ままちゃんのアメリカ

結婚42年目のAZ生まれと東京生まれの空の巣夫婦の思い出/アメリカ事情と家族や社会について。

征服されざる者

2019-08-28 | 人間考察

emilyspoetryblog.co

 

 

 

この記事は先回記事のネルソン・マンデラに続くものである。27年の長きにわたった獄中生活での心の支えは一体なんであったのだろう。クリスチャンであったマンデラは、その信仰にすがっていたことだろうが、その他に一篇の詩が関わったことも知られている。それは、英国のWilliam Ernest Henley(ウィリアム・アーネスト・ヘンリー)の有名な詩、INVICTUS(インヴィクタス=不屈、征服されない、という意味のラテン語)である。この詩人は幼い頃左足の骨に結核を患い、その足の切断を余儀なくされた。そして病弱故に入院生活も長く、成人し、結婚をし、子供(娘)を授かるが、その子供も幼くして病死してしまう。それでも彼は不屈の精神を持ち、生きた。マンデラがこの詩に勇気づけられたことは想像するに難くない。

 

 

征服されざる者

ウィリアム・アーネスト・ヘンリー

 

私を覆う漆黒の夜の闇は

鉄格子の間に奈落の底のようにひろがっている

どのような方が神であろうとも、私は感謝するのだ

私の魂が不屈であることを

苦境の最中に於いてさえ

私は怯むことなく、大声で叫びもしなかったことを

運命という棍棒に打ちのめされ

我が頭(こうべ)が血を流そうとも

屈しなかったことを

この憤怒と涙のかなたに

不気味に浮かび上がる死の影

そしてなおかつ長きにわたる脅迫脅威も

何一つ私は恐れてはいない

どれほど門が狭かろうとも

私が私の宿命の主であり

私の魂の指揮官なのだ


INVICTUS

William Ernest Henley


Out of the night that covers me,
Black as the pit from pole to pole,
I thank whatever gods may be
For my unconquerable soul.

In the fell clutch of circumstance
I have not winced nor cried aloud.
Under the bludgeonings of chance
My head is bloody, but unbowed.

Beyond this place of wrath and tears
Looms but the Horror of the shade,
And yet the menace of the years
Finds, and shall find me, unafraid.

It matters not how strait the gate,
How charged with punishments the scroll,
I am the master of my fate:
I am the captain of my soul.


誰でも運命に負けそうになる。それでもかつて負けようという誘惑に打ち勝った人々がいたのを知ることはどんな甘言よりも役立つ。虐げられた心は実は不屈の精神を育てる。負けまいという気持ちは、大切である。バイロンでもハイネでもないヘンリーはそれを身を持って教えてくれる。





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