのとおりになるのだが……。
 
10代のジャンヌを演じていた女優がめちゃめちゃ綺麗でしたが、彼女の名前がわからない。
この女優をずっと見ていたいぐらいだったのに、彼女の出番はすぐになくなり、
本作の監督でもあるマイウェンがそれ以降のジャンヌ役を務めます。
はっきり言って、彼女がそんなに美しいとは思えない。だいたいもう47歳ですし。
口元に品がないというのか、歯茎さがってるやん。ちょっとベアトリス・ダルを思い出す
 
ルイ15世役のジョニー・デップも化粧してつるつるの顔がなんか変だし、
キャストに乗れない作品だなぁなんて思いながら観ていたのですけれど。
 
しばらくするとマイウェンの顔にも慣れてきて、話が面白いおかげで容姿は気にならなくなる。
『ベルばら』であれほど嫌いだったジャンヌがこんなにもユーモア溢れる女性だったなんて。
 
古いしきたりに囚われているヴェルサイユ宮殿に彼女はさまざまな改革をもたらします。
国王に挨拶するときは目を合わせてはいけないとか、背中を向けてはいけないとか、なんやねんそれと、
微笑みを称えて目をしっかりと見つめながらルイ15世にお辞儀する。
デザインにストライプを取り入れたドレスを着たり、初の男装をした女性となったり。
顔をしかめて非難する人はもちろん多いけど、彼女を真似る人も出てくるわけで。
 
ルイ15世もそんなジャンヌのことが大好きだったようで、皆から守る。
いけずなことこのうえないルイ15世の娘たちがジャンヌをいじめ抜こうとするけれど、
王の側近ラ・ボルドは絶えず親身に優しく接してくれます。
ラ・ボルド役のバンジャマン・ラヴェルネの温かみある演技がとてもよかった。
 
ルイ15世の死後、追放されて、結局はルイ16世、マリー・アントワネットに次いで
ギロチン処刑されてしまったジャンヌ。
 
宮殿の風景なども併せて、この時代に想いを馳せることのできる良い作品でした。

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